℃-uteの春のコンサートツアーも終わりひと段落した頃

さぁ次に向かって…って気持ちを切り替えようとしていたその矢先
その話しは突然、あたし…中島早貴に降りかかってきた


「中島…ちょっと頼みたいことがあるんだが…いいか?」

用事で会社に顔を出していたナカジマに声をかけてきたのは
あの「秘密のお仕事」を取り仕切ってたチーフマネージャー

それだけでもう…そのお願いってのはある程度察しはついてしまったんだけれど
それでも

「あ、はい…なんですか?」

って一応は見当もつかない素振りで答えつつ
久しぶりに会うその…あの頃よりも幾分横に膨らんだ顔を横目に見ながら
その案内に促されて小さな会議室へと入っていくあたし

「言いにくいことだけどな…久しぶりに相手をして欲しい人がいてなぁ…」

部屋に入ってパイプ椅子に腰を下ろしたかと思ったらいきなりの本題
本当に言いにくいとか思ってる?
そう疑いながらもそれは予想通りの話しだったから特に驚いたりはしないあたし…だったけれど

「驚いたぁ…ってかまだこんなオバサンでも需要あるんですか?」

そう、なんにつけ若いコが求められるのがこのお仕事
ハタチを越えたオバサンに需要があるなんてその点だけはちょっと驚き…というか意外だったから
その疑問だけは素直にぶつけてみた

「うん…いや、まぁ…先方が℃-uteのことをお気に入りでなぁ…それでそのぉ〜」
「℃-uteで相手に差し出せるのはあたしくらしかいないってことで?」
「い、いや、そういうわけではないんだが…その…」

なんかちょっと癪に障るから意地悪を言ってみる
とはいえ…そのいかにも困った表情でしどろもどろになってるマネージャーの顔を見ると
この人も歳をとったなぁ…って余計なことに思いを馳せていまうから

「まぁ、いいですよ…こんなあたしで良かったら…お相手させていただきます」

結局はその申し出は承諾してしまうしかないあたしーナカジマなのでした




「そ、そうか!やってくれるか!」

ぱっと明るい表情に変わるマネージャー
その顔を見ると、ね
こうやってあたしのお仕事で大人が喜んでくれるその顔が見たくて秘密のお仕事に精を出していたあの頃のことを思い出す

まぁそれでみんなが幸せになれるんなら…いいよね別に

そう特に難しく考えることもなく納得するはずのナカジマだった…けれど、ね

「で、だな…今回ちょっと先方の希望があって…中島には身につけて欲しい技術があるんだが…」

ひと時明るくなった表情を再び曇らせて切り出すマネージャー
そのマンージャーのいう「技術」の内容を聞かされたとき
あたしはホントの意味で驚きの声を上げることになる

「はぁ?…それ、本気で言ってるんですか?」
「あ、いや…驚くのも無理はないんだが…先方たっての希望で…」
「希望ったってそんな…なんであたしがそこまでしなきゃいけないんですか?」
「いや、お前がそう思うのは当然なんだが…いかんせん先方の希望でなぁ…」

さすがのあたしも抗議せざるを得ない内容の話しだったけれど
何を言っても「先方の希望」を繰り返すマネージャー

これはきっと…その先方って人は相当に偉い人…かなりこの業界に力を持つ人物らしい
ちょっとやそっとの無茶な要求も飲んでしまわなければならないくらいの…ね

「…いや、オレもホンントはこんなこと頼みたくはないんだが…」
そう困り顔で話すマネージャーにはあの頃に感じてた怖かった面影はなく
なんだかホントに人の良さそうな…無理難題を押し付けられて困っているような…そんな風体に見えた

それだけの大物が相手なら…これは引き受けてあげないといろんな人が不幸なことになるに違いない
そうならないためにも…ここはもうこのナカジマがひと肌脱ぐしかないのかな…うん

「ふぅ…まぁ、いいですよ…こうなったら、どんなことでもやりますよ」

あたしはもう覚悟を決めてその話しをも含んで改めて承諾をした

「そ、そうか!ありがとう!ありがとうな、中島っ!!」
あたしの手を握ってそう喜びを隠さないで声をあげるマネージャー
その顔を見たら…まぁこれでよかったんだろうなって思えて納得してしまうあたしがいる

やっぱりね
大人の期待に応えることがあたしの心を満たしてしまうってのは悪い癖だな

ってもう…そう思わすにはいられなかった




その日の夜
あたしはマネージャーに連れられて新宿へ足を運んだ

その「技術」を習得するためにこの新宿のある「お店」でその道のプロに手ほどきを受ける
すでにそんな段取りになっているらしいかった

ってかもうその手回しの良さってばあたしがこの話しを受けるって決めてかかってたってことなのかな?
なんかそうだとすると…ちょっとムカつくな、うん

とか思いながらも
新宿は歌舞伎町…そういかにもなお店が立ち並ぶ一角へと連れられていったあたし
なんかこんな街をマネージャーと2人で歩いてるといかにも怪しいカップルみたいでヤダな…
とか思いながらちょっと距離を置いてその背中を追いかけていると
そのうちの1軒…派手派手な装飾のキラキラしたお店の前でマネージャーが足を止めた

「ここ…この店だ…話しはちゃんと通してあるから…さぁ、こっち…」
なんかこんな街をあたしと歩いてて変な気分にでもなってたのか
ちょっと上ずった声でマネージャーはそう告げると
それでも戸惑いなくあたしの手を引くとそのきらびやかなお店の裏口へと回っていった

「ちょとなんか…大丈夫なの?ホントに…」
さすがにこんなお店の、しかも裏口とかまさに未体験ゾーン…あたしは不安を隠せないけれど
そんなあたしの不安とかお構いなしにマネージャーはそのきらびやかな表とは対称的な小汚い裏口の扉をノックしていた

ガチャリと声もなくいきなりそのドアは開かれる

中からはなんか人相の悪い…でもやたらと清潔感あふれるピシッとした格好をした男の人が出てきて
マネージャーとなにやらヒソヒソと話をし始める

不安気に…でもその不安を隠すようにやや離れ気味で事態の推移を見守っていたあたし
そんなあたしの耳に
「つばきさん…例のコ、来たみたいです…お願いします」
という、おそらくはさっきの強面の男の人のものと思われる声が聞こえてきた

(つばき…さん?)
そのおそらくは人の名前であろう響きに離れていたドアの方を覗き込むあたし
そんなあたしに今度はマネージャーの呼ぶ声が聞こえてきた

「それじゃぁ中島…あとはお前一人で…こちらの指導を受けてくれ」

マネージャーに促されつつ薄汚い裏口の扉に近寄ってその内側にいる人影に注目するあたし

そこには年の頃なら40歳くらいの濃い目のメイクでスケスケのネグリジェのようなものをまとった髪の長い女性がひとり
ちょっと怪訝そうな顔でこっちを見ながら待ち受けていた




