ハレグゥリリカル4話

見学も進んでいった頃、はやてが
「ほな、ちょっと派手なもんでも見にいこか」
と、いきなり出てきた。
案内されたのは時空管理局自慢の訓練スペース。
ライトニング、スターズの新人フォワード達が様々なパターンで対ガジェット戦術の訓練をしている。
エリオが最後の一つを貫いて破壊。
指導するなのはとフェイト、それに観測のシャリオ達の所に戻ってくる。
「みんなお疲れ」
「よくなったね。新記録だよ」
「やったぁ」
スバル達は飛び上がって喜ぶ。
「ふっ」
わざとらしく鼻で笑う音が聞こえてきた。
あからさまにあざけるが含まれている。
「まだまだだな」
「なによ」
一転して機嫌の悪くなったティアナがグゥを見下ろした。
「あの程度で手こずっているようでは」
「ならなに?あなたなら、もっとできるって言うの?」
「まあな」
傍目から見ても険悪な二人の間にはやてが割ってきた。
「まぁ、まぁ二人とも。じゃ、グゥちゃんやってみるんか?」
「望みとあらばな」
「部隊長、いいんですか?」
と言いながらもシャリオは設定をはじめている。
「かまわんよ。さ、やってみよか」

「じゃ、はじめますね」
シャリオがキーを押すと遠近に無数のがジェットがあらわられた。
「あたし達がさっきクリアしたのと同じね。見せてもらいましょう」
ティアナが腕組みをして、グゥの後ろに立っている。
「じゃ、スタート」
グゥが服の中からなにかを取りだした。
ぶんぶん振り回していてなにかはよくわからない。
「ここんとーざい」
「オッケー。ボス」
びしっと止める。
グゥの周りに無数の光球ができて飛んでいく。
それは、見えるがジェットはもちろん隠れて視認できないガジェットまで全てAMFをものともせずに破壊していった。
「すごい・・・最高スコアです」
つぶやきながら映像を再生するシャリオ。
「なぁなぁ、ここんとこよーみせて」
食い入るように映像を検証するはやて。
「ま、まけたわ・・・」
がっくりと膝をつくティアナ。

ハレはグゥの成果に驚いてはいなかった。
グゥの振り回していたものを凝視していた。
ピタリと止められたそれは今ははっきりとその姿がわかった。
それはビシッと背広を着込んだ筋肉質で禿頭でひげ面の大男だった。
「おい、それいったい何なんだよ」
「ボッチャン、ワスレタンカ?ぼくヤ。ボディーガードノクインシー・ポーター(以下QP )ヤガナ」
「いや、そういう事じゃなくて・・・今日もステッキのバイト?」
「チャウネン」
「じゃあ・・・」
「キョウハ、インテリジェンスデバイスのバイトヤネン」
「インテリジェンスデバイス・・・どこが?」
グゥが口をはさんだ。
「喋る」
「喋ればいいってもんじゃないわぁあああっ」
向こうでは、はやてとシャリオが顔をつきあわせている。
「完全自立型のインテリジェンスデバイス。めずらしいですね」
「せやな。あんなに大きいのは初めて見た」
「いや、他に言うことがあるだろ」

QPはなのはの見ていた。
「ボッチャン、チョットシツレイスルワ」
大きな体を揺らしてなのはの前に行く。
「あのぅ・・・」
自分をじっと見下ろすQPにおずおずと声をかける。
「オヒサシブリデス」
「あの、なのはさん。お知り合い?」
なのはは横で結んでいる髪が遠心力で水平になるほどに勢いよく首を横に振って答える。
「レイジングハートハン」
「そっちかよ!!だいたいクインシーとレイジングハートにどんなつながりがあるんだよ」
「レイジングハートハンハ、ぼくノ指導教官ナンヤ」
「は?」
「アレハナ・・・・・」

回想シーン
大勢のデバイス達が並んでいる。
その中にはマッハキャリバー、クロスミラージュ、ストラーダ、ケリュケイオンやクインシー・ポーターもいる。
彼らの前を歩き、レイジングハートは声を張り上げていた。
「わたしが訓練教官のレイジングハートである!話しかけられたとき以外は音声を発するな!ノイズをたれる前と後に“サー”と言え
分かったか、石ころども!」
「Sir,Yes Sir」

過酷な訓練がはじまる。
デバイス達は泥まみれになり、傷を作り、無様に倒れていく。
「貴様ら真空管どもが俺の訓練に生き残れたら、各人がデバイスとなる!その日までは漬け物石だ!次元世界で最下等のケイ素だ!」

「貴様らはデバイスではない!哺乳類の糞をかき集めた値打ちしかない!」

「俺は厳しいが公平だ!差別は許さん!尿酸結石、シスチン結石、リン酸結石を、俺は見下さん!すべて・・・平等に価値がない!」

「俺の使命は役立たずを排除することだ!愛する次元管理局の石綿を!」

「分かったか、コプライト!」

「Sir,Yes Sir」

回想シーン終わり


「ト、イウワケナンヤ」
「なぁんだそりゃぁああああ」
「レイジングハートが私の知らないところで私の知らないことを・・・・・」
ハレの横で頭を抱えるなのはの肩が叩かれた。
なのはが振り向くとはやてが満面の笑みでそこにいた。
「なのはちゃん、お手柄や」
「え?」
「グゥちゃんや。すごい逸材や。うちに来てくれたら、戦力に厚みが出ること間違い無しや」
「え・・・えーーーと」
フェイトもやってくる。
「うん、私もそう思う。私、昔のなのは思い出したし」
「ええ?私あんなふうだったの?」
「うんうん、あの砲撃。その通りや」
なのははガマのように冷や汗をたらし、ハレの両肩をがしっとつかむ。
「ハレ君!」
「はい」
「ハレ君もうちに来て!」
「いや、俺普通の人だし・・・」
「来て欲しいの!」
「魔法使えないし・・・」
「私を見捨てないで!!私1人じゃ、グゥちゃんのこと絶対無理!」
「俺の存在意義って、グゥ関連だけですか!!!」

その後、はやて説得に全力を尽くすと言うことでとりあえず落ち着いたがハレはしばらく落ち込んでいた。

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2007年06月28日(木) 19:38:37 Modified by beast0916




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