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  【作:てきとう怪獣】

※:ここはクリプトン社のキャラクター『ボーカロイド』を使用した二次創作小説のページです。

電波小説/二人の冒険者
著者:てきとう怪獣
  • 全11話- ☆完結しました

【電波小説】二人の冒険者:第10話

案の定、トリケラトプスは追って来た。
そして、頼みの綱である温泉ニワトリはいない。
絶体絶命だった。
頼れるものは・・・。
自分の足と運、そして3本のニンジンだった。

トリケラトプスに悪意はないようだ。
ただニンジンを持っているかも知れないという理由で人間を、馬で言うところの速歩、つまり軽く走って追いかけてくる。
しかし恐竜に悪気はなくても、その巨体は脅威だった。おまけに長い角も危険だ。
ひっかけられたら命にかかわる。
道を外れてかわす余裕もない・・・と言うか、大型生物は森のブッシュを突破して走らせると、人間より速い。森には逃げ込みたくなかった。
さすがにそれは理解できるのか、初音ミクも全力で走っている。
顔は無表情だったが、落ち着いて足の乱れがない分、その走りは鏡音レンを凌駕していた。

「そりゃああ!」
レン少年がニンジンをひとつ、投げ上げる。
トリケラトプスは率直に立ち止まり、落ちて来たニンジンに駆け寄った。
その間に差を開こうと、ふたりの人間は全力で走った。
『こんな危険があるとわかっているのに、何で俺、こんなところに来たのだろう・・・』鏡音レンの頭に疑問と後悔がよぎる。
それは、ここに至るまでに色々あったからだ。危険を軽く見たり、いける!と謝った判断をしてしまったり・・・人生はすべからく、そう言うものだろう。
しばらくニンジンを咀嚼していたトリケラトプスは、食べ終わると再び走り出した。
ふたりの人間と一頭の動物、それらは池から洋館への道を南下していた。


 


「ずりゃああ!」
もう一本、ニンジンを放り投げる。
トリケラトプスはやはり率直に喰いつき、時間を稼ぐ事が出来た。
しかし・・・ゆっくり走ってあの速度だ。
洋館までの道のりはあと半分以上、かなり厳しい勝負だった。
今投げたニンジンは柔らかい地面にささり、トリケラを手こずらせた。
鳥などと違い、やはり愚鈍で不器用な一面があるようだ。かじるのにひと苦労していてかなり時間がかかった。
そしてふたりの人間は、一目散に駆け去る。
あと数百メートル、逃げ切ればいい。

しかし、やはり人間は走れば弱い。
数キロも走っていないのに、もう足がもつれて速く進めなかった。
それに対して、本気をぜんぜん出していないトリケラトプスは元気だった。
せっかく距離を開けたのに、また余裕の走りで追いついてくる。
どんどん肉薄してくる。
その時、前方に洋館が見えて来た。
『よし、ここで勝負だ!』
鏡音少年は、振り返って思い切り、最後のニンジンを投げつけた。
このニンジンで時間を稼ぎ、その間に残った力を全て振り絞り、館までたどり着ければ、こちらの勝ちだった・・・が。

すこっ。
キレイな弧を描いて飛んでいったニンジンは、トリケラトプスの角にささった。
それを見た鏡音少年の目が点になる。
飛んで来たニンジンにありつこうと探す恐竜はしかし、鼻の上についているニンジンが、近すぎて見えないようだ。
しばしきょろきょろ探していたがあきらめ、ふたりの人間に向き直る。
そして、突進して来た・・・。
『失敗したッ!!もうダメだ!!』
鏡音は最後の手段として、初音を引き倒して自分も伏せた。
あの巨体に踏まれれば無事では済まないが、角で串刺しになるよりはマシなはずだった。そして、伏せながらも目はトリケラトプスから離さなかった。
恐怖からではなく、その逆だ。
頭蓋骨粉砕、首骨折など、致命的なダメージを避けるには、目を離してはならないと直感し、ありったけの勇気でそれを見極めようとしていた。
それは、初音も同じだった。

突然、トリケラトプスがブレーキをかけた。
四肢を突っ張り、外国アニメのデフォルメキャラクターのように制動する。
地面がえぐられ、砂埃が舞い上がった。
そして充分に減速すると、これもまたアニメのように足を高速回転させ始めたが、速すぎて一瞬空回りしている。
ドリフト状態で転回し、そのまま勢いを増して今来た道を引き返し、すごい速度で走り出した。
しばらくの間、初音とレンは地面から顔を上げて、走り去って小さくなってゆくトリケラトプス後ろ姿を見送っていた。
それも、やがて森の木々の間に見えなくなった・・・。
「た、助かった・・・」
「そうね、あら?」
初音が右の方を見る。
洋館に来る時に出会った温泉ニワトリのヒナたちが、茂みから出てくるところだった。
『コイツらにビビって、トリケラトプスが逃げ出したのか・・・?』
呆然とこちらに一列になって歩いてくるヒナを、レン少年は見やった。
温泉ニワトリはヒナであっても他の動物に恐れられるほど強いのだろうか?信じがたい事だが・・・。
ヒナたちは進行方向の地面に、突っ伏している初音とレンに気づいたようだった。
しかし、前回エサをくれなかった彼らに、ヒナは冷たかった。
最初のヒナがレンを無視するかのようにその頭を踏んで、そのまま左の茂みへ歩いていく。
他のヒナたちもそれに習い、一列になって鏡音レンの上を通り過ぎていった。