「よろしく…つばきです」

つばきと呼ばれた女性に挨拶を受けながらもあたしはその裏口から店の中へと招き入れられる

「あ、はい…よろしく…お願いします」
おそらくほんとにこっちがお願いしている側なのだろうからそのへんはきちんと挨拶をしなければ…
そんなことを思いながらとりあえずペコリと頭を下げるあたし

「随分かわいらしいお嬢さんね…ちゃんと18超えてるんでしょうね?」
上から下へあたしの全身に視線を泳がせてからつばきさんはマネージャーに声をかけた

「いや、正真正銘ハタチです、ご心配なく」
マネージャーは自信満々に答えてる
いやまぁそりゃぁそうだよね、実際ナカジマ二十歳ですから

ってか、この期に及んでまだまだ未成年に見られるとか…ちょっと屈辱的なことかも?

と、ちょっとだけムスっとして話しを聞いているあたし
そんなあたしにマネージャーは
「それじゃぁ中島…あとは一人でいいか?必要なら帰りは迎えに来るけど…」
っていつになく優しく声をかけてくる
けど…
「あ、いや…新宿からなら一人で帰れるから…うん、もういいですよ」
なんかその優しさが気持ち悪かったあたしはそのありがたい申し出を断ってしまっていた

「ふぅん…なかなか根性は座ってる子みたいね…じゃぁま、あとは任せて?」
腕組みしながらつばきさんはそう言うと、もうマネージャーには早く帰れと言わんばかりの素振りを見せる

「あ、はい…じゃぁ、お願いします…それじゃ、中島、がんばってな?」
そのつばきさんの気迫に押し出されるように…それでもあたしにはひとこと励ましの言葉を残してマネージャーの姿は扉の向こうに消えていった

「じゃ、部屋へいきましょうか?こっちよ…」
つばきさんはマネージャーを見送るあたしに声をかけるとさっさと店の奥の方へと歩き出した

「あ、はっ…はいっ!!」
そんなつばきさんを追いかけて…あたしはもうマネージャーのことは忘れて小走りに走り出していた




「なにしてるの?さぁ…入って」
階段を上って2階に上がって…いくつか部屋がある廊下を通ってその一番奥の突き当たり
そこにあるドアを開いて先に中に入ったつばきさんは
なんとなく後に続くことをためらっていたあたしを急かすように中に招き入れる

「あ、はい…失礼…します…」
恐る恐ると中に入るあたし

そこは小さなテーブルに小さなソファーがあるだけの部屋
むしろその奥に置いてある大きめのベッドとそれより更に広い面積をとっているバスルームがこの部屋のメインといった感じだった

「じゃぁ…とりあえずそれに着替えて?」
つばきさんはテーブルの上に置かれたスッケスケのピンクのネグリジェを指差してぶっきらぼうに言う

「あっ…はいっ…」
この期に及んで更衣室で…とか言い出せる空気ではにことは肌身に感じるあたしだから
それこそこの期に及んでそれほど多くは語らないでそんな彼女の指示に従うことにして
その場でさっさと着ている服を脱ぎ出した

「ホント…度胸は座ってるわね、あなた」
こんなことになるなんて家を出る時点で思ってなかったあたしの下着はいたって地味な普通のブラとパンティ
そんな下着一枚で堂々と着替えているあたしを見てつばきさんはニヤリと笑った
その笑顔は…なんだかちょっと今までの印象とは違う…柔らかいものだった

「あの…つばきさんは…やっぱりこのお店で働いてらっしゃるんですか?」
服を脱いで…ネグリジェを着るだけのわずかな時間だけれど…なんとなく間が持たなくってあたしはそんな世間話を彼女にふってみた

「こんなオバさんじゃもうお客さんなんてつかないわよ…あたしは新人の教育専門で雇われてるだけ」
「あ、そう…ですか…」
ちょっと予想しない答えであたしはそのあとの答えに困る
こんな世界でもやっぱり若い子の方がチヤホヤされるものなのか…はぁ…

「あなたは?見たところお金に困ってるって感じでもなさそうだけど…なんでこんなところに来てんのよ?」
そんなあたしの様子を見てか今度はつばきさんからの質問返し

「あ、いえ、まぁ…いろいろ事情があるようで…」
とはいえあたしもそんな詳しくは語れないし…実際詳しく分かってないで成り行き任せでここに来てたりもするから明確には答えられない

「ふぅ〜ん…まぁ、いいけど…どう?終わった?」
「はい!着替え…終わりました」
「そう、じゃぁ、ま、今日から…約束では1週間だけど…みっちりとここ…ソープランドでの接客技術をあれこれ、教えさせていただきます…よろしくね」
「はい…よろしく願いします」

短い世間話の時間ではあったけれど2人の距離はちょっとだけ縮まったのかつばきさんの当たりは幾分と柔らかくなっていた
この人となら1週間…うまくやっていけるかな?って、そう、軽い安堵感があたしの心に宿っていた


…って、そう

あたしがこれからここで学ぶこと

それはソープ嬢の接客技術

『お気に入りの℃-uteのメンバーにソープランドのサービスでオモテナシされたい』

それがあたしがマネージャーから聞かされた
今回お相手する予定になっているお客様からのリクエスト内容だった


________________



それから1週間
あたしは毎晩新宿のソープランドに通ってソープ嬢の接客テクニックの全てをつばきお姉さまから学んでいくことになる

三つ指ついてお客様をお出迎えするところかはじまって
マットプレイやローションプレイ、ベッド上での本番におけるテクニックはもちろん
お客様のペースを読み取ってのこちらのペース配分といったデリケートな部分までありとあらゆることのレクチャーを受けた

その間は本業たる℃-uteのお仕事も遠出しなければならないものや夜遅くなるものはなし
ついでにあたしに負担のかかるような仕事も極力ないように色々と根回ししてくれているようだった
まぁその辺は事務所を上げて協力してくれて当然ではあるんだけどね
こっちとら事務所の為にやってるわけですから…ホント

で、と…

そんな夜な夜な新宿に通い続けること1週間…今日でこのソープ通いも最後って日のこと
ちょっとだけ困った事態が発生した

「ねーなっきぃ〜この後ちょっとご飯でも食べてかない?」

と、
とある撮影の仕事も終わっての着替えをしていた控え室で
珍しく千聖…岡井千聖からお誘いの言葉がかかってしまったのだ

「舞美ちゃんは別のお仕事あるって言うし…愛理はなんか学校の課題があるっていうから…3人でさ」
そんな千聖の誘いに乗っかってくるマイ…萩原舞
どうやらこの2人の間ではもうこの後食事に行くことは決定事項になっているらしかった

