雪菜の思いNo.1 『かずさノーマルエンド補完』
最終更新：ID:dYkFXDgg3g 2012年04月06日(金) 18:58:07履歴
【はじめに】
このｓｓはネタバレ注意です。
本編クリアー後に読むことを強くお勧めします。
WHITE ALBUM2の雪菜に感情移入しすぎて、思わず勢いだけで、投稿しました。
初めてのSSの投稿で、ほんと、こんなでいいのかなって、思いながらクリックしました。実は、文章なんて、ひな形の決まってる、ビジネス文章くらいしか書いたことないんですが・・・
勢いって、こわいですね＾＾；
以前、丸戸史明のインタビューで、かずさノーマルEDNは、実は春希のひとりぼっちENDで終わる予定だったが、雪菜が許さなかったって記事があり、なるほどって納得してました。
さすが、雪菜ですね。
かずさNエンドは、そこに至るまでの雪菜視点がどうにも気になり、勝手に補完してしまいました＾＾；
だって、一番、雪菜らしく、雪菜の愛情の深さが表れてるENDだもの。
文章も、本編からの流用してる部分もありますが・・いいのかな？
�癸欧蓮△泙燭任�あがり次第にUPしたいと思います。（のんびりとお待ち下さい）
小木曽雪菜はスタジオトロイのステージで、何年かぶりにスポットライトをあびていた。
春希が望み、共に苦労して取り戻した歌だった。
春希が歌っている雪菜が一番好きだって言ってくれた。
だから、わたしは春希くんのために歌う。
アップテンポの曲が終わり、ラストナンバーを迎えようとＭＣに入ったとき
雪菜は観客の後方にたたずんでいる春希を見つけた。
『あ！春希くんが来てる。観に来てくれたんだ！今来たのかな？』
「じゃあ、最後の曲、いきますね、聞いて下さい」
『ラストナンバーの「あなたを想いたい」いつも春希くんに届けって想いで歌ってるんだよ、聞いていてね、私を見ていてね』
雪菜はマイクを握り、大勢の観客の中のただ一人を見つめながら歌い出した。
その歌声は、傷ついている春希の心を優しく包み、癒す歌声だった。
その歌声は、春希だけじゃなく会場全体を優しく包み込んでいる、観客全員が
恍惚とした表情で聴き入っていた。
春希は、場違いな気持ちを抱えながら会場のドアを外に向けて開いた。
『あ！春希くん！もうぅ、どうして帰っちゃうのよ！』
ラストナンバーが終わり、舞台の袖口、アンコールを背にしながら
雪菜は駆けだした。
「雪菜、良かったわよ、アンコールに備えて今のうちに水分取っておいてね〜
あれ？雪菜、どこに行くの？アンコールは？」
「朋！春希くんが来てたの！ 今ね、帰っちゃったの！だから追っかけないと行けなの！ ごめんね、メンバーに謝っておいて！」
「えええ！！アンコール、どうするのよ！」
「ごめんねぇぇぇ･････････」
「雪菜！！コートは？〜〜！！外は寒いのよ〜〜！！！雪菜ってばぁ！！もう聞こえないかぁ･･･」
バンドメンバーは何が起こったのかもわからずに、唖然としながら消えてゆく雪菜の背中を見ていた
「朋・・・ＳＥＴＵＮＡどこ行ったんだよ！？アンコールあるんだぞ！」
「仕方がないっか・・・私がステージから、お客さんにお詫びするわ」
「ええ！！」
アンコール２曲分の時間は、局アナ朋の機転により、お詫びと、バンドメンバーの
トークショウとなり、観客はＳＥＴＵＮＡのいない不満を少しは埋めることができた。
ステージも終わり、打ち上げ会場でスタッフと挨拶と乾杯が始まったが
そこには華であるはずのＳＥＴＵＮＡはいない、なんとも味気ない状態での打ち上げだった。
場を仕切っている柳原 朋でもその穴を埋めることはできないと痛いほどわかった。
以前の朋なら対抗心と嫉妬で塗り固められたはずだが
今は、雪菜の華が自慢と思える自分が好きだった。
「朋、ＳＥＴＵＮＡ、アンコールほったらかして、どこに行ったんだよ？・・・」
