最終更新:ID:RX/kHwvHrw 2018年03月01日(木) 18:10:45履歴
今日中に全部書き上げられなかったので中途半端ですが、辛うじて状況は分かるので投稿させてください
ヤンが出てこない
心を病んでるというより、育った環境や常識が普通の人と違うタイプ
監禁ネタ
エセオカルト、日本語も歴史も詳しくないので色々おかしい
以上許せる方は読んであげてください
山奥の人目を避けるような集落。
もう地図から消滅しているか、老人だけのところが多いだろう。
でも私が嫁いだここは違った。街までのバスは一日二往復、車で一時間、店や会社の多い市街地なら一時間半、その向こうの工業地帯は朝晩の混雑を考えれば二時間近くかかるだろう。農業と林業を営む者以外は車で長い時間を掛けて通勤するような不便な土地故、新しく入ってくる人間はいない。しかし昔からここに暮らす家だけで不便な山間にこの規模の集落があることに、初めて訪れた時には正直驚かされた。
私は一応、この集落の隣の県から来た人間で、都会人ではない。隣県の実家から私が就職した県庁までは二時間程度だ。それでも、こんな集落があるなんて、大学でこの県に住み始めたが全く知らなかった。
こう言っては何だが、推理小説に出てくる隔離された村、のような雰囲気だ。
郵便局員や銀行の出張所も、大体が集落の出身者が勤めていて、行政や流通、公共性の高い企業からも手厚く扱われていた。昔ながらのラーメンもあれば洋食もある食堂、昼は喫茶店で夜はスナックになる店。真っ白な髪の老年の主人が営む床屋の隣で、その娘がもう少し現代的な外観のヘアサロンをやっていたりする。私が生まれる前からありそうなポスターや看板が現役だったりもする。
私がよく知らない昭和を思わせる街並みで、白黒の写真で見たものから、ここを訪れる以前に田舎でよく見たもの、割と最近(と行っても、私が小学生くらい)のものまでごちゃ混ぜの不思議な町に見えた。
その村で、今年を締めくくる除夜の鐘が鳴る。似ているだけで、この村ではそう呼ばないが。
唯一の幼稚園の園長を兼ねる住職は、この村だけで行われ、村の外には知られてはいけない儀式に大忙しだろう。唯一人がいる神社の神職も。
この村の宗教観は私が今まで、ごく普通の日本人として生きていた常識とは大きく外れている。一応この国で、僧侶、神職とされる資格は持っているようだがあくまで世間的な肩書きに過ぎなかった。
外界との関わりの中、神社と寺が建てられ、この村の宗教を取り仕切る彼らは、それぞれの家で寺と神社という呼び名を振り分けられただけ。
この村を室町時代から治める「病上(ヤミガミ)家」は、この集落に突然現れた見目麗しく、都のありとあらゆる方面の一流の知識を持ち、武芸にも長けた一人の男によって始まったと伝えられている。その男がこの村に住み始めた経緯は不明だが、男は村人の生活を良くし武芸を教え、智計により何度も盗賊や落ち武者から村を救った。
村長の娘を娶ったがある年、男が数日村を離れた間に、大勢の輩に襲撃された。男の子供を含む大勢の村人が命を奪われ、連れ去られて帰ってこない女もいた。男の妻も顔は無事だったが体に消えない傷を負わされた。
冬の蓄えも年貢も奪われた村人は男に詰め寄り、まだ赤子の娘を山神に生贄として捧げろと要求した。
言い伝えによれば、その時男は不思議な力で村人達を妻と娘から引き離し、手も触れず大男ですら数メートル吹き飛ばしたのだそうだ。
「一月待ちなさい、それでお前達を納得させられなければ、娘を生贄に捧げよう」と言い残し一人で山に入った男は二日後、人一人丸呑みにできるほどの大きな狼の頭を引き摺って戻ってきた。優男のどこにそんな力があったのか、その頭は男三人がかりでやっと引っ張れるほどだった。その頭蓋骨と、骨の一部は今でも病上家によって封印されているらしい。それからという者、村の巫女に毎年生贄を要求し、捧げても天災を起こす神がいた頃と打って変わり災害の少ない土地になったという。
