こちらはあにまん掲示板様の雪花×ワイくんスレの掲載された素晴らしいss集です。
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もし、問題があるようでしたら削除させていただきますので何卒よろしくお願いします
13 二次元好きの匿名さん22/05/16(月) 18:54:05
17 二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 12:41:54
雪花「はぁはぁ……ああもうダメだねこりゃ、どうにか片付けてここまで逃げてきたけど、もう体の感覚ないにゃ、どっこいしょ」
抱えていたワイの体を横に下ろし、そのとなりに腰かける。
雪花「ふぃ一息。しっかし君も本当に物好きだね。こんな物悲しい役目に付き合ってさ。勇者でもないのに。いくら惚れた腫れた聞いてても正直ひくわーなんて、うんでもまぁ」
雪花「私も、実は好きだったからいっか」
雪花「あーあ本当だったらこんな殺風景なところじゃなくてさ、もっと暖かくてお花とかいっぱいあるお洒落なチャペルで綺麗にデザインされたウェディングドレスで改めて君を惚れ直させてたさ。誓うの」
雪花「えーっと、死が二人を別つまで……は、ちょっと短すぎるか……いいやアレンジ、死が二人を別とうとも生まれ変わっても永遠に愛し合うことを誓いますか? はい誓います。君は?」
「」
雪花「なんとかいってよーﾊﾊ、いやもう聞いてるもんね。一番最初に。あのときは、あんなこと、言っちゃったけど……」
隣のワイに力が抜けたように頭を預ける雪花
雪花「実はさ、あの一言でもうさ落ちちゃってた」
「……ねえ、こんど、ふたりで買い物、いこうね。かっこいいふく、えらんで……」
31 二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 21:40:33
洞穴にて─
雪花「いやはや、この頃は敵が多くて流石の雪花さんもくたびれモードだにゃ……」
ワイ「おかえり、今日もお疲れ様。ご飯できてるから一緒に食べよ？」
雪花「おぉ〜ちなみに今日のメニューは？」
ワイ「ふふん、今日のメニューは肉団子入りの鍋ラーメンだよ！」
雪花「わーい！鍋ラーメン好きー！」
〜食事中〜
雪花「うんうん、肉団子の旨味がスープに溶けて…白菜もくたくたで美味しいぃ……」
ワイ「そりゃよかった。おかわりはまだあるから、たくさん食べてね」
雪花「ありがたくいただきます」
雪花「それにしても君、本当に料理上手だよね。女子として雪花さん焼けちゃうなぁ」
ワイ「そんなことないよ。昔から作ってたし、今まで料理を褒められて嬉しいって思わなかったから…」
雪花「………」
ワイ「でも、君が美味しいって食べてくれると、とっても嬉しい」
雪花「もぉー君は褒め上手だなぁ。そんなこと言われたら雪花さんもっと食べちゃう」
ワイ「えへへ、ありがとう」
雪花「///」
50 二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 16:37:49
モゾモゾ……
雪花(最近、ワイ君が夜になるとモゾモゾして何かをしている…)
雪花(彼もそういう年頃だし、しょうがないとは思う……だけど…)
雪花(女の子の私が隣にいるのにする！？普通！？)
〜数日後〜
雪花「ご馳走様でした」
ワイ「お粗末様でした。お風呂沸かしてあるけど先に入る？」
雪花「じゃぁ、お先お風呂失礼します」
ワイ「寒いから気をつけてね」
少し経って…
ワイ「今日も一日、お疲れ様。明日、食べたいものある？」