「あ〜ごめん…サキちょっとこの後〜え〜都合が悪くって…」
突然のお誘いにしどろもどろになって答えてしまうあたし

そんなあたしに

「え〜?なに?なっきぃこのあとなんか仕事あった?」
「いや、それはないよね?なに?なんの用事?」

と、悪気は無いんだろうけれどしつこくこっちの「都合が悪い」原因に食い下がってくる2人
こうなると…あたしのどうもうまいこと嘘をついて言いくるめるのがヘタクソって部分が悪影響を及ぼしてくる

「いや、ちょっと、うん、ちょっとね、ちょっと…用事があってさ…うん、あ、じゃ、じゃぁ…サキもう行かないと…じゃぁね!」
「え!?ちょ、なっきぃ…」

2人の言葉も聞かないで
あたしはもうそそくさと荷物をまとめると逃げるように控え室から飛び出してしまった





「あ〜ヤバかった…ってか…ごまかせたかな?今ので…」

控え室を出てから改めて考えるあたし
つくづくこんな場面で機転が効かない自分がうらめしい…

いかんせん千聖にもマイにもあたしの秘密のお仕事のことは話していない
いくら3バカってつるんで…それこそアケスケに下の話しとかもする仲になったとはいえ
その辺はやっぱり言いにくいことでもあるし…実際最近はそんなお仕事もなかったから言う必要もなかったしね

「まぁ、新宿通いも今日で終わりだし…大丈夫かな」

そう、あの2人もそんな根に持つタイプでもないし…明日になれば忘れてしまってるだろう
その時のあたしはそう割と楽観視した答えを導き出しては
それに自分で納得をしてそのままスタジオを後にすると新宿のソープへと直行すべく駅へと歩いて行った

…わけですけど、ね

「あ、千聖っ!なっきぃ電車乗っちゃうよっ!早くっ!!」
「っと、待って待って…って、セーフ!」

と、
そんなあたしの後をつけてくる2人がいたなんて…その時のあたしはまったく気づくこともなかった

「やっぱり…なっきぃなんかうちらに隠してるよね?あれ…」
「うん…どーにも怪しい…今日こそはコソコソとどこで何してんのか突き止めてやらなきゃね」

あたしの後をつけてきたのはもちろん…千聖とマイの2人

どうやら2人とも2、3日前からすでにあたしの様子に不信感を抱いていたらしく
この日の食事のお誘いもどうやら2人にカマをかけられた感じだったみたいで
それにまんまとあんな怪しい反応で返してしまったあたしの容疑は完全に固まったってところ…だったみたいです

夕方もラッシュアワーで混み合ってくる時間帯
電車の中も満員に近い状態ならば結構近くで見張られていても2人の存在には気づかないあたしは
そのまま2人に尾行を許したままで新宿駅で下車
東口を出てはスタジオアルタの横を抜けてスタスタと足早に歩いていく

そのあたしの後をコソコソとついてくる千聖とマイ
「新宿って…なっきぃどこ行くんだろ?」
「あ、千聖っ!信号赤になるっ!急いでっ!!」
ってなにやらドタバタとしながらも…まさかつけられているなんて思わないあたしには気づかれることもなく

そんな2人を引き連れて
あたしは通い慣れた新宿歌舞伎町のいかがわいいお店が立ち並ぶ一帯まで歩を進めていった




いかがわしいお店が立ち並ぶその道を気持ち速度を上げて歩くと通い慣れたお店の前で一旦停止
そこで一応知り合いとかいないかと辺りをキョロキョロと見渡すあたし
ここで千聖とマイを発見できれば…あんなややこしい事態には発展しなかったのかもしれないけれど
残念なことにこの時は尾行してきていた2人の姿をあたしの目は捉えることができなかった

ふぅ…っと一息、気持ちを落ち着かせて
それからさっと素早く…このきらびやかな外装のお店の裏口へと通じる路地へと身を隠すあたし

さぁ、今日はいよいよ卒業試験だ!ってね
そっから気を引き締めての戦闘態勢

だからもうあいかわらずそんなあたしをつけて店の前までやってきてる千聖とマイにはとうとう気づきもしないまま
あたしは裏口のドアを開けて店の中へと入っていった

そして

きらびやかな外装のお店の前に取り残されたのは千聖とマイ

「え〜…なにこれ?難しい漢字ばっかでわかんない…なんてお店?ってかお店だよね??」
「千聖…ここ、ひょっとして…」
高々と掲げられたお店の看板の難易度高い漢字表記に戸惑う千聖をよそに
マイの方がそのただならぬ雰囲気にこの店の正体に思い当たった様子だった

そんなタイミングで
「なんだいお嬢ちゃんたち…うちで働きたいのかい?」
店の前に立っていた店員さんが店の様子をジロジロ伺っていた2人の怪しんで声をかけた

「あ?いえ…そういうわけじゃぁ…」
「だったら店の前で立ち話とかやめてもらえる?お嬢さんたちみたいのがいちゃお客さん入りづらくなるから」
「あ、それより今入っていった…」
「あ〜!ち、千聖っ!はい…すいません!今どきますっ!ホラっ!千聖っ!!」

いきなりその店員にあたしのことを訪ねようとしたらしい千聖を慌てて制するマイ
そのまま千聖の手を引いてそそくさと店の前から退散して…少し離れたところまで小走りで逃げていった




「ちょっと千聖っ!いきなり何言い出すのよっ!!」
「え?いや、あの店の人ならなっきぃのこと何か知ってるかなぁ〜って…」
「そんな事情もわからないのにいきなり聞くようなことじゃないでしょ!?」
「え〜でも…じゃぁマイちゃんはなっきぃがあんなお店でなにやってるか気にならないの?」
「そ、そりゃぁ気になるよっ!ってかあのお店…どうみても風俗関係だよね?」
「うん…しかも…なんだっけ?そ…ソープランド?とかなんか…そっち系みたいだね」
「だよね…んんーー…なっきぃそんなお店で何を…」

そこでしばらく押し黙る2人
とはいえ…女が一人でそんなお店に入っていけばその目的として想定されることは自と一つしか浮かんでこない

「なっきぃ…働いてるのかな?あのお店で…」
「え〜なんで!?なんでなっきぃがあんなお店で働くのさっ!?」
「それは…うう〜〜〜ん…」

しばし考え込む2人
しかし…与えられた少ない情報量をもとに2人が導き出せる答えはこの場合もうひとつしかなかった

「なっきぃ…きっと悪い男にひっかかっちゃったんだよ…」
「そうだね…それできっと莫大な借金とか背負わされちゃったんだね」
「それでなっきぃ…や、やみゅ…やむに、やまれ、ず、こんな仕事を…うぅ…なっきぃ…」

