最終更新:ID:M+2BrIvTRQ 2012年05月12日(土) 23:06:28履歴
「……え?」
「ね、いいよね?」
「でも今から休み取れるかな?しかも年末に」
「取って」
「……もう決定事項?」
有無を言わせぬ小木曽雪菜の勢いに、北原春希は口をつぐむしかなかった。
「着いたね〜」
「今年もここは雪か」
「さ、早くホテル行って荷物置いて、街に出掛けよう?」
「ああ、そうするか」
空港に降り立った二人は、早速タクシー乗り場に足を運んだ。
……そう、ここはストラスブール。
春希がかつて、冬馬かずさと再会した場所。
三人の物語が、再び動き出した場所。
二人は、かつての有海の時の再現をしようとしていたのだ。
あの時に果たすべきであったことを、今度こそ叶えるために。
……二人での、クリスマスミサを。
「でも、我ながらよくこの時期に休み取れたな」
「よかったね春希くん」
「雪菜もよく休みが取れたよな」
「まあ、わたしの場合は部長を拝み倒したから」
「俺、正直帰国した後が怖いよ……」
「会社の人たち?」
「それもあるけど、小木曽家の人たちも」
春希が何かを思い出したように暗い顔になる。
それを見て、雪菜もげんなりした表情になる。
「孝宏ってば。いくらお父さんがいい顔しないからって、余計なことばっかり」
「お父さん、顔がものすごく引き攣ってたもんな」
「もう。何が『いいじゃん、今回が初めてじゃないんだし。新婚旅行の予行演習だと思えば』よ」
「お母さんが同意してくれたのはいいけど、お父さんのことを思うとさすがになぁ」
「ごめんね春希くん。わたしも一緒に叱られるから」
「まあ、いいさ。俺も正直そんな風に楽しめればいいって思ってるんだ」
「そうか。うん、そうだね。楽しまなきゃだね」
そんな風に談話をしながらタクシーに乗り込み、二人はホテルへと向かっていった。
「昨日行った骨董品屋さん、面白かったよね」
「あそこで買ったオルゴール、女性陣への土産にするか」
「うん、お母さんや曜子さん、きっと喜ぶよ」
……数日間を街での観光で過ごし、いよいよクリスマスイブ当日。
二人は夕食後に大聖堂に向かい、礼拝堂の中に入っていった。
「うわぁ、やっぱりすごいね」
「ああ、さすがだな」
すでに中は人でごった返している。
その中で二人は何とか空いている席を確保して、腰を落ち着けた。
「ふうっ、何とか座れたな」
「ドキドキするね」
「ああ、どんな感じなんだろうな」
そしてパイプオルガンの音が響き、ミサが厳かに始まった……。
「……」
「……」
……大聖堂を出てからホテルへ戻る間も、二人は言葉が出なかった。
部屋へ戻って一息吐いて、ようやく緊張が解けたかのように強張った表情が戻った。
「……ふうっ」
「……すごかったな」
「うん。やっぱりまた来てよかったよ」
「正直、あれほどとは」
「うん、そうだね。よかったよ、今度こそ春希くんと一緒に聴けて」
「ああ。本当に悪かった、去年は」
「いいんだよ。だって春希くんは人助けをしたんだもん。
春希くんらしかったと思うよ」
「でも俺、そのせいで雪菜を」
「だから、いいんだよ。かずさと久しぶりに会ってたんだもん。
わたしもそうしてたよきっと」
「雪菜……」
「それに、そのおかげで今年もこうしてここに来られたんだし」
「そうか……」
「本当に、春希くんと聴けてよかったよ。本当に……」
「雪菜……ごめんな」
春希はそっと雪菜を抱き寄せ、雪菜の頭を自分の胸に抱え込んだ。
