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ドレイクと少女の話

―私(わたくし)は呪われた子供でした。母は私を産んですぐに亡くなりました。私はナイトメアとして生を受けたのですから当然です。
しかし何の運命かそれとも神の悪戯か、開墾したばかりの村なのに私は殺されませんでした。今思うと労働力が欲しかったのでしょう。
けど、私の父親は私が生きていることにあまり良い顔をしませんでした。まぁ今では、どんな顔だったのか忘れてしまいましたが、父は私にいつも「何故、お前が生きている。妻を返せ」と言われていた事だけは覚えています。親の愛情など一切受けていませんし、涙などとうの昔に枯れ果てました。
村人も私に対して無関心で、子供たちは私に向かって「母殺しの子」と言いながら石を投げていました。

呪われた子供に衣食住なんてありません。寝る所はボロボロの納屋、着る物は布切れのような服。食事は用意されておらず、虫や草など人が食べるような物では無いものを食べていました。
辛くなかったか?えぇ、辛かったですよ。子供ながらの親の愛情に飢えていましたし、甘えたかった。暖かい家、きれいな服、当たり前に出て来る食事。それを囲んで楽しそうに会話を広げる家族・・・私に無いもの全てが羨ましかった。

そんなある日の夜、村が赤く燃えていました。逃げ惑う村人を斬り殺すボガード、人の肉を喰らうオーガ。そして退屈そうに事の全てを見ているドレイク。
そう、蛮族に襲われていました。
頭の中で逃げなきゃと考えていましたが、幼い私は恐怖で足が動かず、納屋の小さな窓から離れる事が出来ず、ただ怯える事しか出来ませんでした。
すると父が震えた声で、ドレイクに向かいこう言いました。
「納屋に私の娘がいる。そいつを差し出すから、どうか命だけは」と言いました。私は父に自分の命が惜しい為、私を売ったのです。
しかしドレイクはその命乞いを鼻で笑い、言いました。
「我がそのような命乞いに応えるとでも?フン、下らぬ。下等生物には勿体ないが我の火球で焼け死ねる事を光栄に思え。―――真、第六階位の攻。火炎、灼熱、爆裂――火球」
右手から束ねられた炎の球が悲鳴を上げることも無く逃げ腰の父をあっけなく飲み込みました。引き連れていたボガード達は称賛らしきの唸り声を上げ、その様子を気にすることも無くドレイクは私がいる納屋の方へ足を進め、扉を開きました。

「・・・・随分と見すぼらしい格好だな、だが安心しろ。燃えてしまえば格好などどうでも良くなる」ドレイクは私に手をかざそうとしました。何となくですが、マナが集まっているのを感じていました。
死にたくない。私は手元に転がっていた鎌を持ち恐怖を抑えてドレイクに斬りかかりました。
−−−刃はドレイクに届く事はありませんでした。
しかし来るはずの熱さは無く、ドレイクは私を見て高らかに笑っていました
「フハハハハハッ!!恐怖を抑え、我を殺しに来たか!・・・気に入ったぞ小娘よ」
集まっていたマナは空気に溶け、私を見下し、スッと手を差し伸べました。
「我の手を取れ。貴様に拒否権など無い。」
私は伸ばされた手を取りました。何故か取らなければいけないと思っていました。
ドレイクは私を納屋から連れ出し、外にいたオーガに一言言うと私を抱え高く飛び立ちました。
「そういえばまだ名前を聞いていなかったな。名を教えろ。」
名前なんて無い。そういった意味で首を横に振りました。
「そうか、ではキリアと名付けよう。うむ、我ながら良い名をつけた。・・・我が名はセシル・キャヴェンディッシュ。貴様の主人となる者だ。」
「さてそろそろ帰るか。あとはあ奴らに任せておけば良いしな。」
そう言うとドレイク---セシル様は村から離れました。



失くした物は多いけれど、私は、何も悲しくなどありません。何故なら私は永遠に慕える主人を得たのですから。私は幸せでございます。
−−−これが私とセシル様のと出会いの話。私がナイトメアからダークナイトになった話でございます。ご清聴ありがとうございました。

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