949 名無しさんだよもん sage 2012/01/03(火) 15:58:16.64 ID:Qvin1jC10
俺も不出来ながら妄想を形にしてみた
一応二人でお手伝いのあとの話ということで、ちょっとgdgdだけど多めに見てくれ



春希と雪菜は腕を組んで夕暮れの住宅街を歩いていた
お互い仕事の都合で忙しく、一ヶ月近く訪ねられなかった小木曽家に顔を出すことにしたのだ
久しぶりに心温まる時間を過ごせる安心感と頻繁に行けなかった罪悪感とがちょっとない交ぜになって、どうしても歩幅が狭くなってしまう

「お父さん、小言いっぱい言ってくるだろうなぁ。お母さんは余計なことばっかり聞いてくるんじゃないかなぁ。なんか気が滅入るなぁ」
とか言いながらも雪菜は楽しそうだった
結婚して離れていても、家族が大好きなところはまるで変わっていないのだ
「弟のこと忘れてない?そういや今日何か重大発表があるとか言ってなかったっけ、孝宏君」
「孝宏のことだからロクでもないことに決まってるわよ。就職先決まりました、とかなら良いんだけど」
まだまだ元気な両親よりもしっかりしてない弟の方がよっぽど心配のようで、そういう話をしているといつの間にか小木曽家に着いていた

「いやぁ、北原ご夫妻じゃないですか。本日は小木曽家までご足労いただいて恐縮です」
「孝宏!あなたお姉ちゃんをからかうんじゃないわよ!」
「ちぇ、北原さんちの奥さんて呼ばれたくなきゃもうちょっとちょくちょく顔出せよな」
玄関先で久しぶりの微笑ましい姉弟けんかを済ませてご両親の心配のこもったお説教を仲良く食らった後、
ようやくテーブルに座るとそこにはお客さんがもう一人来ていた
「あの、小木曽先輩、北原先輩、お久しぶりです。私、お二人の大学祭での歌、聞きにいってたんですけど憶えてますか?」
と言ってきたのは孝宏の付属高時代のクラスメート、亜子だった
「ねぇねぇ、亜子さん。いつから孝宏と付き合ってるの?」
「それよりもこんなかわいい子がどうしてうちの孝宏と付き合ってるのかしらねぇ?」
「あの、えっと、どうしよう孝宏君…」
「姉ちゃんも母さんもいい加減にしろよな。亜子はうちの女性陣みたいに図太くねーんだから」
「「なんだって!?」」
「あは、あはははは…」
妙なテンションで盛り上がっている4人を傍目に、淡々とブランデーを飲み交わすのみの小木曽父と春希であった

そんな慌しくもアットホームなディナーから一息つこうと外に出た春希に続いて、もう一人出てきてその隣に立った
「今日は家族同士の水入らずの食事にお邪魔して本当にすいません」
「いや、孝宏君の彼女だったらもう家族も同然じゃないか。それよりも久しぶりだね。矢田さんや杉浦とは仲良くしてる?」
「ええ、学部も同じですから今日も一緒にお昼して来ました。そういえば小春は北原先輩にもっとグッディーズに顔を出せと伝えてって言ってましたよ」
「あ〜、そういや雪菜と一緒に行って散々な目に遭って以来行ってないな。うん、近いうちにまたお邪魔するって言っといて」
「はい、分かりました。それで話は変わりますけど、ちょっと相談に乗っていただけませんか?」
「いいよ。力になれるかどうかはともかく話を聞こうじゃないか。どんなことなんだい?」
「ええっと、実は…」

一方、庭で何やらひそひそと話をしている春希と亜子を窓にぴったり張り付いて眺めている人影が2つ。
「もぉ、春希くんてばなに親しげに笑い合ってんのよ。こっちにも聞こえるくらいもっと大きな声で話しなさいよ」
「近所迷惑だから、それ。第一姉ちゃんはもう結婚してるんだから堂々と間に入って何話してるか聞いてきてくれよ」
「そんなことできる訳ないでしょ!?春希くんにデリカシーのない女だって思われたらどうするのよ」
「夫婦なのにまだそんなこと気にしてるのかよ。それより姉の夫に自分の彼女口説かれてるオレの身にもなってくれよ…」
「あんたこそ弟の彼女に自分の夫口説かれてるわたしの身にもなって見なさいよ。もう、なんか泣けて来た…」
そんな仲が良いのか悪いのかよく分からない姉弟を見つめながら、小木曽母は溜息をつくのだった
「むしろあんたたちの話が向こうに聞かれてるって、分かってる?」
そんなこんなで和気藹々ながらも妙に緊張感に満ちた時間も過ぎ去り、春希と雪菜は一足先に小木曽家を後にした
春希はなぜか(と言っても理由は火を見るより明白なのだが)いじけてる雪菜をなだめるのに苦労していた
「機嫌直せよ、せっかくのいい時間だったじゃないか。それに孝宏君のめでたい日なんだし」
「だからそれが問題なのよ。大体春希くんは…」
「俺が何?」
「〜〜っ、何でもないわよ。春希くんのバカ!」
ぷい、と顔を背ける雪菜に慌てふためきながらも、春希は声には出さずに笑っていた

……

「孝宏君にもっと振り向いてもらいたいって?」
「はい。彼、面倒見がよくて人気者なんです。付き合ったばかりだけど不安で不安でしょうがなくて」
「う〜ん、だとしたら俺より雪菜に聞いてみた方がいいんじゃないかな。なにしろ姉弟だし」
「いえ、孝宏君は家族の話になるといつも北原先輩の話を欠かさないもんですから。
 そんなに慕われてる北原先輩が何か言ってくれると効果覿面かなって」
「なるほど。亜子さん、ちょっぴり計算的な、恋する乙女だねぇ」
「からかわないでください。もう」
そう言いながら背を向けている亜子には知る由もなかったが、春希はベランダに張り付いた姉弟を目聡く発見したのだった
「じゃあ、いま俺たちが話してるのを何が何でも秘密にしてみる、ってのはどうかな?」
「秘密に、ですか?それってなんか意味あるんでしょうか?」
「うん、効果抜群だと思うよ。騙されたと思って、孝宏君が何を聞いてきても適当にはぐらかしてやって」
「はぁ…」

……

「春希くん、何笑ってるの?わたしの話、まだ終わってないんだからね!?」
「はいはい、言いたいことは家についてからじっくり聞くから。今はほら」
「ホントにもう」
とぶつくさ言いながらも、春希が差し出した手をしっかりつなぐ雪菜であった
家についたらどうやって問い質そうかしら、でもこの手は温かいな、もうそろそろ許してあげようかな、などと悩みながら

このページへのコメント

短いながらも、すごくまとまっていて面白いです!

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Posted by 黒騎士 2013年01月13日(日) 19:09:11 返信

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