WHITE ALBUM2 SS まとめwiki - 大晦日のコンサートに向かったら エピローグ
大晦日のコンサートに向かったら 第二十話 エピローグ

一年後

春希はウィーンの空港に降り立った。

――空港で待ってる。

かずさは昨日電話でそう言っていた、なぜあのときもっと詳しく場所を指定しておかなかったのかと春希は後悔した。

ウィーンの空港は想像以上に広く、今日は利用客も多かった。この中でかずさを見つける事も、かずさが春希を見つける事も難しい。

――違う。

春希は立ち止まった。

かずさはもう春希の事を見つけている。

そして春希がかずさの方を見ると、かずさは目をそらす。

――四年前はそうだった。

春希は後ろを振り向いた。

見つかったか、と少し悔しそうな顔をしているかずさがいた。

胸元のクロスのネックレスが揺れ、輝いている。

――春希と目が合っても、もうそらすことはない。

「――おかえり、春希」

春希がウィーンを訪れるのは初めてだというのに…

でもおかえりというのは間違っていない。

「ただいま、かずさ」

だってかずさのいる場所が、かずさのいる場所だけが、春希の帰る場所なのだから…