- 平成20年4月1日以後に締結するリース契約に係る法人税法上、消費税法上の取扱いです。
税務上の判定 
STEP1）リース取引と賃貸借取引の区別
以下の２つの要件を満たす資産の賃貸借取引は、ファイナンスリース取引（＝税務上のリース取引）に該当します。
※オペレーティングリース取引は、税務上、賃貸借取引として処理されます。
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□契約上、中途解約ができない。
□違約金の条項があり、実質的に中途解約ができない（法基通12の5-1-1）。
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□リース料総額＞見積購入価額×90％
※概ね90％を超える場合ですので、89％なら該当しないというわけではありません。
※会計と異なり、リース料総額を現在価値に割り引きません。
※会計と異なり、経済的耐用年数基準はありません。
※会計と異なり、少額リース（リース料総額300万円以下）・短期リース（リース期間1年以内）という除外基準はありません。
STEP2）リース取引のうち金銭の貸借とされるリース取引の判定
実質的判断ですが、リースバックすることに合理的な理由のないセール・アンド・リースバック取引は、金銭の貸借とされるリース取引として取り扱われます（法法64の2�◆法�
- 税法上のリース取引のうち、金銭の貸借とされるリース取引以外のものが、「売買とされるリース取引」に該当します。
- 売買とされるリース取引は、さらに「所有権移転リース取引」と「所有権移転外リース取引」に区分されます。
STEP3）売買とされるリース取引のうち所有権移転ファイナンスリース取引の判定
以下のいずれかの要件を満たす場合には、所有権移転ファイナンスリース取引に該当します（法令48の2�ジ沺∨ヾ霙�7-6の2-1）。
□譲渡条件付リース
□割安購入選択権付リース（法基通7-6の2-2）
□特別仕様物件リース（法基通7-6の2-3,4,5,6）
□リース期間＜法定耐用年数×70％（耐用年数が10年以上の場合には60％。法基通7-6の2-7,8）
STEP4）税務上の所有権移転外リース取引の認識
税法上のリース取引のうち、「金銭の貸借とされるリース取引」「所有権移転ファイナンスリース取引」に該当しない取引が、税務上の所有権移転外リース取引として認識されます。
STEP5）税務上の賃貸借取引の認識
ファイナンスリース取引の要件に合致しない資産の賃貸借取引は、税務上の賃貸借取引として認識されます。
税務処理（借主側）
１）金融取引として取り扱う場合
借主から貸主への資産の譲渡はなかったものとされます。資産の譲渡自体がなかったとされるわけですから、その後のリース取引もなかったものとされます。借主が購入し、貸主に譲渡した資産は、借主が保有しているものとして通常の減価償却が行われます。当該資産の取得価額は借主の購入価額＋付随費用です。
資産の譲渡により受け取った現預金は、貸主からの借入とみなされます。支払リース料は、一部が借入金の返済、残部が利息の支払として処理されます。借入金返済額と支払利息額の按分は、利息法で処理するか元利均等返済として処理することになります。
※リース料総額と資産の譲渡対価額の差額が支払利息総額となります。
金融取引の場合、資産購入取引と借入取引は別々の取引とされますので、資産計上額と借入金額は、必ずしも一致しません。
２）売買取引として取り扱う場合
貸主から借主へ資産が譲渡されたものとみなされます。当該資産は、借主が保有しているものとして通常の減価償却が行われます。当該資産の取得価額は、基本的にリース料総額です。
売買取引の場合、資産の取得価額と借入額が一致します。リース料総額を資産の取得価額とする限りにおいて、支払リース料＝借入金返済額となります。したがって、借入金返済額と支払利息額の按分という問題は生じません。
３）所有権移転外リース取引として取り扱う場合
貸主から借主へ資産が譲渡されたものとみなされます。リース資産（法令48の2�セ諭砲蓮⊆攫腓�保有しているものとしてリース期間定額法による減価償却が行われます（減価償却に関する明細書の添付は不要です。）。当該リース資産の取得価額は、基本的にリース料総額です（法基通7-6の2-9）。
所有権移転外リース取引の場合、リース資産の取得価額と借入額が一致します。リース料総額をリース資産の取得価額とする限りにおいて、支払リース料＝借入金返済額となります。したがって、借入金返済額と支払利息額の按分という問題は生じません。
【各特例と所有権移転外リース取引との関係】
| ◆特別償却制度（措法42の6�´Δ覆鼻法�適用なし ◆圧縮記帳制度（法法47�，覆鼻法�適用なし ◆税額控除制度（措法42の6�△覆鼻法�適用あり ※従前のリース税額控除は廃止されていますが、取得に係る特別税額控除（措法42の5、42の6、42の7等）の適用はあります。 ◆10万円未満即時損金算入制度（法令133）：適用なし ◆一括償却資産制度（法令133の2）：適用なし ◆30万円未満即時償却制度（措法67の5）：適用あり ※但し、リース料総額の全額を費用計上して損金経理要件を満たさないといけないため、賃貸借処理を行う場合には、30万円未満即時償却制度の適用はできません。 |
