機神と巨神
遥か昔
この世界がまだ
どこまで行っても果てない海と
どこまで行っても尽きない空だけだった頃
二柱の巨大な神が生まれた
巨神と機神
神々は
互いの存亡をかけて戦い
そして
骸となった
それから
幾万の昼と夜を経た今
僕らの世界――
巨神の骸の上に広がる大地
巨神界は
機神兵によって
蹂躙されていた
大剣の渓谷
ホムス兵 :退け 退けー
来るな 来るなー
七八型対人機神兵の数は
測定不能
ダンバン :右翼の乱れに乗じて進軍たぁ
機械のバケモンにしちゃあ
知恵が回るじゃねえか
けどな――
ディクソン :ダンバン!
全軍に撤退命令だ
戦線をコロニー6まで後退
そこに最終防衛戦を張るぞ!
ダンバン :なるほど
そいつは賢明だ
このままじゃ俺たち
皆あの世行きだからな
ムムカ :ちげえねえ
そいじゃとっとと退いちまおうぜ!
ダンバン :なぁんて言うとでも思ったか?
ムムカ :何ぃ?
ダンバン :退かなきゃ死ぬが
退けば未来は掴めない
なら掴もうぜ未来
なぁに
俺たちにはこのモナドがある
掴めるさ
絶対にな!
ディクソン :このイノシシが!
これ以上は貴様の身体が
モナドに付いていけん
動きを見ていればわかる!
ダンバン :その年でもう老眼か?
ディクソン
俺は平気だよ
まだこいつは握れてる
ディクソン :ふん
イノシシにゃあ
言葉が通じない――か
よかろう
俺も付き合うぜ!
貴様の死に顔
拝んでやろう
ダンバン :アンタに拝まれるのだけは
勘弁願いたいね
ムムカ :おいおいおい!
撤退命令が出たって
言ってたろ!
俺は御免だぜ!
ダンバン :だめだめ
お前も来るんだよ!
そいつだって頼りにしてるんだ
ホムス兵 :敵の第二陣が
侵攻を開始しました!
ディクソン :さぁてダンバンよ
奴らに見せてやろうぜ
俺達ホムスの
生き意地ってやつをよ!
ダンバン :承知!
ムムカ :何が生き意地だよ?
バカじゃねえのか?
死んじまっちゃ
冗談にもなんねぇぜ
仕方ねえ――
こうなったら
ダンバンの野郎を囮にして
適当に隙を見て――