「ひぐらしのなく頃に」の二次創作小説【エロパロ】SSをひたすら井戸に放り込んでYappa♪だめぇ〜というwikiです。

 寝耳に水とはこのことだ。俺はいつものように洗面所で顔を洗い、歯を磨き、母親が準備してくれた朝食を食べ始める。いつもはご飯や味噌汁なんかをしっかりと作ってくれるのだが、今日は食パンにジャム、そして牛乳。珍しく洋食だ。寝坊をしたときに遅刻しないよう準備をしてくれるときはこうなのだが、今日はいつもと同じように余裕を持って起きている。
「圭一、今大丈夫か?」
「うん?」
 朝食の準備を終えて、忙しそうにどこかへといってしまった母親の後姿を無意識の内に追っていたら、珍しく朝食の席に親父がいた。親父は画家なんていう風変わりな仕事をしているものだから、朝食べるのも夜食べるのも不規則だ。このところしばらくは朝食の席には顔を出していなかったので俺は驚いた顔をしながら自分の父親を見てしまった。
「ご飯食べてるところ悪いんだけどな。実はなあ、父さんと母さん、明日から三日間ぐらい家を空けなくちゃいけないんだ」
「・・・三日間?そりゃまた長いけど、どこか旅行でもいくの?」
 両親だけで旅行はずるいぞ、とかそんなつもりでいったつもりではなかった。もう駄々をこねるような年齢ではないし、寂しがりやでもない。でも親父の中での俺の成長は少し止まっているのか、お前も来たいっていうのもわかるけどな〜と独り言を言っている。
「お父さん、仕事で賞を取ったのよ。その授賞式に呼ばれててね。それが予定していた場所より遠くでやるっていうのを今聞いて・・・連絡の手違いだったっていうんだけど、今日の午後にはもう家を出なくちゃいけないのよ」
 説明下手な親父に代わって母親があっさりと用件を述べてくれた。まったく、最初からこう説明してくれれば俺だって旅行にいくのかと想像を巡らせたりそれに嫉妬したりとかしなかったのに。
「それでね圭一。お夕飯とか、身の回りのことなんだけどね」
「大丈夫だよ、いつも母さんたちが家空けるときも平気だろ」
「今回は三日間なのよ。三日間もカップ麺食べるなんて身体にあんまりよくないでしょ。それに洗濯物やお掃除もしてもらわないといけないし」
 げげ!洗濯や掃除だと?
 夕食の心配しかしてない俺にとってこれは大誤算だった。それがさも当たり前のように話す母親が一瞬恐ろしく見えたのも無理はない。だが両親が三日間も留守ともなれば炊事のほかにも掃除洗濯などの家事をやらないと家の中が凄惨なことになってしまうだろう。
「圭一も子供じゃないからそれぐらいのこと自分で出来るようにならないとって思うんだけど」
「当たり前だよ、それぐらい俺だって出来るよ」
「そう?お夕飯はね、昨日ちょうどセールで色んなお野菜とかおかずに出来そうなものをまとめ買いしてきたからお料理して食べれるかしら?」
「へいへい」
「もう夏だから毎日制服のシャツも洗ってるでしょ。学校から帰ってきたらシャツは早めに洗濯機にいれて早起きして・・・」
 母親の話はこのまま長く続きそうだ。時計を見るともうレナが待ち合わせの場所にいる時間。そしてここからまた数分たてば家にレナがきてしまう。
「悪い母さん、学校遅刻しちゃうからもう行くよ。心配しないでも大丈夫だから」
「あ、圭一!忙しいからあんまり電話できないかもしれないからね。夜は戸締りして、夜更かしせずに早起きして学校行くのよ!」
「わかってるよ!ごちそうさま。それじゃ行ってくるよ」
 いってらっしゃい、という早口な母親のあせった声を背に玄関口でいつもよりあわてて靴を履くとレナとの待ち合わせの場所へと駆けていった。


「よ、圭ちゃん。おっはよ!」
「あれ?魅音か。・・・レナはどうした?」
 レナとの待ち合わせの場所にはレナがいない。遅刻なんか到底考えられない。俺が来る頃には必ずここで待ってる。ところがここにいたのは魅音だ。魅音とはこの場所から少し先へ行ったところにある水車小屋の前でいつも待ち合わせをしている。
「それがさ、朝おじさんのとこにレナから電話があってね。レナんとこのお父さんが倒れちゃったみたいで」
「え!? それって大丈夫なのか?」