やっぱりどうも…そっちの方で結論づけられてしまうあたしの事情
「やむにやまれず」なんて難しい言葉を使おうとして噛みまくっていた千聖は
もうその想像の中のあたしの身の上に心を痛めては涙まで浮かべてしまっている

「どうしよう!?うちらでなんとかしてあげられないのかな?」
「いやでも…あのなっきぃがこんな仕事をしないと返せない借金って相当の金額だよ…多分」
「じゃぁこのままなっきぃがこんな仕事を続けるの黙って見てろっての!?」
「いや、そうは言わないけど…う〜ん…」

そのまま答えは出なくなって押し黙ってしまう2人

新宿歌舞伎町のいかがわしいお店が立ち並ぶその一角の道端に似つかわしくない2人の少女

その後しばらく何も言えないまま2人はずっと立ちすくんでは少し離れた所にあるきらびやかな外装の建物をただただぼーっと眺めていた




と、

お店の外で千聖とマイがそんな妄想劇場を繰り広げているとは露知らず

そのきらびやかな建物
ソープランドのその中であたしはソープ嬢の接客技術の最終試験に臨んでいた

相手にするのは教官でもあるつばきお姉さま本人
お店の男の人とかを相手に…って言われたらちょっとヤだなと思ってたけど
お姉さま本人がお相手で助かったってのが正直なところだった

この1週間みっちりと仕込まれた技
もっとも難易度の高いマットでのローションプレイを主に試験は行われて
身体中をローションでヌルヌルにしながら全裸のつばきお姉さまと組んず解れつ身体を絡ませ合いながら
最終試験はつつがなく進行していった

「ふぅ…たった1週間でよくここまで上達したわね…」
「はは…ありがとうございます」

一通りの試験も終わってのお姉さまの第一声
それを聞いた時のあたしの安心感はハンパなかったけれど
とりあえずは頭を掻きながらそう遠慮めいた言葉を返すしかないあたし

もともと課題を与えられるとそれをクリアすることに燃えてしまうのがあたしの性分だから
このソープ嬢の接客技術のマスターって命題もまた非常にクリアし甲斐のある課題としてあたしの前にそびえ立っていて
だからもうこの1週間のあたしの努力はまさに血の滲むような…って感じだった

「これならどんな高級店にだって自信を持って推薦できるわ!合格よ!」
そんなあたしがこの1週間の成果を出し切った結果つばきお姉さまから頂いたお言葉がそれ

その言葉を聞いたときはもう素直に嬉しかったしちょっと泣きそうにもなった
『どんな高級店にでも』って部分のリアリティーとか特に、ね

「ありがとうございます!お姉さまのおかげですっ!!」
「ううん…あなたの頑張りが全てよ…これからもがんばってね!」
「はい!がんばりますっ!!」

なんかもう体育会系のノリで交わされるその会話は
とてもソープ嬢のテクニックを教えて学んでの間柄で交わされているものには思えない感じだったけれどね

とにかくこれで
あたしは晴れてソープ嬢の接客技術を見事に習得しましたってことになって

でも実はまだまだ本番はこれからで

あたしにはまだ…まだ見ぬそのどっかのお偉いさんを相手に
この1週間学んだ技の全てを披露しなきゃならないって舞台が待ち受けているのだった


__________________



一夜明けて

今日もまた℃-uteは雑誌の取材やら撮影やらで忙しい一日
とりあえずインタビューのみの取材は事務所でってことになってたから朝から赤羽橋の事務所に集合ってことになっていた

けど…

「おう、中島…昨日無事終わったみたいだな…おつかれさん」
事務所に入るなりメンバーより先にチーフマネージャーがあたしを出迎えてくれた

「ちょっと先に…話し、いいかな?」
あたしと並んで歩きながらそう言いうとマネージャーはすぐに奥の小さな会議室のドアの前で立ち止まり
あたしの返事も聞かないでそのドアを開けて中に入っていった

最終試験を合格したって話しは昨日のうちにマネージャーにも電話で伝えていたから
話しの内容はだいたい想像もつくわけだけれど…ね

やれやれ…と思いながらもあたしはマネージャーに続いて小さな会議室に入った

するともう
「さっそくで悪いんだが…例の件…今夜ってことで…いいかな?」
って、あたしがパイプ椅子に腰を掛けるよりも早くもう本題は切り出された

「今夜!?また…随分急ぎますね?」
「いや、先方かなり楽しみに待ってらしてな…昨日準備が整ったって連絡入れたらもうすぐにでも…ってことで、さ」
「ふ〜ん…まぁ、楽しみにしていただけるんならそれはそれでやり甲斐もありますけど?」
「いや、すまんなホント…この埋め合わせはなんかでするから…な?」
「いいですよ、そんなの…あ、だったらメンバー全員に焼肉でもおごってくださいw」
「ああ、そんなんでよければいつでもおごってやるよ」

とまぁ
実現するのか怪しい口約束を取り付けつつ
後はまた今夜−ってことで、とりあえずあたしはその小さな会議室から解放された




「おはよ〜」

インタビューのみの取材らしいけれど人前に出る以上はそれなりにメイクとかしなきゃねってことで
解放された小さな会議室からまずはメンバーの集まる控え室へ
メンバーみんなもう揃ってるらしいからって元気よく挨拶しながらその部屋へ入っていく

「あ、なっきぃおはよう!」
「おはよう〜なっきぃ〜」
リーダーと愛理はいつもの調子でいつもの挨拶

「あ、な、なっきぃ…」
「お、おは…よう…」
ところが千聖とマイは…なんかちょっと元気がない?微妙なカンジの反応

まぁでも気にするほどでもないか…って、あたしはすぐさまメイクの支度にかかる

ところが
そんなあたしに千聖とマイがコソコソと近づいてくると
千聖が代表するかのようにイキナリ耳元でひそひそと話し始めた

「ねぇ…なっきぃ…」
「うわ!びっくりしたっ!なに?千聖」
「なっきぃ…その、なんか…困ったことがあったら…言ってね?」
「そうそう!うちらで良かったら…相談に乗るからさっ」
なんかしんないけど目をうるうるさせた千聖はがしっ!とあたしの手を握って言ってくるし
その背後から顔を出して言葉を繋げるマイも明るい口調ではあるけれどその顔はちょっと暗い表情だった

