支那事変下の通貨戦争

【はじめに】
大東亜戦争の発端となった支那事変を語るときに

◆南京の国民政府は、法幣改革を断行・上海事変前夜に必要以上に日本を挑発していた、それは、『法幣』で国民党にどうしても現銀が必要だったからである。

年月	項目	対象国	内容	その他
昭和８年１０月	蒋介石の金融政策	中国	山西省出身の銀行家孔祥熙は、蒋介石率いる国民党政府の財政部長に就任する。
昭和９年６月	ピットマン法成立	米	銀貨吊り上げの法律	ニューディール政策は、いち早く均衡財政へ回帰しようとする動きから後退が起き、危機的な状況へ陥いる。
昭和９年10月	銀輸出税の強制徴収	中国	中国財務部は、中国国内の銀は急激に外国へ流出しはじめる銀の流出を食い止める政策に出る。	ピットマン法成立以降、海外へ流れた銀は２億元以上される。
昭和１０年５月	親日派新聞の社長暗殺	中・日	天津の日本租界で親日派新聞の胡社長が暗殺
昭和１０年９月6日	英・財政顧問リース・ロスを東京に訪問	英・日	中国に対し、共同借款の意向を打診するとともに、中国の法幣改革を進言する旨報告。	高橋蔵相は、時期尚早として断る。
昭和１０年９月21日～24日	英・財政顧問リース・ロスを中国に訪問	英・中	汪行政委員長、孔財政部長などと会談。
昭和１０年11月1日	汪兆銘、狙撃	中国・日	抗日派の新聞記者に南京にて狙撃され重症をおい、行政院長を辞任	国民党内で親日派の後退が始まる。
昭和１０年11月3日	「法幣改革を断行	中国（援助;米・英）	従来の銀本位制を廃止して、政府系銀行が発行する「法幣」を、全中国の通貨として流通させるようにしたもの	中国の経済的統一を促進し、蒋介石政権を強化するのに役立った。
昭和１０年11月3日	蒋介石の金融政策	中国（援助;米・英）	孔財政部長は、銀国有令を発布し、天津銀行公会に対し華北における銀を上海に輸送するよう命じる。
昭和１０年11月8日	磯谷少将が『幣制改革』に反対表明(注)	日本	『華北』の現金輸送には、実力発動辞せぬと表明	磯谷の反発『何の準備も改革実行できる人材もなく、一部財政家と財閥が結託して行えば、中国民衆の破滅をもたらすもの』
昭和１０年11月9日	中山一等水兵射殺	日本	上海海軍特別陸戦隊の中山一等水兵が兵舎付近で射殺される。	秘密結社藍衣社の一分派の犯行とみられたが、中国側は容疑者を無罪にしようとした。
昭和１０年11月10日	邦人商店の爆破	日本	上海の南京路にある日比野洋行(陶器輸出商)が粉々に爆破される。
昭和１０年11月11日	蒋介石の金融政策	日(対)米中	為替市場開始と同時に、大規模に中国通貨を売り浴びせる。	孔財政部長は、豊富な資金を持つ米国と連携して為替介入が実施され、日本の通貨攻撃はあえなく、撃退される。
昭和１０年11月	親日政権の樹立	中国・日本	華北において、11月25日に冀東防共自治政府、同30日には冀察政務委員会という2つの傀儡政権が設立される。
昭和１０年11月	米・中、銀政策で会談	米・中	上院議員ウイリアム・キング氏、上海で孔財政部長、宗子文氏らと会見し世界の銀問題一般につき協議	『近くアメリカ上院議員の金融銀行委員会はアメリカ銀価引上法の支那にあたえた影響などを討論するかも知れない。』と述べる。
昭和１０年11月	米、ロンドンにおける銀の購入停止	米・英	アメリカは銀の生産国と同時に最大の銀の購入国であるため、ロンドン市場は売り先が無くなり、暴落	支那をスターリングブロックから切り離そうとの意向。
昭和１０年12月	英議会で銀問題を巡って紛糾	英	ホーア外相支那『幣制改革は支那政府が自発的に断行したところである。』ことを言明し、全く無関係であるという建前をとる
昭和１１年５月	米支通貨協定の成立	米・中	米国は支那の売り出す銀を一手に買い取る協定	背景に、英が蒋介石からかき集めた銀塊15億オンスをロンドンに輸送させ、一斉に売り出すと米国に威嚇。米国は銀の暴落を防ぐため、慌てて協定に至る