「うん。ほら、ここのところ暑いでしょ。なんていうのかなあ、夏バテ気味で少し無理をしちゃったみたいなんだよね。レナがいうにはお医者さんにも診てもらったから平気っていってたんだけど。少し心配だから今日は学校を休んでお父さんの看病するってさ」
「そうか。早く親父さん元気になるといいなあ」
「そうだね。っと、おしゃべりしすぎたかな。走らないとこりゃ遅刻だわ!」
 魅音がのんびりしすぎた、と失敗した!という表情で駆け出す、突然走り出した魅音に不覚にも遅れをとった俺もその後に続いて走る。
「こら魅音、お前だけさっさと走るな! 俺を置いてくなー!」
「はっはっは、んじゃ競争だよ! どっちが先に教室に着けるかどうか。それ、よーいどん!」
「だから待てって! 第一スタート地点が一緒じゃないのはズルいぞぉぉぉ」
 まったく朝から元気なやつだ。愉快そうに走っていく魅音に追いつこうとするが最初から開いた差を詰めるぐらいでいっぱいいっぱいで学校へ着く頃には俺は朝からの全力ダッシュのせいで肩で息をしていた。
 学校の昇降口手前で魅音も、とりあえず学校へ来たことで安堵したのかふう、と一息ついた。
「いやあ、暑いねえ。朝の陽射しも最近強いしさぁ・・・毎日シャツ洗って代えてるけど替えのシャツも持たないよ」
 そういって魅音が制服の首元にあるタイを緩めて、ボタンを2個ぐらい外す。おいおいこらこら、お前は仮にも女の子なんだからはしたないぞ・・・さらには着ていたベストを脱いでブラウス一枚になる。ふいー、と少し涼しそうな声を出して魅音はこっちを振り向いた。
 振り向いた俺の視線の先は魅音の顔。ではなくて、その、動きを急に止めたことで引いていった汗が真っ白なブラウスに染み込んで、俺からの位置でもはっきりと、その、魅音が着けている下着の色もわかるぐらいにそれは・・・透けていた。
「ん、おおう、おう、そうだな。俺も今日は自分で洗濯しなきゃいけないからな。面倒臭いったらありゃしないぜ」
 自分の視線が向いてる先を悟られないように魅音との話題を続ける。
「ありゃ?圭ちゃんちのお母さんがいつも洗濯してるんでないの?」
「いやあさ、今日から両親がちょいとまた仕事の用事でいなくてさ。しかも三日間だ。だから洗濯も掃除もやらなきゃならない」
「あ〜ら、圭一さんに家事なんてつとまりますのー?」
 この甲高い憎たらしい声を持っているのは俺が知っている中でただ一人しかいない。俺はその言葉を発した自分より一回りも小さい子悪魔みたいな子供に向かってデコピンをかます。
「うわぁーん! 圭一さんがいきなりぶったー!」
「かわいそかわいそなのです。圭一の家にいって、洗濯機の中に洗剤の箱をまるまる一つ入れてあげるとよいのですよ☆にぱー」
「おう梨花ちゃん、おはよう・・・って俺だって洗濯機の中に洗剤の箱一個なんかいれたらどうなるかぐらい予想できるぞ!」
「洗濯機の中が泡だらけでぶくぶく。圭一は泡まみれになってごぼごぼなのですよ☆」
 ・・・かわいい顔して恐ろしいことをいうなあ、梨花ちゃんは。
 一方で魅音は変わらずブラウスのあたりを指でひっかけて風を胸のあたりに送り込んでいる。俺は胸のあたりと少しジッと見つめてしまったが、見つめている先の本人の声で我に返る。
「ほら、圭ちゃん、そんなとこで突っ立ってないで教室に入る入る! せっかく間に合ったのに遅刻になっちゃうよぉ〜?ま、おじさんとの競争は負け決定だけどね」
「だからあれは魅音がズルしたからだろー!?」
 俺の不平不満は魅音の耳から耳へ、何を言っても今の魅音にはどこ吹く風だ。・・・それにしても今日は暑い。それでも雛見沢は都会の暑さとはまた違う、なんというのだろう、これが本当の夏だ!といったような暑さだ。
 それというのも都会と違ってコンクリートがなく、地面が自然の土そのままだから、俺が都会で味わったコンクリートの道路やアスファルトの地面からムラムラと湧き上がってくる熱気を感じることはない。
 といっても、暑いのは変わりがない。俺も魅音と同じようにボタンを2,3個外す。これもまた前に通っていた学校だったらだらしないと注意されただろうが、ここではそんなこともない。
 教室へと入り、自分の席へ着く。ここでまた、レナがいる席が空席であることに気づいて、なんだか落胆する。一日一回、あの赤面をみないとなんだか不健康な気がするのだ。
「レナがいないと寂しいですか?」
