- ボルネオの伝道師が友人に土壌サンプルを送ったことからVCMが発見されたといわれている。
- その友人は、イーライリリー社の化学者だった。
- その土壌サンプルには、グラム陽性菌に対して著効する化合物を産生する細菌が生息していた。
- vanquish(征服する)という単語に由来して、バンコマイシンと命名された。
- グリコペプチド系抗菌薬で、細胞壁合成阻害作用がある。βラクタムと異なる段階に作用する
- 腸管からの吸収はほとんどなし(腸炎が強いと少し吸収)
- 殺菌性で、体内分布は良好だが胆道系・髄液への移行は良くない。MRSA髄膜炎(例えば脳外科領域)では大量VCMを必要とする。
- 移行性は、炎症のない髄液は良くない。胆管もイマイチ。
- AGとの併用でシナジーを示すが、腎毒性・耳毒性強くなる
- 腎臓から排泄(CCr<10で半減期は147hrに)
- 時間依存性である
- ほとんどすべてのグラム陽性菌に効く。グラム陰性桿菌には活性がない。
- ただしLactobacillus, Leuconostoc, Listeria,Actinomyces,VREなど一部に無効あり。そのため、リステリア感染ではあまり使うべきではない。
- MSSAなんかでは、バンコマイシンはセファゾリンやペニシリンに比べて抗菌活性弱い。
- グラム陰性桿菌に効果がないのは、「バンコマイシンは非常に分子が大きく、グラム陰性菌の外膜にあるポーリン(孔)を通過できないため。」
- ほかのぶどう球菌・MSSAでは、バンコマイシンの抗菌活性は極めて低く、セファゾリンには太刀打ちできない
- バンコマイシンは腸球菌に対しては、VREでなければ有効だが、静菌的にしか作用しないとされている。具体的には、MICに対して非常にMBCが高い。この場合、ゲンタマイシンとの併用で殺菌的に作用する。
Red man症候群 ヒスタミンリリース: 1時間以上かけて滴下
遅発性バンコマイシン熱 投与2〜3週後に起こる発熱
腎毒性 単剤では起こるかは不明、AG併用で出やすい
聴器毒性 血中濃度で80μg/mlを超えた症例
好中球減少 投与してから3〜4週間くらいで起こる
※ヘパリンの存在下で活性を失うことがある。
※セフタジジムやメイロンと混ぜると、析出するので要注意。
遅発性バンコマイシン熱 投与2〜3週後に起こる発熱
腎毒性 単剤では起こるかは不明、AG併用で出やすい
聴器毒性 血中濃度で80μg/mlを超えた症例
好中球減少 投与してから3〜4週間くらいで起こる
※ヘパリンの存在下で活性を失うことがある。
※セフタジジムやメイロンと混ぜると、析出するので要注意。
別名Red neck症候群という。ヒスタミン遊離によって起こるもので、
アレルギーとは違う(Anesthesiology 2000; 92:1074.)
生命にかかわることは少ないが、心血管抑制のためにCPAになる
ことがしばしばある(Can Anaesth Soc J 1985; 32:65. )
点滴速度が33mg/分(1g/30分)であれば、症状をきたしやすい。
10mg/分以下なら、症状は起こしにくい。2時間以上かけて点滴する。
また、オピオイドを内服している患者で起こりやすい。
50mgのジフェンヒドラミン内服でRMSを抑制できたとのstudyも。
特に重症RMSではヒスタミンブロッカーの投与が望ましい。
(J Infect Dis 1991; 164:1180. )
アレルギーとは違う(Anesthesiology 2000; 92:1074.)
