このように筆者は事前に考えた台本よりも上記のようなアドリブ芸の方が絶対的におもしろいと考えています。ネタも、本来こうあるべきだと思います。コント55号のネタは、設定だけを用意しておいて、実際にやりとりは欽ちゃんと二郎さんのアドリブにほとんど任されていたと言います。ネタも、本来こうあるべきだと思うのです(相当な腕がないと、難しいとは思いますが)。爆笑問題の漫才は、普段のテレビで見られる太田さんと田中さんのやりとりとほとんど変わらないので、漫才という形でわざわざお客さんのハードルを上げてやることではないと考えています。わざわざ台本を再現するネタをやるからには、アンジャッシュのように前後に複雑に絡み合ったものを作って欲しいのです。
さてここで立ち止まって考えてみると、小説・
漫画・アニメ・映画といった手法は、基本的に事前に考えた台本を再現するものであるため、おもしろさでは一段劣ることになります。アドリブを再現できる舞台やテレビには、勝てないと筆者は考えています
(漫画やアニメに関しては、現実離れした絵面を低コストで再現できるという別のメリットはあります)。
アドリブのデメリットは、どうしても当たり外れが生じるということです。生放送じゃないテレビは、編集でおもしろくないところを切るという手法でこのデメリットを除去できます。舞台は、お客さんと演者が同じ空気を共有しているので、多少ハズレが出ても笑いが伝わりやすいというメリットがあります。この2つが、最も優れたお笑いの手法であると考えているのは、筆者だけでしょうか。
そしてこういったテレビや舞台で筆者が一番おもしろいと考えている「ネタ」は、やはりアドリブの
アドリブ大喜利コントというものです。簡単に言うとアドリブで次々とボケを繰り出していくというコントですが、だからこそネタを考えるという作業がバカらしくなってしまっています。プロの芸人さんは、よく事前に考えたネタを客前でできるなあと思います。スベる危険があるのにそれをやれるのは、凄いことだと思います。皮肉ではなく。
だから筆者は、より楽なアドリブの手法しか考えられないのです。
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