雪花「うーん、君の作ってくれた料理ならなんでも美味しいからなぁ……あ！久しぶりにラーメン食べたいな
ワイ「分かった。とびきりおいしいの作って待ってるよ」
雪花「ふふふ、明日がちょっと楽しみになった」
雪花「それじゃぁ、私はもう寝るね、おやすみ…」
ワイ「あ、ちょっと待って」
雪花「？」
差し出される紙袋
ワイ「これ、誕生日プレゼント。本当は誕生日パーティーとかしたかったけど余裕がなくて……」
雪花「これ、マフラー…もしかして君が編んだの？」
ワイ「実は……何をあげたらいいかわからなくて、勇者の服が寒そうだったからなんか暖かいものがいいなって思って……初めてだったからあんまり上手くないかも……」
雪花「ううん。すっごくあったかい。天気のいい春の日くらいポカポカする」
ワイ「そんなに？でもよかった気に入ってくれて」
雪花「最近は冷え込むからね。これがあれば百人力よ！」
ワイ「でも、危なくない程度にね」
雪花「……それじゃぁ、もう寝るね」
ワイ「うん。…ハッピーバースデー雪花、お誕生日おめでとう」
雪花「ありがとう。おやすみワイ君」
78 二次元好きの匿名さん22/05/20(金) 21:06:24
雪花「………」
ワイ「あれ？雪花どうしたの？」
雪花「ねぇねぇ、たまにはさ、寄り道とかしてみない？」
不思議に思うワイ。しかし雪花の視線の先にある壊された服屋を見て、察しがついた
ワイ「そうだね、たまには寄り道もしてみようか」
店内はひどい有様で、ガラス片や破れた衣服がそこらじゅうに散乱していた。本来ならこういう場所への侵入は不法侵入になるのだが、幸いというべきか、もうここにはほとんど人はいない。ならば、少しくらい物色しても文句は言われないはずだ。
雪花「こんなのどうかな？」
更衣室から手招きする雪花に呼ばれてきてみると、雪花はもうすでに着替えを済ませていた
ワイ「わぁぁぁ」
思わず感嘆の息が出てしまった。それくらい雪花のことが魅力的に写ってしまったのだ
ワイ「君は本当に、何を着ても綺麗だね」
雪花「もぉ、そんな風に言われると雪花さんも照れちゃうにぁ……」
ワイ「というか、雪花って一人で着物着れるんだね」
雪花「まぁね。こういうの趣味ですから。あ、そうだ。次はワイ君の番だよ？」
ワイ「えっ？」
その後、和泉が雪花の着せ替え人形とされたことは言うまでもない
91 二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 20:36:07
ワイ「………」
雪花「なーにしてるの！」
ワイ「うわっ！ちょっと雪花、いきなり飛び付かないでよ……」
雪花「ごめんごめーん。でも雪花さんがいる時に後ろ向いてモゾモゾしてたら、雪花さんちょっと勘繰っちゃうにゃ」
ワイ「何もしてないってば…」
雪花「本当かなー？……ふん！隙あり！」
ワイ「あ、ちょっと！」
雪花「へへへ私のいる時にエッチな本だなんて許せません…な……あれ？これご飯屋さんの本？」
ワイ「コンビニにあったから持ってきたんだよ…悪いかよ……」
雪花「ごめん……配慮が足りてなかった……でもなんで隠れて見てたの？」
ワイ「……理由話しても笑わない？」
雪花「笑わないよ……たぶん」
ワイ「……わかった話すよ……実はさ、僕、将来の夢があるんだ」
雪花「夢……」
ワイ「うん、夢。街角で喫茶店をやる夢」
ワイ「喫茶店て言っても今風の過度に凝ったオシャレなやつじゃなくて、ナポリタンとかフレンチトーストとか出てくる、そういう昔ながらの喫茶店」
ワイ「で、その将来の夢のための勉強に呼んでたわけ」
雪花「そうだったんだね……ごめん」
ワイ「謝るのはこっちだよ。君に誤解を招いてしまった。ごめん」
雪花「………」
ワイ「………」