「え〜なに?突然!?どーしたのよ2人とも?」
わけがわからないからそう聞くしかないあたしだけれど

「いや、まぁ…いいから、ね?うちら仲間だから、さ」
「うん!いつでも…話して?ね?」
って、なんか2人とも…妙に熱いカンジでそう力説してくるから

「あ、うん…わかった…なんかあったら頼りにしてるわ…」
とりあえずはもう…そうでも言っておくしかないってカンジのあたしだった

「なになに?3人でなに話してんの?」
そんなあたしたちにリーダーはいつもの調子で割って入ってくるけど

「あ、いや…なんでもないよ」
「そうそう!なんでもないなんでもない」
と、千聖とマイは慌てふためいてあたしから離れていった

いや、2人とも…その態度はものすごく怪しいんですけど?…ってね

多分相手がリーダーじゃなかったら絶対怪しまれていただろうって2人の態度
それはもちろん…あたしの目にも物凄く怪しいものに映った




とは言え

とりあえずリーダーの邪魔が入った形でその怪しい会話は途切れたままで

ちゃっちゃとメイクも済ませたあたしをはじめ℃-ute5人揃って
あとはもう普通にインタビューが行われては
その後はスタジオに移動しての写真撮影だとか
はたまた別件の取材だとか
そうしたお仕事を何件も忙しくこなしていって

一日みっちり取材デーとなったその日のお仕事も終わりの夕方ごろには
朝方の怪しい2人の言動なんかももうすっかり忘れてしまっていたりしていたあたしだった

「じゃぁお疲れ〜」
「お疲れ様〜」

お仕事が終われば、リーダーと愛理は2人揃ってそそくさと帰っていく
今夜はお楽しみですか〜?とか野暮なことは言わないで暖か〜くそんな2人をお見送り

「じゃぁ、なっきぃ…うちらも…」
「うん、じゃぁ…お疲れ様…」
千聖とマイも2人に続くようにそれぞれに帰っていく…って
その時の2人のちょっと元気のない様子に朝方の怪しかった様子を思い出してちょっと訝しくも思うけれど今更そこを言及する気にはなれない

「うん、じゃぁまた明日っ!」
2人につとめて元気よく返してお見送りをするあたしは
そんな2人の姿が消えたのを確認してから
今夜の段取りを確認する為にチーフマネージャーの携帯に電話を入れる

そうあたしにはまだこれからが本番とも言えるお仕事が残っているから…ね

電話で告げられたのは向かうべきホテルの名前
マネージャーはなんか会議が入ってるとかであたし一人で行ってくれとのこと
ちょっとそれは…とも思うけれど…まぁ、しょうがないか

先方ももうすぐホテルに付くような時間だから今直ぐ行っても大丈夫、ってことだったので
あたしはすぐに外へと出るとしばしキョロキョロと辺りを見渡しては通りかかったタクシーを拾った




と、そんなあたしをね
またしても遠くから覗き見ている人影が2つ…

それはやっぱり…千聖とマイだった

「やべっ!なっきぃタクシー使うみたい?」
「え?ちょ…どこにそんなお金あんのよっ…あ、ちょ、タクシー!」

あたしがタクシーに乗る姿を見て大慌ての2人
お金に困ってるって設定のあたしだから電車移動ってのが2人の想定していた行動だったっぽい
マイはたまたま通りかかったタクシーを手を挙げて止めると、迷うことなくその車内に飛び乗った

「マイちゃん!?」
「ほら、千聖っ!早く乗って!…運転手さん!あのタクシー…あの車を追いかけてくださいっ!!」

「は?あの車を…ですか?」
マイの突然の注文に首をかしげるタクシードライバーさん

「そう!あのタクシー!早く追いかけてっ!!」
マイに続いて車内に飛び込んだ千聖は落ち着くまもなくドライバーさんに食ってかかり
「お願いしますっ!友達の運命がかかってるんですっ!!」
マイはマイで、ドライバーさんの目をぎらりとした目で睨みつけてはなんとも熱い勢いでお願いをする

「…わかりました!」
そのマイの真剣な目に打たれたのか、決意を固めてくれるドライバーさん

「いや、実はわたし…タクシードライバー歴15年…『前の車を追いかけて』ってお客さんを載せるのが夢だったんです!!」

「え?は、はぁ…」
「まかせてくださいっ!絶対見失いません!行きますよっ!!」
「あ、はい…お願いします…」

運良く…なのか
そんな妙に熱いドライバーさんのタクシーに飛び乗った千聖とマイは
その宣言通り見失うようなこともなくあたしの乗ったタクシーの後をぴったりとつけてきて

目指すホテル
都内でも有数の超がつく高級ホテルまで
あたしと一緒に無事にたどり着いてしまっていた




またしても
千聖とマイに後をつけられたなんて思いもしないあたしは

車を降りるとその高級すぎるホテルの佇まいにちょっとばかしたじろぎながらも意を決するようにその中へ入り

マネージャーから言われていたとおり
とりあえずはお客様と落ち合うべくロビーへとその歩を進めていく

周りを見渡せばいかにもお金持ってそうなジェントルマンに御婦人方ばかり

そんな人たちになんだかちょっと気分が悪くなりながらも
お客様を探してキョロキョロとするあたし

とはいえこちらから相手の顔は知らないので
そうやって相手にこちらを見つけてもらうしかないんだけどね、実は

と、ちょっと不安気にキョロキョロとしているあたしにひとりの紳士が近づいてきて…声をかけてくる

「やぁ、なっきぃ…あ、いや、中島さん…お待ちしてましたよ」

歳の頃は…40くらいなのかな?
想像していたよりははるかに若いカンジの男性
ちょっと白いものは混じってるけれどまだまだフサフサの頭髪のその下は色黒の精悍なマスクでクリッとした目が印象的
背もそこそこ高くて体つきもがっしりとしていて
学生時代はスポーツマンだったのかもしれないな、なんて想像させる…そんな人

ソープ嬢の接客技術でオモテナシされたい…とか注文つける人だからもっとヘンタイっぽい人かと思ってたけど
意外とまともっぽい人だったから…正直ホッと胸を撫で下ろすって気分のあたし

