リリカルなのはBstSプロローグ

コンボイ「やあ、皆元気かな?元気がないときはバナナを食べると良いぞ。さぁ、ゴリカルなのはBeastStrikerS(ビーストストライカーズ)の始まりだっ!」
なのは「ゴリカルなのは、始ま−−Σってゴリカルぅっ!?」


リリカルなのはBeastStrikerS、プロローグ




はぁ……はぁ…はぁ

苦しそうな呼吸音が渓谷に響く。

(くそっ駄目だ……身体のあちこちがイカレてやがる……このっ動けよ……)

ダイノボットは仰向けに地面に倒れていた。
(ハチ野郎なんざ屁でもなかったが……蟻や蜘蛛野郎の……攻撃が)

手や足を動かそうとするが反応が鈍くなっているのが感じられる。ダイノボットにはソレが『もう死ぬ』というのを自覚させるには充分だった。
そして、ノイズが入りだした聴覚センサーに憎いあの男の声が聞こえる。

「おやおや、裏切り者のダイノボット君、まだお寝んねには速いよ〜ん?」

自分よりも大きな体格を持つメガトロンはダイノボットを見下ろしながらどこか憎めない口調で尋ねる。
そしてニヤリと口の端を吊り上げて、悪辣な笑み浮かべると取り外し可能であり武器になる自身の機械仕掛けの尾をダイノボットに突き付ける。

「ダイノボット……残念な事にお前のおかげで人類抹殺の夢がちょこっっっと時間喰っちゃたんだよ。」

「へ、ざまぁみろ……」

「これはなあの世で残業だなぁ……野原くん。」

そう言うと共にメガトロンは尾の先に最高威力のエネルギーを収束させる。

システムが傷つき、スパークの輝きが弱くなっているダイノボットにも収束されているそのエネルギーが発射された時の威力は容易に想像出来る。
放たれればすぐにあの世で残業するハメになるであろう……。
だがダイノボットは倒れている自分の後方に、この世界の原住民達であり人の祖先が住んでいる事を忘れてはいない。これほどの高エネルギーが放たれれば自分はおろか人の祖先はもちろん未来の人々の命が塵にされる事になる。

(俺がゴールデンディスクを渡したから……俺のたった一つのミスでこの世界の……いや未来の世界までの命が消される……そんな事……俺がさせやしねぇ、身体がイカレてるからなんだってんだよ!!)


すると先程まで弱まっていたスパークの光がダイノボットの身体の中で強く輝きを放つ。
スパークの光はダイノボットの身体を透かす程に強く輝く。そんな状況に見下ろしていたメガトロンはダイノボットに脅威を感じてしまう。

「俺は野原係長じゃねぇ!!俺はサイバトロン戦士ダイノボット様ダァー!!……命は……命は俺が護ってみせる!!」

そう叫び、彼は瞬時に起き上がり軋む駆動音を無視してメガトロンを蹴り飛ばし。メガトロンを見据えてから自分の目にエネルギーを集中させる。

「ぐうっ!(馬鹿な……なんだと言うのだ!?ダイノボットのスパークは弱まってたはず!)このくたばりぞこないがぁぁ!!」

蹴り飛ばされて距離を空けられるもメガトロンは収束していた高エネルギーをダイノボットに放つ。だが、それと同時にダイノボットの目からもエネルギーが放たれ、エネルギーとエネルギーがぶつかり合い、爆散を起こす。爆散の衝撃は白い光と共に広がっていく。
光に巻き込まれ行くなか、ダイノボットはゴールデンディスクに記されていた事を思いだしていた。

「何て光だよ、こいつぁ……(確か……俺達が居る世界の名前って確か……ミッ−−−−……」

その光はまるでクオンタムサージが発生した時のように衝撃を放っていた。


「ん、何だ……あの光は。こっちに来る、この反応は!?皆、気をつけろ−−ぐわぁぁぁ!!」

「コンボイ!?だなぁぁぁ!!」

ダイノボットの元に向かっていたサイバトロンやデストロンを……その時漂着した新たな戦士を。衝撃と光は世界をおおう。

その衝撃は新たな世界を舞台にした闘いの幕開けであったのかもしれない。


あの……大丈夫ですか


(…っ……ここは……私は一体……)

高い音程であるが冷静さを感じさせる声に意識を揺さぶられる。
そして次第にセンサーが動き出す、すると一人の幼い少女が心配そうに自分を覗き込んでいる姿が写し出された。
青紫色の長い髪に白いリボンを飾っている少女……


「き…みは……?」

なんとか力を振り絞って少女の名を尋ねると。
少女は安心したように微笑むと名を教える。


「あ……私はギンガ・ナカジマです。 貴方は?」

「私は……コンボイ。」

力が入る事を確認したコンボイはゆっくりと手をギンガに差し延べる。ギンガはそれに応えコンボイよりも小さな手で彼の大きな手を握る。
それがコンボイにとって久しぶりに遭遇する少女、そして初めて経験する文明の世界であった。




コンボイがギンガと出会った頃、時空管理局本部の医療室のクリーンルームでは一匹のチーターが眠っていた。

それを心配そうにルームの外で見遣る時空管理局の制服を着た八神はやてとそのチーターを治療するためにルームの中で白衣を着たシャマルがいた。

しばらくするとルームからシャマルが出てくる。
はやてはシャマルに歩み寄ってチーターの容態を尋ねる。


「シャマル、あの子大丈夫?」

「ええ、たいした傷もないから。大丈夫」

心配そうに尋ねるはやてにシャマルは優しく微笑んでそう答えるが「……ただ」と繋げ、彼女が想ってもみなかった

「……はやてちゃん。この子ロボットみたい」


「…………ろ、ロボット!?」


素っ頓狂なはやての声が静かな管理局の廊下に響く。

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2007年08月02日(木) 11:28:34 Modified by beast0916




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