マスカレード3話

王蛇はベノサーベルをカブトに向けて振り下ろす。カブトはクナイガンで受けとめ、言う。

「いいだろう。太陽の輝きを見せてやる。」

カブトはクナイガンでベノサーベルを弾き、王蛇に一撃を入れる。
怯む王蛇。だが
「……クク……いいぜ?お前ぇ!」
「……。」
そう言うと王蛇はどこからかベノバイザーを取り出し、ベルトから引き出したカードを読み込ませる。
『ADVENT』

「!?」
次の瞬間、突如として現れたサイのモンスター、『メタルゲラス』がカブトに突っ込んでくる。
「く……!」
「ハハハハハ!俺はここだ!」
メタルゲラスの突進を避けたカブトに、王蛇は容赦なくベノサーベルを振り下ろす。
「……。」
突然の奇襲に命中したカブトは、少しのけぞる。
「まだまだ行くぜぇ!!」
王蛇は独特のフラついたフットワークでカブトに切り掛かる。半分以上はクナイガンで受けるがそれでも少しは喰らっている。
「こんなもんかよ!赤いのぉ!!」
「…………。」
王蛇はカブトに怪しく光る牙を降り続ける。カブトは王蛇に手を出せない。いや……わざと出していないのか、全く反撃をしない。

王蛇の攻撃を受け続けるカブト。カブトには何か考えがあるのだろうか……。
王蛇は攻撃していく内にだんだんと飽きてくる。

そして−

「これで終わりだ……」
王蛇はカブトいびりに飽きたのか、再びベルトから引き出したカードを読み込ませる。

『FINALVENT』
王蛇の背後に巨大な紫の蛇、ベノスネーカーが現れる。王蛇はそのまま飛び上がり、ベノスネーカーの前で一回転。
王蛇の必殺技、ベノクラッシュだ。
そのまま王蛇は凄まじい勢いでカブトへ向けて急降下する。

「はぁぁああああああ!!」

ガキィィィィン!

響く効果音。ベノクラッシュは確かに命中した。
「何!?」

だが王蛇は自分の目を疑うことになる。

「何……!?」

王蛇は自分の目を疑った。確かに命中したはずだ。だが自分の足が命中しているのはカブトでは無かった。



ACT.3「AGITΩ」



王蛇の足が命中したのはカブトでは無く、カブトが持つ剣だった。
しかもカブトは先ほどまでの赤色とは違い、銀色になっている。

「……お前!?」
「俺の進化は誰よりも速い。お前の攻撃は全て見切った。」

カブト……いや、ハイパーカブトは王蛇に言う。
「へ……面白いじゃねぇか!」

王蛇は唸り、再びカブトにベノサーベルを振り下ろす。だがそれもカブトのパーフェクトゼクターに受けられ、次の瞬間には王蛇はカブトの斬撃を受けていた。

「……っぁああああ!」
王蛇は再びカブトに斬り掛かるも、あっさりと流されまたしてもパーフェクトゼクターの一撃を受ける。

「無駄だ。お前ごときに倒される俺ではない。」
「ククク……ハッハハハハハハハァ!!」
王蛇はカブトの声を聞き、笑いながらベノサーベルを振り下ろす。だが何度やってもカブトに通じない。



そこへ、パーフェクトゼクターの元へ二つの影が飛んでくる。サソードゼクターとザビーゼクターだ。カブトはサソードゼクターをセットし、紫のボタンを押す。

『Sasword Power(サソードパワー)』
『Hyper Slash(ハイパースラッシュ)』
「ハイパースラッシュ!」
カブトは王蛇に紫の衝撃をブチ込む。凄まじい威力のハイパースラッシュは目標に直撃し、王蛇を吹き飛ばす。
「ぐぁあああああ……!!」

『Thebee Power(ザビーパワー)』
『Hyper Sting(ハイパースティング)』
「ハイパースティングッ!」
カブトはさらに一連の動作を繰り返し、王蛇へ向けてザビーの力をぶつける。
「……ッ!」
カブトの二連技が直撃した王蛇は、そのまま遥か遠くの壁にたたき付けられ、変身が解除される。
いや、変身した状態を保っていられないのだ。王蛇が叩き付けれられた壁には大きな痕が残り、王蛇はそのまま崩れ落ちる。