「彼の所よ」
「なんだよそれ？そんなのありかよ・・・・」
「私、ＳＥＴＵＮＡにボーカルを頼む条件として、あなたたちに言ったはずよね？
彼女を口説こうとか、メンバーにしようとか、ＳＥＴＵＮＡの時間を拘束しようとかしてはダメだって、それが条件だって。
ＳＥＴＵＮＡは、彼のためなら大好きな歌をも捨てる女なのよ、実際、一時期、歌を捨てた事があった、それと、彼女を
口説こうものなら二度とバンドで歌ってもらえなくなるって。 言ったわよね？」
「それは聞いたけど・・・・」
「彼女の彼に対しての想いの深さは、私たちの想像を超えてるの、ＳＥＴＵＮＡはね、彼のためならなんだってするし、
なんだって捨てることもできるし、我が儘にもなるの、私はここ数年のＳＥＴＵＮＡを見てきたけど、彼と知り合ってから
ずーっと変わってないの・・・」
「確かにガード硬いよな・・・打ち上げの時もすぐに帰るし、飲みに誘っても絶対に断られるし、あんなにいい女なのに・・・
ところで、朋、その彼ってそんないい男なのか？ 」
「そうねぇ〜ちょっと見た目はさえない男だよ」
「何でそんな男が？」
「最初は・・・私もさえない男って思ってたけど・・・」
「ん？ けど？」
「・・・・」
「朋・・・おまえ、ひょっとして･････」
「あ、ごめんなさい」
街中を人とぶつかりそうになりながらも走る。。。
『春希くん、どうかしたの？何かあったの？どこに行ったの？』
まだ壊れたままの春希、まだ完全に回復してない春希、今見失ってしまったら
また、私の手から離れてしまったらと雪菜は不安を抱えながら走った。
ここで、春希を離してしまったら、あの親友に申し訳ない、あの不倶戴天の敵に
借りを作りたくない。
雪菜は不安と共に焦っていた。
でも、絶対に探せる自信ははあった。彼との絆を雪菜は信じることができたから。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
雪菜は部屋のベッドの上で声を殺して泣いていた
仕事とはいえ、春希が冬馬かずさの密着取材で毎日、二人きりで
いること、今頃、二人は何をしてるんだろうと思ってしまうと
その想像は、雪菜の胸を掻きむしる痛さが襲ってくる。
なのに、自分からは連絡しないなんて言ってしまった･･･
二人のことを思えば思うほど、どんどん暗い気持ちが沸いてくる･･･
『春希くん･･･辛すぎるよ･･･』
『わたし･･･もうだめかも･･･』
「つ･･･ぅ、ぅぅ･･･」
「〜〜〜つ！ぅ、ぅぇえ･･･ぇぅ・・っ」
「姉ちゃん、冬馬さんから郵便だよ、冬馬さんてピアニストのあの冬馬かずさだよね？」
『かずさから？手紙？』
「つ！ごめん、今、手が離せない、後で取りに行くからリビングに置いておいて。」
「じゃあ、テーブルの上においておくよ」
「う、うんありがとう」
「雪菜」
「おかあさん･･･あ、ドア開けないで･･･」
「手紙ね、持ってきてあげたわ･･･ドアの前に置いておくからね」
「うん、わかった、おかあさん･･･ありがとう･･･」
「母さん、姉ちゃん甘やかせすぎだよ、そのぉ・･弟の方も甘やかして欲しいんだけど･･･ できればギター買ってくれると･･･嬉しいかなっ？・・・」
『雪菜･･･また泣いてるのね･･････』
「母さん聞いてる？？」
雪菜は嗚咽を納めて、そっと部屋の扉を開き、不安ながらかずさの手紙を開く。
封筒の裏には、小さめだけど同じ大きさのきっちりとした文字で「冬馬かずさ」と差出人の名前・・・
中には、数枚の手紙とボイスレコーダーと「冬馬かずさリサイタル」のチケットが入っていた。
雪菜、久しぶり。
手紙を雪菜に書くのは初めてだよな
本当は、会って話しをしなくてはいけない事だけど
雪菜に会うわけにはいかないからこうして手紙で失礼する。
