「う〜…さすがに冷えるな…」
季節は11月。もうすぐ冬とあってか、掛け布団2枚ではさすがに寒くなってきた。
「おーいカナミー、もう一枚布団出してくれないかー?」
先週の日曜、俺達が使っているのとは別に、2〜3枚の布団がベランダに干されているのを見た覚えがある。
「一枚しかないけどそれでいいー?」
「あー」
この際あったかければ何でもいいや。

なんて思っていた時期が俺にもありました。
「ってアレ?これカナミの布団じゃ…」
「知ってたくせにぃ♪」
「アゥびっくりした!」
寝る前の歯磨きから戻ってみると、枕を抱えた妹が俺の帰りを待っていたのだ。

「んもう♪お兄ちゃんったら大胆なんだから♪」
「そういうボケは勘弁してくれ」
俺としたことが抜かった。まあいい。
「ほれ、さっさと寝るぞ」
「え〜」
何を不満な顔してやがる。
「今日は体育があって疲れてるんだ。寝かせてくれ、マジで」
「ぶ〜ぶ〜」
いそいそと布団にもぐる俺を睨みながらベッドのわきに立っているカナミ。
「…何してるんだ?」
「お兄ちゃんを睨んでる」
「じゃなくて、さっさと入ってこい」
「え?…キャッ!」
じれったくなってカナミを布団の中に引きずり込む。
「お、お兄ちゃん?」
カナミが何か言っているが無視。力いっぱい抱きしめて目を閉じる。あったけぇ〜。そしてやらわけぇ〜。
「お、にいちゃ…」
「悪いがもう限界だ。おやすみ…zzz」
俺はワリとあっさり意識を手放した。



「…びっくりした…」
お兄ちゃんの腕の中に抱かれながら、私はまだ心臓がドキドキしていた。
「ぅ〜、こんなときんな顔すればいいかわからないよ〜」
枕を抱えてお兄ちゃんを待っていたのはボケのつもりだった。勿論期待がなかったかと言えば嘘になる。

私のボケ→お兄ちゃんがツッコむ→半ばなりゆきでエッチ

これが私達の一連の行動だ。まあ私のボケはほとんどが狙っているものではあるが。
「もう!お兄ちゃんったら!」
人を無理矢理布団に引きずりこんでおいてそのまま寝てしまうなんて!
「しかも…ぁん♪」
力いっぱい抱きしめ、胸板に押し付けられているもんだから…
「はふぅ…お兄ちゃんいい匂い…でもちょっと苦しい…でもあったかい…でも…」
色々な感情がごちゃまぜになって、今にも
「イッちゃいそう…」
なのである。
「お兄ちゃん…好き…大好き…」
子供の頃から夢だった。
『大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!』
その誓いは今も忘れていない。
『カナミちゃん、兄妹は結婚できないんだよ?』
『自分のお兄ちゃんが好きだなんて変だよ!』
中学時代の友達に、何度となく言われた言葉。自分でも解っている。これが本来、血の繋がった実の兄に対して抱くべき感情ではないことに。
でも
「好きなんだもん…大好きなんだもん…」
初めこそ、『酒に酔わせる』などという手段をとってしまったが、それでも私は満足だった。
大好きな兄に処女を捧げることができた。自分の初めてを兄に貫いてもらった。
本来はそれで満足するつもりだった。たった一度の過ちのつもりだったでも…



「…………」
今まで兄に言い寄ってきた女達の顔が思い浮かぶ。特に…何と言ったか?あの外ハネの髪のクラスメイト。今…今…今岡とか言ったか?
「…ギリッ!」
兄が高校に進学して以来、何度となく理由をつけて我が家を訪ねてきた女だ。
『へぇ〜?この子が城嶋君の妹さん?可愛いわね〜?』
いつだったかその言葉が、
『フフン♪いくら可愛くたって、兄妹じゃ一緒になれないのよ♪城嶋君は私が貰うわ♪』
と言われているようにしか聞こえなかった。
マナカちゃんはいい。アキちゃんもいい。ミホちゃんも許す。でも今岡さん。あなたはダメだ。
「お兄ちゃんはあげないんだから…誰にもあげないんだから…!」
同級生3人に対しては、既に協定を結んである。すなわち『例え誰と結ばれてもお兄ちゃんを独り占めしない(私の居場所も空けておく)』というものだ。
「…ウフフッ♪」
いいことを思いついた。このままずっと独り占めにしてしまうのも悪くないかもしれない。
3日後からしばらく高温期に入る。つまり、子供ができやすい時期だ。
「クリスマスプレゼントに妊娠の報告…てのも悪くないかも♪」
そのためには、兄に十分精力を養っておいて貰わなくてはならない。
「明日からしばらく奮発しちゃおっかな♪」
ここ数日のメニューと家計の出資を考えながら、私は兄の胸板に顔をこすり付けた。
「身も、心も、未来でさえも、『絶対に』私のものにしてあげるからね♪お兄ちゃん♪」
兄の唇にキスをすると、私はゆっくりと目を閉じた。

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