それと同時に朝日が昇り、天道の体からカブトゼクターとハイパーゼクターが離れる。

「……。」
天道は目を細め、昇る太陽に自分の人差し指をさすのだった。

まるで自分が太陽とでも言っているかのように……。

その日の朝、八神家。

『〜次のニュースです。脱獄犯の浅倉威が本日午前6時頃に逮捕されました。』

脱獄犯の逮捕を報道するニュース。
「へぇ〜、やっとつかまったんや」
「良かったわね、はやてちゃん。」
「この町に脱獄犯がいるなんて落ち着かないもんな」
ニュースを見て呟いたはやてに、シャマルとヴィータがそれぞれの意見を述べる。

『〜浅倉威容疑者は本日午前6時頃、海鳴市の街中で倒れているところを発見され−』

「朝から町で倒れるなんて、何があったんやろ?」
「さぁな。バチが当たったんじゃねぇか?そんな悪い奴、お天道様が許してはおかないだろ。」
ヴィータが言う。まぁあながち外れている訳では無いのだが……



同時刻、天道家。

『−尚、浅倉威が発見された場所には壁に大きな穴が開いており−』

「へぇ〜。何があったんだろうね?」
天道が作った豪勢な朝食を美味しそうに頬張りながら妹、樹花が言う。
「……おばあちゃんが言っていた。『この世にまずい飯屋と悪の栄えた試しは無い』……ってな。」
この声の主は……いや、もはや説明は不要だろう。兄、天道総司だ。
「そっかぁ!悪い事したらいつかは捕まるもんね!」
「その通りだ樹花。……にしても脱獄犯が朝から街中で気絶とは……バカな奴だ。」

……自分のせいだと知って言っているのか知らずに言っているのかは不明である。



聖祥大学。
ここはなのは達が通う小学校が附属している大学だ。

「コーチ!」
「すごいな、涼!またタイムが伸びてるぞ!」
聖祥大学水泳部に所属する葦原涼は、もうすぐ開催される水泳大会のため練習を重ねていた。
「いえ、コーチのおかげです!」
「フフ……そうか。」
涼に言われ幸せそうな顔をするコーチ。自分が育てた選手が伸びていることが素直に嬉しいのだ。
「……にしても、まさかあの事故から助かるとはな。しかも事故前よりタイムが伸びてるときた!」
コーチが涼に事故の話をする。かつてバイクでトラックに衝突したのだ。それを思い出し、涼の表情も曇る。
「……。……次の大会も頑張りますよ!」



一方、私立聖祥大附属小学校。
こっちはなのはの通う大学だ。
「ねぇ、はやてちゃん、あの話聞いた!?」
「うん!またアースラメンバーで揃うらしいなぁ。」
「うちの母さんもまた艦長に戻るみたいだよ。ホントに懐かしいね」
いつもの三人組である。
「母さんが、今日学校終わったら皆で家に来るようにって。アースラメンバーでパーティーやるんだって」
「ほんまに!?楽しみやなぁ」
「このメンバーで揃ってたのってホントにちょっとの間だけだもんねぇ〜」
なのはもはやてもフェイトも、再びアースラで集まるのは楽しみだ。

数時間後

「なのは〜!コレなんかどうかな?」
「うん!美味しそうだね〜」
なのは達は放課後、ハラオウン家に行く前に食料の買い出しにスーパーまで来ていた。
「これなんかも美味しそうやで!」
はやてもウキウキ気分だ。三人は色んな食べ物やジュースをカゴに入れながら歩いていると、目の前でフラついて歩く男性を見かける。
「なんかあの人、危なっかしいね」
フェイトがクスクス笑いながら見ていると、その男は反対側から歩いてくる男にぶつかる。