雪菜に悪いとは思ってる、密着取材で春希をずっと借りている、
と言うか、借りてた。
でも、今度のコンサートがが終わったら、春希を雪菜に返すから・・・
すごく自分勝手で、我が儘な言いぐさって事はわかってる。
その間、雪菜を苦しめて辛い思いをさせてしまった事も、その間、春希を苦しめてたこともわかっている。
５年前にあたしは春希をあきらめて、雪菜に譲った
そして、日本から離れた・・・
それが３人のために一番いい方法だって思ったからそうした。
その間、二人の辛く苦しい想いをして乗り越えた３年間こと、その後の２年間の事、
雪菜と春希との間に何があって、どんなに愛し合ってたかって事も春希から聞いた。
この話は、同封のボイスレコーダーに録音してあるから聞いて欲しい。
これは、取材中のあたしから逆取材で、春希に語らせた。
春希の雪菜に対する気持ちが、込められてる。
本当は、悔しくって雪菜に聞かせたくはなかったんだけどな。
あたしは、その話を聞きながら二人の想いの深さを知った、でもその二人の想いがわか ればわかる程、正直、雪菜を妬んだ。
だって、あたしにはその５年間、春希の思い出しかなかった、その思い出だけを拠り所にするしかなかったから、
雪菜が辛く苦しい思いをしてたとはいえ、春希との歴史を紡いでいた事が本当に羨ましくて、悔しくて、妬ましかった。
あたしにとって偶然とは言え、クリスマスイブの夜、ストラスブールで春希と再会した事、
ううん、偶然じゃないな・・・・
あたしの知らないところでの、母、曜子の策略なんだけどな。
でも、あの時、あたしは春希を見つけて嬉しかった、心が震えた・・・
思い出だけだった春希が、目の前にいる、声が聞ける、あたしの手の届くところにいる 。
声をかけてはいけないと思いながらも、つい嬉しくて春希の名前を呼んでしまった。
春希は、あたしのことを「冬馬」と名前ではなく名字で呼んだ。
それで雪菜と一緒にストラスブールにいるんだってわかってしまった。
あの時、春希は、あたしと決別をしてたんだってわかってしまった。
そのあたりの事は春希から聞いてると思うから詳しくは書かないけど、
今に思えば、あの時声をかけなければよかった。もしくは、あたしが雪菜に会いたいと言えば、
今の雪菜の苦しみは無かったと思う、本当にごめん。
その後、日本公演も決まりあたしは日本に来てしまった。
わたしは、今回のリサイタルの演奏を、春希と雪菜に聴かせて、春希のことを吹っ切り
二人を祝福し、日本を最後とするつもりだったんだけどな。
でも、これも曜子の策略もあり、結果、密着取材と言う名を借りて春希を拘束してしまった。
あたしは、雪菜に対しての罪を感じながらも、嬉しくて、幸せを感じ、手放したくないと思った。
春希も雪菜に対して罪の意識を持ちながらも、良く尽くしてくれて、春希との過ごす時間が何にも増して愛おしくてたまらなかった。
でも、わかってしまったんだ、あたしが春希を愛すれば愛するほど、春希はどんどん壊れていくって････
不器用なあたしが、大切にしようとすればするほど、春希は壊れてしまうんだよ･･･
春希が雪菜を愛する気持ちとの葛藤で罪を背負いながら、春希は傷ついていってしまう。
そして、春希を、壊してしまった。
ごめん雪菜、雪菜の春希をあたしは壊してしまった。
あたし、わかったんだよ
春希が普通の幸せを掴んで雪菜と笑顔のまま歩んで行く事に比べたら、あたしのその場限りの幸せの、
なんてちっぽけなことか、今のままだと、それで幸せになれるのは、あたしだけだってことが、 痛いほどわかってしまった。
このままだと、春希の周りの人たちを、春希の、本当に大切な雪菜を不幸にする。
そうなると、春希はもっともっと壊れていってしまう。
あたしが春希と離れなければ、春希が幸せになれるわけない。