「え?」
 その質問をしたのは魅音かとおもって、すこし胸がどきっとしたのだが、質問の主は梨花ちゃんだった。そんな勘違いをした俺をお見通しといったように少し腹黒そうな微笑みを浮かべている。梨花ちゃんに俺は感じたありのままのことを話す。
「そりゃ、寂しいよ。仲間だもんな、皆一緒にいたほうが楽しいに決まってる」
「・・・僕もそう思うのですよ」
 今度は心の底から俺の意見に同調して、嬉しそうに梨花ちゃんが笑ってくれた。やがて魅音が「先生くるよ!さ、皆座ってー!」と委員長らしく声をかけはじめたので俺たちは各々の席についた。
 出欠席の確認でレナが休みだということを知恵先生は予め連絡を受けていたのだろう、今日は竜宮さんはお休みですねと一言言うと手にしていた出席簿に何かを書き込んでいた。

 午前中の授業が始まる。このクソ暑い中での授業は地獄だ。頭の中にうまく授業内容が入っていかない。勉強はいくら進んでいるからとはいえ、こう暑くては昼寝も満足にできない。黒板を見ようとすると、魅音の背中が目に入る。暑そうにうなだれているようだ。じっとりと濡れた白いブラウスからくっきりとブラジャーのホックが見える。
 透けるっていいよな・・・とくに汗で透けるのって。衣服を着用する人間だからこそ感じることのできる新しい萌えの領域だよな。
 それにしてもあの魅音も女の子だったんだなあ。いつもはあんなにだらしくないのだが。というのもレナがいつも魅ぃちゃんは女の子なんだから!と注意しているので魅音も今まではきっちりせざるを得なかったのだが今日は怒ってくれる人がいないせいでまるで男子生徒みたいにベストは脱ぐわボタンは外しているわで目のやり場に実に困るのであった。
 暑さのせいでいつもの授業時間が長く感じる。だが確実に時間は経っている。校長が鳴らす鐘の音でそれを実感することができた。
「おら、机を寄せろ!飯の時間だぞ!!」
「ありゃあ、圭ちゃんこんなに暑いの元気だねぇ・・・おじさん溶けちゃいそうだわあ」
「いくら暑くても腹は減るからな!しかしこの時期に弁当ってなんか怖いよなー」
 なんか怖い、というのはもちろん暑さでお弁当が悲しいことになってしまわないかってことだ。母さんがお弁当の中身をこれからの夏に向けて考えなくちゃと頭を悩ませていた。
「僕たちはちゃんと対策しているのですよ」
 梨花ちゃんと沙都子が早速、お弁当箱のフタを開ける。そこには白い、いや少し赤みがかかったご飯とほうれん草のおひたしとミートボールが入っている。
「この少し赤いご飯は何だ?」
「これは梅干と一緒にご飯を炊いたんですのよ!」
「なるほど、梅干はお米が傷むのを和らげるっていうからねぇ。考えたじゃん!まあ、梨花ちゃんの知恵なんだろうけどさ」
 魅音が意地悪そうに誉めているんやらけなしているんやらわからない感想をいう。沙都子にとってそれは誉め言葉ではなかったようで、私だってしってましたのよー!と魅音に食いかかった。
「まあいいじゃねえか、そら、沙都子のミートボール頂きだ!」
「あっ、圭一さんずるいですわあああ!」
 こうしていつものように互いのお弁当を突っつきあう。レナはいなかったけれど・・・、変わらず、俺たちは昼の時間を楽しんだ。そして午後の授業もうなだる暑さの中乗り越えて、時間はあっという間に放課後になった。
 いつもなら部活の時間だ、暑さなんか忘れて目いっぱい楽しめる時間なのだが、レナがいないというのと俺自身、今日から両親が三日間もいないので洗濯の準備やら何やらしなくてはいけない。今日は早めに帰って慣れない家事に従事するのが最善の選択だろう。
 それを魅音を告げると、ん、そだねと少し残念そうだったが納得してくれた。梨花ちゃんと沙都子も全員が揃ってからまた部活をしようと言ってくれる。
「んじゃあ今日はお開き。帰ろうかね」
「また明日なのですよ」
「またですわ!」
 レナがいないので自然帰り道は魅音と二人きりになる。なんというか、少し魅音のことを変に意識していたせいもあってなんだか違う緊張感がある。いつもこんなことまるでないのに。俺の変な緊張感が伝わったのか、魅音がぎこちない口調で話しかけてきた。
「あの・・さ、圭ちゃん」
「うん?」
「今日さ。ご両親いないんでしょ・・?」
「あ・・・ああ」
