その他93

「痛いよ……、熱いよ……」
炎の中を逃げ惑う少女、彼女の名はスバル・ナカジマという。
悪の科学者Drスカリエッティのラボから逃げ出してきた、戦闘機人タイプゼロに改造された少女だ。
彼女は両親を殺され、姉であるギンガ・ナカジマと共に悪の科学者に囚われ改造されてしまったのだ。
脳を改造される前に隙をみて逃げ出したスバルであったが、追っ手であるノーヴェの追撃は厳しく、
絶体絶命のピンチとなってしまう。
「よくここまで逃げたもんだな。Drはお前を不良品と認定した。父と母の後を追いな」
無情の手刀がスバルの心臓を貫いた。
「おとーさん、お母さん、ギンガおねえ…………」
スバルの瞳が光を失い、地面に倒れ付した。その直後閃光が追っ手を撃ち抜いた。
「遅かった!? ナンバーズ、私が相手なの!」
「貴様はなのはーる! どこまでDrの邪魔を!」
激しく魔力が放出され、両者の技が交錯し、そしてナンバーズは負傷し撤退していった。
「くっ、強い、これがなのはーる? まあいい、タイプゼロは始末した、さらばだ!」
敵の改人を撃退した白い人影はスバルを診察するものの、
「いけない、これでは助からない、どうすれば、どうすればいいのユーノ君………そうだ!?」
なのはーるが特殊な処置を施すと、スバル・ナカジマの負傷が治り、その代わり服が破け
なのはーるのような特殊服、バリアジャケットを装着した姿になった。
「しっかりして、ロックマ──────スターズゼロ!」
「貴方は一体なに、その格好とお面は? 私にもこんな着せてどうしようっていうの?」
「いい、貴女の命を救うにはこれしか方法がなかった。貴女を魔法少女にするしかなかったの。
貴女にその資格があるかどうか細かく調べている余裕がなかったの。
だけど、今日から貴女は魔法少女「スターズゼロ」なの。
魔法少女になってしまったからには魔法少女の掟に従わなければならない。
魔法少女にふさわしくないと判断されれば、消去されてしまう。
一般人に正体を知られた場合は、すべての記憶を消されるの」
「魔法少女は強いの? 私を強くしてくれるの?
「魔法少女の力は正義のために使わなければいけないの」
「ナンバーズを、スカリエッティをやっつける!」
「復讐はだめ! 正義の戦い以外に力を使えば貴女も消去されてしまうの」
「もうスバル・ナカジマという人間は死んでいるんだ。だったらあの人たちだけは許さない!」

ここは次元航行船エスティア号。
私はお父さんの友人だったというグレアムというオジサマに拾われて、ここで働き始めた。
グレアムさんはエスティアの提督で私は見習い。
あの日のことは一度たりとも忘れたことはない。

「準備はいいかな? ……どうした?」
「グレアムさん、私、エスティアを降りる」
「やはり、行くのか」
「お世話になりました」
「高町さんには言ったのかな?」
「いえ、なんか照れ臭いし……」
「そうだな、二度と会えないわけでもない。頑張るんだよ」

スカリエッティのラボの一つを突き止めたスバルは単身基地を破壊するためにコントロールルームに
とびこんだ。そこには
「ノーヴェ!
「誰かと思えば、タイプゼロ! このラボ、かつてのアースラ号を突破してきたことは誉めてやる
だが、ここがお前の処理場だ!」
二人は激しく拳を打ち合わせ、肉弾戦を繰り広げる、しかし経験が勝ったのか、スターズゼロが
ノーヴェを追い詰めた。
「私の体の六割はクイント・ナカジマの肉体が流用されているんだ、やれるかタイプゼロ!
私を、お前の母親の肉体をやれるか!」
躊躇いは刹那、彼女は復讐者タイプゼロではない、魔法少女スターズゼロなのだ。
「お母さん…………うわあああああああああああ!」
彼女の無念を込めた必殺のディバインバスターはノーヴェを粉みじんに粉砕した。
自動的にマッハキャリバーがナンバーズの情報をロードし、
『サブウェポン、ブレイクランナーを入手しました。操作方法を説明しますか?』

「お見事、流石はタイプゼロ。私のガジェットをことごとくなぎ倒してきただけのことはある。
「Drスカリエッティ! 中将レジアスは倒した、ミッドチルダ地上本部はもうおしまいだ!
「はははははは、中将? さっきのあれか? 確かにこの間まで、あれは指揮官だった。
だが今は私がミッドチルダを指揮している。
レジアスにも改造を施してみたが、元が悪くては改造も効果が無いと証明しただけだったな。
「Drスカリエッティ、貴方の悪事もここまでだ。おとなしく裁きを受けろ!
「それは彼女らと戦ってからにしてもらおう。出でよ、ナンバーズ!」
しかし、一度倒し、全てのISをロードしてきたスターズゼロを止めることはできない。
12体の再生ナンバーズはスバルの愛と怒りと哀しみのディバインバスターで葬られた。

