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性能緒元
全長2.96m
直径0.16m
翼幅0.296m
重量105kg
最大速度
射程20km
誘導方式赤外線画像誘導
装備機種J-10A/B/C戦闘機、J-11B戦闘機、J-16戦闘機、J-20戦闘機など

PL-10(霹靂10)は中航工業空空導弾研究院が開発した中国初の第四世代短短離空対空ミサイルである[1]。設計主任は梁暁庚技師[2]。なお、PL-10の名称は、開発中止になったセミアクティブ・レーダー誘導型空対空ミサイルに使用されているが、このミサイルは本稿で扱うPL-10とは何の関係も無い。

第四世代短距離空対空ミサイルの特徴としては、先進的な空力学的形状の追及、大迎え角の機動性向上、射程の延伸、中間慣性誘導(INS)や発射後ロックオン機能の付与、真正面から外れた目標に対するオフボアサイト発射機能の一層の追及、赤外線画像誘導システムの採用などが挙げられる[1]。同世代の空対空ミサイルとしては、AIM-9X(米)、ASRAAM(英)、Aダーダー(南アフリカ)、IRIS-T(国際共同開発)、04式空対空誘導弾(日)などが存在する。PL-10の開発は2005年に開始され、2010年には完了予定と伝えられた[3]が、実際にはそれより数年ほど時間を要することになった(開発着手時期は[4]だと2005年としている。)最初の試験発射は2008年11月だが、この際は地上からの発射[4]。ミサイルの空中発射テストは2010年に中国飛行試験院でJ-11B戦闘機を使用して実施[4]。2013年にはミサイルの量産に入った[4]。

PL-10の開発では、高高度、高速飛行時の運用性向上と第4世代戦闘機(西側第5世代戦闘機に相当)での運用が前提とされた。PL-8/PL-9などの第三世代短距離空対空ミサイルでは、飛行制御にカナードを使用していたが、翼面積が大きいため低空域では30G台、高高度・高速飛行時には10Gまでの機動しか発揮できなかった[1]。超音速巡航能力を備えた第5世代戦闘機では、高高度・高速飛行を多用するため、短距離空対空ミサイルもそれに対応した飛翔性能が求められることが想定されるようになった。PL-10では、空気抵抗を軽減するため、PL-8/PL-9までの第三世代短距離空対空ミサイルとは翼配置を一新されることになった。

PL-ASRと呼ばれた最初期のCGでは、抗力軽減のため尾部の飛翔制御翼以外には翼を持たないリフティング・ボディが採用されていた[3]。これはASRAAM(英)、Aダーダー(南アフリカ)が採用している方法で、形状の類似などからAダーターの技術が導入されたのではないかとの推測もなされていた[5](実際に両者の間に技術的関係があるのかは、現在のところ不明)。しかし、その後に公開されたCGでは、ミサイル中央部には細長いストレーキが設けられ、ミサイル尾部に飛翔制御翼を配置した構成に変更された[2]。飛翔制御翼の面積は第三世代近距離空対空ミサイルと比べるとかなり小型化されている。CGでは飛翔制御翼が後退翼だったが、実用型では台形に変更されている[1]。制御翼が小さくなると機動性に悪影響が及ぶ可能性があるので、それを補うため、飛行制御は全遊動式飛翔制御翼に加えてロケットモーターに推力偏向装置が装着された[1]。これにより、PL-10は低空域で50〜55G[1]〜60G以上[2]まで(資料により数値に違いがある)、高度15000m、マッハ1.5の高高度・高速飛行時にも15Gまでの機動が可能となった[1]。

PL-10の誘導方式は、第三世代までの赤外線誘導方式から、赤外線画像誘導方式に変更された[1]。赤外線画像誘導方式は、夜間や悪天候時の運用に優れ、目標と背後の温度のコントラストが少なくても命中精度が落ちにくい[1]。また、フレアなどの妨害に対する抵抗力が赤外線誘導方式よりも高く、制御システムのソフトウェアとの連携によって、目標の識別、より高い打撃力を実現する命中部位の選択など、柔軟性の高い運用が可能となる[1]。シーカーの開発では、特にステルス戦闘機に対する識別・探知能力の向上を意図した設計がなされているとのこと[2]。設計主任の梁暁庚技師によると、PL-10のシーカーアングルは第三世代近距離空対空ミサイルが左右30度だったのに対して、その数倍にまで範囲を拡大しているとのこと[2]。(資料[3]によると、オフボアサイト発射能力は90度とされている)。発射制御はヘルメット装着式照準器により行われ、かなりの範囲で機体を敵の方向に向けることなく、ミサイルを発射して敵機を攻撃できるようになった[2]。ヘルメット照準機能を利用することで、機体の肩越しに後方に位置する目標に対しても攻撃が可能となっているとされる[3]。ロックオン方式については、発射前ロックオン(lock-on-before launch:LOBL)と発射後ロックオン(lock-on-after launch:LOAL)の双方が可能とする分析が多かった(例[6])。ただし、2016年珠海高空ショーで行われた梁暁庚設計主任へのインタビュー記事だと、発射後ロックオンは今後導入するとの発言があるので、少なくとも初期のタイプではロックオン方式は発射前ロックオンのみと考えられる[2]。

PL-10の射程は20kmと、第三世代のPL-8(15km)に比べると延伸されている[1]。ただ、アメリカのAIM-9X BlocKIIでは射程を倍増させて視認外(BVR:beyond-visual-range)攻撃能力を実現していること[7]から、PL-10も将来的には更なる射程の延伸を行うことが考えられている。設計主任の梁暁庚技師によると、今後は発射後目標ロックオン機能、飛行コースや目標変更を可能とするデータリンク機能の付与などの改良を行うことで、BVR攻撃能力を強化していくとの方針が示されている[2]。

PL-10は、J-10B/C、J-16J-20などの新型戦闘機の短距離空対空ミサイルとして装備されるだけでなく、既存の第三世代戦闘機(西側第四世代戦闘機に相当)での運用も想定して設計されており[2]、今後は、PL-8に替わって、中国の主力短距離空対空ミサイルの地位を占めるものと考えられる。

PL-10は新型ミサイルであるが、中国では輸出にも積極的であり、2016年の珠海航空ショーでは輸出版PL-10Eが展示されている[1]。また、設計主任の梁暁庚技師は、艦対空型や地対空型といった発展型についても開発可能であるとの見解を示している[2]。

【参考資料】
[1]亦秋「中国首款第四代格斗弹−霹雳-10E空空导弹」『兵工科技2016甦-珠海航展专辑』(兵工科技杂志社、58-62頁)
[2]中华网「中国PL-10导弹有反隐身能力 歼-20用它将获压倒优势」(陈虎、2016年11月16日) (2017年11月18日閲覧)
[3]CHINESS MILITARY REVIEW「PL-ASR/PL-10 WVRAAM Integrated with PLAAF's J-11B」(2011年11月20日) (2017年11月18日閲覧)
[4]Chinese Military Aviation-Missiles I-「PL-10」(2017年11月18日閲覧)
[5]宮脇俊之「中華ミサイルは日本の戦闘機に追いつくか!!」『軍事研究』2015年2月号(ジャパン・ミリタリー・レビュー、40-51頁)45-46、50頁
[6]CHINESE MILITARY REVIEW「Chinese High Agility PL-10 5th Generation Within Visual Range Air-to-Air Missile」(2015年8月26日)
[7]SEAPOWER「Upgrades Keep Navy Air-to-Air Weapons on the Cutting Edge」(WILLIAM MATTHEWS、2016年5月16日) (2017年11月18日閲覧)

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