現在閉校中のココネ学園ですが、生徒たちは現在もいろいろな形で自習活動を続けています。お久しぶりの人もぜひ遊びに来てください♪






関係詞(2011.03.01)

今日は、ベネッセで会議がありました。
上智大学の吉田研作先生や、東京外国語大学の根岸先生、
あるいは青山学院のアレン玉井先生と小中の英語教育の連携の問題を話してきました。

難題が山積みですね。
ココネのことも話題にして、ココネの可能性についてもいろいろ話しました。

今は、中学生の8割が、英語が苦手という意識をもっているそうです。
しかも、中学1年生の2学期あたりで
英語嫌いがたくさん出てくるという報告が文科省などから出ています。
ちょっと驚きです。

楽しく学ぶ、
続けて学ぶ、
を目指すココネの可能性が、そういう文脈の中で議論されました。
英語の捉え方だとか、指導の仕方だとか
全面的に意識改革が必要な気がします。




さて、今日の課題は関係節です。
関係代名詞が導入する節ということですね。

日本語なら、
「今すぐに修理が必要なブランコ」
のように、ブランコは最後に来ます。
ところが英語だと
a swing which needs to be repaired right away
のように、核となる名詞の後から、情報を追加することが可能ですね。

これを 後置修飾 と呼びますが、
関係節は、後置修飾の中でも一番表現力の豊かな構文です。


I know a woman
ある女性を知っている

と述べて、
I know a woman who ... とくれば、この who は
「だれって、それは」だとか
「だれかっていうと」といった感じで、
情報を追加する際のしるしのようなものです。

そして、
I know a woman who wants to talk to you.
の中で、a woman who wants to talk to you の全体が her で表現できるように、名詞句です。

who なら「だれって、それは」
which なら「どれって、それは」あるいは「どれかといえば」
副詞の when だと「いつかっていえば」
こんな意味合いで、情報を追加することの marker としての働きをします。


今日、お話したいことは、
この関係代名詞を使った名文を取り上げてみたいということです。

実は、大統領夫人のミッシェル・オバマは、
who の使い方においては、すごく説得力があるんです。

これから紹介するのは彼女が University of California, Merced という大学の
卒業式で行った演説です。

ちなみに University of California, Merced は、
カルフォルニア大学系の10番目の大学で、2005年にオープンしました。

カルフォルニア大学といえば、
UCLA だとか UC、Berkeley なんかが有名ですが、
Merced は一番新しいカルフォルニア大学です。

そこは record high unemployment という表現が行われるほど、
貧困層の人たちが多数住む地区なんです。
その地区(Merced)にできた大学で、オバマ夫人は大統領夫人として初めての演説を行いました。
her first commencement speech as First Lady ということです。

ハーバード大学やイエール大学などからも当然、誘いがあったのですが、
オバマ夫人は Merced の大学を選びました。
理由については次のように述べています。

A few people may be wondering why I chose the University of California, Merced,
 to deliver my first commencement speech as First Lady.
The answer is simple : You inspired me, you touched me.

学生や親が一丸となってオバマ夫人に手紙を書いたんですね。

そして、それが彼女を inspireし、touch しただから、
彼女はこの大学での演説を選んだと述べています。

今日は関係節の使い方に注目した個所を紹介します。
先ほど言いましたように、
オバマ夫人のスピーチには関係節を使った表現がものすごくよくみられるんです。
この演説に限らず、ほかのスピーチでも同じです。

さて、どのような形で使ったかを示します。
英文が長いので少しづづ切りながら提示してみます。



卒業生たちに、
現実は厳しく、就職状況だって楽観できない現在において、落胆することもあるだろう。
しかし、

ということろで彼女は次のように述べています。

In those moments, think about this day.
Look around you.
There are thousands of hardworking people who have helped you to get to this point.
I want you to think of the people who sacrificed for you--
 family members who took on more work to get you through,
 who put off doing something important for themselves to get you to this day.

And think about the friends who never got the chance to go to college but were still invested in your success,
 friends who talked you out of dropping out,
 and friends who kept you out of trouble so that you could graduate on time.

Most importantly, think of the millions of kids living all over this world
 who will never come close to having the chance to stand in your shoes ;
 kids who will never go to school at all because they're forced to work in a sweat shop somewhere;
 kids in your very own communities who just can't get a break,
 who don't have anyone in their lives telling them that
  they're good enough and smart enough to do whatever they can imagine ;
 kids who have lost the ability to dream.

こんな感じです。


何回関係代名詞の who が使われたかを今、数えてみます。
なんと、12回です!

