○月×日
タカ兄に彼女が出来た。
あの地味で鈍感で朴念仁のタカ兄を射止めるなんてどんな人かと思ったが、相手の名を聞いて納得した。
あの人はいつもタカ兄のそばにいるし、タカ兄のいいところも悪いところも、それなりに知る機会もあったのだろう。
同時にタカ兄に同情する。これから彼女に振り回されることになるのだ。ご愁傷様。



どうでもいいけど、この咽の奥に○○が引っかかるような感覚は一体何なのだろうか?



○月△日
昼休み、生徒会室に行くと、タカ兄と彼女がお弁当を食べていた。もちろん恋人同士定番の「あ〜ん」だ。
ノックもしないでいきなり扉を開けたのは悪かったけど、あそこまで怒ることはないと思う。ちゃんと空気を読んでさっさと出てきたのに。
他の人達には内緒なんだろうか?まあその方が背徳的な感じがして萌えるかもしれないけど。



ちなみに、時間の関係でお昼は一人で食べた。好物の玉子焼きもあったのに、なぜか美味しく感じなかった。



○月□日
最近、タカ兄と一緒に下校していない。彼女さんと一緒に帰っているのはわかるが、たった一人の妹である私を放っておくのはどうかと思う。
腹いせにトッキーと一緒に帰ってやった。基本的に私が一方的に話すような感じだが、ところどころで見せるドジッ娘属性というか天然っぽいところは反則だと思う。
これがギャップ萌えってやつなのか。トッキー恐るべし!



そう言えば、タカ兄に彼女が出来るまでは、殆ど毎日二人でこの道を歩いていたんだっけ。
…家ってこんなに遠かったかな?






×月○日
最近タカ兄の帰りが遅い。学校行事が増えてくる時期なので、仕方がないといえば仕方がないのだが、それでも去年は、どんなに遅くても7時過ぎには帰ってきていた。
なのに最近は8時。9時を回る日もある。問いただすと生徒会の仕事だと言っていたが、本当にそれだけなのだろうか?
確かに疲れてはいるようだが、それ以上に楽しそうな空気を感じる。ぁゃιぃ。



タカ兄…まさかとは思うけど、生徒会の仕事にかこつけて…いや、邪推はすまい。



△月×日
久しぶりにタカ兄と一緒に帰った。彼女の方は用事があるらしく、『浮気しないように見張っていてくれ』と言われた。
それは無用な心配と言う奴だ。隠れて浮気できるほど甲斐性がある兄ではない。(断言)
それにしても、折角私と帰っているというのに、彼女さんの話しかしないのはどうしたものかと思う。
思わず『色ボケ』と言ってしまった私はきっと悪くない。うん。



タカ兄の口から彼女さんの名前が出るたびに、胸が締め付けられるように苦しくなるのは何か病気なのかな?
まだ処女だから性病ではないと思うのだが。



△月□日
タカ兄がデートに出かけた。『友達と遊びに行って来る』と言っていたが、妙にめかしこんでいたのだから真実はいわずもがもなだ。
中が睦まじいのはいいことなのだが、それに反比例して私との時間は激減している。
別にそれをどうこう言うつもりはないが、あまり舞い上がっていると見ている方は白けてくるので程々にしてほしい。



今日は一人きりか…何だかさびし…うん。寂しいな…




△月=日
タカ兄が外泊してきた。本人は『何もない』と言っているが、前日が彼女さんとのデートだったのだから本当に『ナニも』なかったのかは怪しいものだ。
十中八九彼女さんの家に泊まったのだろう。それでナニもなかったのならむしろヘタレと罵ってやる。
女の子を泣かせる男は執行猶予無しで死刑なのだ。ジャッジメントですの!



本当に何もなかったのかな?信じていいのかな?…って、私は何を信じたいのだろうか



?月?日
タカ兄は私と一緒だった。生まれてから今までずっと一緒だった。
私達は仲がよかった。時にはケンカもしたこともある。でも、すぐに仲直りした。
私にとっては、タカ兄がそばにいることが当たり前だった。タカ兄にとっても、私がとなりにいるのがあたりまえなのだ。
そう。タカ兄のそばにいるべきなのは私だ。私だけがタカ兄のとなりにいる資格があるのだ。
タカ兄は騙されてるんだ。あの女に騙されてるんだ。助けなきゃ。タカ兄が傷つくまえに助けなければ。
タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タ
カ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ
兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄
タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タ
カ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ
兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄タカ兄




□月×日
なんだかとても怖い夢を見た。私が私でなくなっていくような夢だ。
その割りに気分はとてもスッキリしている。ここ最近ずっと胸に圧し掛かっていた何かがポロリと取れた気分だ。
ああ、今なら何でも出来る気がする。そうだ。今日はタカ兄と『二人きりで』学校へ行こう。彼女さんが迎えに来ようと知ったことか。



「おはよう!タカ兄!」



私は元気よく部屋の扉を開け放った。

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