生命にかかわることは少ないが、心血管抑制のためにCPAになる
ことがしばしばある(Can Anaesth Soc J 1985; 32:65. )
点滴速度が33mg/分(1g/30分)であれば、症状をきたしやすい。
10mg/分以下なら、症状は起こしにくい。2時間以上かけて点滴する。
また、オピオイドを内服している患者で起こりやすい。
50mgのジフェンヒドラミン内服でRMSを抑制できたとのstudyも。
特に重症RMSではヒスタミンブロッカーの投与が望ましい。
(J Infect Dis 1991; 164:1180. )
投与開始4回目の投与直前troughを測定(peak測定不要)
目標濃度:Peak: 20-50 (μg/ml)
Trough:10-15 (μg/ml)
目標濃度:Peak: 20-50 (μg/ml)
Trough:10-15 (μg/ml)
- VCMの薬物動態は比較的予想しやすいため、腎機能が正常な症例に通常量を使用する場合は、TDMを行う必要はない。
- 例外的にピーク/トラフを測定する必要がある状況
- アミノグリコシドとの併用・透析症例
- 通常量以上のバンコマイシン使用・腎機能変動が激しい症例
- 肝機能異常が強い症例・体重が極端に大きいか小さい
- MRSA感染症で最低血中濃度を15μg/ml以上に保ちたい場合
- VCMを使うとき
- MRSA,MREなどの耐性菌感染
- βラクタムアレルギー(殺菌力は強くないことに注意)
- メトロニダゾールで失敗したか、非常に重症のCD colitis
- MRSAやMRSEの多い施設、またはcolonizationが確認されている患者での人工物埋め込み手術の術前予防
- 髄膜炎でのempiric Rx (病原体・感受性判明まで)
- MRSAがcolonizeしているか長期間入院している患者でのsepsis
- 避けるとき
- ルーチンの術前投与
- 血培1セットのみからのCNS分離
- 発熱性好中球減少症でMRSAの可能性が高くない症例への経験的投与
- MRSAのcolonizationの治療
- 吸入・関節・褥瘡などへの局所投与
- C.difficile腸炎の初回治療
- 基本的にはVCMとほとんど同じ
- VREのうちvanBによるものはTeicoplaninに感受性を残す(vanAからDまである)
- 聴器・腎毒性・Red man 症候群などの副作用はいずれも少ない。
- 肺(喀痰)移行性は良いが、骨髄は悪い。
- 腎排泄 半減期40〜70時間であり1日1回投与でよい
- アメリカではもはや使われていない。
- 目標血中濃度 Trough 10〜20μg/ml
- 血中濃度が安定するまでに時間がかかる
処方例:
初回は12mg/kgを12時間毎に3回投与、以後12mg/kgを24時間毎
日本では初回400mgを12時間毎に2回、以後400mgを24時間毎、と記載。
- ABKは細胞間液に移行しやすく、病態により血中濃度に差を生じ易い。
- また、ABKに対して耐性を有するMRSAが数%見られるため、MRSAにルーチンに投与するべきものではない。
- PK/PD理論に基づいた投与法は、1 日1 回投与。
- 胸水、腹水、心嚢液、滑膜液への移行良好であるが髄液、疣贅へは移行不良。
- 腎障害のある患者に対しては、投与量は変更せず、投与間隔をあけることで対処
- アメリカではもはや使われていない。
- 目標血中濃度 Trough 9〜20μg/ml
- トラフ値2μg/mLを越えると腎機能障害の発生頻度が上昇
処方例:
成人には1日1回150〜200mgを30分で点滴静注する
- オキサゾリジノン系抗菌薬(50Sサブユニットの70S開始複合体に結合)
- VCM耐性の腸球菌(VRE)や黄色ブドウ球菌(VRSA)にも効果がある。バンコマイシン耐性Enterococcus.faeciumの第一選択。faecalisにも有効。
- MLSB耐性型にも効果がある。
- 細菌のリボソームに結合し、蛋白合成阻害で静菌的作用を有する。
- 腸管からの吸収が良く、経口薬も発売されている。
- また、体内の各臓器に良好に移行。Bioavailability=100%。
- 他に特徴として腎障害のある患者にも使用量を変えずに使える。
- 副作用としては悪心・嘔吐・下痢が多く、血球減少なども。
- 2週間以上使うと、不可逆的な神経障害をきたす可能性がある。
- 相互作用としてモノアミンオキシダーゼ阻害作用を有し、チラミン含有物(チーズ、赤ワイン、ビールなど)と併用することで重症高血圧の出現の恐れ。また、アドレナリン作動薬や、セロトニン作動薬、SSRIとの併用でそれらの効果が増強されてしまうこともあり要注意である。
- リネゾリドは肺への移行性に優れている。健常ボランティアにリネゾリドを投与して動態をみた結果では、肺胞上皮粘液中の濃度は24時間後においても血漿中濃度に比べ約4倍も高かった。
- 重症VAP患者16例でみた結果では、リネゾリドの肺胞上皮粘液中の濃度はこのように高くならなかったが、それでも血清中濃度と同レベルに達していた。
処方例:
リネゾリド400〜600mg/回 12時間ごと(経口、静注いずれか)
ザイボックス錠(600mg) 2T 分2
