わずか1ヶ月の出来事

3月上旬
ルナ様に期待された。ちょっと嬉しい。
って喜んじゃ駄目だってば。心まで使用人になっちゃいけない。ああもうしっかりしないと!

3月中旬
恥ずかしいけど嬉しかった。罪悪感の生まれた時に、嫌いじゃないと言ってもらえたからだろうか。
って、完全に使用人思考になってる!ルナ様への感謝は嘘じゃないけど、これじゃいけない!

ユルシュール様に対抗するためとはいえ、ここまで愛でてもらえると嬉しいなあ……はっ!喜んじゃいけない、僕はそもそもメイドじゃない!

4月上旬
ルナ様から指摘された瞬間、赤くなってたと自分でわかるほど顔が熱くなった。
え?え?なんで?僕は別に、寂しいとか悔しいだなんて思ってないはずだよ?だってそもそも本当の使用人じゃないわけだし、ルナ様の隣の座を奪われても、それは当然のことで……。
でもどうして胸がもやもやするんだろう。もしかして自分でも気付かない内に「ルナ様から一番頼りにされてるのは僕だ」なんて思っていたんだろうか。

やばっ!鼓動が早くなった!
そそ、そんな。これじゃ他人に仕えることを心から喜びとする、使用人の中の使用人・パーフェクトメイドさんだ。違う違う。僕は大蔵遊星で、小倉朝日じゃないんだ。

手に心地良い圧迫が加わり、ふと我に返った。何かと思って目を向けると、ルナ様が僕の手を握ってくれている。とても、温かい。
僕の主人は、僕と同じ角度まで顔を俯かせ、小声で囁いてくれた。

かろうじて聞きとれる音量と速さで、ルナ様の言葉は僕の心をこの場へ繋ぎとめてくれた。
驚いた顔をした僕が隣を見たとき、ルナ様はもう顔を舞台へと向けていた。しっかりと正面を見据える自分の主人を見ていると、不思議と不安が消えていく。
あれほど怖かった兄の声よりも、ルナ様が口にしてくれた言葉が勝った。自分の中に小倉朝日としての意識が戻っていく。
そうだ。
せっかく女装しているのだから、いっそ生まれ変わった気持ちになろう。お兄様に処刑されたのなら、むしろ好都合だ。今の僕は彼のいう屑の弟じゃない。
憧れの人が言っていた。着る服ひとつで世界は変わる。ルナ様の隣にいる僕は、小倉朝日だ。


わずか1ヶ月の出来事である

聖女りそな様

ルナ√におけるぐう聖女りそな様の歴史

2月 大好きなお兄ちゃんの夢を叶える為に(無償で)協力
  兄を信じて親友の元へ送り出す
3月 偶然出会ったお兄ちゃんの危機を機転で救う
  (りそながいなければ湊に正体バレてた可能性大)
  倒れたお兄ちゃんを介抱する(モノローグ一行で済まされる)
4月 恐怖の対象である上の兄が学校に関与している事を知る
  それでも(無償で)協力を続ける
5〜7月 この間放置(お兄ちゃんと同じ学校に行きたくて勉強に打ち込む)
8月 お兄ちゃんからの連絡が途絶えたので親友の家に迎えにいく
  お兄ちゃんのメイド化した姿を見せつけられた上に目の前でお兄ちゃんと親友のラブラブっぷりを見せつけられる
  凹まされて帰宅
9〜10月 この間放置(お兄ちゃんと同じ学校に行きたくて以下略)
11月 上の兄にバレて怒られた挙句携帯電話を取り上げられる
  それでもお兄ちゃんの夢を叶える為に(無償で)協力する
  お兄ちゃんから親友と付き合ってる事を打ち明けられる
  それでも衣装を作ってる事を隠蔽する為に単身で上の兄の元に赴く(無償)
  (この間お兄ちゃんと親友は部屋でセックス)
12月 上の兄と下の兄が和解する
  大好きなお兄ちゃんから親友の家に留まり家には帰らないと宣言される
  自分は来年入学する為の試験の難易度を上げられる

(`;ω;´)

朝日が好きだ

諸君 私は朝日が好きだ 諸君 私は朝日が好きだ 諸君 私は朝日が大好きだ

泣いた顔が好きだ 困った顔が好きだ 照れた顔が好きだ
驚いた顔が好きだ 俯いた顔が好きだ 真剣な顔が好きだ
思案する顔が好きだ 微睡んだ顔が好きだ 微笑んだ顔が好きだ

アトリエで 教室で 浴室で 庭園で 書斎で
私室で サロンで 食堂で 客席で 舞台袖で

この地上で見せるありとあらゆる彼女の表情が大好きだ

朝日に無理難題を言うのが好きだ
どうすればいいかと困惑した顔を見た時など心がおどる
朝日に主人が誰か宣言させるのが好きだ
朝日を奪おうとする妹やスイス人を朝日が袖にした時など胸がすくような気持ちだった
朝日に自分がデザインした服のパタンナーをやらせるのが好きだ
一心不乱に私の服を制作していく様など感動すら覚える
実際に服が完成した時などはもうたまらない
朝日の頭をなでるのも最高だ
哀れな朝日が私の愛撫にとろける顔を見た時など絶頂すら覚える
朝日にヤキモチを焼かれるのが好きだ
八千代に嫉妬してしょぼくれた朝日の顔を見るのはとてもとても悲しいものだ
朝日に愛でられるのが好きだ
照れて喜び呆けた顔を見られるのは屈辱の極みだ

諸君 私は朝日を 乙女の様な朝日を望んでいる
諸君 私に付き従う大隊メイド諸君 君達は一体何を望んでいる?
更なる朝日を望むか? 情け容赦のない調教を受けメイドとして花開く朝日を望むか?
純情可憐の限りを尽くし三千世界の鴉を萌え殺す天使の様な朝日を望むか?
『朝日! 朝日! 朝日!』

駄目だ。朝日は私のだ

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