ヒルサイドアーカイブへようこそ! - 芸術麦酒製造構想/緒賀道夫さん
「アートを飲んでまちづくり」を合言葉に、地場産の麦、農産物でビールを造り、
ラベルのアート等の芸術性を加えて、「芸術麦酒」づくりに取り組んでいる緒賀さん。
HAMA!Boom!Boom!プロジェクトとのコラボレーションで、
2009年8月8日(ハチハチの日)に、
開港150周年記念の横浜産ハチミツビール(税法上は発泡酒)を発表しました。
竹の海原の下で行ったラベルづくりワークショップには、毎日たくさんの子供たちが参加。
「HACHEY(ハッチー)」と命名されたその芸術麦酒は、現在も様々な場所で飲むことができます。



―緒賀さんは、今までもハマナシの麦酒など、素敵な芸術麦酒を作られていると伺っていますが、
今回、市民創発に参加したきっかけはどのようなものだったのですか?

元々、芸術麦酒製造構想は、横浜市の平成16年アントレプレナーシップ事業
(市職員自ら提案した「市民のための事業」を企画から事業化まで責任をもって推進する仕組み)
で提案した企画です。様々な方とコラボレートしながら、いくつかの芸術麦酒を作ってきていました。
今回のヒルサイドは、「芸術麦酒製造構想」を立ち上げた時の仲間から、
開国博Y150で市民参加のイベントがあるよ、と紹介されたのがきっかけで参加することになりました。

―記念すべき開港150周年の節目の芸術麦酒として、
生まれたのがハチミツビール「HACHEY(ハッチー)」ですよね。
なぜ今回ハチミツのビールにされたのですか?誕生秘話をお聞かせください。

ヒルサイドのキックオフであった平成21年1月の若葉台西中の体育館で、
Hama Boom Boom!プロジェクトの岡田さんと出会ったことが、すべてのはじまりでした。
当時、岡田さんは「とにかくおもろいこと」にチャレンジされていて、
そのひとつのアイディアが都市でハチミツを飼う、というものでした。
実は、ハチミツはビールの起源のミードと呼ばれるお酒の原料でもあるんです。
横浜で採れたハチミツで、ハチミツビールができたら面白いな、という話になりました。
岡田さんが関わっていた銀座ミツバチプロジェクトでも、
採れたハチミツをスイーツとして利用している事例はあったのですが、
ビールを作るというアイディアはまだなかったのです。それで、なお一層、話が盛り上がりました。



―なるほど、若葉台での運命の出会いがきっかけだったのですね。
市民創発に参加される中でひとつの作品として出来上がってきたわけですが、
その過程で特に印象に残っていることはありますか?

そうですね。竹の海原の下で行ったビールのラベルづくりワークショップでしょうか。
来場者に、自由にラベルをデザインしてもらったのですが、
とにかく、勢いのある、面白い作品がたくさん出てきました。
ラベルデザインは、最終的には、公募とヒルサイド会場で描いてもらったものあわせて682点もの応募がありました。
公募の作品は、「麦酒という表現を使ってはいけない(税法上発泡酒なので)」、
「著作権に関わるようなキャラクターを描いてはいけない」などさまざまな制限を忠実に守った作品が応募されてくるんですね。
でも、ヒルサイド会場でその場で来場者の方に絵を描いてもらうと、
イベント会場ならでは雰囲気も手伝って、そのあたりのルールが若干ゆるくなってしまう。
結果として、普通に公募をするよりも勢いがある作品が多くなっていて、それが面白かったですね。
もちろん、コンペで選ばれづらくはなってしまうのですが、堂々と「麦酒」という文字が書いてあったり、
たねまるが描いてあったりするのも現場で描いた作品ならではの面白さでした。
最終的にラベルとして採用されたのは公募のものでしたが、
ヒルサイド会場で描かれた作品も、どれも選ばれてもおかしくないくらい、素晴らしい作品が数多く生まれていました。
応募された作品は、芸術麦酒製造構想のブログに載せていますので、ぜひご覧ください。



―「HACHEY(ハッチー)」には、たくさんの人の想いが詰まっているのですね。
それでは最後に、今後の展開についてお聞かせください。

今回生まれたハチミツビール「HACHEY」は、
飲んで話のネタになる、人と人がつながるきっかけになる、
横浜開港150周年を思い出すきっかけにもなる、という、素敵なビールではないかな、と思います。
そういう意味で「HACHEY」には、少しでも長生きして、
たくさんの人に出会ってほしいという思いがありますね。
以前も、芸術麦酒製造構想では、いくつかのビールを生んできましたが、
基本的に、ビールのアイディアまで作り、その後はビール製造会社にアイディアごとお渡ししているので、
ラベルが変わってしまったものや、もう製造されていないものもあるのです。
HACHEYのラベルについては、このまま使いつづけても良いかもしれないですし、
また新たにラベルコンペを行ってもいいかもしれないと思っています。今後、考えていきたいですね。


その後の気になる活動は、こちらをチェック!
◇芸術麦酒製造構想のブログ◇
http://artbeer.blog118.fc2.com/

<了>

【ふくまめ】