「……一回だけだからな…」
「え?マジしてくれんの?」
「…冗談…だったの?」
「うん」
「…ばかにぃ!もういいよ!」
顔がさらに真っ赤になってる。瞳にはうっすら涙が浮かんでる。
「嘘。本気だったよ…」
「ん…」
弟のたっぷりと赤い唇にくちづける。まだ微かにチョコレートの甘さが残る唇。「ちょっ!やめ…」
驚きで硬直する弟の身体。
ゆっくりと離れる唇。
ドキドキと心音が聞こえる。これは俺の?弟の?
「ぁん…おにぃ…」
弟の甘い声。堪らず抱きしめ、もう一度キスをする。

「ん…」
こんどは抵抗せずに受け入れてくれた。
ゆっくり、弟の唇を舌で割っていく。
「んっ!」
ビクッ、と弟の身体が反応する。
俺の舌は弟の中を探るように動く。舌の裏側、歯茎、奥、手前。
…どのくらいそうしていただろう?
別れを惜しむように離れる唇と唇。
弟は肩で息をしている。
涙のたまった大きめの瞳、キラキラ光る長い睫毛、赤く染まった頬、サラサラの髪。
その全てが愛おしい。

「おにぃの…ベロ…チョコの味…」
なんだか妙に色っぽい声。
「…ごめんな。こんなことして。嫌だったろ?」
「ううん!…俺おにぃのこと…その、すっ…好き、だから…。」
「…前から気付いてたけど直に言われると恥ずかしいな」
「えっ!知ってたの…?」
「うん。お前わかりやすす…」
驚き。突然弟が泣き出した。
「ど、どうした!?」
「おにぃの馬鹿!なんで言ってくれないのさ!俺こんなにおにぃのこと好きなのに!黙ってたの馬鹿みたいじゃん!うわ〜ん!」
「……」
ぼろぼろ涙を零して泣いてる弟を抱きしめる。

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