最終更新: nano69_264 2010年05月22日(土) 22:55:44履歴
305 名前:少女クロノの相談 [sage] 投稿日:2010/03/23(火) 13:16:52 ID:7rPtJw/A
306 名前:少女クロノの相談 [sage] 投稿日:2010/03/23(火) 13:18:20 ID:7rPtJw/A
「なるほど。つまりは、想い人相手に本懐を遂げたいと」
私は、目の前に座つ少女に声をかけた。
呼ばれた少女は、ビクッ、と驚いたように体を震わせる。
実際に驚いたわけではないだろう。
私から返答が得られたことで安堵し、体の力が抜けたのだ。
彼女の相談を受けてから返答するまでに、すこし沈黙が長すぎたかもしれない。
要らない緊張を強いてしまったようだ、と少々反省する。
自覚はあるのだが、私には情緒というものが欠ける。
それが必要だとは思っていないのだけれど。
「・・・はい」
と、目の前の少女、時空管理局執務官クロノ・ハラオウン女史は、消え入るような声で答えた。
彼女の声が上ずっており、その表情にも涙の跡が残っているのは、別に私が何かをしたわけではない。
彼女自身が身の上を話すうちに気持ちが昂って、涙交じりになっただけである。
「すみません、相談できる相手が、あなたしか思いつかなくて・・・」
そう。
よりにもよってこの私に相談を持ちかけたのは、執務官のほうからである。
年齢は、確か14。
足も届かぬ椅子の上にちんまりと座る、女性としてもひどく小柄な体。
その泣き顔は、思わず抱き寄せて泣き止ませてあげたいほどに庇護欲を起こさせるものであり。
逆に、多少意地悪をしてでもこの泣き顔をずっと見続けていたい、と思わせるほどに嗜虐心を煽るものでもある。
良くも悪くも、そこに居るだけで周りの人間の心を乱さずにはおられない存在であることは、私にも分かる。
執務官として黒衣のバリアジャケットを纏い、私たちを討ち滅ぼした際の、凛としたたたずまいは、どこへやら。
想い人と自分との差異について悩む彼女は、むしろ誰よりも感受性が強く、儚い少女であった。
私自身、他人からの相談に応えられるほど人生経験があるわけではない。
むしろ、14歳である相談主よりも、存在してきた時間は確実に短い。
相談自体は、客観的には実に他愛ないものである。
自分の想いを告げたい。そして成就させたい。
しかし、彼女は全く成長していない自分の体にコンプレックスが強く、それを伝えることに躊躇している。
彼女が嗚咽交じりに、遠まわりに、時間をかけて私に伝えたのは、ただそれだけの内容だった。
「ヤってしまえば、よいのです」
私には、それ以外の思考が浮かばない。
そこに至るのが目的であること。そして成すべきその行為自体は変わらないこと。
ならば逡巡するのは単なる時間の無駄でしかなく、向こうから迫るまで待つなどという考えは愚の骨頂。
喰らい付けばいい。
喰らわないという選択肢があること自体、私には理解しがたいことではある。
「貴女の思うさまに、蹂躙してやればよいのです」
はっ、と顔を上げた執務官に対して、私は再度、同じことを告げた。
「前のスジでも、後ろの穴でも。貴女の赴くままに、舐めて、穿ち、抉ればよいのです。それで嫌がるのならば、むしろ貴女色に染めてあげなさい」
告げるべき言葉は告げた。
これ以上は、本人が解決すること。
私は椅子から立ち上がり、傍らに立て掛けていたデバイスを手に取った。
「私の・・・色に、ですか?」
小柄な執務官は、立ち上がって帰り仕度を始めた私を視線だけで追いながら、私の言葉を反芻している。
「はい。それが、愛というカタチだと私は思います」
そう。つまり彼女自身、気付いていなかったのだろうけれど。
私に告げた彼女の悩みというのは。
「自分の性癖をぶつけたいのだが、相手に受け入れなかったのならどうしよう」
という、ただの一言だったのだ。
「・・・はい、ありがとうございました」
何かを吹っ切ったのか、彼女の表情から徐々に曇りが晴れる。
そのはにかんだような表情も、たぶん、魅力的なのだろうけれど。
やはり私には、その辺りの機微は備わっていないらしい。
「いえ。では、次はまた戦場で。心躍る良い戦いを、いたしましょう。貴女の想い人である、不屈の星の姫君にも、よろしくお伝えください」
「わかりました。それでは、また。理のマテリアルさん」
