A型胃炎

A型胃炎(自己免疫性胃炎)の頻度は慢性胃炎の10%未満の頻度

A型胃炎(自己免疫性胃炎)の組織所見
  • 最重要所見はびまん性(汎発性)かつ高度の胃底腺萎縮
  • 壁細胞を見出せないほどの胃底腺萎縮が必須の所見となる
  • 体部腺領域から萎縮が始まり進行する→通常の幽門腺領域から始まる萎縮とは逆であり逆方向性萎縮といわれる

  • 胃体部粘膜固有層深部にECM(endcrine cell micronests)が多数出現
  • ECMは小リンパ球と同じかやや大きい円形核と弱好酸性細胞質をもつ内分泌細胞の小胞巣

  • 幽門部では胞体が明るく丸みを帯びた基底顆粒細胞に富む(ガストリン産生細胞 G-cell hyperplasia)

  • 抗壁細胞抗体陽性
  • 抗内因子抗体陽性
内因子は壁細胞がHClとともに胃内腔に分泌する分子量44kdの糖蛋白。VitB12を結合して胃から腸のVitB12吸収部位まで運搬する
ガストリン受容体や酸産生の酵素H+・K+−ATPaseも抗原となる
  • 高ガストリン血症−低酸,無酸に対する反応性増加
  • 血液学的にはVitB12欠乏性悪性貧血となる

胃酸分泌低下の試験
コンゴレッド+重曹液の内視鏡散布(胃底腺領域の染色−酸があれば黒変する) 
0.3%コンゴーレッド+5%重曹溶液と混合して散布する


  • A型胃炎では高ガストリン血症を生じ胃底腺領域のECL(enterochromaffin-like)細胞が増加する
  • ECL増生はECM(endocrine cell micronests)を経てカルチノイド腫瘍の発生となる
  • RindiらのtypeIカルチノイド腫瘍にあたり全例が胃底腺領域に発生していることと一致する

  • 高度の萎縮性胃炎にECMの多発を見る場合はカルチノイド腫瘍の多発に注意が必要である


A型胃炎に随伴した多発性胃カルチノイド症例--胃
2007年06月20日(水) 00:38:04 Modified by youkyon76885117




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