この部分は、
自分が落ち込んだとき、
いろいろな人のことを想うように促し、
そしてそのいろいろな人とはどんな人かを関係代名詞を使って表現しています。

先ほども言いましたように、
Michelle は関係代名詞 who を使った表現が好きなようで、
大統領選での応援演説でもたくさんでてきました。

先ほど、中学生が英語が嫌いになる割合が高い、というお話をしました。
その理由は文法が分からない、ということなんですね。
よく2つの文を関係代名詞を使って1つにしなさい、という問題があります。

I know a woman.
She wants to talk to you.
これを I know a woman who wants to talk to you. に機械的に変えるようなエクササイズです。

これには2つの本質的な問題があります。

そのひとつは、
関係代名詞を使ったとたんに a woman who wants to talk to you 全体が名詞句になり、
2つの独立した文での表現とは表現の仕方が全然違ってくるということ。

もうひとつは、
機械的な置き換えだとか規則の丸暗記を行うために、英語表現にリアリティが感じられない。
つまり、嘘っぽい表現になってしまう、ということです。

そこで必要なのが grammar in text という視点です。
grammar in text とは文字通り、本物の英文の中に文法を読み取るということです。

先ほどの Michelle Obama の関係代名詞の使い方は、演説の中で行われたものであって本物です。
学校の英語はどうも白けてしまう。
この「白け」が英語嫌いを作る原因でもあるんじゃないかと思うんですね。
「白け」とは artificial ということです。
その反対は authentic ということです。
つまり、本物の力は人を引き付けるんだろうと思います。

もうひとつ
文法がわからないから英語がわからない、
だから嫌いになる、
もちろん、点数が取れない、成績が悪くなる、
こんなことが積み重なって、英語に対する苦手意識が強化されるんだろうと思うんです。

関係代名詞といえば、いかにもおどろおどろしい難解な言葉ですね。
でも、足らない情報を後から追加するときのマーカーだよ、といえばその難しさは消えます。

そして、関係代名詞の who も、疑問詞の who も
実は同じだということがわかると、関係代名詞が特別な存在ではなくなるはずです。

つまり、 who は疑問詞で、情報をさらに求めるはたらきがあります。

Who is that woman?
といえば「あの女性はだれですか?」という意味ですね。

I know a woman ... のままだと、それがどんな女性かわからない。
そこで、
I know a woman who wants to talk to you.
のように who を導入することで、
これから「それがどういう女性か」を説明するから待っててね、といったシグナルになるんです。

どうして先行詞が人の場合は who で
物の場合は which か?

もちろん、人の情報を明らかにするのだから who, whose, whom が使われ、
これはちょうど、he - who, his - whose, him - whom に対応するようになっています。

物の場合は、それがどれであるかと明らかにするということから which が使われます。

すると、訳し方として、
I know a woman who wants to talk to you. だと
「ある女性を知っているよ、誰って君と話したがっている人だ。」となり、
He proposed a theory which has revolutionized the discipline of linguistics.
といえば、
「彼はある理論を提起した、どれってそれは言語学の分野を革命的に変えるものだ。」
といった訳し方ができるんですね。
この訳し方の利点は、
情報を追加するシグナルとして who や which を取り扱っているということなんです。

that も関係節を導入する働きがありますが、
この that は疑問詞ではなく、指示詞です。
「それ」「あれ」に対応するコトバですね。

すると、
He has a dog that does funny tricks.
この場合、He has a dog と言い、that does funny tricks と続けることで、
この that は a dog を指すような感覚があります。

いずれにせよ、今日は詳しくはお話できませんが(時間の関係と準備不足のため)
関係代名詞という言葉も、
噛み砕いていけば、疑問詞や指示詞との関連で理解することができます。
すると、関係代名詞がわかるというだけでなく、
それが現実にどう使われているかを示すことで、
すごくリアリティを感じることができると思うんです。

ジャンルにもよりますが、
関係代名詞で頻度の高いのは who, which, それに that です。

おもしろいことに、
who の先行詞として最も多いのは a person, somebody, anyone のように
そのままでは不定の対象を表す表現がくる傾向があるということです。

これは、コーパスなどで調べるとすぐにわかります。
関係節には、制限用法と非制限用法がありますが、
制限用法の場合には、somebody who ... のような、制限する必要のある先行詞になります。

一方、非制限用法は、
John F. Kennedy, who is still loved by many Americans
のように、固有名は対象がはっきりしているので、その対象を制限する必要はありません。
むしろ、その対象について補足的な説明を加えるというのが働きとなります。

このように、制限か非制限かという問題についてもちゃんとした理由があり、
そこの部分が指導されれば「なるほど!」という納得が得られると思うんですね。


ということで、今日は、オバマ夫人の演説から、
関係節の使い方を紹介しながら「分かる文法」の可能性についてお話しました。

オバマ夫人の英文はとてもいいので、コピペなどをして再度学習の資料にしてください。
じゃあ、今日はこれで終わりますが、
何か質問は?
だいじょうぶですか?

では、今日も、長い時間、ありがとうございました。
では、さようなら。


参考資料


ミシェルさんのスピーチは、21分35秒から。

頭出しした動画を Youtube で見る場合は こちら

UC Merced が公開している スピーチ全文
動画は一部カットされていて、最初の挨拶の後、第5節に飛んでいます。

テキスト


おまけ


講義のログは、授業を受けた人から直ちに share さんに送られ、
それを share さんが編集して、お部屋掲示板に掲載します。

田中先生もお読みになられて、訂正してくださることがあります。
今回は次のような訂正が入りました。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

Amusement

英語で歌おう♪
Japanese poem
アメーバリンク集

ホームページ (PCも可)
ピグ (PCも可)
ピグパズル (PCも可)

mogg (PCも可)

ガールフレンド(仮)
PCはChoromeとSafari
ボーイフレンド(仮)
PCはChromeのみ
ファーミー
PCはChromeとSafari
【メニュー編集】

Wiki内検索

国立国会図書館

オンライン資料収集制度

メンバーのみ編集できます