否定派の主張

当時の装備で一軍隊が30万人も殺すことなどできるわけがない。それだけの大量虐殺は原爆でも使わないと無理である。
30万人殺すには原爆を2個落とさねばならない
とても日本軍の銃や銃剣ではムリ

(小林よしのり『戦争論』p45より)

反論

この主張に指摘するべき点はいくつかある。
1.一軍隊が何十万という虐殺を実行することは本当に不可能なのか。
2.原爆の被害者数を実際より過大に見積もっていないか。
3.南京事件を否定するために原爆の被害をだしにする性根は卑劣である。
とりあえずここでは1だけを論点とする。

まず原爆による死者の数を確認しておく。長崎よりも人口が多く被害者も多かった広島の場合、8月段階の早期で約7万人、12月末までに約14万人である。さらに後期死亡者を含めれば約20万人になる。

「言われているような大虐殺をするには原爆が2発ないと無理だ」というのが否定論の基本パターン(別バージョンとして「原爆を使っても無理だ」なども存在)であるが、数週間で原爆を上回る大量の死者を生み出すことは、南京の日本軍には不可能なのだろうか。

結論からいうと充分に可能である。
「一軍隊」といっても南京攻略戦には10万の日本兵が参加している。1人の兵士が10日に1度のペースで殺人を犯すだけでも、殺害数は1か月で30万になる。銃器や刀剣などで武装した兵士が非武装の相手を殺す前提なら容易に達成できる「ノルマ」である。
そもそも歴史上の「大虐殺」で大量破壊兵器が使われた例がどれだけあるだろう。ルワンダの内戦でも100日間で80万人もの人間が虐殺されたというが、大量破壊兵器など使われてはいない。

「一軍隊が30万虐殺」と聞くと「無理っぽい」と思ってしまうかもしれないが、少し計算してみればそれが単なる気のせいに過ぎないとわかるだろう。核兵器がなくても、数万規模の軍隊なら何十万という虐殺を起こすことは可能なのである。

ただしこれはあくまで数字上の問題であって、実際に南京で何が起こったかを知るうえではまったく不毛な議論である。当然ながらこんな計算を根拠に犠牲者数を推定している歴史学者など1人もいない。
ここでは否定論者の誤りを指摘しているだけであって、「30万虐殺を肯定しているのか」という意見はまったくの的外れであることを念のため付け加えておく。

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