ワイ「それに…」
ワイ「自分のことを全部犠牲にして戦ってる君がいるのに、自分だけ夢の想像をするのはおこがましい気がして……」
雪花「……そんな事ないよ」
雪花「前までの私だったら、確かにこんな頑張ってる私を横目によくそんなことできるねって思ったかもしれない」
雪花「でも、今は違う。帰りたい場所があって、暖かい居場所がある」
雪花「私ね、今とっても幸せなんだ」
ワイ「…雪花」
雪花「それに、私だって夢を捨てたりしたわけじゃないんだよ？寝る時に将来の想像をするし、ファッション誌を読み漁ったりもする。だから本質的には…」
ワイ「…本質的には変わらないんだね、僕たち」
雪花「そう言うこと」
ワイ「……この戦いが終わって、店を開いたら、お客様第一号は君がいいな」
雪花「あら、雪花さんとしては一緒にお店を切り盛りもんだと思ってたけど」
ワイ「え！？それって…」
雪花「冗談、冗談。………叶うといいね私たちの夢」
ワイ「叶うよ、きっと」
雪花「そうだよね……今日のご飯はナポリタンがいいなー」
ワイ「任せて、とびきりおいしいやつ作るから」
雪花「えへへ、楽しみにしてるよ、マスター」
109 二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 15:25:32
薄情と言われるかもしれないけど
初めて出会ったときのことは正直あんまり覚えていない。
必死だった。本当に必死だった。
周囲は歪な怪物が我が物顔で飛び回り、人を食らい街を崩す、人の悲鳴をアラームに精霊に言われるまま飛び回り
住民の癇癪に耳を傾け、シャワーも浴びずに倒れ伏す毎日。
正義の味方なんて名乗れない。私を突き動かすのはがらにもない使命感よりも良心の呵責が全てだった。
たった一人だった。間違いなく世界で一番不幸だと思っていた。
だから、自分よりも必死な人間がいるとは思っていなかった。
もう二日も寝てなかったから色々途切れていたんだと思う。
どこかもわからない雪原で、夢中で槍を振り回していた私の背中はきっと隙だらけだったんだ。
背後で大きな音がして振り返ると、見知らぬ男の子が化け物と衝突して吹き飛んでいた。
雪原に落ちる男の子、注意が散った様子で動きを止めた化け物をほとんど意識しないで処理しながら、ようやく気付く
守るべきはずの人間が、私を置いて逃げるのが当たり前の誰かが、私を庇った。
その事を理解した瞬間、私は今までで一番の速度で残りの化け物共を薙ぎ払っていた。
全部終わって、心底嫌な気持ちでそっちに目を向けると、ボロボロの男の子が身を起こして笑っていた。
自分が生き残ったことよりも私が無事だったことに心底安堵している、その顔を見た瞬間
顔の熱が沸騰した。
すぐさまへたり込んでいるそいつの前にダッシュして――ギリギリ変身は解いていたけど――手加減無しの全力ビンタ
鼻血を出して吹き飛ぶそいつ。叩いた手がとても熱かった。
ただでさえ必死なのに仕事を増やすな、一人で死ぬなら私の知らないところで死んでくれ。
一度そんなことを言ってしまえば、次から次へと溜まっていたものが口から出てくる。
今考えると半分以上八つ当たりだった。誰かを責めたくて仕方なかった。罵りたくてしょうがなかった。
とても酷いことを捲し立てた気がする
なのに、私のビンタで鼻血を垂らしているそいつは何も言い返してこず、
息を切らしたこっちの様子を見てこんなことを言ってきた。
「――――」
は？ なにそれ。呆れた。そんなこと自分が一番よく知っている。赤の他人に一番言われたくない言葉だ。
その筈なのに、その言葉を聞いた瞬間、何かが溶けたように、目頭が熱くなって、体も熱くなって、なんだかよくわからなくなって
