その他54

 「着地体勢にはいる」
 「ディンゴ・イーグリット LEVのロック解除。着地まで20 ディンゴ気をつけてね」
 ああ 俺はそう答えた。

俺の今の仕事は木星の採掘現場での作業員。そこそこ楽しくやっている。
仕事中は気心の知れた仲間と雑談も出来るし
帰ったら贔屓のスポ−ツを見ながら酒を飲む。これが俺の今の楽しみだ。
昔は部隊で戦争まがいな事をやっていたが…ある事件をきっかけに軍を抜けた。
正直忘れられない…が俺にはどうしよもない。そう思うしかなかった。

話を戻そうか。
採掘場に行く途中俺はメタトロン反応に気がついた。
メタトロンってのは簡単にいうと希少エネルギー物質のこととでも思えばいい。
今回のそれは今まで見たほど無いほど馬鹿にデカイ反応だった。
普通気になるよな?俺も気になった、だから向かったんだ。
今思えばそれがいけなかったんだが…。
 「ディンゴ?何処へ行くの?」
 「メタトロンの反応がある、やけにデカイ。ちょっと見てくる。」
俺はLEVといわれる破砕用ロボットを操り反応している場所へと向かおうとした。
重力が軽い分空中にロボットを長時間浮かせることが出来る。
そして浮かせた後、バーニアを時間差で二回噴射させる事により素早く移動できるのだ。
これ豆知識な。とにかく俺はそうして向かったんだ。

メタトロン反応あった場所に降り立つ。
そこには半分埋まったままの大きなコンテナがあった。
俺はLEVを降り調査するため中には入った。
 「これは…オービタル・フレーム!」
正直驚いた。これだけ貴重なものは見たことが無い。
でも何故こんな辺境にあるのか俺には理解できなかった。
どうすべきか…そう考えていると急に爆音がし、ひどい振動が来た。
 「ディンゴ どうしたの?!」
オペレータのアンジーが心配そうに無線で聞いてきた。
 「LEVをやられた。バフラムの連中だ!」
 「バフラムって…!!まさか?! きゃあぁぁ」
急に切れる無線。
 「おい!!どうした?! くそ!切れやがった」
何故火星のバフラムが木星にいるのか分からないが相手は考える暇すら与えてくれない。
容赦ない攻撃によりコンテナごと崖から落ちてしまった。
一応俺だって元軍経験やLEV操作の経験があるから操作しようとする。
…動かなかった。だめか…そう思ったとき…動力が点いた。
 「おはようございます。戦闘行動を開始します」
 「うごけええええ!!!!!」
同時に眩いばかりの光が俺の周りを包んだ。
そこで俺の意識は途切れた。

 「うわあぁぁ… ハア…ハア…」
光がカーテンから差し込む。どうやら夢だったようだ。
夢か、そうだよな非現実的すぎるよな。そう納得した。
額を触ってみる。すごい汗だ。とりあえず顔を洗いに洗面所に向かうことに。
ベッドから降りる。
妙に体が軽い ふわふわしている。
そういや酒のんでたから二日酔いか。

洗面所に着いた。明かりはついていない。
蛇口の前に手を差し出す。自動なので水が出た。
それにしても恐ろしい夢を見た。
オービタル・フレームがあんな所にあるわけがない。
それにバフラムがあんな辺境まで来るはずないからな。
手当たり次第にハンドタオルを探し、顔を拭った。
すると不意に声をかけられた。
 「おい 明かりつけて鏡見ろ」
 「誰だ!誰が居る!」
周りは暗くて見えない。明かりをつけてみた。だが誰もいなかった。 
空耳か…俺も年だな
そして振り返りざまに鏡を見てしまった。
 「………」
絶句した。鏡にはどうみても女の子しか映っていない。
また声がする。
 「なあ おまえどうやって私の中に入った?」
俺はどうやら大変な状態らしいことだけは分かった…。

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2007年06月28日(木) 22:40:20 Modified by beast0916




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