租税判例のデータベース。

コンビニ店長の家賃は必要経費

事件の概要

コンビニ会社A社は、店舗を経営する個人事業者Xにコンビニ業務を委託するに当たり、A社の住宅費援助制度に基づいてA社がマンションの一室を借り上げ、Xに無償で貸与した。
これに対し課税庁は、その一室の家賃に相当する経済的利益をXの事業所得の総収入金額に算入すべきであるとして、更正処分を行った。
争点は次の2点。
(1)その家賃相当額の経済的利益は、所得税法第36条に規定する経済的な利益に該当するか
(2)仮に経済的利益に該当するとしたら、家賃相当額は、家事費なのか必要経費なのか

課税庁の主張は、
Xが○号室を居住の用のみに供していたと認められるから家賃相当額は、必要経費に算入することはできないとして、まず、家事費に該当すると主張。次に、直接業務の用に供しているわけではなく、業務の遂行上必要である部分を明らかに区分できる場合には当たらないから、家事関連費にも当たらないと主張している。

納税者Xの主張は、
所得税法上給与所得者の場合には、「その職務の性質上欠くことのできない経済的利益については非課税」という取扱いになっており、所得税法基本通達9-9が、「職務の性質上やむを得ない必要に基づき使用者から指定された場所に居住すべきものがその指定する場所に居住するため」に貸与を受ける家屋にかかる経済的利益については所得税を課さないと明確な定めを置いているところから、事業所得者と給与所得者との間でアンバランスな課税処理となり、このようなアンバランスな結果を招くということは、そもそも課税庁の法解釈に誤りがあるということになると主張。

判決要旨

争点1
Xは、Xが本来負担するべき家賃を支払わず居住しているのであるから、Xは家賃に相当する金額の経済的利益を受けていたというべきである。
争点2
A社のコンビニの契約店長制度においては、業務委託契約の受託者である契約店長は、店舗の運営管理業務の遂行上、店舗において発生した強盗や万引きなどの不測の事態や店舗の機器などの故障などの緊急を要する事態に対して、自らがその対応をすることになっており、また、防犯上の理由からも、基本的な時間基準として店舗へ30分以内で通える区域に居住することが求められる。
○号室は、A社がXに対し居住の用に供するための居所を提供するとの趣旨で提供してXに店舗業務を遂行させるにあたって、同店の業務遂行及び管理上の責任者であるXに対し、業務上の必要性及び防犯上などの観点から、○号室を賃貸人から借り受け、Xに提供していたと認めるのが相当であり、このことをXの側から見れば、Xは、A社が借り受けた○号室を業務遂行上必要なものとして使用していたと認めるのが相当である。
そうすると、Xの受けた収入金額となる経済的利益の金額と必要経費の金額は同額であることから、A社がこの家賃を負担したことによってXに所得金額は生じていなかったというべきである。

検索情報

参考文献・資料

『税のしるべ』大蔵財務協会(平成20年6月16日)P.5
TAINS F0-1-306

関係法令等


裁判情報


事件番号 (大裁(所)平19-2)
事件名
裁判年月日
法廷名
裁判種別

原審・上訴審

[[]]
[[]]

類似/参考判例等

[[]]

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Wiki内検索

フリーエリア

どなたでも編集できます