936 名前:紫天の遊宴 [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 19:16:47 ID:HeJ5jzMk [2/11]
937 名前:紫天の遊宴 [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 19:17:53 ID:HeJ5jzMk [3/11]
938 名前:紫天の遊宴 [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 19:19:09 ID:HeJ5jzMk [4/11]
939 名前:紫天の遊宴 [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 19:20:19 ID:HeJ5jzMk [5/11]
940 名前:紫天の遊宴 [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 19:21:03 ID:HeJ5jzMk [6/11]
941 名前:紫天の遊宴 [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 19:22:19 ID:HeJ5jzMk [7/11]
942 名前:紫天の遊宴 [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 19:23:02 ID:HeJ5jzMk [8/11]
943 名前:紫天の遊宴 [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 19:23:59 ID:HeJ5jzMk [9/11]
944 名前:紫天の遊宴 [sage] 投稿日:2012/06/27(水) 19:24:46 ID:HeJ5jzMk [10/11]

▼▼▼

薄闇の中。
飾り気のない簡素な部屋の、ベッドの上で。
熱い吐息を漏らし、2つの影が絡み合う。

胸をはだけて組み伏せられるのは、年端も行かぬ銀色の少女。
恥らうように自らの掌で顔を覆い、積極的に求めるわけでも、かといって拒絶するわけでもなく、為すがままに横たわる。

そしてその少女の上に跨り責めるのは、自らの髪で全身を包めるほどに長く豊かな金髪の―――やはり、少女。
むしろ覆い被さる側の少女の方こそが、押し倒されている少女よりもはるかに外見が幼い。

可憐とも呼べる唇から覗く小さな舌が、少女の肉付きの薄い胸や首筋を這う。
気遣うように、繊細に。
言い換えるならば―――不器用に、不慣れに。
相手の反応と顔色とを、ひとつひとつ窺うように。

組み敷かれる少女もまた、その身は緊張し、声には快楽よりも戸惑いの色が濃い。
時折、不意の快楽に嬌声を上げてはいるが、それも継続せずに途切れ途切れだ。

相手へ全幅の信頼を寄せながらも、経験自体が極めて浅いために、未知の行為への不安が先に立っている。
ありていに言えば―――未だ、互いが互いに『愉しみ方』を心得ていないのだ。



「ねぇねぇディアーチェ。なかなか、うまくゆきませんですねぇ?」

ほこほこと湯上りの余韻を漂わせてベッドの縁に座る少女が、おっとりとあどけない口調で話す。
その表情は先ほどの『失敗』の原因を探って幼いなりに思案げであり、ただ真摯に回答を求めていた。

システム・アンブレイカブルダーク。
紫天の盟主。
ユーリ・エーベルヴァイン。

かつて『砕け得ぬ闇』と呼ばれ、そして現在はその呪縛から解かれて自由の身となった、小動物系の金髪幼女だ。

「そそそそ、そ、そんなことを白昼堂々と言うでないっ!!
 そもそも……その、アレは……ひ、『秘め事』だとシュテルも申しておったではないか!」

そしてその問いを投げかけられたのが、隣に座って、ユーリの豊かな金髪を櫛で梳き整えている人物。
先ほどまで一緒に湯船に浸かっていたのだが、一足先に自分の身支度を整えてユーリを手伝う、世話焼きな少女。

銀髪緑瞳のこの少女は、ユーリの疑問や迷いに対していつも自信に満ちた口調で、単純にして明快な答えをくれる。
しかしこのときばかりは激しく動揺して取り繕うことも出来ず、しどろもどろに言葉を濁すだけだった。

紫天の書の管制人格。
『王』のマテリアル。
『闇統べる王』(ロード・ディアーチェ)。

八神はやてによく似た、けれどもやはり決定的に異なる、頼りがいのある愛すべきヘタレ少女だ。

現に動揺の余り、口にすべきではない秘め事を白昼に堂々と行っていた、と放言してしまっていることには気付いていない。
もっとも、当の本人と2人だけの空間でそれを気にする必要はないのだけれど。