 それと魅音と何か関係あるだろうか?レナだったらそうだ、お夕飯どうするの?とか大丈夫?とか心配してご飯食べにおいでよ、とか、お裾わけしてあげるよといってくれるだろう。
「んじゃあさ、お夕飯とかどうするの?圭ちゃんが作るの?」
「ん?ああ・・・いや」
 そこで俺は朝の記憶を呼び戻す。
 母親の話が長いせいで遅刻しそうになった俺は、何を言っているのかよく聞いていなかった。・・・確か、飯は料理して食べろ、と言っていた気がするのだが・・・。
「ええー!?圭ちゃんお料理なんできるわけぇ?」
「・・・できると思うか?・・・」
 俺も自信がないので嘘はつかない。魅音相手に強がったところで飯ができるとも思えない。だから素直にできないと伝える。ここまできて、さあどうしようと俺は頭の中をフル回転させる。出前をとるか?いやいや、料理しろといわれているから飯代なんか用意してもらっていない。レナは父親の看病で忙しいだろうし・・・梨花ちゃんと沙都子に頼るのもなんだか申し訳ない気がする。
「ぐぉぉ三日間も俺はひもじい思いをしなくちゃいけないのか・・!? 飯がない生活をしろと・・・!? が、餓死する!!」
「圭ちゃん。ね、圭ちゃんってば。おーい! おじさんの言うこと聞いてるぅ!?」
 三日後いったい自分がどうなっているのやらを想像して俺は頭を抱える。そんな最中で魅音が俺の耳を掴んで大声を出した。
「うぉおおおおッ・・・!? なんだよ魅音ッッ!」
「だからおじさんがご飯つくりにいってあげよーかっていってるんじゃーんッッ!!」
「は!? 魅音が・・・!?」
 思うに俺は今とても失礼な顔をしていただろう。さっきどうしようかと頭の中で考えをめぐらせたときに今目の前にいる魅音に助けを求めようとしなかった。それは一体なぜなのか、俺にもわからない。魅音は毎日おいしくて豪華な弁当を自分で作っている。そして様々細かいことができるのだとレナからも聞いている。
「何、その顔ー!」
「あ、いや、別に・・・」
「圭ちゃんさ、よく考えてごらん。このまま三日間飯抜きで餓死するか。この魅音さまの料理をありがたく頂くか。死んだら意味ないっておじさんは思うんだけどねぇ・・・?」
 いつになく魅音が凄んでくる。本来女の子にご飯を作ってもらうというのはこの上ないシチュエーションのはずなのになぜこうも脅されるような形でそんな選択肢を選ばなくてはいけないのか!?
「なんて、ね。あはは、いいよ気にしないで。おじさんがご飯作ってあげるなんて・・・そだよね、おかしいよね」
 俺の顔色を読んだのか魅音が今度は一気に萎縮する。なんだなんだ、凄んだり落ち込んだり感情が豊かなやつだなあ。
「魅音・・・」
「で、でもほら、料理なんか圭ちゃん作ったことないっていうしさあ、レナは忙しいだろうし梨花ちゃんと沙都子に頼るのもアレでしょ?だったらおじさんが、その・・・作ってあげてもいいかな〜・・・って。あ、でも迷惑だよね。なしなし!気にしないで!」
「なしになっちゃったのか?」
「ふぇ?」
「・・・魅音の夕飯、食えるならぜひ食いたい。・・・だめか?」
 特別意識せずに言ったつもりの言葉はおそらく魅音には色んな意味があったらしく・・・顔を真っ赤に染め上げると、いつになく動揺した様子で両手を目の前に広げて振り回しながら、「ええっ、いいの!?」と逆に俺に確認してくる始末だ。・・・面白いなあ。からかいがあるよ、ほんとに・・・。一回からかったときも面白かったけど、やりすぎてレナに怒られて以来魅音をいじることをしていなかったので新鮮だ。
「じゃ、じゃあさ、おじさん一旦家に帰って着替えてくるよ。ちょっと今日は暑かったからねぇ・・・制服、着替えないと」
「ん?おお・・・そだな。じゃあ俺、先に家に帰ってるよ」
「うん。じゃ、着替えたらすぐ圭ちゃんのお家行くから。首洗って待ってて!」
「おいおい!怖いこというなよなー!」
 あはは、と魅音が本当にうれしそうに笑って自分の家の方向へと駆けていった。
 俺も今まで繰り返した毎日に訪れたちょっとした変化に期待していた。たまにはこんな刺激も必要だ。自然と家への足取りが速くなるのだった。

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