フェレットゾンダー2

一方、日本政府の誇るGGGもまたフェレットゾンダーへの対策へ動き出していた。
「今度のゾンダーはフェレットに酷似した形状をしています!」
「海鳴市へ向けて真っ直ぐに進んでいる模様!」
「機動部隊が現在現場へ急行中です!」
GGGのメインオーダールームに現場の映像が映し出され、長官の大河を中心に
各GGGメンバー達が対応を行っていた。

なのは・フェイト・ヴィータの三人が現場に到着した時、もう街は酷い有様だった。
「こ…これは酷い…。」
ビル街はフェレットゾンダーロボによって滅茶苦茶に破壊され、犠牲者も多分多数。
幸い大人の都合で何故かほぼ無人に近い状態になっていた為、なのは達三人の姿が
一般市民の目に知られる事は無かったが、とりあえずビルの残骸の陰に隠れて
フェレットゾンダーを観察する事にした。
『ゾンダ〜!』
「本当にフェレットそっくりなの。」
「しかし何でフェレット…。」
「と言うか何だよゾンダ〜って泣き声は。普通フェレットはあんな声で鳴かないぞ。」
三人がそう口々にフェレットゾンダーに対する感想を述べていた時…
「君達、ここは危険だぞ。早く安全な所に避難するんだ。」
「え!?」
すると、背後に顔を除く全身が金属で覆われた男が立っていた。
彼こそ、GGGの誇るサイボーグ「獅子王凱」であるのだが、やはり三人にそれを知る由は無い。
「あ〜それにしても何て格好なんだ? この辺でコスプレイベントなんてやってたかな〜?」
「コスプレって…おじさんの方がよっぽどコスプレではないかと…。」
「おいおい、おじさんは無いだろ? これでもまだ二十歳なんだぜ。」
凱がなのは達三人を何かのコスプレだと勘違いしたように、凱をサイボーグだと
知る由も無い三人もまた、凱を何かのコスプレであると勘違いした様子であった。
とまあ、そんな感じであーだこーだと騒いでいると、フェレットゾンダーに見付かってしまった。
『ゾンダ〜!』
「やばい見付かった! ここは俺が引き付けるから今の内に逃げるんだ!」
凱はフェレットゾンダーを引き付ける為に前に飛び出したのだが、何とフェレットゾンダーは
凱には目もくれずに真っ直ぐになのは達に向けて突っ込んで来たでは無いか。
『ゾンダ〜!』
「え!?」
「キャアア! 何でこっちに来るのぉ!?」
「とっとにかく逃げないと!」
三人は散り散りになって逃げるが、フェレットゾンダーはまるで最初から狙っているかの様に
迷わずなのはの方に突き進んでいた。

『ゾンダ〜!』
「キャァァ! 何で私の方に来るのぉ!?」
「なのは!」
「不味い! ギャレオォォォン!!」
「こんな時に何叫んでるんだおっさん?」
「だから俺はまだ二十歳だって!」
突然三人にとって意味不明な言葉を叫ぶ凱にヴィータも呆れていたが、直後何処からとも無く
真っ白なライオン型の巨大ロボットが飛んで来た。これこそ地球にゾンダーの危機と
Gストーンを伝えた外宇宙のロボット「ギャレオン」である。そして…
『フュゥゥジョン! ガイガァァ!!』
ギャレオンはサイボーグ凱とフュージョンする事によってメカノイド「ガイガー」へと変形するのである。
「ワー! おじさんがライオンに食べられたと思ったらライオンのロボットが人型に変形したー!」
『俺が相手だ! あの子には指一本触れさせはしない!』
ガイガーはなおもなのはを追い駆けるフェレットゾンダーの行く手を阻む様に割って入り、
フェレットゾンダーを押し返そうとした。しかしパワーに差があり過ぎた為に簡単に吹っ飛ばされてしまった。
『うわぁぁぁ!』
「ああ! 弱い! 弱すぎるぞあのロボット!」
『うるさい!』
ガイガー単体ではゾンダーロボに歯が立たないのはGGGにとっても何時もの事だから
仕方が無いが、やはりそういうのを子供に突っ込まれるのは嫌だった。
『とにかく俺がコイツを抑えている間に逃げるんだ!』
素早く起き上がったガイガーは再びフェレットゾンダーへ向かっていくが、
そこでやっと他のGGGのロボットが駆け付けて来た。
『フリージングガン!』
『メルディングガン!』
『マーグキャノン!』
『シルバームーン!』
氷竜・炎竜・ゴルディーマーグ・ボルフォッグの最強勇者ロボ軍団が到着すると共に
それぞれの武器でフェレットゾンダーへ攻撃を仕掛け始めた。
「日本は何時の間にあんな沢山のロボットを作っていたなんて…。」
「この税金ドロボー!」
『だからうるさいって!』
文句を言うヴィータの相手は程々にしつつ、とにかくなのはを追い駆け回す
フェレットゾンダーの足止めを勇者ロボ軍団は行っていたのだが…
『ゾンダ〜!』
『うわっ! こっちの砲撃を物ともしないなんて!』
可愛い顔してフェレットゾンダーは強力なゾンダーバリアで
勇者ロボ軍団の砲撃を防いでいるのである。しかし、一つ解せない所があった。

『ゾンダ〜!』
『くそっ! 俺達を無視しやがって!』
『しかし何故私達を無視してあの女の子ばかりを追うのでしょうか…?』
『さぁな、どうせ女関係でストレス抱えた奴がゾンダーの素体にされたか何かだろ?』
そう口々に言いつつ、勇者ロボ軍団はフェレットゾンダーの後を追うのだが、
まだなのはは追い駆け回されている事を忘れずに。
『ゾンダ〜!』
「嫌ぁぁぁ!! 助けて!! 怖いよお父さん!!」
『待てぇぇぇ!!』
「もう何が何だか…。」
こうして、なのはを追うフェレットゾンダー、フェレットゾンダーを追う勇者ロボ軍団。
そして勇者ロボの後を追うフェイト&ヴィータと言う図式が成り立っていたのだが
やはりこのままでは埒が明かず、被害の拡大は必至だった。

「長官! ガイガーからファイナルフュージョン要請のシグナルが来ています!」
「よし! ファイナルフュージョン承認!!」
「了解! ファイナルフュージョンプログラムドラーイブ!!」
とまあGGGメインオーダールームではその様なやりとりが行われており、
ガイガーからの要請を大河長官が承認し、その後で
GGG隊員「宇都木命」がファイナルフュージョンプログラムボタンを覆った
ガラスを殴り壊す事でガイガーはファイナルフュージョンが可能になるのである。

そして何処からとも無くステルス爆撃機に酷似したステルスガオー、
新幹線に酷似したライナーガオー、ドリルタンクに酷似したドリルガオーが
ガイガーの所まで飛んで来た。
「うわ! また新しいメカが来た!」
「まだあるのか! こんな下らない物に私達の税金が使われてると思うと泣けてくる!」
『なんだと!? と言うか危険だから早く非難しろよ!』
『隊長落ち着いてください!』
『本当腹立つ子供だけど、まずあのゾンダーを何とかする方が大切だ!』
元々口が悪い上にメカに思い入れの無いヴィータにとってはGGGの誇るスーパーマシンも
下らないの一言で片付けられてしまう。これには凱や勇者ロボ達も怒りたくなるが
その怒りを必死に抑えガイガーはファイナルフュージョンへ入った。

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2007年06月15日(金) 18:08:50 Modified by beast0916




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