男の言った通りの場所に野党の住処があり、これもまた見事な計略により皆殺しとした。男を麓の村に呼び出した侍は謎の病に侵され一月苦しんだ後に死亡、一族郎党、悲惨な最期を遂げるが行方知れずとなったという。
その侍と敵対していた、隣の領主にその手腕と頭脳を買われ、この土地の支配を認められたのだという。
昔の言葉に詳しくはないのだが、病上家は「止・神」おそらく「止む(ヤム)神」からきているのだろう。山を治めていた狼の神を殺した男が新たな神となり、共に村にやってきた従者の子孫が、今の住職と神主だ。その後どんな変遷があったのか、この国の普通とはかけ離れた宗教になっている。
私は何も知らず、その病上家の本家の長男の嫁になった。村人は彼を若様と呼び、私は奥方様や若奥様、老人からはお姫様の意味らしいおひい様と呼ばれたりもする。
この村はおかしいと夫に説得を試み続けた私は、今年の儀式には参加しない。閉鎖的な村で行われた、現代では異端としか言えない数々を公にしようと県庁時代の上司に接触し、夫を遠くの土地へと連れ出そうとした私はもう一月も、屋敷の座敷牢に監禁されているからだ。
幸い本家の跡取りの嫁である私に虐待が加えられることはなく、外と連絡を取る手段はないが快適な暮らしと十分な食事、暇つぶしや娯楽を提供されている。
立派な旧家の跡取りに見染められたと思っている両親は、帰省も電話もない事を不審に思わない。
ここは豪雪地帯、夏でも道路を避け自分の足で山を降りようとすれば迷ってしまう場所。バスの運転手は私を乗せてはくれない。この家の車の鍵がどこにあるのも分からなければ、私を麓まで送ってくれる村人なんてどこにもいない。私はこの村のおぞましい家の嫁として生きる事を受け入れるまで、生きてここから出る事は叶わないのだ。
あんなに愛したのに今では憎い夫が、毎晩会いに来ては愛を囁き、村に染まるのを懇願しては子作りを強いられるのが苦痛でたまらなかった。それなのに、今は人と話せる夫の訪れが待ち遠しくて仕方ない。
きっといずれ、私はこの村で生きる事を選び、この山の神の妻である事を誇らしく思うようになるんだろう。
ヤンが出てこない
心を病んでるというより、育った環境や常識が普通の人と違うタイプ
監禁ネタ
エセオカルト、日本語も歴史も詳しくないので色々おかしい
以上許せる方は読んであげてください
山奥の人目を避けるような集落。
もう地図から消滅しているか、老人だけのところが多いだろう。
でも私が嫁いだここは違った。街までのバスは一日二往復、車で一時間、店や会社の多い市街地なら一時間半、その向こうの工業地帯は朝晩の混雑を考えれば二時間近くかかるだろう。農業と林業を営む者以外は車で長い時間を掛けて通勤するような不便な土地故、新しく入ってくる人間はいない。しかし昔からここに暮らす家だけで不便な山間にこの規模の集落があることに、初めて訪れた時には正直驚かされた。
私は一応、この集落の隣の県から来た人間で、都会人ではない。隣県の実家から私が就職した県庁までは二時間程度だ。それでも、こんな集落があるなんて、大学でこの県に住み始めたが全く知らなかった。
こう言っては何だが、推理小説に出てくる隔離された村、のような雰囲気だ。
郵便局員や銀行の出張所も、大体が集落の出身者が勤めていて、行政や流通、公共性の高い企業からも手厚く扱われていた。昔ながらのラーメンもあれば洋食もある食堂、昼は喫茶店で夜はスナックになる店。真っ白な髪の老年の主人が営む床屋の隣で、その娘がもう少し現代的な外観のヘアサロンをやっていたりする。私が生まれる前からありそうなポスターや看板が現役だったりもする。
私がよく知らない昭和を思わせる街並みで、白黒の写真で見たものから、ここを訪れる以前に田舎でよく見たもの、割と最近(と行っても、私が小学生くらい)のものまでごちゃ混ぜの不思議な町に見えた。
その村で、今年を締めくくる除夜の鐘が鳴る。似ているだけで、この村ではそう呼ばないが。
