最終更新:ID:yBr/C7DL9A 2018年02月27日(火) 21:28:14履歴
前スレに上げた喪女医と愉快なヤンデレ達の話しです。
少しながいので、何回かに分けて投稿します
今日も今日とて、彼は話すことをなかなかやめない。
真っ黒な目、オールバックにされた髪型はそれでいて古臭さは全くなく、凛々しい眉と相まって、どこかドラマの世界の世界からとびたして来た人物のようだ。
一見、全てを腹に抱え込み、虎視眈々と重役を狙っていそうである。実際それは間違いではないのだが、
この場において、彼は全ての鎧を取り外してしまったようであった。
「それで、あいつ、俺になんて言ったと思います!お前のせいで、人生めちゃくちゃだとか、ずっと暗い顔して幸せなんて無さそうだとか!!
黙って聞いてるだけで、もう、もう…
喪田先生もそう思われますよね!」
「大変でしたね、押し留まれて、立派ですよ。」
怒りからか悲しみからか、目をうっすら潤ませ、肩を振るわせる彼に声をかける。
おうむ返しに、労る言葉、所々誉め言葉を混ぜておき、あとは相槌を打つだけ。
この役目は私じゃなくても新人のナースでも十分任せられるような事だ。
患者からなんでも相談される、信頼ある医師になりたいと今でももちろん思っているが、医者はロバの耳ではない。
胃がいたい、どうしても辛いと夜中に飛び込んできた闇沢さん。
胃潰瘍がひどいため薬をだし、話を聞いた。目を見張るような凛々しさと美しさがある彼が、うちのような田舎の町医者に真夜中に飛び込んでくるなんてと驚きと、ひどく疲れた様子の彼になにかしてあげたいという気持ちで、眠い目をこすりながら話を聞いたのだった。
「………喪田さん」
「はい。どうしました?」
「あの、実は…今日聞いてほしい、相談があるというか…」
「?どうされました?力になるかわかりませんが、一緒に考えてみましょう?」
彼は本当につらそうに眉を下げ、こちらをみている。
「……会長が、娘を俺の嫁にしたいと…」
「…そうですか、それで?」
会長の娘とやらは先ほどの彼の友人の姉にあたる人物のようだ。
「私は、喪田さんと真剣にお付き合いしていると言ったのですが…」
「え?」
今なんて?
「そうなんですよ、ちゃんと喪田さんと付き合ってるって言ったのに、まだ進めてこようとするんです!!あり得ないですよね!」
なんだかおかしな単語がいっぱい聞こえた気がする。
「…付き合ってるというのはどういう事ですか?」
やだなあ喪田さん!だって喪田さん俺のこと好きですよね?
それとも、もしかして嫉妬してくれてるんですか?
大丈夫ですよ僕一途ですから!
聞こえてくるのは日本語のようだが全く理解できないでいる
冷静に考えるうちにぞわぞわと鳥肌がたってくる。
サイコホラー映画の主人公にでもなった気分だが、笑えない。
大学病院のころに准教授だった人に襲われた事を思い出す。
事務室のカルテ整理をたのんでいた看護婦さんを呼ぼうか考える。
だめだ。
やはり、誤解を解かなくては。
私はゆっくりと、闇沢さんは大切な患者であり、大変素晴らしい人格のかたであるが、全く恋愛感情はないこと、もしそう思わせることがあったなら、誤解を招いてしまっていて申し訳ないと思うと述べた。
私は婚約者いますし…と心の中で付け加えておく。
大学病院時代から私とずっと一緒にいてくれた彼。一時は私と一緒に田舎の開業医をしてくれるとまで言ってくれた。
結局は彼の家(と病院)を放っておかせる訳にもいかないので、単身赴任してもらっているのだ。
「今年こそ喪田ちゃんと結婚するから!浮気しないでね!」と別れのたびに繰り返す彼の姿がふっと浮かぶ。気持ちが少し楽になった。
「…そうですか」
しばらく口を開かなかった闇沢さんは、ゆっくりと腰を上げた。
良かった、分かってくれた。
きっと私は彼に何か勘違いをさせるようなことをしでかしてしまっていたのだろう。
ほっと胸を撫で下ろし、彼が診察室から出ていくのを見送る。
彼はいつも長話なので、最後になるよう時間をしているから今日の診察は終わりだ。
席を立ってから出ていくまで、全くの無表情だった彼が気にはなったが、私にはどうしようもないと、忘れようと務めた。
思い出すと、急に相澤さんに会いたくなってしまった。
電話してみようかな。笑われたらやだな。
続きは次回上げさせて頂きます。
失礼しました
少しながいので、何回かに分けて投稿します
今日も今日とて、彼は話すことをなかなかやめない。
真っ黒な目、オールバックにされた髪型はそれでいて古臭さは全くなく、凛々しい眉と相まって、どこかドラマの世界の世界からとびたして来た人物のようだ。
一見、全てを腹に抱え込み、虎視眈々と重役を狙っていそうである。実際それは間違いではないのだが、
この場において、彼は全ての鎧を取り外してしまったようであった。
「それで、あいつ、俺になんて言ったと思います!お前のせいで、人生めちゃくちゃだとか、ずっと暗い顔して幸せなんて無さそうだとか!!