- キヌプリスチン(ストレプトグラミンB)とダルホプリスチン(ストレプトグラミンA)が30:70で混合されている。(1V500mg ・・・150mg:350mg)
- 混合比はあまり関係ない。
- タンパク合成を阻害し、ダルホプリスチンが最初の段階を、キヌプリスチンが最後の段階を阻害する。
- 主に肝で代謝される。
- 髄液移行はよくない。
- 心内膜にも、ダルホプリスチンは疣贅の周辺のみにしか浸透しないためあまりすすめられない。
- 耐性Enterococcus. faeciumにも効果あり。ただし、faecalisには効果なし。(しかしVREのほとんどはfaeciumであるため、問題ない)
- 副作用として、静脈炎、消化器症状、筋肉痛、関節痛、QT延長など。
処方例:
faecium:7.5mg/kgを8時間ごと60分かけて点滴
軟部組織感染:7.5mg/kgを12時間ごと60分かけて7日間投与
- 抗MRSA作用を持つ、セフェム系抗菌薬。
- 院内肺炎(hospital-acquired pneumonia)を対象にした第3相試験では、ceftobiprole(セフトビプロール)の治癒率(69%)がceftazidime(セフタジジム)+linezolid(リネゾリド)併用の治癒率(72%)に劣らない。
- 将来性のある抗菌薬の1つ。
バンコマイシンとリネゾリドの2つがATS/ IDSAの院内肺炎ガイドラインで使用が推奨されている。グラム陽性菌による肺炎治療に対し、バンコマイシンとリネゾリドを比較した二重盲検試験が二つ公表されている。
両試験のデザインは非劣性試験(non-inferiority trial)であり、2つともリネゾリドはバンコマイシンの有効性と劣らないことを証明している。
Clin Infec Dis 2001;32: 401-412.
Clin Ther 2003; 25: 980-982.
Wunderink らによる文献は、二つの臨床比較試験を混合した解析で、post-hoc 解析の結果、約120名のMRSA肺炎に感染した患者に限ってみると、リネゾリドはバンコマイシンより優れているという内容。
Chest 2003; 124: 1789-1797.
しかし、Kollefらが、グラム陽性菌によるVAPの疑いがある患者1019例においてバンコマイシンとリネゾリドを比較した研究の結果では、MRSA・VAP症例の治癒率はリネゾリド群62.2%、バンコマイシン群21.2%であり、リネゾリドの優越性が浮き彫りに。
バンコマイシンのMICが2 mcg/mLのMRSA肺炎を治療する場合には、バンコマイシンの治療効果が得られない場合があるのは当たり前。
ゆえに、それ以外のMRSAに関してはリネゾリドを使う意味はさほどない。
しかしながら、リネゾリドがバンコマイシンよりMRSA肺炎治療薬として優れているという臨床試験の報告はまだない。
薬剤耐性の面からみると、バンコマイシンは40年前から使用されているのに2002年までアメリカではバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌の報告がない。
それに対し、リネゾリドは2000年に発売されたが、2001年にはリネゾリド耐性黄色ブドウ球菌が報告されている。
バンコマイシンによるMRSA肺炎治療の第一選択薬の座をリネゾリドが奪うにしては、結論が早計すぎやしないか。
両試験のデザインは非劣性試験(non-inferiority trial)であり、2つともリネゾリドはバンコマイシンの有効性と劣らないことを証明している。
Clin Infec Dis 2001;32: 401-412.
Clin Ther 2003; 25: 980-982.
Wunderink らによる文献は、二つの臨床比較試験を混合した解析で、post-hoc 解析の結果、約120名のMRSA肺炎に感染した患者に限ってみると、リネゾリドはバンコマイシンより優れているという内容。
Chest 2003; 124: 1789-1797.
しかし、Kollefらが、グラム陽性菌によるVAPの疑いがある患者1019例においてバンコマイシンとリネゾリドを比較した研究の結果では、MRSA・VAP症例の治癒率はリネゾリド群62.2%、バンコマイシン群21.2%であり、リネゾリドの優越性が浮き彫りに。
バンコマイシンのMICが2 mcg/mLのMRSA肺炎を治療する場合には、バンコマイシンの治療効果が得られない場合があるのは当たり前。
ゆえに、それ以外のMRSAに関してはリネゾリドを使う意味はさほどない。
しかしながら、リネゾリドがバンコマイシンよりMRSA肺炎治療薬として優れているという臨床試験の報告はまだない。
薬剤耐性の面からみると、バンコマイシンは40年前から使用されているのに2002年までアメリカではバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌の報告がない。
それに対し、リネゾリドは2000年に発売されたが、2001年にはリネゾリド耐性黄色ブドウ球菌が報告されている。
バンコマイシンによるMRSA肺炎治療の第一選択薬の座をリネゾリドが奪うにしては、結論が早計すぎやしないか。
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