「む〜……なにが原因なのですかねぇ?
 お肌の触れ合いは、とっても気持ちよくて……心はいっぱいに満たされるのですけれど。
 でも一緒に沸きあがってくる、おなかの下のモヤモヤはぜんぜん満たされないような、この感じ……」

髪を整えて新しい室内着を身に付けたユーリは、引き続きの思案顔で、ぱたりと仰向けにベッドへと倒れた。
のみならずディアーチェに顔を向けたまま、ころころとベッドの上を転がる。
その仕草は、飼い主の気を惹こうと、仔犬が腹を見せて床に転がる姿に酷似していた。

「う……そ、それはだな……」

思わず手を伸ばして撫でたい誘惑に駆られる、愛らしい仕草。
それとは裏腹に、ユーリから放たれる強烈なプレッシャーを、ディアーチェは感じ取った。
明確な答えが欲しいと、ディアーチェならばそれがわかるはずだと、無垢な小動物の瞳で見据えられているのだ。

「と、とりあえずだ……今は眠るぞ、ユーリ。小難しい話は、目覚めてからたっぷりとしてくれるわっ!」

だが、普段は自信過剰で傲慢な王は、こと情事に関しては限りなく奥手で―――そしてどこまでもヘタレだった。
自らの威厳を保つために咄嗟に取った行動は、問題の先送りである。

「はい、ディアーチェ。わかりやすく、教えてくださいね」

そんな王の態度に不服を抱く様子もなく、ユーリは素直に体を起こしてベッドへ潜り込む。

もともと、入浴前から眠気はあったのだ。
ディアーチェに髪を洗ってもらう際などは心地良すぎて、浴室でそのまま寝入りそうになったくらいである。

ユーリの追求からしばし逃れ得たディアーチェはこっそりと安堵し、部屋の鍵とカーテンが閉まっている事を確認する。
そして自らも手早く湯上りの状態から室内着へと着替え、ユーリと同じベッドへと入った。

「眠れるまで……手を、握っていてもよろしいですか?」

「無論だ。むしろ、我が握り締めておいてやる」

先ほどディアーチェの口から語られたように、現在は白昼。まだ、日は高かった。
カーテンを閉め、室内灯を消しての、昼間からの就寝である。
端的に言えば、それは放埓な淫行の後の、自堕落で心地良い昼寝だった。

▼▼▼

『砕けえぬ闇』の呪縛から紫天の盟主を開放して、はや数日。
闇の欠片の発生などを含めた事象の発現も、終息の兆しを見せ始めている。
作戦行動中の体裁を保ちながらも、任務の山場を越えたアースラ艦内には、ゆったりとした空気が流れていた。

あとは『未来からの介入』という事実を伏せた管理局への報告書の作成が終われば、皆、それぞれの時代に帰るのみ。
もしくはユーリやディアーチェたち紫天一家のように、新たなる世界へと出向くのみ、だ。

異なる時間から来た者たちは、この世界での残りわずかな時間を、思い思いに過ごしている。
当のユーリとディアーチェも、人数の関係で割り当てられた2人だけの相部屋で、蜜月とも呼べる甘々な時間の中にいた。

▼▼▼

「ふむ。つまりは互いに息が合わず、高ぶる前に白けて乾いて、疲れ果ててしまうと」

「そうなのですよ、シュテル。
 ……せっかく教えていただいた親睦を深める方法ですのに、活かせないのが申し訳ないのです」

それから2時間後。
午睡から目覚めたユーリの傍らに、ディアーチェの姿はなかった。

代わりに、ディアーチェの香りの残る枕元に、書き置きが1枚。
管理局がらみの急用が入ったので、少し出かけるとしたためられていた。
よく考えれば、事件の当事者の代表であるディアーチェは、管理局への協力や事後処理に係わり、いろいろと多忙なのだ。
どこまでも世話焼きな王様は、眠るユーリを起こさぬように気を遣い、静かに部屋を出たのだろう。

ゆえに時間を持て余した少女は、その間にもう1人の頼れる同胞の部屋を訪れて相談を持ちかけていたのだった。

そもそも、ユーリとディアーチェに『親睦を深める』手段を提案したのは、他でもないこの理のマテリアルである。
呪縛から開放されたばかりのユーリは未だ人見知りが激しいが、元からの同胞たる3基のマテリアルたちは例外だ。
今まで触れ合えなかった時間を補うように、特にディアーチェに対して、より強いコミュニケーション手段を欲していた。