「春希くん……ありがとう」
雪菜も春希の背中に腕を回し、シャツをギュッと握りしめた。
「春希くんとまた二人でここに来られて、本当によかった……」
「俺も、雪菜と二人で過ごせて、本当に嬉しいよ……」
見詰め合った二人は、そのままゆっくりと唇を重ね。
「ん、うぅん、ちゅむ……」
「う、ん、れろ……」
舌を絡ませながら、お互いの唾液を存分に味わう。
離れると、お互いの口を繋ぐ唾液がツツーッと糸を引く。
「春希くん、シャワー……」
「駄目」
離れようとした雪菜を、春希は更に強引に抱き寄せた。
「今日はこのまま。絶対に」
「え?で、でも」
「今日は雪菜をきちんと感じたいんだ。駄目かな?」
春希に耳元で囁かれ、雪菜の頬がサッと染まる。
「……わたしにも、春希くんをちゃんと感じさせてくれる?」
「ああ。もちろん」
「……なら、いいよ」
そしてそのまま二人で部屋の奥のベッドに移動した。
「んむ、じゅるる、れろ……」
「ん、うん、じゅぷぅ……」
「雪菜のここ、どんどん溢れてくる……」
「や、やだ、言わないで。恥ずかしい、よ」
「どうして?見てるの俺なのに?」
「見てるだけじゃないじゃない。ほ、他に……」
「ん?他に?」
「……知らないっ」
「今、雪菜がしてるみたいなこと?」
「〜〜〜〜〜っ」
「はは、拗ねない拗ねない」
「もう、春希くんのばかっ」
「……そんなこと、言うなよ」
「あ……ごめんなさい」
「そんなこと言う雪菜には……こうだっ」
「ふあああぁぁっ」
「じゅるじゅる、れろ、れろ、んむ」
「だ、駄目、それ、気持ち、いい……」
「うむ……ん、カリっ」
「ひゃああああああぁぁぁぁぁぁっ」
「んふ、れろれろ、はむ、んむ……」
「ふああっ、そ、そんな、とこ、舐めな、いで。噛んじゃ、いやぁ……」
「ほら雪菜、止まってる」
「だ、だって。春希、くん、が、意地悪、するからだ、よ……」
「俺にもしてくれないと、止めちゃうけど……いいのか?」
「はぁ、はぁ……もう、意地悪。んむぅ、うん、んうぅ……」
「う、ああ。い、いいよ、雪菜」
「んんぅ、じゅぷ、むぐぅ、んるぅ……」
「じゅ、じゅる、んろ、はむ……」
(春希くん、わたし、もう、もうっ)
(ああ、俺も、もう出そうだ)
(出して。わたしの口に、全部)
(雪菜も、一緒にイってくれ)
「ん、んむううううううううぅぅぅぅぅっ!」
「んむ、ぷああぁぁぁっ!」
「ん、んく、んく、んく……」
「あむ、じゅる、じゅじゅ、じゅるる……」
(春希くん、すごかったよ)
(雪菜も。溺れるかと思った)
(あははっ、本当だ。春希くん、顔ベタベタ)
(雪菜も、口の周りテカテカだ)
「はあっ、はあっ、はあっ……」
「はっ、はあっ、はあ……ふうっ」
「春希くん、わたし、もう……」
「ああ、俺もだよ」
「……じゃあ、いいの?」
「いやだから、それは俺の台詞だってば」
「だってわたし、もう本当に」
「……我慢できない?」
「もうっ。分かっててもそういうことは言わないでよ」
「ははっ、ごめんごめん。じゃあ、いいか?」
「うん、いいよ……」
「じゃあ、いくぞ雪菜」
「うん、きて、春希くん」
「うむ、ちゅっ、ちゅっ……」
「ふあぁ、あん、ふああぁぁ……」
「ちゅうぅ、れろ、れる……」
「あは、はん、そ、んな、胸、ばっかり、舐め、ないで。吸わな、いで」
「ちゅるちゅる、ん、コリ、カリ……」
「だ、だから、噛ん、じゃ、やだぁ……」
「んむ、だって、雪菜の、胸、俺、好きだ、からさ」