「それじゃぁ…部屋にいきましょうか…」
物腰もやわらかく、あくまで真摯に
あたしの腰に軽く手を回すようにしてはエスコートしてくる彼

その彼に従うようにしてあたしはちょっと奥まったところにあるエレベーターへと乗り込む

大きめで小奇麗なその箱の中、彼の押した階のボタンは最上階
やっぱり…だけれど、この人相当なお金持ちだな、と改めて思うあたしだった




「ちょっと…どーゆーことこれ?」
「なっきぃ男に貢がされて借金こさえてるんじゃないの?」

そんなあたしの一部始終を
こっそりと後をつけてホテルのロビーまで入り込んできて植え込みの陰で覗き見ていた千聖とマイは
借金で苦しんでいるとばかり思っていたあたしが
こんな高級ホテルであんなジェントルマンと逢い引きしている場面を見せられては素直に混乱していた様子で

それからしばらく…目の前にある情報をあれやこれやと組み替えて
整合性の取れる答えを導き出そうとする

「いや、待って…なっきぃってばきっと、あんなソープランドの稼ぎじゃ足りなくなったんだよ」

しばしの思考のその後に、先にそう口にしたのはマイの方

「え?どーゆーこと?」
と、そんなマイの結論に千聖は耳を傾ける

「だから…きっともっと稼ぎのいい…派遣の売春婦の仕事を始めたんだよ、なっきぃ」
「え〜!?じゃぁ、あの男の人は…お客さん!?」
「うん、そう!見たとこ相当なお金持ちっぽかったじゃん…きっと相当儲かるんだろうね…この仕事」
「売春…なっきぃそこまで困ってたのかぁ…うぅ…かわいそうななっきぃ…」

またしても
思いついただけの想像が2人の間では真実にすり替えられてしまう

「どうしよう…いや、やっぱりやめさせないといけないよ!!」
「そうだね、うちら遊びで男と寝ることはあっても身体を売るようなことはしちゃいけないよっ!!」

手に手を取って決意を新たにする千聖とマイ

とはいえ
セキュリティにも厳しい高級ホテルのこと
エレベーターに乗る段階で見失ってしまったあたしたちがどの部屋に消えたのか
その後必死に嗅ぎまわった2人ではあったけれど…とうとうこの日は最後までその答えにたどり着くことはできないまま終わっていくのでした




今回も
そんな千聖とマイの徒労はあたしの預かり知らぬ世界で

そんなあたしが紳士な彼にエスコートされてたどり着いたのは高級ホテルの最上階の超がつくほど豪華なVIPルーム

「はぁーーーー…すっごい…」
まるで小さな家一軒って感じの室内にしばし見とれてぼーっとしてしまうあたしだったけれど
「あ、バスルームは?」
と、すぐさま現実に戻っては一番気がかりな戦場の様子を確認しようと彼に尋ねる

「バスルームは…こっちだね」
入ってすぐの扉を開いて告げる彼に導かれてその一室の中を見渡す

十分に身体も伸ばせるほどの大きなバスタブに広い洗い場を備えているそのバスルーム
壁には大きなマットが立てかけてあるのも見えるし…準備は万端なんだなととりあえずは一安心

「とりあえずこっちでお茶でもどうだい?」
あたしが「仕事場」の様子をあれこれ伺っている間に奥の部屋に進んだ彼は
そこからそんな優しいトーンの声をかけてくる

その声の聞こえた部屋に行ってみたら大きなテーブルの上に湯気を立てたコーヒーカップが2つ置かれていて
その一片に置かれた大きなソファーに深々と腰を下ろした彼がこちらを見てはにっこりとほほ笑んでいた

その笑顔はあたしを十分に安心させるものでもあったから
とりあえずお茶でくつろいでから…って言うよりは
ここからもう、あたしもお仕事モードに入ろうかな〜って腹を据える

そのまま彼の対面のソファーに座ることはしないまま座ったままの彼の前まで移動したあたしは
そのフカフカのカーペットがひかれた床に膝をついて座り込んで
そのままそこに三つ指ついては床に頭がつくほどに深々と、彼に向って頭を下げて
「改めまして…本日お相手をさせていただきますサキです…よろしくお願いいたします」
とお仕事モードのご挨拶をしてみせた

「おっ…と、あ、ああ…こちらこそよろしく」
そんなあたしに一瞬だけたじろいだ感もある彼だったけれど、すぐに持ち直してはそんな冷静な受け答え

その答えを受けて
「それじゃぁ…失礼します」
と勤めて冷静に
あたしは座ったままの彼の下半身に手を伸ばすとカチャカチャとベルトを緩めズボンのファスナーを下げていった




「うん…あ、あぁ…」
あたしの動きにすべてを察した彼はいったん立ち上がってあたしがぞのズボンを引き下ろすのを助ける

その助けに乗ってあたしは彼のズボンをスルりと足もとまで引き下ろすと
彼は両足を交互に持ち上げてそれを完全に足から引きはがすところまで手伝ってくれた

そこまでして再びソファーに腰を下ろす彼

そんな彼の黒いピッチピチのビキニタイプのパンツ姿の下半身は
まだまだひっそりと静まり返った標準装備って感じだったけれど
あたしはお構いなしにそのビキニパンツの上からその股間の真ん中をスリスリとさすってあげる

「お、おぉう…」
そんなあたしの手の動きにかすかに声を漏らす彼
その声を聞いたかと思うとあたしは手早く次の行動に出てそのビキニパンツを下ろそうと両腰の淵のところに手を伸ばす

今度は彼は一瞬腰を浮かせてそのあたしに手助けをして
その瞬間を見逃さないであたしも彼のビキニパンツをするっと足首のところまで引き下げた

今度は彼も右足だけ浮かせてくれた程度だったからとりあえずそのパンツは左足に残ったままになるけれど
今はそれよりも…と、できるだけ間髪いれない素早さで、
その股間の真ん中に存在するまだまだ標準サイズのままのそのイチモツに手を伸ばすと
すぐさまその股の間に顔をうずめてはそれをパクリとお口に咥え込むあたし

「う!?おぉお!?」
そのいきなりの行動にはさすがの彼もちょっと驚きの声を上げた

外はもう汗ばむ暑さの今日この頃
清潔にはしていてもシャワーも浴びてない男の股間はむせ返る様な体臭が漂ってくるけれど
そんなことはお構いなしでまだまだ標準サイズな彼のペニスに食らいついたあたしは
そのままイキナリついでとばかりにじゅるじゅると音を立ててそのペニスをしゃぶり始めて見せる

これがまずはのサービスである即尺ってやつ

洗ってもいない男のペニスをいきなりしゃぶって見せるこの行為は
今日のこの時間、私はあなたに絶対服従です…ってゆー関係性を見せつけてあげることにつながる

それこそが…あたしが1週間かけてつばきお姉さまから学んだソープテクニックのその第一歩だった


_______________



ちょぽっ…ちゅぷっ…ぬちゅっ…

たっぷり唾液を溢れさせて舐めるその肉棒からは淫靡な水音が響く
それはまるでもうそのペニスが女性器に出入りしているかのような音

その水音を耳を澄まて聞いているかのように目を閉じて天を仰いでいる彼
股間のペニスはあたしのお口の中でムクムクと膨張していっては硬度も増していって
凛々しく雄々しくたくましくとその姿を成長させていった

「んふ…すっごい…ですね?」

一旦その成長しきったペニスをお口から抜き出しては状態を確認するつもりだったあたしは
そのあまりにも立派な成長具合に思わず素直な感想を述べてしまった

「あぁ…なっきぃが…上手いからだよ…」

あたしの頭を軽くナデナデしながら優しくそう答えてくれる彼

結局あたしの呼び方はなっきぃに収まっちゃったってところからして
この人やっぱり結構本気で℃-uteのことを好きみたい

けどまぁ、それはそれとして…

(これなら…大丈夫なのかな?)