そこからのことを私はあまり覚えていない
…………恥ずかしくて思い出したくない。
（あー駄目駄目、はずいはずい！）
思い返して暖かくなった頬を抑え、くたびれた毛布にくるまってスヤスヤと寝息を立てる隣の彼を見る
（まったくもう、君と出会ってから雪花さんの色んな所は熱くなってばかりだよ）
意外とぽやぽやとしたほっぺを突く、ううんと寝言を漏らす姿も愛おしい。
ああ、暖かい。
（どんな熱もいつかは冷めるなんて言うけどさ。この温もりだけはなるべく長持ちさせたいもんだにゃ♪）
寝ている彼に寄り添う今の私は、きっと心底、恥ずかしい顔をしている。
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13 二次元好きの匿名さん22/05/16(月) 18:54:05
雪花「なんで君がここにいるの！？」
ワイ「……道に迷った」
雪花「救助隊はバスで来てたでしょ」
ワイ「…………」
雪花「なんで戻ってきたの……ここにいてもなんの役にも立たないし、すぐに死んじゃうよ」
ワイ「………嫌なんだ」
雪花「えっ？」
ワイ「嫌なんだよ！大好きな女の子が一人ぼっちで死ななきゃいけないなんて！僕はそんなの嫌だ！」
雪花「死ぬったって犬死じゃない、逃げてる人たちのところにアイツらが行かないように足止めする。それが勇者として私が最後にやること。だからいいんだよ」
ワイ「いいわけないだろ！！」
ワイ「僕は君に生きて欲しい！痛いこと、辛いこと、全部忘れて自分のやりたいことをやって欲しい！もっと笑って欲しいんだ、幸せになって欲しいんだ！」
雪花「……無理だよ。こんな世界なんだよ？それに私は勇者、みんなの為に戦わなくちゃ。………それに戦う力のない君に一体何ができるって言うのさ」
ワイ「確かに、僕には何もできない。僕は勇者じゃないし、喧嘩だってやったことない。君が傷つくのを見てることしかできない…」
ワイ「だから最後まで見届ける、君の終わりまで君のそばに居続ける。最後の瞬間まで絶対に一人ぼっちにさせない」
雪花「………ほんとバカだね、君は。……それを聞いて少し嬉しくなっちゃう私も」
雪花「…だったら、最後まで見届けて。私が生きた証を、勇者秋原雪花の勇姿を」
ワイ「……道に迷った」
雪花「救助隊はバスで来てたでしょ」
ワイ「…………」
雪花「なんで戻ってきたの……ここにいてもなんの役にも立たないし、すぐに死んじゃうよ」
ワイ「………嫌なんだ」
雪花「えっ？」
ワイ「嫌なんだよ！大好きな女の子が一人ぼっちで死ななきゃいけないなんて！僕はそんなの嫌だ！」
雪花「死ぬったって犬死じゃない、逃げてる人たちのところにアイツらが行かないように足止めする。それが勇者として私が最後にやること。だからいいんだよ」
ワイ「いいわけないだろ！！」
ワイ「僕は君に生きて欲しい！痛いこと、辛いこと、全部忘れて自分のやりたいことをやって欲しい！もっと笑って欲しいんだ、幸せになって欲しいんだ！」
雪花「……無理だよ。こんな世界なんだよ？それに私は勇者、みんなの為に戦わなくちゃ。………それに戦う力のない君に一体何ができるって言うのさ」
ワイ「確かに、僕には何もできない。僕は勇者じゃないし、喧嘩だってやったことない。君が傷つくのを見てることしかできない…」
ワイ「だから最後まで見届ける、君の終わりまで君のそばに居続ける。最後の瞬間まで絶対に一人ぼっちにさせない」
雪花「………ほんとバカだね、君は。……それを聞いて少し嬉しくなっちゃう私も」
雪花「…だったら、最後まで見届けて。私が生きた証を、勇者秋原雪花の勇姿を」
