否定派の主張

南京の人口は陥落時20万人なので30万人を殺すことなどできるわけがない。南京大虐殺は虚構である。
第1の論拠 当時の南京の人口

 20万人しかいない人間を、30万人殺すことはできない。こんなことは3才の子供でもわかりきったことである。

(田中正明『南京事件の総括』p159より。漢数字はアラビア数字に置換)

反論

この「否定論」にはいくつもの問題がある。

問題1:中国説以外を無視

日本の歴史学者による「南京事件(南京大虐殺)」の概説書では、殺害の犠牲者数として4万から20万程度の数字が挙げられている。つまり日本国内の議論に30万という数字は出てこないのである(参考)。

にも関わらず、この「否定論」を持ち出す者はなぜか30万虐殺だけが「南京大虐殺」であるかのようにアピールする。これは、いかにも否定しやすそうに見える「30万虐殺説」を攻撃することで、あたかも当時の南京で何もなかったかのように印象操作をする目的なのだと思われる。
実際この否定論を唱える者は「南京大虐殺(この場合30万虐殺)はなかった」と連呼するだけで、「では実際にはどの程度の犠牲者が出たのか」と議論を展開させることはほとんどない。

……と指摘すれば、否定論者は間違いなく「俺は中国の説を否定しているんだ。他の説は関係ない」と反論してくるだろう。しかしそれこそが否定論者の不誠実さを浮き彫りにする。中国説を否定するのなら、地理的な範囲、「虐殺」の範囲を中国の主張と一致させたうえで、それが成り立たないことを証明しなくてはならないはずだ。ところが「20万都市で30万虐殺は不可能」論はそれさえ行なっていない。

問題2:人口と地理的範囲のごまかし

南京の人口を20万とすることも初歩的なトリックである。
「虐殺」の地理的範囲とされるのは狭い場合でも「南京市」なので、人口も南京市のそれを基準としなくてはならないはずだ。しかし前の項目でも述べたように「20万」というのは「安全区の推定人口」に過ぎない。安全区の面積は南京城内の1/8程度に過ぎず、そのうえ「南京市」の範囲は城内だけでなく城壁周囲の広い地域も含むのである。

当初は安全区に20万人が集まったと推測されていたが、安全区に避難してこなかった住人も万単位で存在したというのが外国人たちの最終的な認識だった。陥落時の南京市全体の人口が20万ということはありえない。

問題3:中国軍の存在を無視

南京事件の犠牲者とは民間人だけでない。特に「殺害」に限るなら、捕虜や敗残兵などに対する集団処刑が大きな割合を占めている。なので人口の観点から総虐殺数を推し量るためには、南京市民だけでなく南京防衛軍の数も考慮しなくてはならない。南京にいた中国兵の数は諸説あるが、最も多い説では15万人とされる。

中国兵を事件の犠牲者に含むことは、中国だけの主張ではなく、事件を論じるすべての研究者の共通見解である。にも関わらず「20万都市で〜」論を唱える者はその当たり前の事実さえ無視している。

問題4:あやふやな数字の悪用

そもそも、陥落前後の人口の足し引きで犠牲者数が求められるという考え方が大雑把すぎる。それらの数字には幅があり、数字の選び方によって10万単位で上下してしまう。
「南京市全域に民間人は50万人、中国兵は15万人いたから、陥落後の25万と比べて虐殺数は30万以上だ」という主張には誰も納得しないだろう。実態の掴めていない数字同士を安直に比較しても真相究明にはまったく無意味なのである。
事件の犠牲者数は、いい加減な数字の引き算で求められるものではない。それは数多くの資料を吟味し、照らし合わせながら慎重に推定していくべきものなのである。

まとめ

以上より、「20万都市で30万虐殺は不可能」と言っている者に事件を真面目に考える意志などないと断言できる。この主張は事件の真実を解明するという意欲とはまったく無縁の、不毛な議論でしかない。

二十万都市で三十万虐殺?
http://www.geocities.jp/yu77799/jinkou.html

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