「あ、あわわわ……ご、ごめんなさいぃ〜」
男は一生懸命謝る。
「気をつけろ。全く……卵が割れたらどうする?可愛い妹が腹を空かして待っているというのに。」
謝られた男も喋り出す。後半のは半ば独り言だが。
するとそこへ一人の女性が「あっ、良ちゃん〜♪」とこちらへやってくる。
「すいません、うちの弟が何か迷惑をおかけしました?」
「何も無かったから構わんが、これからは気をつけるんだな。男は食べ物を粗末にしてはならない。」
「はぅ……ごめんなさい……」
良太郎と呼ばれた男も申し訳なさそうだ。

「何やあの男、じれったいなぁ〜」
はやては良太郎を見て苛立ちの声をあげる。
「ま、まぁまぁはやてちゃん。ほら、これなんかも美味しそうだよ♪」
「おっ、ほんまやぁ。上手そうやなぁ」
なのはが苦笑しながら話題をずらすのだった。



数時間後、ハラオウン家。

「では皆さん、久々の再開に乾杯!」
「「かんぱ〜い!」」
リンディの声に集まった元アースラメンバーが乾杯する。まぁ未成年組はジュースだが。

「母さん、見慣れない人がいるみたいだけど?」
フェイトはこの場にいる見慣れない男の事をリンディに聞く。
「あ、自己紹介が遅れたわね。彼は……」
「はじめまして。私は時空管理局本部から、グロンギ及びワーム対策班に編入されたダイゴ タチカワです。」
立川と名乗った男は深々とお辞儀する。それに釣られ、なのは達もお辞儀する。優しそうな人だ。

一通り楽しんだ後、リンディが今後の説明をする。普通食事の前だろうと思うが、リンディは楽しさを優先したのだろう。
「え〜ごほん!再びアースラ艦長に就任しましたリンディです。今後は、アースラを拠点にこのチームで事件解決に向けて頑張ります。そして……」
「そこで、この『エネミーサーチャー』が必要になる訳ですよ!」
エイミィが唐突に割り込んで言う。

「エネミーサーチャー?」
「何なん、それ?」
質問するなのは達。
「よくぞ聞いてくれました!このサーチャーは、BOARDの橘さん…だっけ?の協力で完成した、まぁ簡単に言うと怪物サーチャーだよ」
エイミィが説明する。橘の名前がうろ覚えなのはさておき、このサーチャー、どうやらアンデッド・グロンギ・ワーム(成虫)など、一定の波動を放つ怪物に反応するらしい。
まぁ、アンデッドサーチャーの強化版だと思えばいい。
「へぇ、便利だね。それがあれば敵が出てもすぐに気付けるしね!」
しかし、なのはが言った途端にサーチャーが鳴り響く。
「え……!?」
「この反応は……ワーム?未確認?」
「と、とにかく現場に急行して!」



急な出動命令で出動するエース、なのは。フェイト達は待機だ。

そしてなのはの目の前にいるのは、豹のような顔をし、赤いマフラーを巻いた怪物。なんとか殺人前に間に合った。
「逃げて下さい!」
なのはは怪物にレイジングハートを構えながら襲われている人間に言う。
被害者は急いで逃げようとするが、豹の怪物『ジャガーロード』は追いかけるつもりらしい。

「させない……!」
なのははジャガーロードの前に飛び出す。
「アクセルシューター!」
『Yes,アクセルシューター』

なのはが放つ桜色の魔力光がジャガーロードを襲う。
アクセルシューターは油断していたジャガーロードに直撃すれ。
「……ッ!」
ジャガーロードは逃げた人間より先になのはを相手にすることに。

「(多分この敵にはディバインバスターやスターライトブレイカーは当たらない……なら!)」
なのははアクセルシューターでジャガーロードにダメージを与え続ける。だが、一向に倒せそうな気配を見せない。


「もう……しつこい!」
なのはもしつこくアクセルシューターを当て続ける。
すると……

ゴウン ゴウン ゴウン ゴウン……

どこかから聞こえる音。

「何か来たよ!」
「またこのパターン!?」
エイミィがサーチャーの反応を実況し、待機中のフェイトが言う。ピンチに誰か−多分ライダー−が助けにくる。
ホッパーの時と同じだ。

