THE BELKA OF MAZIKAL4話

スーパーリリカル大戦(!?)外伝 魔装機神 THE BELKA OF MAZIKAL 4話 南極(後編)

「エイミィ!武装隊が到着するまでどれくらいかかる!?」
「まだ10分はかかります!」
アースラのブリッジはあわてていた。
先ほどの戦いを見ていて、アンノウン02の戦闘能力に一同が驚愕していた。
まさか、あのヴィータとなのはがこうも簡単に倒されるとは……
そこへ、更なる衝撃が襲う。
「艦長!新たな反応です。これは………アンノウン01!」
アンノウン02の次は01。この南極にいったい何があるというのだ。
そして映し出されるモニターをみて、さらに驚く。
「な、なんなのあのスピード……」
リンディがつぶやく。
あのアンノウン01のスピードは異常であった。
機動力が自慢のフェイトですら、あのスピードは到底出せない。
「あ、アンノウン01…まもなくなのはちゃんたちのところへ到着します…」
エイミィもそのスピードにほとんど呆れるしかない。
そして、アンノウン01はなのはたちのところへ舞い降りた。

「やっと見つけたぜ、シュウ!」
怒気を含めた声でマサキはシュウを睨む。
マサキはそのままワームソードを弾き飛ばす。
「マサキですか。あなた、まだ私を追っていたのですか?」
やれやれ、とシュウは肩をすくめる。
全く、懲りない男だ。
「うるせえ。手前、ラングランを何をして出したと思っている!!まさかラングランどころか、地上まで滅ぼす気か!?」
マサキはディスカッターをブラックホールクラスターで破壊された場所へ向ける。
なかなかしい後がまだのこっている
「まさか、今はまだそんな気はありませんよ。
私を利用しようとした連中に、身の程を沸き待ってもらうために痛い目にあってもらっただけです」
じゃあ、と今度は倒れているなのはのところへカッターを向ける。
「そのためには、あんな子供も手にかけるのか!?」
「少々心苦しいですが、彼女は管理局の人間です。はむかうのならば例え子供であろうと容赦はしません」
「貴様あ!!」
シュウの言葉に、マサキはカッとなる。
(マサキ、このままじゃシュウに乗せられちゃうニャ)
熱くなるマサキをクロが諌める。
ち、と舌打ちをするマサキ。
そんな光景を、ヴィータは呆然と見る。
(ヴィータちゃん。むこうが何を言っているかわかる?)
エイミィの念話に、それが……とばつが悪そうに言うヴィータ。
(さっきの爆発のせいで耳がやられて全然聞こえねえ)
まだ耳がキイィンとなっていて、先ほどではないがよく話が聞き取れない。
(けど、何かいいあいをしているのはわかってるんだけど……)
(わかった、もうすぐ助けが来るから、それまで何とかもたせてね)
とはいうものの、どうしようかとヴィータは思う。
自分となのははこんなだし……どうすことも出来ない。
「へくしゅん!」
それ以前に寒くて考える余裕もない。寒さは傷にも来る。
「なのは……」
ヴィータは目の前にいるなのはを見る。
あの二人が何かをしているうちに、何とか彼女の元までこれたヴィータ。
体は既に冷たいが、死んではいないようだ。
(はやく…はやく来い……)
早くしないと、なのはは取り返しのつかないことになってしまう。

「全く、同じ事の繰り返し……よく空きませんね、あなたも」
シュウの言葉にうるせえとマサキは叫ぶ。
「残念ですが、今日はあなたと戦う暇なんてないんです。私はまだ用事があるのです」
「なに!?」
「それではごきげんよう」
そういって、シュウは転移で消えてしまった。
「あ、くそ……」
シュウを取り逃がした事にマサキは舌打ちする。
結局また振り出しに戻ってしまった。
(マサキ、なにかむこうからこっちに向かってくるニャ)
マサキはそれに気づいて倒れている女の子、た感知なのはを見る。
リィンフォースは言っていた。彼女は時空管理局にかかわっていると。
(ってことは、こっちに来てるのは管理局か)
このまま見つかるのはまずいと思い、マサキはその場所を後にする。
ほぼ最大速度で。
(はええ……)
ヴィータはそれを見てその速さに驚いていた。
あっという間に目に映らないところにまで移動したのだ。
そのあと、増援が到着し、ヴィータはほっとすると、緊張の色が切れたかのように機を失った……