黙って聞いてるだけで、もう、もう…
喪田先生もそう思われますよね!」
「大変でしたね、押し留まれて、立派ですよ。」
怒りからか悲しみからか、目をうっすら潤ませ、肩を振るわせる彼に声をかける。
おうむ返しに、労る言葉、所々誉め言葉を混ぜておき、あとは相槌を打つだけ。
この役目は私じゃなくても新人のナースでも十分任せられるような事だ。
患者からなんでも相談される、信頼ある医師になりたいと今でももちろん思っているが、医者はロバの耳ではない。
胃がいたい、どうしても辛いと夜中に飛び込んできた闇沢さん。
胃潰瘍がひどいため薬をだし、話を聞いた。目を見張るような凛々しさと美しさがある彼が、うちのような田舎の町医者に真夜中に飛び込んでくるなんてと驚きと、ひどく疲れた様子の彼になにかしてあげたいという気持ちで、眠い目をこすりながら話を聞いたのだった。
「………喪田さん」
「はい。どうしました?」
「あの、実は…今日聞いてほしい、相談があるというか…」
「?どうされました?力になるかわかりませんが、一緒に考えてみましょう?」
彼は本当につらそうに眉を下げ、こちらをみている。
「……会長が、娘を俺の嫁にしたいと…」
「…そうですか、それで?」
会長の娘とやらは先ほどの彼の友人の姉にあたる人物のようだ。
「私は、喪田さんと真剣にお付き合いしていると言ったのですが…」
「え?」
今なんて?
「そうなんですよ、ちゃんと喪田さんと付き合ってるって言ったのに、まだ進めてこようとするんです!!あり得ないですよね!」
なんだかおかしな単語がいっぱい聞こえた気がする。
「…付き合ってるというのはどういう事ですか?」
やだなあ喪田さん!だって喪田さん俺のこと好きですよね?
それとも、もしかして嫉妬してくれてるんですか?
大丈夫ですよ僕一途ですから!
聞こえてくるのは日本語のようだが全く理解できないでいる
冷静に考えるうちにぞわぞわと鳥肌がたってくる。
サイコホラー映画の主人公にでもなった気分だが、笑えない。
大学病院のころに准教授だった人に襲われた事を思い出す。
事務室のカルテ整理をたのんでいた看護婦さんを呼ぼうか考える。
だめだ。
やはり、誤解を解かなくては。
私はゆっくりと、闇沢さんは大切な患者であり、大変素晴らしい人格のかたであるが、全く恋愛感情はないこと、もしそう思わせることがあったなら、誤解を招いてしまっていて申し訳ないと思うと述べた。
私は婚約者いますし…と心の中で付け加えておく。
大学病院時代から私とずっと一緒にいてくれた彼。一時は私と一緒に田舎の開業医をしてくれるとまで言ってくれた。
結局は彼の家(と病院)を放っておかせる訳にもいかないので、単身赴任してもらっているのだ。
「今年こそ喪田ちゃんと結婚するから!浮気しないでね!」と別れのたびに繰り返す彼の姿がふっと浮かぶ。気持ちが少し楽になった。
「…そうですか」
しばらく口を開かなかった闇沢さんは、ゆっくりと腰を上げた。
良かった、分かってくれた。
きっと私は彼に何か勘違いをさせるようなことをしでかしてしまっていたのだろう。
ほっと胸を撫で下ろし、彼が診察室から出ていくのを見送る。
彼はいつも長話なので、最後になるよう時間をしているから今日の診察は終わりだ。
席を立ってから出ていくまで、全くの無表情だった彼が気にはなったが、私にはどうしようもないと、忘れようと務めた。
思い出すと、急に相澤さんに会いたくなってしまった。
電話してみようかな。笑われたらやだな。
続きは次回上げさせて頂きます。
失礼しました