突然、力が抜けたように、レンは大きなため息とともに仰向けに寝転んだ。
命からがら生き延びた安堵感と言えば聞こえはいい。
しかしそれにしては、なんだか妙な命拾いのしかたに、なんだかぐったり脱力してしまったのである。
だがそれは、けっして不本意なものではなかった。
むしろ、望むところだったと言ってもいい。
初音は何事もなかったかのように立ち上がり、服のホコリをはたき始めた。
トリケラトプスが去った方を見つめる目は、こころなしか未練がましかった。

 こうして、鏡音レン初の大冒険は、なんとか大事には至らずに終了した。


【続く】



 
  

【電波小説】二人の冒険者:第11話〜最終話〜



 これはとある北海道食い倒しツアーの物語。
新横浜から始まり、北海道についたらすぐに3日間の自由時間があり、各人は自分の思うところを信じて、各店を渡り歩く。
つまり全行程5日間のうち、ほとんどが自由と言うおかしなツアーである。
その中に若い初音ミクと鏡音レンもいた。
初音は始終よく分からない発言ばかりしていたが、ツアー客たちはそれを気にせず、親切に接してくれた。
レンは音楽の才能が有るため、宴会の人気者だったが、おひねり代わりになぜかバナナが集まって仕方がなかった。
それも後日になれば、きっといい思い出になる。

3日間の自由時間中、初音とレンのふたりは、とある寒村で有名ミュージシャンに出会い、その家族と仲良くなり、特に後半二日間は、未確認生物の話題で非常に盛り上がったという。皆でいっしょに演奏したりもしたそうだ。
ほんとうに、素晴らしい旅だった。

そんな楽しい時間が過ぎていき、ツアーの最終日。
帰りの新幹線の中で鏡音レンは、ずっと同じ写真を見つめていた。
家庭用プリンターで出力された、デジカメ写真らしい。
時々、その写真をのぞき込むツアー客もいた。
「なんだい、ただのニワトリのヒナじゃないか?」
「ええ、そうです。ただのヒナです」
人々と、嬉しそうなレンの間で、そんな会話が交わされたりした。
そしてそんなレン少年と、隣に座る初音の目がふと合ったりする。
目を細めて、鏡音は同行者に話しかけた。
「はは、撮れたのはコイツらだけだね」
「そうね」
少し残念そうに相づちをうつ初音だったが、レンの方はそうではなかった。
 俺は素晴らしく生きている。
 コイツらのおかげで・・・。
レン少年は満足げに目を閉じると、大事そうにその写真を懐にしまった。
なんだか、この写真に映っている者たちが、誇らしくてたまらなかった。