と、そのビクンビクンと脈を打ってるそそり勃つペニスの
そのやや赤黒い姿を見てあたしはひとつ確認事項に答えを出す

この即尺は必ずしも抜くことが目的ではない
こんな序盤で抜いてしまってはそれでもうその後のプレイで射精する能力を失ってしまう相手の場合もあるからね

だから相手の様子をきちんと見て抜いても大丈夫なのか、抜く必要がある相手なのかを判断する必要がある

それがあたしがつばきお姉さまから教わったデリケートな判断の部分

今目の前にあるかなり経験豊富そうなペニスとそれに見合ったいかにも遊びなれた風な彼の態度
歳の頃もまだまだ若い方だし…って部分も合わせて
ここは一発抜いてあげても大丈夫だろうな…って
それがあたしの下したデリケートな部分に対しての答えだった




「それじゃ…イキます…ね?」

さっきが無言で咥えこむところからスタートしたから
今度はちゃんとひとこと断りを入れてから再び目の前にそそり勃つペニスを口に含む

イキます…ってかイカセます…なんだけど、そこはまぁ雰囲気で、ねw

ぬぷっ…ぬちょっ…ぬちゃっ…ぬちゃっ…

垂れ流すほどの唾液を溢れさせながら
ペニスを咥え込んだ頭を前後に揺すって見せながら
固く大きくそそり勃つ赤黒いペニスの全周をお口の孔で包み込むように撫で回しはじめるあたし

「ふぅ…んっ…おほぉぉぉ…」

鼻の穴を広げてはそこから抜けるような声を発して
彼は再び目を閉じては天を仰ぎ見る

両手は軽くあたしの頭に添えるようにしながらそれを時折ナデナデと撫で回すように動かしている

ここで自分からあたしの頭を動かしにかかるようなせっかちさがないのはやっぱり遊びなれている証拠なのだろう
だからあたしも安心してこのペニスから精液を導き出すことに集中して頭を前後に振っていられる

じゅちゃっ!じゅちゃっ!ぬちゃっ!ぬちゃっ!じゅちょっ!

水音は激しくもそのペースを早めて響き
それを導き出しているあたしの頭の前後する速度もまた徐々に徐々にと早くなっていく

深く浅くとお口の孔を通らせるペニスのストロークにも変化を与えつつ
お口の中での舌の躍動もペロペロレロレロチロチロツンツンと変化変容させながら
亀頭の周りを中心に裏スジあたりまで範囲を広げつつ責め立て続ける

赤黒く光るペニスの先からはもう先走りがダラダラと流れ出しあたしの口の滑りを助け
あたしはそれの滑りに任せてリズミカルに彼のペニスにお口での奉仕を続けていった

そして、ほどなくして…

「おぅ…う…んっ…はっ…でっ…る…あぁ…うぅ!うっ!…うんっ!!」

至極素直に彼は快楽を口にするとドピュっ!と濁った精をあたしのお口の中に吐き出す

これが前菜の行為であることを承知しているからなのか
彼もその射精を堪えて快感を長引かせようという意識もなかったらしい

瞬間ドロっとした濁りの塊があたしの口内に広がっては軽く逆流して
まだそのペニスを咥えたままのお口の端っこからツーっと糸を引くように流れてこぼれた




あ…あぁ…んっ…ふぅぅ…んっ」

軽く腰をビクンビクンと震わせながら彼はあたしの口の中に出し尽くすようにペニスを差し込む

あたしもそれを受け止めるようにしばしそのペニスを咥えたまま
じっと彼の精が出尽くすのを待っていてあげた

「んんっ…うぅ…あぁ…気持ちよかったよ…ありがとう」
「んっ…ふふ…こんなにいっぱい…ふふ…ありがとうございます」

すべてを出し尽くして自分からゆっくりとそのペニスを引き抜いてくれた彼に
お口を開けてその中に溜まった濁りを見せつけた後で
嬉しそうにお礼を言ってからそれをゴクリと飲み干して見せる

できるだけ相手に対して淫靡に淫乱にイヤラシイ自分をみせるのもまたサービスのひとつだから…ね

って、だけど…
「んっ…けほっ!けほっ!んっ…けほっ!!」
ちょっとその思ったよりも濃度の濃い液体を大量に飲み干す過程で思わずむせ返ってしまったあたし

「あぁ…っと、なっきぃ…大丈夫?」
そんなあたしを思わず心配げに覗き込んでくる彼

「あ、いえ…大丈夫です…ごめんなさい」
お客様に心配をさせるようなことがあってははまったくもって失格レベルだ
あたしは彼の顔を見あげては笑顔を取り繕ってみせた

「んっ…いや、とっても気持ちよかったよ、ありがとう」
彼は優しくそう言い直すと自分の放った白濁で汚れたままのあたしの唇に口づけをしてきた

「んっ!んんっ…ふぅん…」
男の人にとって自分の出したものを口にするのは少なかず抵抗があるはずなのに
それを構わずにこうして口づけをしてくる彼

この男ただものではない…どうやらあたしの思う以上に遊びなれているに違いない

あたしはそんな彼の口づけに少しだけ心にトキメクものを感じながらも
これからこの男を相手に本格的なソープテクニックを披露していかなければいけない自分に
ちょっとだけ不安を感じていたりも…した





「それじゃぁ…お風呂の方に行きましょうか…」

とりあえず彼の白濁した液体とあたしの唾液でヌルヌルのペニスをティッシュで拭き取りながら
あたしは次の行動を彼に促す

「あ、あぁ…」

そんなあたしの言葉には素直に従ってくれる彼
立ち上がって一瞬脱いであるパンツを履き直そうかとした彼の動きが見えたので
あたしはそれを素早く手で遮って静止して
代わりに彼の手をきゅっと握るとその手を引いてバスルームへと向かった