17 二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 12:41:54
雪花「はぁはぁ……ああもうダメだねこりゃ、どうにか片付けてここまで逃げてきたけど、もう体の感覚ないにゃ、どっこいしょ」
抱えていたワイの体を横に下ろし、そのとなりに腰かける。
雪花「ふぃ一息。しっかし君も本当に物好きだね。こんな物悲しい役目に付き合ってさ。勇者でもないのに。いくら惚れた腫れた聞いてても正直ひくわーなんて、うんでもまぁ」
雪花「私も、実は好きだったからいっか」
雪花「あーあ本当だったらこんな殺風景なところじゃなくてさ、もっと暖かくてお花とかいっぱいあるお洒落なチャペルで綺麗にデザインされたウェディングドレスで改めて君を惚れ直させてたさ。誓うの」
雪花「えーっと、死が二人を別つまで……は、ちょっと短すぎるか……いいやアレンジ、死が二人を別とうとも生まれ変わっても永遠に愛し合うことを誓いますか? はい誓います。君は?」
「」
雪花「なんとかいってよーﾊﾊ、いやもう聞いてるもんね。一番最初に。あのときは、あんなこと、言っちゃったけど……」
隣のワイに力が抜けたように頭を預ける雪花
雪花「実はさ、あの一言でもうさ落ちちゃってた」
「……ねえ、こんど、ふたりで買い物、いこうね。かっこいいふく、えらんで……」
31 二次元好きの匿名さん22/05/17(火) 21:40:33
洞穴にて─
雪花「いやはや、この頃は敵が多くて流石の雪花さんもくたびれモードだにゃ……」
ワイ「おかえり、今日もお疲れ様。ご飯できてるから一緒に食べよ？」
雪花「おぉ〜ちなみに今日のメニューは？」
ワイ「ふふん、今日のメニューは肉団子入りの鍋ラーメンだよ！」
雪花「わーい！鍋ラーメン好きー！」
〜食事中〜
雪花「うんうん、肉団子の旨味がスープに溶けて…白菜もくたくたで美味しいぃ……」
ワイ「そりゃよかった。おかわりはまだあるから、たくさん食べてね」
雪花「ありがたくいただきます」
雪花「それにしても君、本当に料理上手だよね。女子として雪花さん焼けちゃうなぁ」
ワイ「そんなことないよ。昔から作ってたし、今まで料理を褒められて嬉しいって思わなかったから…」
雪花「………」
ワイ「でも、君が美味しいって食べてくれると、とっても嬉しい」
雪花「もぉー君は褒め上手だなぁ。そんなこと言われたら雪花さんもっと食べちゃう」
ワイ「えへへ、ありがとう」
雪花「///」
50 二次元好きの匿名さん22/05/18(水) 16:37:49
モゾモゾ……
雪花(最近、ワイ君が夜になるとモゾモゾして何かをしている…)
雪花(彼もそういう年頃だし、しょうがないとは思う……だけど…)
雪花(女の子の私が隣にいるのにする！？普通！？)
〜数日後〜
雪花「ご馳走様でした」
ワイ「お粗末様でした。お風呂沸かしてあるけど先に入る？」
雪花「じゃぁ、お先お風呂失礼します」
ワイ「寒いから気をつけてね」
少し経って…
ワイ「今日も一日、お疲れ様。明日、食べたいものある？」
雪花「うーん、君の作ってくれた料理ならなんでも美味しいからなぁ……あ！久しぶりにラーメン食べたいな
ワイ「分かった。とびきりおいしいの作って待ってるよ」
雪花「ふふふ、明日がちょっと楽しみになった」
雪花「それじゃぁ、私はもう寝るね、おやすみ…」
ワイ「あ、ちょっと待って」
雪花「？」
差し出される紙袋
ワイ「これ、誕生日プレゼント。本当は誕生日パーティーとかしたかったけど余裕がなくて……」
雪花「これ、マフラー…もしかして君が編んだの？」
ワイ「実は……何をあげたらいいかわからなくて、勇者の服が寒そうだったからなんか暖かいものがいいなって思って……初めてだったからあんまり上手くないかも……」