昭和１１年８月	成都事件	日本	四川省成都に領事館を再開にあたり、取材に来ていた大阪毎日新聞の記者2名が虐殺・重傷。
昭和１１年９月	北海事件	日本	広西省北海に１人しかいない日本人商店の店主が殺害
昭和１１年１１月	日独防共協定調印	日本・ドイツ
昭和１１年１２月	西安事件	中国	張学良・楊虎城らによる蒋介石監禁、国共対立は収拾される	翌年の第二次国共合作が成立する土台となる
昭和１２年～	蒋介石の金融政策	中国	『法幣』を乱発するインフレ政策をとる。	蒋介石は一挙に莫大な銀を国民からかき集めることができ、高騰している銀の国際市場で売りさばくことで多額の利益出す。
昭和１２年６月	国民党の中央集権化強まる	中国	広東・広西の地方軍閥が国民党軍に加わる	『法幣改革』の効果が表れる
昭和１２年７月	盧溝橋事件	日本・中国	日中戦争勃発、日本軍に中国側から発砲があった、という口実で中国軍に攻撃をしかけ、全面的な中国侵略戦争の幕を切る。	国共両党の再接近を軸に、抗日運動は全国的にさらに盛りあがっていた。
昭和１２年７月	通州事件	日本	保安隊（中国人部隊）による日本軍部隊・特務機関に対する襲撃と、それに続いて起こった日本人居留民（朝鮮系日本人を含む）に対する虐殺事件	約420名を襲撃し、約230名が虐殺
昭和１２年7月～10月末	上海事変	日・中	中支での日中最初の衝突
昭和１２年９月	第二次国共合作が成立	中国
昭和１２年１１月	国民党、軍事関係機関以外は奥地に移すことを決議	中国	司法・立法・行政等の５院は重慶、行政院各部中外交、財務、内政は漢口、交通部は長沙等の移管されることに決まる。
昭和１２年１１月	三国防共協定成立	日本・独･伊	日独防共協定のイタリアが加わる。
昭和１３年３月	中国聯合準備銀行成立	日本・中国	資本金二千五百万円。半分を臨時政府、残りの半分を中国、交通などの中華系銀行が出し合う
昭和１３年３月	中華民国維新政府成立	中国・日本	行政院院長は梁鴻志で、政府閣僚の多数は北京政府で要職を占めていた官僚	中国に対して桐油借款（とうゆしゃっかん）を供与
昭和１３年３月	フランス、1億5千万フランの借款供与	仏・中	仏印のハノイからの鉄道を中国南部の南寧にまで延長するための借款	援蒋ルートへの支援
昭和１３年7月～11月末	武漢作戦及びその後の掃討戦
昭和１３年１０月	国民政府『査禁日貨条例』発布	中国	日本貨幣の輸入禁止	事変後、貿易の増大に伴い、日本貨幣の流入が激しくなった処置
昭和１３年１２月	アメリカ、二千五百万ドルの借款支援	米・中		桐油その他の産物によって、中国側から返還される契約
昭和１４年３月	法幣安定借款協定を調印	英・中	中国、交通両行に、香港上海、麦加利の英系銀行を加えた4行が、香港に新設された基金へ1000万ポンドを融資するというものである。	。
昭和１４年７月	香港上海銀行、法幣市価公示を停止	英・中	闇相場による為替供給停止。	輸出増進の政策　。
昭和１５年３月	蒋介石の金融政策	中国	孔財政部長は、政府による中国、交通両行の経営掌握を宣言する。	中国の銀が大量にアメリカに流出し、中国国内では、金利高騰・物価暴落し、中小企業の不満は銀行に集中する。
昭和１５年３月	南京国民政府を樹立	中国・日本	汪兆銘は日本の援助にて成立	北京の中華民国臨時政府や南京の中華民国維新政府は、南京国民政府統合されることになり、消滅する。
昭和１５年12月	国民政府、中央儲備銀行設立	日本・中国
昭和２３年11月	法幣制度の廃止	中国	『法幣制度』に置いての発行通貨量は、廃止直前では、当初の１万倍以上に膨れ上がり、大インフレーションを引き起こし、国民経済は疲労する。	英米は共に援助せず。