バスルームまでの短い短い距離だけど
男の人と手をつないで歩くなんてあたしには全くと言っていいほど経験がないことで
なんか不意に今そんなことをしている自分に気づいてはちょっと気恥ずかしくなったりもするけど

いや今からやろうとしていることに比べたら可愛いもんだから…って我に帰っては自嘲気味に笑ったり
そんなことをしているうちに…あっというまにバスルームへと2人はたどり着いてしまう

「じゃぁ…服、脱いでくださいね〜」

脱衣所の脱衣カゴを差し出しながらお願い

恋人同士なら服の脱がせっことかそれも大事なプレイなのかもしれないこれど
そこは結構ビジネスライクに自分でお願いする

これから先たっぷりとご奉仕してあげるんだからそれぐらいは…ね

ってことで
彼もそんなことには特に不満を感じるでもなくあたしのお願い通りに衣服を脱ぎ始める
とはいっても下半身はすでにモロ出し状態で元気を失った肉棒がブラブラしている状態ではあるんだけれど

だから彼より身にまとっている物が多いあたしはやや急いで自分の着ているものを脱ぎ捨てていく

ちょっと派手目の…あえて風俗嬢っぽい衣服に身を包んでいたあたしは
その下の下着…ブラもパンティもちょっと派手目のシルク素材でそれっぽさを演出していた

そんな色っぽい?シルクの下着を脱ぐ時には背中越しにような視線を肌身に感じるあたし

紳士的だろうが遊び慣れていようがそこはやっぱり男のコレベルで興味があるんだなとちょっとおかしく感じたりして
だからシルクのパンティを脱ぐときはわざと彼に向かってお尻を丸見えにするように前かがみになって脱いでみせたりしてみる

「な、なっき…おぅ…」
瞬間かすかに戸惑ったような彼の声が聞こえる
それがとってもおかしくって吹き出しそうになるのを必死でこらえるあたしだった




「脱ぎ終わりましたー?」
突然って感じでくるりと振り返って言葉を投げるあたし

「え?あ、あぁ…」
ってやっぱっり彼は慌てた反応
かなりあたしのお尻に釘付け状態だったことは想像に固くない

そんな彼の様子をみてクスリと笑ってみせてから
あたしはバスタオルを取るとおっぱいから腰の下…もちろんお尻まで全部を隠すように体を包んでそれを胸の上で固定した

その動作にはちょっとだけ残念そうな表所を見せた彼だったけれどそこはあえて気づいてないふりをして
「それじゃ、いきまししょうかー」
って、彼の手を取ると脱衣所から繋がるバスルームへと足を踏み入れる

広く明るいバスルーム
さすがは高級なお部屋…ってカンジかな

そんなバスルームの
2人で入っても余裕の広さの洗い場の真ん中にはポツンとひとつ変な形をした椅子が置かれている

あたしはそれを見て用意の良さに感心しながらも

とりあえずはシャワーを手に取りお湯を出してその温度を手で測りながら調節してから
彼に自分の前へと来るよう軽いジェスチャーで促してから

まずはその厚い胸板へとシャワーのお湯を浴びせつつ
「お湯加減いかがですかー?」
とまずはお伺いを立てる

「あ、あぁ…ちょうどいいよ、うん」
かえってくる答えはおおよそ予想通りなのでほとんど聞き流す感じだけれど
あたしはそのまま軽く彼の全身をお湯で流すと
さっきティッショで軽く拭いいただけだったそのペニスへとお湯の矛先を向ける

「お…うぅ…」
突然のお湯の刺激で軽くうめき声を上げる彼だけれど
あたしはそれには反応しないでさも当然であるかのようにそこにお湯をかけながら
そのまま手を使って彼のペニスを洗い流す

ここではあくまで洗い流すって目的で極力性的刺激を与えないように…って気を遣うから
彼のペニスもそんな手洗い程度で急に元気になるなんてこともなく
普通サイズでまだまだ下を向いたままの状態を保ってくれていた




「それじゃぁ…そっちの椅子にお願いします」

一通り彼の体をお湯で流したらいよいよ洗い場の真ん中にポツンと置かれたあの奇妙な椅子の出番

Uの字というか凹というか…真ん中がポコッと減っこんだ形のその椅子
あたしもこの講習を受けなければその存在を知ることもなかったであろう椅子

俗称スケベ椅子

何故か金色でキラキラしているその椅子にあたしの誘導によって腰を下ろす彼

初めてのお客さんでたまに座る向きがわからない人がいる…なんて注意も受けたけれど
経験豊富な今回の彼を相手にその心配は無用でしょ…ね?

そんなあたしの思った通りに迷うことなく正しい向きでその椅子に腰掛けた彼を確認すると
あたしはハラリと身体に巻いたバスタオルを落として
その目の前に生まれたままの姿を惜しげもなく晒してみせる

「おっ…おぉぉ…」
またぞろ低く唸りを上げる彼
同時に彼はもう遠慮会釈なく裸体をマジマジと眺めみては上から下へと視線を泳がせては往復させている

「そんなジロジロ見ないでくださいよぉ…ハズカシイっ」

軽く照れてみせるあたあし…もちろん半分は演技だけど…実際ちょっとハズカシイのも事実だったり

だからキモチ急いだ感じでそそくさと洗面器にソープを泡立てると
それを彼の前置いてあたしもそこにペタンと腰を下ろす

濡れた床の感触がお尻にひんやりと冷たかった

「そけじゃぁ…洗いますね〜」
そこはあくまで段取りよく…言いながらも洗面器に泡立てたソープを両手ですくい上げると彼の厚い胸板にそれを塗りたくる
そしてその行為を2回、3回と繰り返したあと
今度は彼の胸板の上で塗りたくったソープの泡を塗り広げていく

その過程でそれもまた当然のように彼の胸板の上ちょこんとある2つの乳首を手のひらで撫で回す
はじめはあくまでも偶然に触れているかのように…そしてやがてはそこを中心に撫で回すようにと変化をさせながら
彼の乳首をコロコロと転がすようにいじくり倒していく

「んっ…ふぅ…おぉう…んっ…」
彼がまた鼻から抜けるような声を上げて軽くビクンと身震いをした

男の人も乳首は感じるものであるってのはなんとなく知ってはいたことだけれども
女性のそれと大差なく感じることができるものであるというのはつばきお姉さまから教えられて初めて認識した事実

ナデナデとしながら転がす乳首があたしの手のひらに触れながら固く大きく尖っていくのを感じながら
なるほど確かにこれは女性のそれと大差ないものだな…などと、あたしはひとり心の中でその事実を確認しては感心していた


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