まえがき

かずさがピロートークの直前何をしていたか妄想してみた作品です。





 いつだったか・・・・・日本に居た頃、アイツが帰ってくる前に
部屋のドア前で座り込んだり、駅前まで行ってすれ違いになると嫌だなと思って戻ってを5回繰り返し、
ご主人を待つ犬の様な真似をしてしまった。
今はそんなことはしない、というか出来ない、だって帰ってくるのは空港からだし、タクシーを使うだろうから。
最速で確実にアイツに会えるのはこのマンションのエントランス、だからエントランス脇のラウンジで待つ。


 空港に到着したとのメールの時刻から計算して到着するのはあと10分くらいのはずだ。
そのメールとは関係なくこのラウンジに居座ってもう5,6時間は経っているが。










 アイツが居なかったこの3日間の事を思い出す。
大変だった、本当に大変だった・・・・料理でもしてみようと挑戦してみたら火災報知機が作動し
隣人や管理人に迷惑をかけ謝罪。(黒焦げの鍋は捨てて証拠隠滅)
部屋を掃除しようとしたら、なぜか掃除前より室内にモノが散乱。(邪魔な物は壁際に押しやったので通行に支障なし)
特に大変だったのが寝る時だ。
アイツと一緒に生活するようになってから独りで寝るのは初めての事で。
ベッドの中でネガテイブな思考がどんどん広がって、アイツが事故とかテロに巻き込まれたり、すごい美人と知り合って
浮気してるんじゃないかとか、眠れなくて泣きそうになったり。


 でもそんな時アイツの言葉を思い出した。
「お前を護るためには、一緒にいられない時だってある。だからお前は、そういう時はただ信じろ。
俺が今そこにいないのも、お前のためなんだって それがお前にとって最良の選択だからこそ、俺は今、お前の側にいないんだって」
この言葉が無かったら、耐えられなかった、アイツの居ない3日間を。

 だけど独りの寂しさは辛くて、紛らわすためにクローゼットからアイツのジャケットを引っ張り出して丸めて抱いて寝た。
アイツの匂いを感じたら気持ちが安らいでやっと眠る事ができた。










 そんな事を考えていたらマンション前にタクシーが停まったのが見えた。
もう深夜といっていい時間帯、他の住人とは思えない・・・・アイツが帰ってきたんだ。
すぐに会いたいと思うのよりも、ここでは会いたくない!と強く思った。
だってここで出迎えたらまるでご主人の帰りを待っていて尻尾ふって飛びつくバカ犬みたいだ。
あたしの3日間の辛くて大変で寂しかった想いを少しでもアイツに味あわせてやらないと気が済まない。


 あたしは急いで立ち上がり早足でエレベーターへ向かう、ボタンを押すとすぐドアが開いて都合がいい、これならアイツに気づかれず

に先に部屋にたどり着ける。
部屋についてすぐに玄関のドアにカギをかける、そして寝室に行き、ラフな格好に着替えてベットにもぐり込み照明を落とす、
けど足元灯だけはつけておく、アイツがベッドまで歩いてきやすいように。
よし、これでいい あたしはピアノの練習で疲れて就寝中だ。
そこにアイツが帰宅してきて安眠を妨害するんだ、思いっきり不機嫌な声で答えてやろう、無茶な要求もしてやる、
一晩中ずっと抱きしめ続けろって言ってやる。

 
 玄関のドアを開ける音が聞こえて、聞きなれた足音が廊下を歩いてくる。
「春希ぃ・・・帰ってくるの遅いんだよぉ バカ」
あたしは壁の方を向いて小さく呟く。


 寝室のドアが開いて控えめな足音がベッドのそばまで来る。
「ただいま かずさ・・・・・起きてるんだろ? こっち向けよ」



 ピロートークへ続く



あとがき

これを読んだ後かずさのピロートークを聴いてみてください
違和感なく続いていくように心がけて書いてみました すこしでも楽しんでいただければ幸いです。
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