ツアーは新横浜で始まり、新横浜で解散した。
駅の近くにある歩道で、初音は一羽の鳩にエサをやっていた。
「何らかの機会をつかんで、何処かしらの秘境で、何かしらの発見をする・・・何もかも完璧なあたしの計画通りだわ。それにしても写真だけは惜しかったわね。そうは思わない?」
「くるっ?」
「あたしが昨日まで探検していた北海道と言うところは、質量ともに安定した未確認生物のスポットだったわ。奥多摩ほどには巨大生物も出なかったし、九州沖縄ほど大量には出没しなかったけど」
「くくー」
「それと人材って重要ね。戒人と歩くと色んなものが大量に、迷子と歩けば大物に出くわす傾向があるけど、あのレクストンって子、平均的すぎるわ。バナナが大好き以外、個性に乏しいし・・・まあ不思議な動物を惹きつけてくれる人たちは有り難いのだけど」
「ぽぽー」
「なに鳩に向かって話しかけているんだ」
近くのコンビニへ行っていたレンが戻って来て、初音の背中に声をかけた。
「遅いじゃないの。アロエプリンはあったのでしょうね」
「ない。携帯の急速充電がコンビニにあったのでつい、長居してしまった」
「使えないコンビニね」
「アロエプリンがなくても急速充電があるなら、使えるコンビニと言えるだろ。それと、完璧な初音の完璧な落とし穴が、呉先生たちにけっこう迷惑をかけたようだぞ。メールチェックして知ったんだけどね。それと、写真は惜しかったって、カメラを持参した者の言う台詞だと思うぞ。それと、初音はいつもあんな冒険をしているのか?頼むから思いついた瞬間に旅立つような真似は慎んでくれ。それと、不思議動物を惹き付ける人材って、それは自分自身の事ではないのか?それと、俺が平均的すぎる常識的な一般市民なのは自慢だ。欠点ではない。それと、俺の名前はレクストンでもベラフォンテでもない、鏡音レンだ。それと、俺はバナナ好きではない!」
「よくしゃべる子ねえ」
「鳩に話しかけるよりはいいだろ!」
「なに怒っているの?これで機嫌直しなさいな」
「だから、バナナを俺にくれるなっ!」
そう言って路上の空き樽に座ったレン少年は、コンビニ袋からアロエドリンクと緑色のメロンパン、よもぎ大福を出して初音に手渡した。
「アロエプリン以外はあったのね。上出来だわ」
「あと、成り行きとは言え5日間も遊んでいたからな・・・土産も買って来た。学校の連中には饅頭でいいな。戒人はペナントを集めていたようだから、北海道らしいのを、迷子にはマリモキーホルダー、リンには現地限定の伊福部明CDと、クッシーのソフビ人形でいいな。後の連中も全部饅頭だ! まあ子供の遠出だからな、贅沢は言わせない事にして・・・」
「甘いわね、北海道土産と言えばコレじゃないの」
「うわああああ!持ってくるな!そんなもん!」
「やっぱり北海道と言えばクマの頭骨よね」
「クマの『とうこつ』じゃない!『ちょうこく』だろ!!」
「そうだったかしら」
首を傾げながら不気味な頭蓋骨を背嚢にしまう初音を、鳩が不思議そうに見ていた。
「そ、そんなもんどうした?」
「あの後、戻って拾い集めて来たのよ。残りは配達で・・・まあ郵便局でちょっともめたけどね。密猟じゃないのに」
「送ったのか?みんなに?」
「みんなの住所を忘れたし面倒だからいったん全部、戒人のガレージに送ったわ。後でひとりづつ手渡せばいいわね」
「それは、絶対にやめろ!友達がいなくなるぞ」
「それにしても、未確認生物ハンティングは実りがないわね・・・けっこう散財したから、また新興宗教で稼がないと」
「妙に懐具合が暖かいと思ったら、そんな事やってたのか。なるほど」
「せめて探検でお宝でも見つかれば、次の探検の資金になるのに・・・ベラストン君は今回の旅で何か得るものがあった?」
「仮になかったとしても、無理に引き回した初音のせいなのだが・・・あった」
「なにを得たのかしら」
「不思議なものをいっぱい見た。なんだか世界の広さ、可能性の広大さを知った。いま立っているこの場所にだって、見えるところ、見えないところにどんな不思議や可能性が潜んでいるかわからないんだ・・・俺はこの先どんな人生を歩むにせよ、偏狭で視野の狭い男にはならないだろう」
「そうね、それこそが何よりの宝、くるっぽ平和解決」
鳩の羽根を広げ、無理矢理ポーズを決めた初音がそのようにまとめた。

 北海道の森にある呉賢人の洋館・・・そこにあった和風の棚と箱。
何の変哲もない古道具のようだが実は、徳川美術館に所蔵されている宝物の、失われた片割れだったことが、ずっと後に明らかになった。しかしそれを知った数十年後のレンは、惜しい事をしたとは思わなかった・・・。
素晴らしい自分の人生を築いた宝物は、新横浜で初音に言った通り、鏡音レンの心の中にしまって持ち帰って来たからだ。
現在のレンと初音は、そんな事実も知らないまま、帰りの電車に乗るために駅に向かって歩き出した・・・・・。


初音ミクと鏡音レンが去った後、誰もエサをくれないので、鳩は飛び立った。
ビルの谷間を抜け、大空を駆け抜ける。
そして、羽田空港から飛び立ったジェット旅客機を追い越すと、はるか成層圏に飛び去っていった。
 それこそは、かつてインドで涅槃に至り、100年に一度人界に姿を現すと言われている、伝説の鳩であった。


【終劇】

 
ありがとうございました!

やあ、終わりました。
ピアプロで解体場、もとい書いた以上、そこで書き通すべきなのでしょうが、
なんつか、字数制限がありあくりで、まとまらない現実。
どうにか各話を解体し、←誤字が現実に
載せようと思っても次から次へと字数オーバー。
収拾がつくまで、あるいはずっと、ここに置かせてもらう所存です。

ピアプロ内で小説に批判的な人たちに屈した訳では、断じてないです。

◆もくじ◆

【電波小説】二人の冒険者 1-3話
【電波小説】二人の冒険者 4-6話
【電波小説】二人の冒険者 7-9話
【電波小説】二人の冒険者 10-11話

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