「ふむ、彼女達のボディでは、二度の改造に耐えられなかったか……」
「悪あがきはよせ!」
「しかし、これは違うぞ。私の最初にして最後の最高傑作ブラックゼロだ!
君との戦いの分析の結果、君の能力をコピーするのが最強であるという結論に達した。
12体のナンバーズの戦いの記録がブラックゼロを最強のナンバーズとして完成させたのだ!」
ラボの一番奥から、顔を仮面で覆った漆黒のバリアジャケット姿のナンバーズが現れる。
その姿はスターズゼロと酷似していた。
「はじめましてスターズゼロ、さあ決着をつけましょう」
両者は、互いに10歩の位置で正対した。
「傷ついたスターズゼロを倒しても最強の証明にはなりません。
Drスカリエッティ、スターズゼロを回復させて下さい」
「相手の弱みに付け込めないのが、ブラックゼロの最大の弱点。
だが、その心を失っては最強になれない」

かつてない激闘の末、スターズゼロのディバインバスターとブラックゼロの
ディバインバスター・エクステンションがぶつかり合う、しかし、威力はブラックゼロの方が上。
徐々にスターズゼロのリボルバーナックルは焼きついていった。
「そこまでなの。貴女の力などそこまでのものに過ぎないの! それでも魔法少女なの!」
「足を踏んばり、腰を入れなさい! そんなことでは、悪党の私一人倒せないわ、
タイプゼロセカンド!」
スターズゼロの瞳が黄金に輝く
「一撃必倒! スターライトォブレイカァーーー!」
「それでいいのよ……今こそ、スバルは真のナカジマの後継者……」
押し返される閃光、ブラックゼロの面が砕ける。そこには、
「ギ、ギンねえぇぇーーーーー!」

「見事よスバル。スバルは私を、そして母さんを超えたわ」
「ギン姉、ギン姉、ギン姉、うっ、ぐす、こんなの、こんなの」
「ありがとうスバル。仕方なかったのよ、私は脳改造を施されていた。今正気でいられるのはスバル
のおかげよ。だから、自分を責めないで。スバルにはやるべきことが残ってる、父さんを止めて、
ミッドチルダ地上本部の制御装置には父さんの、ゲンヤ・ナカジマの脳が使われてる。
父さんを解放して……お姉ちゃんの最後のおねが…………」
ブラックゼロの腕が力を失い、ふらりと垂れた。
「ギン姉? ギン姉……ギンねええええええーーーー!!!」
『メインウェポン、リボルバーナックルを入手しました。左腕に装着します』

スバルはナカジマ家の墓前にいた。親友のティアナも一緒である。
そこへスバルがエスティアに乗り込んでいた時にお世話になった高町さんが尋ねてきた。
「ティア、私がとってもお世話になった高町なのはさん。
ヴァイスさんの同僚だったんだ。知ってるでしょ?」
「高町……さん?
初めまして、ティアナ・ランスターです。スバルとは長い御知り合いですか?」
「なのはさんでいいよ。スバルとは比較的最近」
「わざわざおいで頂いてありがとうございます。
スバルが御世話になりましたそうで」
あれ、いつの間にティアが保護者になったの?
「私は何にも。スバルは立派だったよ」
「スバルを誉めてくれる人がいるなんて、知らない間に世の中変わったんだね」
「やめてよ、ティア。恥ずかしいよ。
私、なのはさんと話があるから、先に行ってて」
ティアナは去っていった。
「なのはさん、私は……」
「スバル、向こうを向いて目をつぶって」
「なんです」
「いいから」
スバルは言われるまま目をつぶって、向こうを向いて待つ。
「スターズゼロ、貴女から魔法少女の力を剥奪します」
「何故なんです、なのはーる!」
「本局の三提督の決定なの。さようなら、スバル。もう戦わなくていいの」
なのはーるは返事を待たず、転送魔法で消えていった。
スバルはしばし呆然としていたが、ようやく自分が魔法少女から解放されたことに気づいた。
なのはーるはスバルを無理やり魔法少女にしたことを悔いていたのだろうか……


なのはさんは?

帰った。

何かあったの、スバル?

全然。それよりアイス食べに行こう。

奇遇ね、今日はスバルにおごってあげたい気分。

やったー、ティア大好きー。

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2007年08月12日(日) 10:29:10 Modified by beast0916




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