４）賃貸借取引として取り扱う場合
リース資産は、貸主が保有しているものとして扱われます。したがって、減価償却や借入金の返済の処理はありません。
支払リース料は、発生時の損金として認められます。
５）所有権移転外リース取引について会計上、賃貸借処理を行った場合
支払リース料が均等払いである限り、リース期間定額法による減価償却費と支払リース料の計上額は一致します。また、税務上、支払リース料として損金経理した金額は、減価償却費として損金経理したものと認められます（法令131の2��）。また、減価償却に関する明細書の添付も不要とされています。
したがって、支払リース料が均等払いであれば、所有権移転外リース取引について会計上、賃貸借処理を行っても申告調整は不要となります。
ただし、所有権移転外リース取引は、あくまで売買処理であるため、消費税法上は、リース開始時にリース料総額を課税仕入として処理しなくてはなりません（注意！例外処理が認められました。）。そのため、以下のようなテクニカルな会計処理を行う必要が出てきます。
【テクニカルな会計処理】
| （設例） リース期間 5年（60回均等払い） リース料総額 6300万円（内、消費税300万円） ◆リース資産引渡し日 立替金（課税仕入） 6000｜立替金（対象外） 6000 ※科目は立替金である必要はありません。会計ソフトに課税仕入額6000を認識させるために、このような仕訳を計上します。 仮払消費税（課税仕入） 300｜未払金（対象外） 300 ※摘要にリース会社名、リース資産の内容、リース料総額を記入する必要があります。 ◆リース料支払日 支払リース料（対象外） 100｜現預金 105 未払金 5｜ ※消費税対象外となるリース料と、課税仕入となるリース料（賃貸借取引として扱われる場合のリース料）を区別して管理していく必要があります。 このような面倒を考えると、所有権移転外リース取引については、リース資産として計上し、減価償却していくほうが管理し易いと思われます。リース資産は固定資産台帳上で管理でき、所有権移転外リース取引の管理表を別途作成する必要もありません。 |
【例外処理】
平成20年11月14日「所有権移転外ファイナンス・リース取引において賃借人が賃貸借処理した場合の消費税の取扱いについて」 日本税理士連合会
| 平成19年度税制改正により、所有権移転外ファイナンス・リース取引（以下、「移転外リース取引」という。）は、平成20年４月１日以後にリース契約を締結したものについて、そのリース取引の目的となる資産の売買（譲渡）があったこととされ、賃借人における消費税の課税仕入れ等の税額の控除の時期は、リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において一括控除することとされました。 しかし、「リース取引に関する会計基準」及び「リース取引に関する会計基準の適用指針」において、少額又は短期の移転外リース取引として重要性が乏しい場合には例外的に賃貸借処理が認められ、「中小企業の会計に関する指針」においては、すべての移転外リース取引について賃貸借処理を行うこともできるとされているところです。また、法人税法においては、売買でありながら賃借人が賃貸借処理することをベースとして償却の方法が認められており、事実上、改正前の取扱いが維持されている状況にあります。 当会では、「平成21年度・税制改正に関する建議書」において、このような経理実務を踏まえ、実務上の混乱を防止する観点から、移転外リース取引につき、賃借人が賃貸借処理をしている場合には、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとすることも認めるよう建議してきたところです。 今般、国税庁より、「移転外リース取引につき、事業者（賃借人）が賃貸借処理をしている場合で、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れ等として消費税の申告をしているときは、これによって差し支えない。」旨の見解が示されました。 ついては、その取扱い等について、国税庁の指導も得ながら、別紙のとおりＱ＆Ａを作成しましたので、会員先生方におかれましては、今後、申告をされるに際しては、ご留意くださるようお願いいたします。 |
（別紙Ｑ＆Ａの要約）
Ｑ１：賃貸借処理をしている所有権移転外リースについて、分割控除（リース料を支払う都度、仕入税額控除すること）が認められるか？
Ａ１：認められる。
Ｑ２：リース資産ごとに一括控除と分割控除を選択できるか？
Ａ２：できる。
Ｑ３：リース開始時に分割控除を選択したリース資産について、次の期から残リース料に対応する部分の一括控除を行うことができるか？
Ａ３：できない。
Ｑ４：前期に分割控除を選択した場合に、一括控除したいとする更正請求は認められるか？
Ａ４：認められない。
Ｑ５：リース期間の途中で免税事業者・簡易課税適用者から原則課税適用者に移行した場合、移行した事業年度から分割控除することができるか？
Ａ５：できる。
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