雪花「ううん。すっごくあったかい。天気のいい春の日くらいポカポカする」
ワイ「そんなに？でもよかった気に入ってくれて」
雪花「最近は冷え込むからね。これがあれば百人力よ！」
ワイ「でも、危なくない程度にね」
雪花「……それじゃぁ、もう寝るね」
ワイ「うん。…ハッピーバースデー雪花、お誕生日おめでとう」
雪花「ありがとう。おやすみワイ君」
78 二次元好きの匿名さん22/05/20(金) 21:06:24
雪花「………」
ワイ「あれ？雪花どうしたの？」
雪花「ねぇねぇ、たまにはさ、寄り道とかしてみない？」
不思議に思うワイ。しかし雪花の視線の先にある壊された服屋を見て、察しがついた
ワイ「そうだね、たまには寄り道もしてみようか」
店内はひどい有様で、ガラス片や破れた衣服がそこらじゅうに散乱していた。本来ならこういう場所への侵入は不法侵入になるのだが、幸いというべきか、もうここにはほとんど人はいない。ならば、少しくらい物色しても文句は言われないはずだ。
雪花「こんなのどうかな？」
更衣室から手招きする雪花に呼ばれてきてみると、雪花はもうすでに着替えを済ませていた
ワイ「わぁぁぁ」
思わず感嘆の息が出てしまった。それくらい雪花のことが魅力的に写ってしまったのだ
ワイ「君は本当に、何を着ても綺麗だね」
雪花「もぉ、そんな風に言われると雪花さんも照れちゃうにぁ……」
ワイ「というか、雪花って一人で着物着れるんだね」
雪花「まぁね。こういうの趣味ですから。あ、そうだ。次はワイ君の番だよ？」
ワイ「えっ？」
その後、和泉が雪花の着せ替え人形とされたことは言うまでもない
91 二次元好きの匿名さん22/05/21(土) 20:36:07
ワイ「………」
雪花「なーにしてるの！」
ワイ「うわっ！ちょっと雪花、いきなり飛び付かないでよ……」
雪花「ごめんごめーん。でも雪花さんがいる時に後ろ向いてモゾモゾしてたら、雪花さんちょっと勘繰っちゃうにゃ」
ワイ「何もしてないってば…」
雪花「本当かなー？……ふん！隙あり！」
ワイ「あ、ちょっと！」
雪花「へへへ私のいる時にエッチな本だなんて許せません…な……あれ？これご飯屋さんの本？」
ワイ「コンビニにあったから持ってきたんだよ…悪いかよ……」
雪花「ごめん……配慮が足りてなかった……でもなんで隠れて見てたの？」
ワイ「……理由話しても笑わない？」
雪花「笑わないよ……たぶん」
ワイ「……わかった話すよ……実はさ、僕、将来の夢があるんだ」
雪花「夢……」
ワイ「うん、夢。街角で喫茶店をやる夢」
ワイ「喫茶店て言っても今風の過度に凝ったオシャレなやつじゃなくて、ナポリタンとかフレンチトーストとか出てくる、そういう昔ながらの喫茶店」
ワイ「で、その将来の夢のための勉強に呼んでたわけ」
雪花「そうだったんだね……ごめん」
ワイ「謝るのはこっちだよ。君に誤解を招いてしまった。ごめん」
雪花「………」
ワイ「………」
ワイ「それに…」
ワイ「自分のことを全部犠牲にして戦ってる君がいるのに、自分だけ夢の想像をするのはおこがましい気がして……」
雪花「……そんな事ないよ」
雪花「前までの私だったら、確かにこんな頑張ってる私を横目によくそんなことできるねって思ったかもしれない」
雪花「でも、今は違う。帰りたい場所があって、暖かい居場所がある」
雪花「私ね、今とっても幸せなんだ」
ワイ「…雪花」
雪花「それに、私だって夢を捨てたりしたわけじゃないんだよ？寝る時に将来の想像をするし、ファッション誌を読み漁ったりもする。だから本質的には…」
ワイ「…本質的には変わらないんだね、僕たち」
雪花「そう言うこと」
