リリカル龍騎0話

序章『TIMEVENT』

H14.8.14 PM2:46 ミラーワールド

「何人目だろうと知ったことか、もったいぶらずに今戦えよ!」
 エビルウィップを構え、仮面ライダー王蛇が仮面ライダーオーディンへと襲い掛かる。
 だが、その瞬間オーディンは王蛇の背後へと回り、一撃を見舞って弾き飛ばした。
 すぐさま仮面ライダーナイトと仮面ライダーゾルダが波状攻撃をかけるが、それも捌かれ、逆に王蛇のいる辺りまで弾き飛ばされてしまう。
「何だ…?」
 何が起きたかも分からず、呆然とする仮面ライダー龍騎。
「まだ私と戦うときではない。お前達は今のまま戦いあえばいい」
 いつの間にか龍騎の背後へと回っていたオーディンが言う。
「だが、少し修正が必要となった」
「修正…?」
 王蛇を弾き飛ばしたときと同じように一瞬で龍騎の背後に回り、まるで狙いすましたかのように他のライダー達のところへと殴り飛ばす。そして…
『TIMEVENT』
 パキィ…ン
 空間が砕ける。その時に衝撃が生まれたかのように龍騎達も吹き飛ぶ。
「何々?どーなってんの!?」
 何が起きたか分からず、ライダー達もうろたえている。特にゾルダ。
「タイムベント…」(!? 何で俺がこんな事を知っているんだ?)
 オーディンとの接触のたびに巻き戻された経験が、このカードのことを思い出させたのだろう。
 だが、それももう意味を成さなかった。
「また、巻き戻るのか…」

「…あれ?えっと…俺いつ帰ってきてたんだっけ?」
 アパートの一室で、城戸真司が目を覚ました。
 持っていたはずの、けれど今は持っていないものに気付くはずもなく。
 部屋の時計は10:30を指している。
「…まあ、いいか。って、うわ、やっべ!遅刻だ!」
 遅刻寸前の時間になっていることに気付き、急いで支度して編集部へと向かった。
 その日の日付はH14.1.30だった。ついでに言うと日曜日なので仕事は休みである。

 これで時は巻き戻った。
 だが、彼らライダーも、神崎士郎もまだ知らない。
 これが、本来関わらないはずの”時空管理局”を関わらせてしまうことを…

H14.1.30 AM11:30 海鳴市

「フェイトちゃん、そっちはどうだった?」
 高町なのはがフェイト・T・ハラオウンと話す。
「こっちには何もなかった。そっちは?」
「何もなかったよ」
『おかしいなぁ…だったらさっきの反応は何だったんだろ?』
 彼女らは何の話をしているのか、その顛末はこうである。

同日 AM10:25 アースラ艦内

『リンディさん、終わりました』
 アースラ艦内になのはの報告が届いた。
「ご苦労様。ゆっくり休んで」
 リンディ・ハラオウンが労いの言葉をかける。
「しっかし今回といい、前から現れているのといい、いったい何なんでしょうねぇ?」
 ここしばらく、海鳴市には傀儡兵とも違う、謎の怪物が現れている。それも人を襲うという厄介なものだ。
 今回もなのはとフェイトの二人が退治しに向かい、それが今終わったところだ。
 その怪物のことで、エイミィ・リミエッタが愚痴をこぼす。
 その時、少しだが海鳴市が揺れた。小規模な地震である。
 ただの地震だと思い、帰ろうとする二人。
「…あれ?艦長、海鳴市から次元震の反応が出てます」
 …どうやら帰るのはもう少し先になるようだ。

 そしてその調査を行い、今に至るというわけだ。
『そうか…分かった。あがってくれ』
 クロノ・ハラオウンの一言でその調査は終了となった。
 結局、これは原因が分からないまま、特に害も無いだろうということでそのままうやむやになったようだ。
 これが今後一年近く続く長い戦いの狼煙となるのだが、この頃にそれに気付く人間はいなかった…。

   次回予告
「仮面ライダー、か」
「お前に、危機が訪れる」
「今までのと違う…何なの?」
「変身!」
仮面ライダーリリカル龍騎 第一話『戦の始まり』

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2007年06月15日(金) 17:31:58 Modified by beast0916




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