◆各国の利害◆　

国	目的	詳細
国民党	私腹・軍資金の確保	国民党が銀を売って、手にしたキャッシュは9億円以上となる。
	国民党政権の強化	地方軍閥の有する軍隊は、『法幣』の前に屈服して蒋介石の地盤は頑固なモノとなる。
英国	中国の経済的植民地化	中国の貿易・投資で不振が続いていた
	老獪な政治	中国より現銀を買い取り、アメリカを利用して莫大な利益を得る。
米国	ニューディール政策の行き詰まりの打開案	・恐慌で急落した諸物価の引上げと、それによる景気の回復を計る。
		・当時世界最大の銀本位国中国の購買力を増進し、アメリカの輸出を促進する。
		・アメリカの銀業者の利益を代表する「銀ブロック議員」の圧力

※この法幣制改革の結果、蒋介石の地盤は頑固なモノとなる、地方軍閥の有する軍隊は、徐々に中央軍に改編された。反中央的実力派の広東の陳済ドウも蒋介石の前で逃げ出し、最も恐れていた李宗仁ら広西軍閥も法幣の前に屈服せざろおう得なかった。

※昭和１６年までの7年間に米国が中国から購入した銀は1万6000ｔ、2億6266万$に上った。当時の円ドル相場は1$＝約3.45円なので、米国の購入額は9億円以上になる。ちなみに、日本の１５年度の一般会計予算が60億9700万円で、陸軍予算16億円（14年度；19億円）、海軍の予算が8億3千万円（14年度；10億3千円）なので、約日本の海軍予算程度の金を手に入れたことになる。

※そして、イギリスは、法幣制改革以前に、自国の香港上海、麦加利等の英系銀行の通じて、１億４，６００万元の現銀をロンドンに輸送している。中国聯合準備銀行成立当時は円元パーの同価格であるとことを考えれば、１億円４，６００万円である。（実際は、その当時、もっと円安であったので、１億円強であろうが）、その銀貨の大部分が英米系財閥に集まり、彼等は銀相場操作で６割以上の利益を挙げたとされる。ハゲタカファンドでもやらないトリックが合法的に行われていた。

※これは、英米が国民党を使って行った壮絶な略奪である。国民党としては、何が何でもこの「法幣改革」を断行したかった。どうしても民衆や華北・満州の邦人の手持ち銀がほしっかた。上海事変の動機としては、いかような挑発をしてでも上海の邦銀等の銀を略奪するコトしか考えていなかったのだろう。

※この頃、アメリカはルーズベルトや国務長官が、『国際協力の声明』で親中反日を明確にしているが、アメリカの政策が中国の民衆や蒋介石に同情的でもなかった、銀買上げ政策が『結果的に蒋介石の資金を潤沢にして、抗日運動を可能ならしめている。』そして、蒋介石、一番主要な点は国内の事業家よりの政策をとることとなる。

※陸軍の資料を見ると、この法幣制改革について記述が多い（戦後の資料ではまず取り上げないが）上海・南京・武漢等の中支の侵攻は、この通貨を巡っての攻防だったともいえる。この通貨戦争に負けると、英米の経済ブロックに取り込まれてしまい、経済的植民地化してしまう。

※この通貨戦争で、徳をしたのは、イギリスと蒋介石（これで、蒋介石は民衆の支持は失うが）、損をしたのは、局地戦から、泥沼の全面戦争に突入せざるを得なかった日本と思惑が外れた米国であろう。米国は自業自得だが。最大の被害者は、ただ同然の紙くずを掴まされた中国民衆であろうが。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【通貨戦争の一覧に戻る】．現銀と貨幣権の争奪　１

　