「それはユーリの責任というよりも、ディアーチェがあまりにも受身かつヘタレすぎるからでしょうね。
マグロを相手にし続けるのは、いかに相手への想いがあれどモチベーションにも限界があります」

「へたれ……? まぐろ……??」

「失礼。臣下としての、王を慕うゆえの諫言です。不敬とあらば、紫天の盟主による懲罰はいかようにもお受けします。
 むしろ、責められるほうにも興味がありますゆえに。
 欲望の捌け口にするかのごとく『この淫売尻穴奴隷がッ!』などと存分に罵りつつ、その玉趾で踏み付けて下さい。
 靴のままと、ストッキングを履いた状態と、素足での三段階でお願いいたします」

シュテルは重厚な理論を積み重ねるがごとき理知的な口調で、淡々とユーリを促す。
一方のユーリは、知性や知識ではなく情緒面での未発達さゆえに、その言葉の意味を理解できていなかった。

「……???
 いえ、そんな……私にもディアーチェにも優しくしてくれるシュテルを、罰することなんてできません。
 それよりも……その、うまくゆかせるには、どうしたらよいのでしょうか……?」

「それは残念。紫天の盟主のおみ足を舐め味わう、またとない機会でしたのに。
 まあそれはともかく。解決策の提示ですね、お任せください。
 ユーリに責めさせるレベルまで王が総受け気質の甲斐性無しだったことは、正直予想外でしたが……腹案はあります」

「そうでしたか。さすがはシュテル、頼りになります」

「はい。責めるのも責められるのも好いですが……褒められるのもまた、心の灯が躍るものですね」

シュテルの相変わらずの迷いのない返答に、ユーリの顔がぱっと輝く。
表情だけではなく全身で偽りのない喜びのオーラを放つユーリを目にして、シュテルの雰囲気もまた、綻んだ。

「さて。理のマテリアルである私が言うのもアレですが、百聞は一見に如かず、です。
 こういうものは所詮、実践が一番の近道なのですよ。
 ちょうど仕込みの終わる頃合いでもありますから、後学のためにもこちらへご足労ください」

「しこみ……????
 あ、でも……参考にさせてください」

料理の煮込み時間を計るように傍らの時計を見たシュテルは、立ち上がって部屋の奥にある扉へとユーリを促す。
ユーリとディアーチェが過ごす部屋と間取りが同じならば、その先は備え付けの寝室のはずだった。

▼▼▼

やはり扉の先は寝室だった。
照明は点いておらず、明り取りの窓もカーテンで遮られているため、薄暗い。

間取りはユーリたちの部屋と全く同じだ。
向かい合うかたちで壁の両端にベッドが2つ配置された、手狭な2人用の寝室。
ちなみにユーリとディアーチェは、小柄であることもあって、いつも同じベッドで同衾している。

ただ明らかに異なるのは、扉をくぐった途端に感じた、部屋全体に満ちる雰囲気だ。
胸の鼓動が早まり、陶然となる―――劣情を強く喚起させる匂いが、篭っている。
ユーリが連想したのは『秘め事』の最中の、ディアーチェの肌と体液の甘い匂いだ。

「あ……!?」

改めて部屋を見回せば、匂いの源の特定は容易だった。
2人が入るよりも先に、ここには先客が居たのだ。

部屋の中央にうずくまる小さな人影。
ユーリは一瞬、匂いから連想したディアーチェなのかと思ったが、すぐに違うと気付く。
そして―――驚愕した。

「え……まさか、レヴィ……なのですか!?」

ユーリとディアーチェが相部屋であるように、シュテルはレヴィと同室だった。
この部屋のもう1人の住人は、ユーリとシュテルが話し込んでる間、ずっとここに居たのだ。

灯りも点けられていない寝室で。
淫靡な姿に、拘束されて。

▼▼▼

ユーリが寝室内の非日常性を認識すると同時に、シュテルの操作で室内に橙色の間接照明が淡く灯った。
柔らかな陰影の元で露わになる、普段はユーリ以上に奔放で溌剌とした少女の、目を背けるほどに性的で退廃的な姿。