「なのは!ヴィータ!」
「なのはちゃん!ヴィータ!!」
なのはとヴィータがやられて重傷を負ったという知らせを聞いて、フェイト、そしてはやては家族の制止を聞かずに飛んできた。
そして彼女の目に飛び込んできたのはあまりにも凄惨なものだった。
「フェイト、はやて……」
ヴィータは体のあちこちに包帯を巻いている。
現に今も、シャマルに包帯を巻いてもらっている。
「ヴィータ、大丈夫なん!?」
ものすごく心配そうなはやてを見て、ヴィータはなんとかうんと答える。
足のほうはやはり折れていて、しばらくはベッド、もしくは車椅子での生活になるそうだ。
だが、耳のほうはもう治ったらしく、こうして話も普通に出来る。
はっきり言って、なのはよりはるかにましであった。
なのはのほうは、ほぼ全身が包帯が巻かれていて、心音図が弱弱しくピッピッピッとなっている。
まだ意識は戻っていない。
「なのは……」
そこへ現れたのは、なのはの家族、そして友人がやってきた。
魔法のことは話してあるし、何より家族や大切な友人と言うことでリンディが気を利かせてアースラに特別に乗艦させたのだ。
「なのは……」
変わり果てた娘の姿を見て、桃子はその場で泣きずれる。
士郎はそんな桃子を優しく抱く。
恭也と美由希も、なのはをみて驚きと悲しみを隠しきれないでいる。
「嘘よねなのは……早く目が覚めて嘘って言ってよ…私達を驚かせるためのだって言ってよ……」
アリサとすずかも、なのはの姿を見て涙を流しながら少しパニックに陥っていた。
そんな二人を慰めるすずかの姉の忍。
本来ならいろいろとこの艦を見て回りたいのだが、流石に今はそんな気になれない。
「なのはさんのほうは、もしかしたら命にかかわる事かもしれません、もし目が覚めても、飛ぶどころか歩けるかどうかすらわからないほどの大怪我なんです……」
シャマルが、本当に残念そうに言う。
医療にかかわるものとして、何とかしてあげたかった。
しかし、これが精一杯だったのだ。
それほどなのはが負った傷は激しい。
みんなの反応を見て、くそ、とヴィータは握りこぶしを作る。
あの時、あのとき自分が何とかしていれば……
そんなヴィータを攻めるものは誰もいない。
ヴィータも大怪我を負ったし、ヴィータがいなければ確実になのはは死んでいただろう。
そこにリンディがやってきた。
「フェイトさん、はやてさん。例の2機についてお話があるので、会議室に」
リンディの言葉に頷いて、静かにその場を後にする二人。
シャマルもヴィータを車椅子に乗せる。
その時だった。
「すみません。俺達もそれに参加させてはくれませんか?」
恭也の言葉に、リンディは少し考える。
本当はだめなのだが、家族の気持ちを考えると……
「わかりました。しかし、あまり口出しはしないでもらえますか」
わかりました、といって、結局全員があの2機について話す事になった。
既にいたクロノとエイミィやヴォルケンリッター。そして武装隊のメンバーは、予想外の客に驚くが、今回の事を考え、リンディからの条件を聞いて納得した。
「まずはこれをみてくれ」
映し出されたのは、青と黒いボディを持つあのアンノウン02。
そして銀色のボディをしている、鳥のような形をしているアンノウン01
「あれって……」
アリサはそのうちのアンノウン01を見る。
以前自分の庭にいきなり現れたものだ。
「この二つは、現在管理局で調べているものだ」
そして映し出されたのは、02とヴィータ、そしてなのはの戦いであった。
「アンノウン02は、こちらでも全くわからない攻撃を仕掛けてきた。注目すべき点は、その攻撃力だ」
そういって、ヴィータとの戦いの映像を見せる。
360度。全方位からの攻撃。
そしてなのはとの戦いのときに使った攻撃を見せる。
あらゆるものを吸い込み、大爆発を起こす技。
これでなのははあんな目に…
フェイトとはやて達は、アンノウン02に怒りを覚える。
「特に後者の威力は桁違いだ」
そういってクロノはフェイトを見る。
「あくまで憶測に過ぎないが、あれをうけたのがフェイトやはやてだったら……まず死んでただろう」
クロノの言葉に驚く一同。
あれは、なのはの防御力の高さで生きているようなものだ。
それを聞かれ、黙ってしまう二人。
「多分、あれをうけて生き残れるのは防御に秀でたなのはとザフィーラ。傷がなければヴィータでもなんとかいけるだろう」
おそらく今は無限書庫にいる淫獣もといフェレットもどきもといユーノ・スクライアも生きれるだろうが、今はここにいないので省略させていただく。
「そして次はアンノウン01」
映し出されたのは白いボディを持つアンノウン01。
01の映像は、ちょうどなのはをグランゾンの攻撃から助けているところであった。
「あれがなのはを助けてくれたのですか?」
桃子の言葉に、頷くクロノ。
「02がパワー重視なら、01はスピードに特化している」
そういって、なのはたちが戦っていた宙域の地図を出す。
「最初に01が確認されたのはここ」
クロノはある地点をマーカーで示す。
「そして、なのはたちのところへやってきた。時間は確か2分少しだったか……」
02のときでも驚いたが、この出来事にも一同は驚かされた。
特にスピードを生かしての戦いを得意としているフェイトが一番驚いていた。
あそこまで2分で着くなど、普通はありえない。
「このとおり、この2体はこちらでもまだ何もわかってはいない。しかもかなりの高い力を保有しているものだ」
最初は管理局に関係がないものだと思っていたが……
「現に、このように局員が襲われた。本局は01を保留するが、02を時空犯罪者とみなし、調査を勧める事になった」
これで会議は終了し、一同は持ち場へと戻る。
フェイトは、もう一度医務室へいた。
先ほどは見ていたられなかったが、落ち着いた今ではだいぶ顔を見れるようになった。
「なのは……」
フェイトは思い出す。彼女とであったときを。
最初は敵だったが、今はこうして親友となった。
こうなったものすべてなのはのおかげだ。
なのはは自分を救ってくれた。
(アンノウン02は……私が倒す)
「フェイトちゃん」
フェイトははやてによばれ、さっきからずっと呼ばれている事に気付いた。
「ずっとあのアンノウン02の事考えとったん?」
はやてお言葉に、うんと頷く。
「やっぱ許せんよな……大切な友達や家族があないなめにあったら……」
はやてもなのはを、そして傷だらけのヴィータを思い出す。
やはり、あのアンノウン02は許す事はできない。
「せやから、二人で、いや……みんなでがんばろうな」
はやての言葉にそうだね、と頷くフェイト。
そうだ、自分にはなのはだけじゃない、まだ大切な、強い仲間がたくさんいる。
力を合わせれば、どんな困難にでも打ち勝てる。
フェイトは、はやてもそう思っている。
だから、今時分にできる事をやろう。
そう心に誓って。
「けど、フェイトちゃん大丈夫なん?執務官試験も近いのに」
はやての言葉にう…と気まずくなるフェイト。
まずはこれから片付けなければいけないのか……
自分の夢であるし執務官。
兄であるクロノですら一度落ちている。
「それだけど、今回は見送ろうかなって思ってる。まずはこの事件を解決しないと」
執務官試験はいくらでもチャンスはある。
それに、ちゃんと勉強をせずに受けて、それで落ちてしまうのは嫌だった。
受けるなら、万全の状態で挑みたい。
その話をしているうちに、だんだんと二人から笑みが戻ってきたのだった……