そう言って、私たちはひと時のお茶会を終えたのだった。
著者:くしき
306 名前:少女クロノの相談 [sage] 投稿日:2010/03/23(火) 13:18:20 ID:7rPtJw/A
「なるほど。つまりは、想い人相手に本懐を遂げたいと」
私は、目の前に座つ少女に声をかけた。
呼ばれた少女は、ビクッ、と驚いたように体を震わせる。
実際に驚いたわけではないだろう。
私から返答が得られたことで安堵し、体の力が抜けたのだ。
彼女の相談を受けてから返答するまでに、すこし沈黙が長すぎたかもしれない。
要らない緊張を強いてしまったようだ、と少々反省する。
自覚はあるのだが、私には情緒というものが欠ける。
それが必要だとは思っていないのだけれど。
「・・・はい」
と、目の前の少女、時空管理局執務官クロノ・ハラオウン女史は、消え入るような声で答えた。
彼女の声が上ずっており、その表情にも涙の跡が残っているのは、別に私が何かをしたわけではない。
彼女自身が身の上を話すうちに気持ちが昂って、涙交じりになっただけである。
「すみません、相談できる相手が、あなたしか思いつかなくて・・・」
そう。
よりにもよってこの私に相談を持ちかけたのは、執務官のほうからである。
年齢は、確か14。
足も届かぬ椅子の上にちんまりと座る、女性としてもひどく小柄な体。
その泣き顔は、思わず抱き寄せて泣き止ませてあげたいほどに庇護欲を起こさせるものであり。
逆に、多少意地悪をしてでもこの泣き顔をずっと見続けていたい、と思わせるほどに嗜虐心を煽るものでもある。
良くも悪くも、そこに居るだけで周りの人間の心を乱さずにはおられない存在であることは、私にも分かる。
執務官として黒衣のバリアジャケットを纏い、私たちを討ち滅ぼした際の、凛としたたたずまいは、どこへやら。
想い人と自分との差異について悩む彼女は、むしろ誰よりも感受性が強く、儚い少女であった。
私自身、他人からの相談に応えられるほど人生経験があるわけではない。
むしろ、14歳である相談主よりも、存在してきた時間は確実に短い。
相談自体は、客観的には実に他愛ないものである。
自分の想いを告げたい。そして成就させたい。
しかし、彼女は全く成長していない自分の体にコンプレックスが強く、それを伝えることに躊躇している。
彼女が嗚咽交じりに、遠まわりに、時間をかけて私に伝えたのは、ただそれだけの内容だった。
「ヤってしまえば、よいのです」
私には、それ以外の思考が浮かばない。
そこに至るのが目的であること。そして成すべきその行為自体は変わらないこと。
ならば逡巡するのは単なる時間の無駄でしかなく、向こうから迫るまで待つなどという考えは愚の骨頂。
喰らい付けばいい。
喰らわないという選択肢があること自体、私には理解しがたいことではある。
「貴女の思うさまに、蹂躙してやればよいのです」
はっ、と顔を上げた執務官に対して、私は再度、同じことを告げた。
「前のスジでも、後ろの穴でも。貴女の赴くままに、舐めて、穿ち、抉ればよいのです。それで嫌がるのならば、むしろ貴女色に染めてあげなさい」
告げるべき言葉は告げた。
これ以上は、本人が解決すること。
私は椅子から立ち上がり、傍らに立て掛けていたデバイスを手に取った。
「私の・・・色に、ですか?」
小柄な執務官は、立ち上がって帰り仕度を始めた私を視線だけで追いながら、私の言葉を反芻している。
「はい。それが、愛というカタチだと私は思います」
そう。つまり彼女自身、気付いていなかったのだろうけれど。
私に告げた彼女の悩みというのは。
「自分の性癖をぶつけたいのだが、相手に受け入れなかったのならどうしよう」
という、ただの一言だったのだ。
「・・・はい、ありがとうございました」
何かを吹っ切ったのか、彼女の表情から徐々に曇りが晴れる。
そのはにかんだような表情も、たぶん、魅力的なのだろうけれど。
やはり私には、その辺りの機微は備わっていないらしい。
「いえ。では、次はまた戦場で。心躍る良い戦いを、いたしましょう。貴女の想い人である、不屈の星の姫君にも、よろしくお伝えください」
「わかりました。それでは、また。理のマテリアルさん」
そう言って、私たちはひと時のお茶会を終えたのだった。
著者:くしき
- カテゴリ:
- 漫画/アニメ
- 魔法少女リリカルなのは
タグ
コメントをかく