１３．「無題」

ヤン「喪子様､どうして私は喪子様の近くに置いて頂けないのでしょうか｡」

ヤンは最近私の家で働く様になった､とても有能な執事である｡能力だけではなく､見た目も異様なまでに美しい｡その彼は私の姉の専属執事として働いている｡
私の姉はとても美しく優しい女性で、私と血が繋がっているとはとても思えない｡多くの男性から恋文も送られてくると聞いている｡私とは真逆の存在だ｡

だから私はなぜ彼にこんな事を言われているのか分からないのである｡

ヤン「私にとって仕えるべき主とは喪子様だけ｡他の人間なんてどうでもよいのです｡私は喪子様の命にのみ従いたいのです｡貴女様だけを求めているのです｡」

目の前にいる彼は中世の騎士の様に私の足元に跪き手の甲に優しくキスをする｡

ヤン「どうか私を喪子様だけで満たして下さいませんか｡私の全ては喪子様の為だけにあるのですよ｡あの時からずっと､永遠に...ね｡」