その他32

>376の裏で

忌々しげにため息をついて盗聴器のイヤホンを外す。
自分が聞きたかったのは、八神はやてがロストロギアを不法に所持している証拠であって、
断じてこのような三文芝居ではない。しかし焦る事は無い。時間はまだ有る。

不意に、室内にノックの音が響く。誰何の声をあげる間も無くドアが開かれ、
「どうもー。査察部のヴェロッサ・アコースでーす。中将にロストロギア不法所持の嫌疑がかけられているので来ましたー」
そう言いながら数名の男達が入ってくる。そして間も無く、
「査察官、保管庫より紛失していた秘匿級ロストロギア確認しました」
あり得ない筈の報告がもたらされた。
「カ、カヒッ」
そんな馬鹿な。自分はそんな物を持ち込んだ覚えは無いのに。混乱のあまり謎の声が口をついて出る。
「とリあえず、詳しい話は後で聞きましょうか。あと、若い女性に対して盗み聞きはあんまり感心しませんよ?」
連行されて行く途中にふと、脳裏に一人の男が浮かぶ。瞬間に全てを理解したが後の祭りだ。そして叫び声が空しく響く。
「ウガァァ────────ッおのれゼロめ────────ッ」

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2007年06月14日(木) 18:10:13 Modified by beast0916




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