生物と無生物のあいだ


P37

  • ウイルスは、栄養を摂取することがない。呼吸もしない。もちろん二酸化炭素を出すことも老廃物を排泄することもない。つまり一切の代謝を行っていない。ウイルスを、混じりモノがない純粋な状態にまで生成し、特殊な条件で濃縮すると、「結晶化」することができる。
  • ウイルスは生物と無生物の間をたゆたう何者かである。

P142

  • 仮に、たった100個の原子から成り立つ生命体を考えてみる。これらのなかで例外的なふるまいをする粒子の頻度は、平方根の法則とよばれるものにしたがう。この場合、100個の平方、つまり10%が例外となる。
  • しかし100万個の原子からならば平方は1000となり、誤差率は0.1%となる。
  • つまり生命現象に参加する粒子が少なければ、平均的な振る舞いから外れる粒子の数、つまり誤差率が多各区なる。逆に粒子の数が増えれば増えるほど誤差率が低下する。
  • つまり生命現象に必要な秩序の精度を上げるためにこそ、「原子はそんなに小さい」、つまり「生物はこんなに大きい」必要がある。


P159

  • ネズミを構成していた身体のタンパク質は、たった3日間のうちに、食事由来のアミノ酸の約半数によってがらりと置き換えられた。

P161

  • つまりここにあるのは、流れそのものでしかない。

P166

  • エントロピー増大の法則は容赦なく生体を構成する成分にも降りかかる。高分子は酸化され分断される。集合体は離散し、反応は乱れる。タンパク質は損傷をうけ変性する。
  • しかし、もし、やがては崩壊する構成成分をあえて先回りして分解し、このような乱雑さが蓄積する速度よりも早く、常に再構築を行うことができれば、結果的にその仕組みは、増大するエントロピーを系の外部に捨てていることになる。
2007年07月27日(金) 19:03:06 Modified by weightless_cool




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