参考1935.12.15(昭和10)
好餌”支那”を繞る　英・米抗争の新展開

アメリカ政府が過般突如として銀買上方針の変更を行い銀相場の暴落を来さしめた理由の一班はイギリスに対する暗黙の示威であり抗議であることは、今や無視し得ざる事実というべきであるが、その結果支那を中心とする日、英、米の対立関係は支那幣制改革問題をめぐり、アメリカの銀政策と関聯して新展開を来すべき情勢を醸しつつある、以下は主としてかかる角度から関係列国の動向を打診したものである

銀政策を武器に和戦両様の作戦　三国の共同援助に帰着か　アメリカわが勢力を重視
【ニューヨーク特電十四日発】銀政策を通じてのアメリカの対支経済政策は今までのところ完全に失敗に帰したといってよい、政府当初の目算では銀価の昂騰が支那の対外的購買力を増加せしめるであろうとなしていたが、世界的市価の昂騰とアメリカの買上継続とは支那国内の銀の海外流出を導き極度のデフレーションがもたらされたために全国的購買力は却って萎縮の結果を見るに至った、またアメリカは支那の過剰銀を買上げることによってその半面にアメリカ商品の対支輸出促進を計り得るとなしてをり、あわよくばドルの威力と銀の圧力とによって支那の金融中枢を自家の掌中に収め得るとまで夢みていたかも知れない、しかるにアメリカがことごとに計画の齟齬を来し支那の恨みを買ってまごついている間にイギリスが支那に新幣制政策を行わしめ銀の通貨性を奪ってしまった、アメリカの対支経済政策遂行の途はかくして閉ざされてしまったのだ
イギリスは支那の為替資金調達のための対支借款に応ずることによって恩を売りその半面で支那の銀をロンドンに移し、アメリカに転売して巨利を博そうとしたのであるが、今となってアメリカに残された途は英支のスターリング・ブロックを邪魔するか打破する以外にはないはずである、今回の銀買上方針の変更がこれをのみ目標としたと断言は出来ぬが財務長官も明言している通り低気圧の中心がロンドンにあることと支那の新幣制に及ぼす影響とを当然予測して行ったことだけは事実である
とすれば支那の新幣制が行詰りを招来するとしてもそれはアメリカにとって思う壷ともいえるだろう出来ればその機会を利用して銀引当ての直接借款交渉を行いイギリスの立場を取って代りたいかも知れない、結局実力ある国のみが支那を救い得るということを如実に示すこととなるのである、しかしアメリカは今日となってはもはや日本を無視して支那に独自の経済的勢力を拡張し得るかどうかに深い疑問を持つに至っている、しかしそれと同時に支那の市場を日本もしくはイギリスいづれか一方の手に帰せしめることもアメリカの断乎として反対するところだ、日本の支那市場独占計画に直面した場合には必ずやイギリスと協調し金融的、財政的阻止策が講ぜられるに相違ない
かくてそれが世界通貨安定会議の形式でか或いは率直に日、英米、支四ケ国会議の形式でか何れにせよ支那経済回復のための各国の共同援助というきまり文句となって表面化するのではないかと思われる
しかしてこれが実現を見るまでにはアメリカの銀政策は再び有力な武器としての機能を回復するに至るであろう、銀政策はアメリカ国内にあっては国内の産銀業者を保護するという以外にはもはやインフレーションのための手段として大なる期待と魅力を失っている、だから国内産銀の買上価格を維持し持続的に買上げを行う限り外国銀の買上げに多少の緩急、価格の高下があっても銀ブロックの甚だしい攻撃を受けずして済むかも知れない、これに反し支那銀行の吸収に拍車をかける必要の生じた場合にはそれは銀買上法最初の目標たる準備金三、銀一の割合に近づくゆえんでもある、かかる弾力性はアメリカの対支経済政策上において和戦両様の作戦を容易ならしめるであろう