ワイ「……この戦いが終わって、店を開いたら、お客様第一号は君がいいな」
雪花「あら、雪花さんとしては一緒にお店を切り盛りもんだと思ってたけど」
ワイ「え！？それって…」
雪花「冗談、冗談。………叶うといいね私たちの夢」
ワイ「叶うよ、きっと」
雪花「そうだよね……今日のご飯はナポリタンがいいなー」
ワイ「任せて、とびきりおいしいやつ作るから」
雪花「えへへ、楽しみにしてるよ、マスター」
109 二次元好きの匿名さん22/05/22(日) 15:25:32
薄情と言われるかもしれないけど
初めて出会ったときのことは正直あんまり覚えていない。
必死だった。本当に必死だった。
周囲は歪な怪物が我が物顔で飛び回り、人を食らい街を崩す、人の悲鳴をアラームに精霊に言われるまま飛び回り
住民の癇癪に耳を傾け、シャワーも浴びずに倒れ伏す毎日。
正義の味方なんて名乗れない。私を突き動かすのはがらにもない使命感よりも良心の呵責が全てだった。
たった一人だった。間違いなく世界で一番不幸だと思っていた。
だから、自分よりも必死な人間がいるとは思っていなかった。
もう二日も寝てなかったから色々途切れていたんだと思う。
どこかもわからない雪原で、夢中で槍を振り回していた私の背中はきっと隙だらけだったんだ。
背後で大きな音がして振り返ると、見知らぬ男の子が化け物と衝突して吹き飛んでいた。
雪原に落ちる男の子、注意が散った様子で動きを止めた化け物をほとんど意識しないで処理しながら、ようやく気付く
守るべきはずの人間が、私を置いて逃げるのが当たり前の誰かが、私を庇った。
その事を理解した瞬間、私は今までで一番の速度で残りの化け物共を薙ぎ払っていた。
全部終わって、心底嫌な気持ちでそっちに目を向けると、ボロボロの男の子が身を起こして笑っていた。
自分が生き残ったことよりも私が無事だったことに心底安堵している、その顔を見た瞬間
顔の熱が沸騰した。
すぐさまへたり込んでいるそいつの前にダッシュして――ギリギリ変身は解いていたけど――手加減無しの全力ビンタ
鼻血を出して吹き飛ぶそいつ。叩いた手がとても熱かった。
ただでさえ必死なのに仕事を増やすな、一人で死ぬなら私の知らないところで死んでくれ。
一度そんなことを言ってしまえば、次から次へと溜まっていたものが口から出てくる。
今考えると半分以上八つ当たりだった。誰かを責めたくて仕方なかった。罵りたくてしょうがなかった。
とても酷いことを捲し立てた気がする
なのに、私のビンタで鼻血を垂らしているそいつは何も言い返してこず、
息を切らしたこっちの様子を見てこんなことを言ってきた。
「――――」
は？ なにそれ。呆れた。そんなこと自分が一番よく知っている。赤の他人に一番言われたくない言葉だ。
その筈なのに、その言葉を聞いた瞬間、何かが溶けたように、目頭が熱くなって、体も熱くなって、なんだかよくわからなくなって
そこからのことを私はあまり覚えていない
…………恥ずかしくて思い出したくない。
（あー駄目駄目、はずいはずい！）
思い返して暖かくなった頬を抑え、くたびれた毛布にくるまってスヤスヤと寝息を立てる隣の彼を見る
（まったくもう、君と出会ってから雪花さんの色んな所は熱くなってばかりだよ）
意外とぽやぽやとしたほっぺを突く、ううんと寝言を漏らす姿も愛おしい。
ああ、暖かい。
（どんな熱もいつかは冷めるなんて言うけどさ。この温もりだけはなるべく長持ちさせたいもんだにゃ♪）
寝ている彼に寄り添う今の私は、きっと心底、恥ずかしい顔をしている。
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