「んもう、さっき、から、ちょっ、としか、動いて、ないで、胸、ばっかり」
「だって俺、今日、は雪、菜を、目一杯、食べたい、から」
「うん、いいよ。春希、くん、お腹、一杯、食べて」
「でも、俺、大丈、夫、かな?」
「え?」
「自信、ないな、俺」
「そ、そんな。わたし、駄目、かな?」
「いや、そう、じゃ、なくて。雪菜の、こと、残さず、食べる、のは、何てこと、ない、けど」
「……けど?」
「いや、残さず、食べて、も、お腹、一杯に、なるか、どうか、が心配」
「……それ、なら、心配、いらない、よ」
「……どうして?」
「もし、そう、なら、お代わり、すれ、ばいい、んだもん」
「……なら、大丈夫、だな」
「でも、絶対、に、残し、ちゃ、駄目だ、よ」
「何、言ってるん、だよ。お代わり、する、のに残す、心配、なんて、ないに、決まって、るじゃ、ないか」
「あははっ、そう、だね」
「じゃあ、心配、なくなっ、たとこ、ろで」
「ふあああん、あはぁ、ああっ、あああ……」
(わたし、あなたを誰よりも愛してる)
(ああ、俺もだよ)
(だからお願い、わたしをあなたの思うとおりに抱きしめて)
(ああ、たくさん抱きしめるよ)
(わたしが、あなたに抱かれていないと生きていられなくなるように)
(心配いらないよ。俺はもう、雪菜を抱かないではいられないから)
「ん、ふああっ、あん、ああっ……」
「う、くふっ、つあぁっ」
「あはぁ、は、春希、くん」
「あ、ああっ、せ、雪菜」
(ねえ、春希くん)
(なに?)
(わたし、こうして春希くんと一つになって、春希くんを一番強く感じていられるこの時が一番幸せなんだよ)
(俺もだよ。こうして雪菜を一番奥深くまで感じて、雪菜と一緒に二人で愛し合っていると強く感じていられるこの時が一番幸せなんだ)
(嬉しい。わたしたち、今、一番強く愛し合ってるんだね)
(ああ。誰にも止められない。誰にも止めさせない)
「あっ、あああっ、は、春希、くん、わ、たし、もう、もうっ」
「せ、雪菜、イく、のか、イきたい、のか?」
「う、うん、もう、駄目、だよぅ……」
「お、俺も、もう、で、出る……」
「春希、くん、中だよ、中、に出し、て」
「あ、ああ、うく、うああぁっ」
「中じゃ、なきゃ、やだよぅ……」
「ああ、俺も、雪菜の中に、出したい」
「出して、全部、わたしの、中にぃっ」
「イくぞ、雪菜、イくぞっ」
「きて、春希、くん、きてぇっ」
「くっ、うあああああ」
「あっ、あはあっ、ああああああああああぁぁぁぁぁっ!」
(ああ、出てる。わたしの中に、春希くんが……)
(雪菜、雪菜ぁ……)
「はあっ、はあっ、はあぁっ……」
「うん、ううぅん、ふああぁ……」
「雪菜、大丈夫、か?」
「うん、平気。気持ち、よかったよ」
「そうか。よかった……」
「……でも、春希くん、あなたの方はどう?」
「え?俺?」
「うん。もう、お腹、一杯になった?」
「あ……」
「ふふっ。まだまだ満足してない?」
「せ、雪菜、お前、何言って」
「だって春希くん、わたしの中でまだまだ元気なんだもん」
「う……やっぱばれてるか」
「大丈夫だよ。お代わりは用意できてるから」
「うっ、そ、そうか……」
「わたしはね、あなたがお腹一杯になるまで、いつでも、どこでも、何回でもお代わりの用意してるからね」
「雪菜……お前」
「ふふっ、ありがとうは?」
「……ありがとう、雪菜」
「どういたしまして。うふふっ」