イギリスの立場は困難　沈黙裏に成行を注視
【ロンドン特電十四日発】支那は十一月はじめ新幣制を実施するに当ってイギリスの借款を得んとして果さず、そのため手持銀をロンドン市場で売出すことによって為替安定の資金を獲得する手段をとったのであるが、それもまたアメリカ政府が俄に銀買上政策に関する態度を曖昧にしたために殆ど不可能となり、新幣制は重大な難局に遭遇するに至った、イギリス政府はホーア外相が去る五日の議会において支那の幣制改革は支那政府が自発的に断行したところであることを言明し、全く無関係であるという建前をとっているために今回のアメリカ政府の態度には全く沈黙を守っており一般輿論もまた兎角の批評をさし控えているが、支那の新幣制がリースロス氏を中心とするイギリスの指導の下に行われたことがほとんど確実とされる以上、今回のアメリカの方針が支那をスターリング・ブロックに隷属せしめることによって対支制覇を確立せんとするイギリスの最も痛いところを突いたものと推測される
従って支那の新幣制が今回のアメリカの横槍によって破綻を早めた場合、イギリスとしてその貿易上の利益を擁護するためにも必ずや何らかの援助に乗り出すものと考えなければならないが、その場合におけるイギリスの方針は容易に予測を許されないとしてもイギリスが支那の経済建直しのために単独借款を起す如きことは、支那の現状よりするも、支那をめぐる列国の対立関係よりするもまづ有り得ないことであろう
そうだとしても支那財界の混乱を傍観することも従来の行懸り上許されないことなので、イギリスとしては恐らく共同援助の形式において、アメリカ或は日、米両国を勧誘するのではないかと想像される、その限りにおいてイギリスの対支制覇に水を注したアメリカの政策は成功を収めるわけであるがこの場合の日本の態度は頗る重視されており、ここ暫らくは支那を舞台として日、英、米三国の勢力が暗黙裡に火花を散らすであろうと注目されている

成功するか米国の思惑　支那を再び銀本位へ
【上海特電十四日発】今春支那を訪問したアメリカの極東経済調査団は過般提出したその報告において強力なるアメリカの対支貿易会社と大規模の在支アメリカ銀行の設置を希望し暗々裏にイギリスとの競争を仄めかして政府当局の善処を希望している、アメリカが支那市場を重視していることはこの事実によって明かである、残された世界最大の未開拓市場支那を繞って英米の両国は仮面を棄ててその圧倒的優位獲得に焦慮しているのだ、しかしてイギリスが支那をポンドにリンクせしめたのに対応しアメリカは銀政策を放棄して支那をも不可避的に再び銀本位に復帰せしめ支那金融界の支配力を奪わんとしているのだと見ている向きもあり、この点につき上海某銀行家は
　アメリカがもし銀政策を放棄すれば銀価は再び一九三一年の安値十二ペンスまたはそれ以下に暴落するのではないかと懸念するものもあるが自分はそうは思わぬ、一九三一年の銀価は金スターリングに対する相場ですでにイギリス、アメリカが四割見当の平価を切下げている現状ではアメリカが銀政策を放棄しても銀価の低落はまづ二十ペンスから十五ペンスの間で喰い止められるのではないか
と語った、支那新幣制による為替安定点対英一シリング二ペンス二分の一のロンドン銀塊に対するバリティを算定すれば十七ペンス四分の三見当となる、したがってもしアメリカが銀政策を放棄するとしても世界の銀価が十七、八ペンス見当に落ちつくとすれば支那ははなはだしい財界の動揺なくして再び銀本位に復帰し得るわけである、とにかく今回の銀価崩落を招いたアメリカ財務当局の意向は判明しないがポンドにリンクした支那新幣制を破壊して支那をして再び銀本位に復帰せしめ銀使用国たらしめることが銀ブロックにとりてもまたアメリカ輸出資本にとっても有利であることは事実だ、しかしてもしこれが実現するとすれば支那市場を繞るポンドとドルとの抗争は余りに明確にドルの勝利となる、リースロス氏は果していかなる切札をもってこれに対抗せんとしているのか、単独借款を敢行して支那新通貨制度を全面的に擁護しなかったイギリスは支那市場争覇戦においてすでに守勢に転じた、その後に来るものはドルの攻勢と実力を背景とした日本との対立であろう

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カテゴリ：学問・文系 > 社会学

タグ：西安事件 , 法幣改革 , 上海事変

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2007年06月03日(日) 11:02:06 Modified by yuyu122222

流されず、媚びず、おもねず

支那事変下の通貨戦争