「ん、ふぅぅぅ……」

こぼれる熱い吐息は、くぐもって意味を成さない。
口が、金属質のボールギャグでふさがれているのだ。
それなりの時間放置されているらしく、閉じ合わせられない唇からは、だらだらと涎が流れ出るままになっている。

両手と両足は幅の広い革ベルトで拘束され、腰を突き出した四つん這いに近い姿勢で、獣のように床に伏せている。
体全体も素肌の上から同じく革ベルトで縛り上げるように拘束され、ベルト同士は金属の輪で繋ぎ合わされていた。

「う……ひゅ、ぅり?」

「あぁ、レヴィ……こ、こんなに……なって……!?」

目隠しで両目も塞がれていたレヴィだが、音と声で、今の状況をある程度は把握したようだった。
扉が開かれたこと。
人が入って来た事。
そして第一声を発したのがシュテルではなく、ユーリであること。

当のユーリは、床に這いつくばるレヴィに名を呼ばれたらしいことは理解したが、まともに言葉を返せなかった。
痛ましい姿勢で長時間放置されていたレヴィへの仕打ちに、言葉を失ったわけではない。
目の前のレヴィの、とりわけこちらに向けて突き出された股間に、視線も意識も釘付けになっていたのだ。

これだけ全身を拘束されているにも係わらず、本来隠すべきレヴィの胸や股間は露わにされたままだった。
そしてむき出しにされた股間には緩慢に蠢くバイブが挿さり、外れないように基部を革ベルトで固定されていた。
青髪の少女はその刺激に身をくねらせて腰を振り、枷をはめられた唇から断続的に細いあえぎを上げている。

「ここ数日、レヴィの発案でいろいろと開発してきましたが、この子は被虐的に扱われると非常に悦ぶのですよ。
 ……本人の話では、自ら嗜虐する側に立つのも好いとのことですけれど。
 オリジナルから身体データを引き継いだゆえの、我らマテリアルとしては抗い難い『業』なのかもしれませんね」

「これが……同意と、いうことなのですか!?
 あの、ということは、その……これは罰を受けている、などはなくて。
 ぜんぶレヴィが、望んだこと……?」

「はい、その通りです。むしろご褒美ですね。
 発端は私の知的好奇心ですが、よりエスカレートさせたのはレヴィ本人の希望なのですよ。
 ゆえに、まずはそれを証明して、この状況に対する貴女の心理的抵抗を取り払いましょう」

未知の世界に直面し、あたふたと混乱するユーリを落ち着かせるための、柔らかな表情と口調で。
あるいは―――無垢な存在に悦辱の世界を覗かせる嗜虐の光を、瞳に宿しながら。
シュテルはレヴィへと歩み寄り、股間で蠢くバイブをつま先でぐりぐりとこね回した。

「ふくうぅぅぅっ! ぐ、く……あぁうー!!」 

拘束されたまま背をのけぞらせ腰を跳ね上げて、全身で快楽を訴えるレヴィ。
快楽の余りに噛み締めた金属製のボールギャグが、少女の咬合力に負けてみしりと歪む。

不随意に踊らされる体はバランスなど保てず、まるで逃げるように床を這い転げるが、シュテルの責めは止まない。
むしろより激しく、うねる尻を追いかけて足の裏全体でレヴィの股間をバイブごと押し揉み、責め立て続けた。

「ひぐぅ……ひぐっ、あう゛ー!!」

「……っ!!」

ユーリは赤面した顔を両手で覆ってはいるが、指の隙間からは器具を咥え込むレヴィの淫裂を凝視し続けている。
自分達とは異なるあまりに激しい行為に理解は出来ずとも圧倒され、忌避するわけでもなくただ、魅せられる。
乱れ、悶えるレヴィの体から発せられる汗と体液も、より一層濃度を増して鼻腔を刺激した。

「ふ、ぐぅぅぅぅぅっ!!」

そして―――球形の枷に塞がれた口から漏れる、あからさまな絶叫。
長時間放置された末の乱雑で強烈な刺激に、レヴィの幼い体が絶頂へと押し上げられた事だけはユーリにも理解できた。

