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 ウィキペディアによる弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽(Sz.106)の解説は、ここ
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弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽(Sz.106)


第1楽章 Andante tranquillo

イ調。変拍子の変則的なフーガ。静穏な中に高い緊張を感じさせる。
弱音器つきのヴィオラの半音階的な主題から始まる。続いて5、13、27小節目に完全5度ずつ上で主題が登場する。また、8、16小節目に完全5度下(変則的なのはここで、通常のフーガならまず主調の完全4度下である)に主題が登場し、弦楽器群は次第に音域を扇のように広げていく。34小節目にティンパニが登場。55から56小節目に基音から一番遠い関係(増四度)になる変ホ音のクライマクス。88小節で開始と同じイ音で静かに閉じる。以上に登場する8、13、21、34、55といった数字はフィボナッチ数列に現れる。

第2楽章 Allegro

ハ(長)調 2つの主題を持つソナタ形式。第2主題はト調で、再現部ではハ調になるなど古典的ソナタ形式の約束を踏まえている。
主題は第1主題の要素から導き出されているが、雰囲気は対照的で明るく動きのある楽章。特に弦楽器の対向配置を生かしたステレオ効果の掛け合いが特徴。ときにピアノや弦楽器も打楽器的(バルトーク・ピッツィカート)に用いられる。

第3楽章 Adagio

嬰へ調 A-B-C-B-Aの5部分に分かれたアーチ形式(作曲者自身は【ブリッジ構造】と呼んだ)で、各部の経過に第1楽章の主題が効果的に用いられる。
作曲者の静穏な楽章の1つの典型である「夜の歌」の好例。特にAの部分のティンパニのグリッサンドや木琴の拍子木のような即興的な音形が印象的で、全体的にはいささか不気味な雰囲気も感じさせる。

第4楽章 Allegro molto

イ(長)調 舞曲風アレグロ。バルトーク本人は形式をA+B+A,C+D+E+D+F,G,Aと書いているがDはAの変奏なので、ロンド形式の要素が強い。
片方の弦楽器グループがイ長調の和音をピチカートでかき鳴らすのに乗って、もう一群が下降音型で提示するメイン主題A[9]が短くなったり、上下転回したりと何度も変奏されながら[10]出現する。後半はバルトークがGと書いている第1楽章のテーマの音階が全音階に拡張された主題が登場し、チェロのカデンツァ風ソロを経て、テンポがめまぐるしく変わる中、熱狂的に閉じる。

以上のように全曲を通じて精密に技巧を凝らして作曲されているが、聴衆にはまったくそれを意識させない。バルトークのそれまでの民族音楽研究の成果が、バロック音楽のコンチェルト・グロッソを思わせる古典的な形式の中に昇華したバルトーク円熟期の代表作で、録音も多い。

楽譜



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