キャラ性格崩壊注意


アクションデュエル。
それはソリッドビジョン投影装置によって実体化したモンスターとともに地を蹴りなんたらかんたら新しきデュエル。
だがそのデュエルが生まれた時、もう一つ新たなデュエルが進化していた。
それはデュエルモンスターズの裏の世界、もう一つの男たちの歪曲した煩悩。
それが夜のアクションデュエル。

実体化した、触れる事ができる妄想。それは裏の世界の男達が目指したものでもあった。
かつては紙の世界から妄想だけを糧とした。
それはやがてリアルなヴィジョンとなり、男達を虜にした。
だが足りない。人々の欲望は果てなどない。
創始者ペガサス・J・クロフォードもある女性を作り出そうとしていたという説がまことしやかに囁かれている。
そう、男達の欲望はさらなるアクセルシンクロを果たしていた。
「ここまでリアルなら、触ってみたい」
モンスターの精霊がいると聞き、女性モンスターを求めて狩りをする者がいた。
モンスターだけの異世界があると聞き、おっぱいを求めて異次元に旅立った者もいた。
バイクに乗ったまま性欲をぶちまける者もいた。
そこらの女性とオーバーレイ・ネットワークを構築しようとして、ゴヨウされる者もいた。
数々の犠牲を払い進んだ果て、それが夜のアクションデュエルだった。

柊修造が塾長を務める、デュエルの塾、遊勝塾。
ここはLDSのような大手とは違い、塾生は五人ほどしかおらず、そのうち一人は娘。
塾費用だけでは生活費にほとんど足りない。しかしこの塾にはもう一つ裏の顔があった。
それが夜のアクションデュエル。
やりたい女性モンスターカードとシステム利用代金を持っていけば、ソリッドビジョンで実体化してもらえセックスできる。
相手は人間ではないので非人道的な行為にも対応、モンスター同士の異種姦などが人気。
もちろん一番の人気は自分自身がセックスする、ノーマルプレイである。
相手はデータなので犯罪でもないし、妊娠の心配もない。
女性モンスターを持っていない方にはカードの貸し出しも可能、カードは幻奏シリーズ。
寝ている柊柚子から勝手に借りて来るものである。
もし柚子が自分の父親のせいで、自分のカードがこんなことをされていると知れば、きっと二代目機械も破壊されるだろう。
犯罪行為では無いものの、修造は父親として娘にこれを知られる事を恐れていた。知れば父親の威厳どころではない。

だがそれでもこの仕事を辞めるわけにはいかない。
生活費の為でもあった。
実は他でも皆やっているからという、罪の意識の低さからでもあった。
だがそれ以上に、これは男たちの夢だったから、というどうしようもない理由があったのであった。


今日のお客は特別な客である。
すでに塾も閉じた深夜、フードを被りゴーグルをつけた怪しい客がこそこそと遊勝塾へと入ってくる。
事前に話を聞いていた修造は、ステージへの扉を開けた。
ステージに入った客はフードを脱ぎ捨てる。
彼はこの塾の目玉である少年、赤と緑の髪を持つ14才、榊遊矢。
いつもはエンタメデュエルの精神で飛んだり跳ねたりするデュエリストも、ただの一人の男の子。
己の若い性欲には勝てず、夜のアクションデュエルの話を知った時、修造にこっそり願い出た。
そして母親にばれないよう、自分の家をこっそり抜け出しここに来たのである。
全ては女性モンスターとセックスするため、全ては脱童貞のため。

ソリッドビジョンシステムが作動する、そしてフィールド魔法『LOVEホテル』が起動した。
ばら撒かれるアクションカード。だが遊矢はそんなものに目もくれず、目の前への大きな看板のホテルへと突撃する。
誰もいないカウンターを気にせず、指定された部屋へと階段を駆け上がり、その部屋の扉の前へとつく。
アクションデュエルの為に鍛えた体は四階まで猛ダッシュで来たのに、息一つ乱れない。
だが別の興奮によって呼吸と動悸が止まらず、顔が赤くなった。
ゴーグルの中の目に力が入る、背筋をまっすぐにし、唾を飲み込む。
さきほどまでのダッシュとは違い、今度はゆっくりと扉を開けた。

部屋の中には丸い大きなベッドがある。
そしてその上に二人の少女がちょこんと、崩れた正座でいた。
一人は紫の服の少女「EMヘルプリンセス」。
もう一人は黒いマスクを目につけた派手な服の少女「EMトランプ・ウィッチ」。
この二枚は事前に遊矢から修造に渡された物である。
間違ってカバを渡すはずがない、そんなことを期待する人もいるはずがない。
ともかく彼が渡した女性モンスターはこの二枚だった。
というかこの二枚しかいなかった。
さすがに柊柚子の幻奏とセックスする勇気はなかった、彼女のカードを汚して悦に浸る歪んだ煩悩はもっていなかった。

二人の少女は、ゆっくりと歩いて迫る少年、自分たちのマスターである榊遊矢に困惑する。
倒す敵もいない、戦う相手もいない。
目の前にいるのはこちらまで音が聞こえるほど、心臓をバクバクさせてゴーグルをつけた愛すべきマスターであった。
二人の少女モンスターは考える。考えるがこれから何が起こるかさっぱりわからない。
だがすぐに考える必要などないと思い至った。
なぜなら彼女らはモンスターだから、デュエルモンスターズのただ一枚のカードだから。
ただマスターの指示通りに現れ戦うだけ、それだけが目的であり、そして存在意義。
その事に疑問を持つ事はなく、ただ駒として生きる。
カードに魂が宿ろうが意志が生まれようが、命令だけが互いの関係であり、それが喜びであり、愛なのである。
だから動かない。マスターは自分達に何かしようとしているが、させればいい。
ゴーグルで冷静を装うとしているが、表情を真っ赤にしてどこをどう見てもトマトになったマスターを待てばいい。
何も心配いらないと二人はその場に座る。命令を待った。

遊矢は一歩一歩近づく、緊張と興奮で今にもぶっ倒れそうだが、強く意識を持つ。
例えぶっ倒れてもぶっ倒れても、立ち上がろうと気を高ぶらせる。
思えばここに至るまでいろいろとあった。と遊矢は考える。
もはや同じ学校の同年代の七割がカードで童貞を卒業していた。
霊使いが可愛い、やっぱBMGだろ、ディアンケトも行ける、時代は人外だろ。
そんな言葉を聞くたびに置いて行かれた気分になる遊矢。隣の柚子が何の話?と首をかしげる。
考える度に大事なカードでと罪悪感でいっぱいになった。
そもそもデッキに女の子いないと絶望した。
カードショップに行くと、なぜか女性モンスターが軒並み高くなっていて絶望した。
そもそも遊勝塾の欠陥システムじゃきっとできないと、絶望した。
だが少年は三つの絶望を乗り越え、ストロング石島を倒し、いつの間にかデッキにあったペンデュラムモンスターがいた。
その中に二枚、女の子がいた。

遊矢はついにベッドへと歩きつく。
(そう、俺は今日、童貞を捨てる!)
ゴーグルを脱ぎ捨てた。

柊柚子「ちょっとお父さん、なに夜中にソリッドビジョンシステム動かしてるの!? ん? 何この建物? ラブホt」
終わり

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