「そうか、あの子が……」
本日の野宿場所で、マサキは今日起こった事をリィンフォースに話す。
「それで家族の人が途中で抜けたのだな」
リィンフォースは「休養が出来た」といって、何かあわてながらなのはの家族が翠屋から出て行くのを見たが、そういうことだったのか。
「あいつ、何を考えてやがるんだ……」
マサキは今回のシュウの行動に疑問を抱く。
やつは管理局とも何かかかわりを持っているのだろうか?
「ところで聞くが、シュウにやられたのはなのはだけか?」
リィンフォースに聞かれ、うーんと考えるマサキ。
「そういえば、赤い髪の女がいたな。なのはよりちっちゃかったはずだったけど」
それだけで、リィンフォースはそれがヴィータだとわかった。
(守護騎士でもやつには敵わないか)
リィンフォースはシュウの強さを改めて思い知らされた。
「そういやあよ、お前のところはうまくやっていけてるのか?」
マサキは話題を少しでも明るくするため、話をリィンフォースの事へと切り替えた。
いつまでもぐだぐだ考えも仕方がない。
「こっちはうまくいってますよ。はっきり言ってしまえば、今の仕事も楽しいですし」
何だが自分だけがいい気分でいるような気がして、少々悪い気もする。
だが、マサキが捜索に赴いている間、リィンが働かなければ資金が尽きてしまう。
「こっちは心配ないニャ。マサキもやっと道を覚えてきだしているニャ」
最初の頃は本当にひどかった。
ひどいときはばれないように魔力を放出して、それを感じてもらうしかなかったのだ。
あの時は本当に管理局にばれないかとひやひやしたものだ。
クロの言葉にうっせえとマサキはそっぽを向く。
そんなマサキを見て、クロとシロ、リィンフォースは笑う。
「それにしても……」
マサキはあるものを取り出す。
大きめのビンに入った緑色の液体。
ラングランの錬金術と魔術の粋を極めて完成させた究極の薬。
その名もエリクシル……そのまんま過ぎる。
しかも5倍濃縮。どこぞの乳酸菌飲料のようだ
「一体何のために使うんだ……?」
モニカはこのクスリがいつかは役に立つときが来るといっていた。
それは何なのだろうか。
自分がシュウに倒される?
それとも違うやつにでもくれてやるのか?
だが、この薬を使うときが来るのは、そう遠い未来ではなかった……

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2007年07月26日(木) 17:17:10 Modified by beast0916




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