唯一の幼稚園の園長を兼ねる住職は、この村だけで行われ、村の外には知られてはいけない儀式に大忙しだろう。唯一人がいる神社の神職も。
この村の宗教観は私が今まで、ごく普通の日本人として生きていた常識とは大きく外れている。一応この国で、僧侶、神職とされる資格は持っているようだがあくまで世間的な肩書きに過ぎなかった。
外界との関わりの中、神社と寺が建てられ、この村の宗教を取り仕切る彼らは、それぞれの家で寺と神社という呼び名を振り分けられただけ。
この村を室町時代から治める「病上(ヤミガミ)家」は、この集落に突然現れた見目麗しく、都のありとあらゆる方面の一流の知識を持ち、武芸にも長けた一人の男によって始まったと伝えられている。その男がこの村に住み始めた経緯は不明だが、男は村人の生活を良くし武芸を教え、智計により何度も盗賊や落ち武者から村を救った。
村長の娘を娶ったがある年、男が数日村を離れた間に、大勢の輩に襲撃された。男の子供を含む大勢の村人が命を奪われ、連れ去られて帰ってこない女もいた。男の妻も顔は無事だったが体に消えない傷を負わされた。
冬の蓄えも年貢も奪われた村人は男に詰め寄り、まだ赤子の娘を山神に生贄として捧げろと要求した。
言い伝えによれば、その時男は不思議な力で村人達を妻と娘から引き離し、手も触れず大男ですら数メートル吹き飛ばしたのだそうだ。
「一月待ちなさい、それでお前達を納得させられなければ、娘を生贄に捧げよう」と言い残し一人で山に入った男は二日後、人一人丸呑みにできるほどの大きな狼の頭を引き摺って戻ってきた。優男のどこにそんな力があったのか、その頭は男三人がかりでやっと引っ張れるほどだった。その頭蓋骨と、骨の一部は今でも病上家によって封印されているらしい。それからという者、村の巫女に毎年生贄を要求し、捧げても天災を起こす神がいた頃と打って変わり災害の少ない土地になったという。
男の言った通りの場所に野党の住処があり、これもまた見事な計略により皆殺しとした。男を麓の村に呼び出した侍は謎の病に侵され一月苦しんだ後に死亡、一族郎党、悲惨な最期を遂げるが行方知れずとなったという。
その侍と敵対していた、隣の領主にその手腕と頭脳を買われ、この土地の支配を認められたのだという。
昔の言葉に詳しくはないのだが、病上家は「止・神」おそらく「止む(ヤム)神」からきているのだろう。山を治めていた狼の神を殺した男が新たな神となり、共に村にやってきた従者の子孫が、今の住職と神主だ。その後どんな変遷があったのか、この国の普通とはかけ離れた宗教になっている。
私は何も知らず、その病上家の本家の長男の嫁になった。村人は彼を若様と呼び、私は奥方様や若奥様、老人からはお姫様の意味らしいおひい様と呼ばれたりもする。
この村はおかしいと夫に説得を試み続けた私は、今年の儀式には参加しない。閉鎖的な村で行われた、現代では異端としか言えない数々を公にしようと県庁時代の上司に接触し、夫を遠くの土地へと連れ出そうとした私はもう一月も、屋敷の座敷牢に監禁されているからだ。
幸い本家の跡取りの嫁である私に虐待が加えられることはなく、外と連絡を取る手段はないが快適な暮らしと十分な食事、暇つぶしや娯楽を提供されている。
立派な旧家の跡取りに見染められたと思っている両親は、帰省も電話もない事を不審に思わない。
ここは豪雪地帯、夏でも道路を避け自分の足で山を降りようとすれば迷ってしまう場所。バスの運転手は私を乗せてはくれない。この家の車の鍵がどこにあるのも分からなければ、私を麓まで送ってくれる村人なんてどこにもいない。私はこの村のおぞましい家の嫁として生きる事を受け入れるまで、生きてここから出る事は叶わないのだ。
あんなに愛したのに今では憎い夫が、毎晩会いに来ては愛を囁き、村に染まるのを懇願しては子作りを強いられるのが苦痛でたまらなかった。それなのに、今は人と話せる夫の訪れが待ち遠しくて仕方ない。
きっといずれ、私はこの村で生きる事を選び、この山の神の妻である事を誇らしく思うようになるんだろう。