あたしは春希に幸せになってもらいたい。
春希の幸せは周りの人を、お節介をやきながらでも幸せにしていくこと、
その傍らには春希の帰るべき場所の雪菜がいること。
本当なら、あたしが春希を幸せにしたかった。
でも、あたしがいくら頑張てもできなかった。
あたしの、世界で一番大切な宝物は、あたしが持つと壊してしまう。
大事にしようとしても、必死に守ろうとしても・・・
あたし不器用だから、いつの間にかボロボロにしちゃうんだ･･･
だからあたしよりも、ちゃんと、その宝物を大切にできる雪菜のところに
返した方がいいと、春希をちゃんと守れる雪菜のところに返すと決めた。
お願いだ、雪菜、春希を助けて、救って、愛してあげて。
身勝手なお願いとは重々承知してるけど、雪菜だけなんだよ、春希を慈しみ、守り
幸せにできるのは、春希の帰るべき場所は雪菜だけなんだよ。
あたしでは、だめなんだよ。
今では、母さんが言ってた「私たちの世界の者が普通の人を好きになると、相手はボロボロになる」って言葉、悔しいけど、痛いほど理解できた。
峰城大付の学園祭の時、雪菜は春希を奪った、今度は、あたしが春希を奪おうとした。 だから、おあいこと言うことで、雪菜はもう、私に対しての罪を感じなくていい。
わたしも、この件については謝らない。
でも、雪菜の春希をあたしのせいで壊してしまった罪は、私は一生背負わなくてはいけない。
きっと春希は、あたしとの事を、雪菜に隠すことはできないと思うから・・・
春希から事の事情を聞いてしまった後に、雪菜が春希を許せるかどうかはわからない。
でも、雪菜は春希を捨てることはできないと信じてる。
いいや、わかってるって言った方が正解だな。
そんな、雪菜だから春希を安心して任せられる。
どうしてわかるかって雪菜は思うと思うけど、あたしと雪菜は不倶戴天の敵だから
わかってしまうって言うしかない。
雪菜、あたしは、言葉とか、文字とか、態度とかで伝えるのは苦手だから
ピアノ弾きだから、今度のリサイタルで春希への決別と雪菜への謝罪と、あたしの心をピアノの音で伝えたい。
あたしは、雪菜のために弾くよ、春希の決別のために弾くよ。
だから、今度のリサイタルで、あたしの覚悟を伝えたい、雪菜に。
雪菜にお願いがある、今更と言われるかも知れないが、５年前に雪菜の望んだ「ずーっと３人一緒に」って言ってたこと、
今度は、あたしからお願いしたい。
もう、あたしは日本に戻ることはないけれど、お願いだ、雪菜が春希と結ばれて「北原 雪菜」になった後、
せめてあたしの作曲等のペンネームを「北原かずさ」と名乗らせてもらえないだろうか？
身勝手な上に我が儘な願いだけど、これで、ずっと３人の約束が果たされる。
最後に、雪菜、お願いだ、あたしの事、許してくれとは言わない、でも壊してしまった 春希を助けてあげて欲しい、
これは雪菜にしかできないことなんだから。
雪菜、リサイタル会場で待っている。
隣の席は、春希がいるはずだ、どうかどうか春希を、頼みます。
「春希くんが壊れたって？！！」
「どうゆう事なの？！」
雪菜は、慌てて携帯を探す、連絡をこちらから入れないとかいっている場合じゃない
「春希くん･･･春希くん･･･春希くん･･･」
手が震えて、うまくボタンが押せない・・・・
「春希くん･･･春希くん･･･春希くん･･･」
「お願い！つながって！！」
･･･この電話は、電波の届かないところにあるか、又は電源が入っていません･･･
「春希くんっ！！！」
掲載元
Arcadia
http://www.mai-net.net/
タグ
このページへのコメント
HwNpTm Thanks so much for the article post.Really thank you! Fantastic.