そして暗闇の中、ベルトだけが光り輝く黄金の戦士が姿を表す。

「ア……ギ……ト?」
「アギト?」
ジャガーロードが呟き、それを聞いたなのはも疑問の声をあげる

ジャガーロードはアギトなる者に攻撃を仕掛けるが、全て受けられる。
そしてアギトは次々とジャガーロードにカウンターを入れて行く。
「すごい……」
『なのは!どうなってるんだ!?』
クロノから通信が入る。
「わ、わかんないけど、誰かが敵と戦ってる……もしかして、未確認生命体第4号……?」
「……とにかく、敵を倒したらそいつから事情を聞くんだ!そいつもどこかで造られたライダーシステムなのかもしれない!」
「うん、わかった!」

なのははそう言い、通信を切る。


そしてなのはは上空から今まさに戦闘中の下を見る。
するとアギトなる者の足元のアスファルトには赤い紋章が浮かんでいた。
「…………!?」
なのははアギトに見入る。

アギトは頭のクロスホーンを展開し、地面の紋章は渦を巻いてアギトに吸収される。
そして、
「はぁぁぁぁ…………ッとりゃああああ!!!」
一気に飛び上がり、ジャガーロードに向けて飛び蹴りをする。
「!?」
そしてアギトのライダーキックはそのままジャガーロードに直撃する。
ジャガーロードはそのまま地面を引きずられるかのように吹っ飛び、そして頭の上に光が現れる。
「う……うぅ……ぐぅぅ……」
苦しみ出すジャガーロード
そして数秒後にジャガーロードは爆発した。



「ちょっと待って下さい!」
立ち去ろうとするアギトになのはが声をかける。
「……?」
「あの、私は時空管理局嘱託……!?」
近づきながら喋るなのはの足が止まる。なんと、アギトがなのはに殴り掛かってきたのだ。
「ちょ、ちょっと!」
なのはは慌てて回避するが、アギトは黙ってなのはに攻撃を仕掛ける。
「(なら……空に上がって……!)」
なのはは上空に上がり、ディバインバスターの発射体制に入る。倒す訳にもいかないので、気絶させて連行するつもりだ。
するとアギトも同じようにさっきのキックの構えをとる。
「嘘!?あの距離から……!?」
上空のなのはを見上げるアギトの足元には先ほどの紋章が浮かんでいる。

アギトは間違いなくあの距離からなのはに向かって飛び上がり、ライダーキックで叩き落とすつもりだろう。

アギトのクロスホーンは再び展開され、なのはのディバインバスターもチャージが終わる。
次の一瞬でなのはとアギトの必殺技がぶつかり合おうとしていた。

次回予告


−再び結集したアースラメンバー。

−私達は奴らと戦うための新たな力を手に入れる。人々を守るための力を。


……一方、覚醒した龍は周囲の敵を全て倒すまで戦い続ける。

−そして龍の覚醒と同じ頃、もう一人の男が異形の力に覚醒する……


次回魔法少女リリカルなのは マスカレード
第4話『目覚めよ、その魂』
(CV:水〇奈々&田〇ゆかり)




スーパーヒーロータイム


「おい蓮、浅倉がまた捕まったらしいぞ!」

「知るか。そろそろ奴は契約違反でモンスターに食われるんじゃないか?」

「何ぃ!?そんなつまんねぇことになってたまるか!あ〜あいつと戦ってみてぇ!」

「まぁまぁモモタロスさん、そのうち戦えますよきっと♪」

「おぅ、そうか?……ってテメェ、翔一とか言ったな!全然活躍してねぇじゃねぇか!!」

「え?活躍してましたよ。モモタロスさんが気付いてないだけですよ♪」

「どこだよ?おい、どこでだよ?言ってみろ、おい」

「だって言ったらモモタロスさん絶対驚きますもん」

「驚かねぇよ!いいからとっとと言いやがれ!」

「だって絶対、ぜ〜ったい、驚いちゃいますもん」

「あ〜もうじれったい!からかってんのかテメェ!?」

「いえ……。『本気(マジ)』です!!」

「……はぁ。もういい……。」

「次回もお楽しみに〜!」by. 翔一

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2007年07月11日(水) 19:26:24 Modified by beast0916




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