「……じゃあ遠慮なく、お代わりをいただくとするか」
「あ、ふああっ、あっ、ああぁん……」
……窓の外が白々とし始めた頃、ようやく二人は力尽きたかのようにベッドに倒れ込んだ。
「……ふうっ」
「……夜、明けてきたな」
「そうだね。ふふっ」
二人はベッドでもぞもぞとうごめきながら、汗と涙、涎と性液に塗れた裸体を寄せ合っていた。
ベタベタして多少の気持ち悪さはあるが、今の二人はそれを遥かに凌駕する心地良さに浸っていて、その表情も晴れやかだった。
「今日はクリスマスか」
「そうだね。昨日のイブも楽しかった」
「今日もクリスマスムードに浸ることにするか」
「うん。そうしようね」
二人はそっと抱き合い、雪菜は春希の胸に顔を埋め、春希は雪菜の髪を撫でながら額に口付けた。
「今日がクリスマスだから……」
「帰国は明日か……」
「あ〜あ、もう少しこっちにいたかったんだけどなぁ」
「しょうがないって。元々無理言って休暇取ったんだし」
「そうか。そうだよね」
「まあ、帰ったら年末の休みに合わせて皆に会って色々土産話をすればいいさ」
「そうだね。年末が楽しみだね」
見詰め合った二人はクスクスと微笑み、そっと唇を重ねる。
「年末はおそば食べて紅白見て、皆で二年参り、かな?」
「でも柳原なんかは『紅白よりも雪菜の歌聴いた方がいいに決まってます』って言いそうだな」
「うっ。朋なら言いそうだよね……」
雪菜の顔が引き攣るが、春希は思案顔で考え込み。
「……いっそ、そうしようか」
「え?ええっ?」
「そうだな。俺もそうしたいな。紅白よりもやっぱり雪菜の歌聴きたい」
「え?本当?」
「ああ。大晦日にカラオケ行って雪菜のコンサート。どう?」
「いいの?本当にいいの春希くん?」
「……食い付いたな」
さっきまでは引き攣ってた顔してたのに。歌が絡むことで途端に機嫌が良くなるな。
本当に、春希といる時の雪菜はどこまでも現金である。
「だって、春希くんが行こうって言ってくれたんだもん。行きたい行きたい」
「じゃあ他の皆も誘うか?武也たち、あとかずさに、孝宏君も」
「え〜、孝宏はいいよ。どうせ来ないだろうしね」
「まあ、雪菜とカラオケ行きたいって思ってるヤツは余程酔狂なヤツだけだしな」
「……わたし、行くの止めようかな」
「いいよ。雪菜が耐えられるならな」
「う〜、春希くん意地悪だよぅ」
「ごめんごめん。じゃあ行くか、皆と一緒に」
「でも、本当に他に誰も来なかったらどうしようか?」
「その時は俺と二人で行けばいいよ。俺は雪菜の歌聴きたいし」
「うん、よかった。じゃあ行こうね」
「ああ、行こうか」
そう、二人には自分達の帰りを待ってくれている人達がいる。
そしてそんな二人の幸せを、心から祝福してくれる人達がいる。
そして、誰よりも、今自分の一番そばにいる婚約者が、自分の帰る場所になってくれる。
お互いが、お互いを誰よりも幸せにしてくれる。
出会ってからずっと、お互いに求め合っていた幸せを、二人は待ち望み、すれ違い、手に入れ、向かい合って確認し、乗り越え、辿り着いた。
今の二人が歩み続けて手に入れたかけがえのない幸せを、ゆっくりと噛み締めながら、二人はゆっくりと眠りに落ちた……。
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このページへのコメント
あんがとです
……でも、調子乗ってまた書いちゃうかもです
その時はまたよろしくです(苦笑)
エロイのいいよぉ