▼▼▼

「さて……少しは落ち着きましたかね?
 そして紫天の盟主からの問いです。正直に答えなさい、レヴィ。
 これは強制されての事ですか? それとも―――」

「ふぅっ……んんっ!」

シュテルは自らの足で絶頂を与えたレヴィの傍らに腰を下ろし、うつ伏せだった体を仰向けにして引き起こす。
ちょうど、床に直に座り込んだレヴィの体を、シュテルが抱え起こして支える姿勢だ。
革ベルトのみを纏いだらしなく開脚したレヴィの痴態を、正面に立ち尽くすユーリへと、余すことなく晒すように。

そして目隠しとボールギャグをゆっくりと外し、必要以上に体を密着させて、耳元で囁く。

「―――それとも、貴女があさましくこの行為を望んでいるのですか?」

「ひゃ、あぁぁ、そこさわっちゃダメ、また……イクッ、うぅぅぅぅっ!!」

囁きながら―――体を支えるシュテルの手が、絶頂時に吹き漏らした潮と愛液とで濡れそぼるレヴィの股間に伸びる。
まだ革ベルトで固定されたバイブは動き続けており、時折、基部が床に触れてより力強く膣内を掻き乱しているのだ。
シュテルは、バイブをそのままにベルトの隙間から指を滑り込ませ、クリトリスをも撫でて押し揉む。

「盟主への不敬は許されませんよ。喘ぐ間があるなら答えなさい」

「シュ、シュテルん、んぁ……そんな、に、されてたら、しゃべれ……う゛ぁぁぁ、また、ぁ―――いくぅ!!」

冷徹な表情に淡く嗜虐性を滲ませ、シュテルが小さな手でぬちょぬちょとレヴィの無毛の股間を弄ぶ。
涙と汗と涎にまみれた頬から耳までを舐め上げる。
言葉を継ごうとするレヴィはそのたびに嬌声を上げさせられ、何度も理不尽に絶頂へと突き上げられた。

「はて。これだけ念を押しても―――まだ、言えませんか?」

「いうから、いうから……あぁん、あ、ゆ、ユーリ……」

「は、はぃ!」

場の熱気に呑まれ呆然と、あるいは陶然としていたユーリは、当のレヴィから名を呼ばれて我に返る。
両手で火照る頬を覆ったまま―――顔はうつむきがちだが、相変わらず指の隙間からその媚態を見据えたままで。

拘束されて弄ばれた、何度も果てた末の呂律のまわらない口調。
しなやかで健康的なレヴィの肢体は汗と体液とで汚れ、寝室内の淫気とも呼べる匂いをさらに強く濃く塗り替えている。
とうに理性の枷は飛び、その表情は蕩けて、瞳もとろりと焦点を失いくすんでいた。

けれど―――そんな状態であっても、少女の赤い瞳からは忌避の感情は読み取れない。
シュテルに胸や股間を刺激され、舌を突き出して喘ぎながらも、レヴィは舌足らずに続ける。

「んっ……これ……とおっても、キモチ良いんだよ……
 だから、うぅっ……シュテルんに、おねがいして……ひぐっ、あ、シてもらって……」

「そう……なの、ですか」

「あふっ、こんな、すごいこと……あでやかな闇の中で眠ってたときは、知らなかった……あぁん」

「やっと、言えましたかね。まずは合意である旨を納得いただけましたか、ユーリ?」

「……」

言葉にはならないが、事ここに至ってユーリは、少なくともそれを否定できない心境にはなりつつある。

ディアーチェとの間では到達し得なかった、肉欲の極致。
レヴィは、明らかにこの状況を悦んでいるのだ。
むしろ更なる刺激を求めて、その拘束されたままの幼い肢体をシュテルに預け、媚を含んだ声で幼児のようにすがる。

「ねぇ……シュテルん。ちゃんと待ってたし、いまもちゃんと言えたし、どこも壊さなかったでしょ……!?
 だから……ね、おねがい、こっちも、シてよぉ……」

「こわさなかった……?」

レヴィの漏らした言葉に、そこで初めてユーリはこの状況の違和感に気付いた。
ディアーチェとの甘い睦事と、目の前で交わされる悦辱との違いに衝撃を受けて失念していた、ごく当たり前の事実。

レヴィは、王のために万難を排する『力』のマテリアル。
いかに華奢であるとはいえ、単なる革ベルト程度の物理拘束ならば、力ずくで逃れることは造作ないのだ。

それを、しなかった。
むしろすぐに壊せる拘束具を壊さないように命じられ、諾々と従っていたのだ。
その先にあるものを、与えられるときを待ちわびて。

「こっち、ではわかりませんよ。他人にものを頼む場合は誠意を表し具体的に伝えるように教えたでしょう。
 まだ、わかりませんか?
 それとも、さらなる罰を見越してのことですかね?」

「ひゃ、動かすと、また、しゃべれ、なひぃっ……んぁ、おねがい、こっちもシしてっ!」

「え……ええっ!?」

それでもシュテルは、言葉尻を捉えてレヴィの思惑を外すと、再び胸の先端や陰核を舐り喘ぎ声を上げさせる。

すでに肉欲に溺れるだけのレヴィは、今まで話しかけていたユーリを尻目に、ただひたすら『そこ』への愛撫を懇願。
支えられていたシュテルの腕から離れると身を捻って再び床にうつ伏せ、高く尻を突き出す。
拘束から自由になった手で股間を締め上げるベルトをずらして自らの尻を割り開き、可憐な尻穴をむき出しにした。

「おしりもぉ、ここ……ぐりぐり、して……くださいっ」

「はい。よく、言えましたね」

恥辱の極みの姿勢を取り告白したレヴィに対し、シュテルは一転して愛しげな声をかけて、その尻を撫で上げた。

▼▼▼

シュテルはローションの入った小瓶を取り出すと、掲げられたアナルへとその中身を垂らす。
そしてローションに浸された尻穴へと手を伸ばし、ユーリに見せつけるように、指を馴染ませてそこを揉み解しはじめた。

「あふ、つめた……ねぇ、シュテルん、はやく……はやく指いれてよぉっ!」

「あぁそんな……そんなところで、ほんとうに……!?
 背徳の、極み、では……!?」

レヴィが求め、シュテルが穿とうとする場所をやっと理解したユーリは、思わず裏返った声を上げる。
この状況を肯定的に捉え始めたユーリへの、更なる衝撃だ。
信じられないという―――けれど確実に情欲の熱を含んだ口調で。

「いえ。意趣変えとしては、むしろ拘束や仮装と同じく応用の第一歩と聞き及びます。
 古代ベルカの倫理観を保つ貴女がこれを背徳の極みと断ずるならば、よほどこの時代この世界は業深いのでしょうね」

「そう、なのですか? 
 みなさん……こんな、ことまで……なさっているのですか?」

「公に為すことは社会的禁忌であり、語らぬことが礼節ゆえに、いかように営むかは誰も口には出しません。
 けれど、業深く罪深い事という建前が定められているからこそ、私は好いと思うのですよ。
 悦楽というものは―――禁忌を犯して越えたその先にこそ、在るのですから」

「おねがい、シュテルん……あん、まわりだけじゃ、いやぁだ……ねぇ、おくまで、ちょうだいよぅ!!」

ユーリへと言葉を向けながらも、シュテルの暗く熱を帯びた瞳はレヴィのアナルに注がれ、指は愛撫を続ける。

丹念にローションをアナル周辺にすり込んでなじませ、それでも肝心の中に指は挿れず。
もどかしさに耐えかねたレヴィは、シュテルの気を惹くように、淫裂にバイブを咥えこんだままの小さな尻を振る。
のみならず、尻穴に触れる指を迎え入れようと再三に渡り自ら腰を突き出すが、シュテルは指を逸らして撫で続けるだけだ。

「それに背徳であれ、冒涜であれ、悪徳であれ、退廃であれ。
 他者からはどう受け取られようとも、望み応えればそれは親愛のかたちなのですよ。
 この子が望み、そして今―――私が、応えるように」

「ひ、あっ、あっ、ああーっ!!」

突き出された腰から一度は逃げた指が、直後にレヴィの尻穴を深く穿った。
待ち望んだ、しかし完全な不意打ちとなる鮮烈な刺激に、レヴィは極まった嬌声を上げる。

さんざん弄ばれて緩みきっていたアナルは貪欲にシュテルの繊指を迎え入れ、咥え込んだ。
より深く、より強くを快感を得るために、レヴィは自ら抜き差しされる指に腰の動きを合わせ、獣のように尻を前後させる。

「どんなかたちでも……求めて、応える……?
 私のしたいことを、ディアーチェに……一緒にいけないことをして、受け入れてもらって……越える……」

目の前にあるのは、不浄のはずの肉穴への刺激を求め、責められ、悶える、家族とも呼べる同胞の少女の姿。

その光景も、部屋に立ち込める匂いも、悲鳴のような嬌声も。
どれもが強過ぎて、ユーリの未成熟な思考は、まとまらない。

けれど、繰り広げられる淫靡な光景を望んでいるのは、責め立てているシュテルではない。
弄られ、貶められ、地に伏せ尻を突き出して懇願するレヴィの欲望の末であると、やっとユーリも実感することができた。

「でも……そのようなことをして、ディアーチェに嫌われたら……」

「おや。我らが王は、その程度の狭量な人物でしたか?
 王の度量を信頼してあなたも一度、ディアーチェに全ての衝動をぶつけてしまえばよいのですよ」

すでにユーリの中で、ディアーチェへと望む『そのようなこと』は、具体的な形で芽吹きつつあるらしい。
しかしそれでも、なお躊躇する臆病な少女の背中を、シュテルが穏やかな口調で後押しする。
かすかに―――妖しげな含みを、滲ませながら。

「それでディアーチェが拒むならば、その部分は素直にお退きなさい。
 けれど曖昧なままで拒まぬのならば―――それはあなたの想いと合致した、王自身の望みでもあるやもしれませんよ?」

「わたしのこんな気持ち……その……れ、劣情を、ディアーチェも……望んでいるの、ですか?
 わたしたちも、こんなふうに……シュテルとレヴィのように、き、きもちよく、なれるのですか?」

「なれますよ。このように、なりふり構わず、はしたなく狂うほどに」

「ぎぃ、いく、イく、おひりで、いくぅ……ッ!!」

ユーリの悩みに対する具体的な解決策を提示しながら、シュテルの指はより激しさを増してレヴィの尻穴を責める。
すでに肛悦に慣れた少女のアナルは添えられた2本目の指も易々と呑み込み、淫裂のバイブと双方の快楽を感受する。

「果てるならば、ちゃんとユーリへと告白なさい。
 今度言葉が止まれば、もう続きは無しで切り上げますよ?」

「は、ひぃ……ッ
 んぁ、ああぁっ……イく、おしり、ずぽずぽされて、まえも、うまって、うごいて……キモチ、よすぎてぇっ!
 かはぁっ……イく、ホントにクる……あああぁぁぁっっ!!」

すでに後戻りできないところまで登り詰めたレヴィの顎に手を沿え、シュテルはその顔をユーリの正面へと向き直らせる。
尻穴を穿つ指はさらに3本目も加わり、激しく抜き差しされた。

「そんなに、きもちよいのですか、レヴィ……あぁ、ディアーチェ……」

部屋に満ちる淫香を胸いっぱいに吸い込み、はぁっ、と熱い息がユーリの唇から漏れる。
知らずのうちにレヴィの境遇を己に置き換えて、被虐の妄想に浸っているのか。
それとも―――新たに知った手段でのディアーチェへの嗜虐の欲求に、胸を昂ぶらせているのか。

いずれにせよ当初の困惑を抜けて、少女はこの状況を受け入れていた。

「い―――く、くぅぅぅぅうッ!!」

青髪を振り乱し赤い瞳を見開いた少女は、獣じみて極まった嬌声を発し、身を仰け反らせて尻穴での絶頂を迎える。
ユーリはすでに顔を覆うことなく、その痴態を食い入るように見詰めていた。

▼▼▼


著者:くしき

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