[257] 振動拳でイこう? sage 2008/02/14(木) 19:05:39 ID:hBtFjFob
[258] 振動拳でイこう? sage 2008/02/14(木) 19:09:38 ID:hBtFjFob
[259] 振動拳でイこう? sage 2008/02/14(木) 19:11:30 ID:hBtFjFob
[260] 振動拳でイこう? sage 2008/02/14(木) 19:13:07 ID:hBtFjFob

 カーテンの隙間から差し込んでくる光に瞼を叩かれ、うっすらと目を開ける。
あたしは上体だけ起こし、壁際にある作業用デスクの上の目覚まし時計に目を
やる。時間は既にお昼前だった。寝過ごした! と一瞬驚くも、今日が非番で
ある事を思い出す。
 昨日は夜遅くまで頑張ったので、二度寝しようとベッドに倒れこむ。ふと、
隣で茶髪の少女が眠っている事に気づく。横たわりながら、眠っている少女の
寝顔をじっと眺める。あたしの知る限り、目の前の少女は決して他人に弱みを
見せない質だ。だから、この様な油断しきった寝顔を見るのはなんとも新鮮だ。
そんなところを見せてもらえるほど近いところにいるのだと思うと、こそばゆ
い感じがしてつい口元が緩む。ちなみにあたし達が服を着ているかどうかは読
者様方の想像にお任せする。
 ともあれ、女同士で同衾しているのは別段驚くような事ではない。なぜなら、
あたし達は恋人同士だからだ。
 しかし、彼女に告白された時は戸惑いがあった。答えはすぐに返せず、しば
らく待って欲しいとだけ答えるのが精一杯だった。
 あたしは恋愛に疎いほうだ。今までも浮いた話の一つもなかった。陸士学校
に通っていた頃、クラスメイトにそういった話を振られると困る事が多かった
のを覚えている。そのあたしが誰かと付き合うというのがどうにも想像できな
かった。ましてや、仕事上のパートナーで親友でもあった彼女が、というので
あれば尚更だった。だから、初めは断るつもりでいたのだ。
 改めて彼女を呼び出して、それから口を開こうとした。その時、上目遣いで
不安そうにこちらを見る彼女を見て、どくん、と心臓がはねた。彼女はともす
れば泣きそうなほどに緊張していた。いつも自信たっぷりで、あたしを引っ張
ってくれる彼女とは違った。ただ恋愛に苦悩する一人の女の子がそこにいた。
その姿がどうしようもなく可愛く見えてしまったのだ。気がつけば、あたしは
彼女を抱きしめて、ほとんど無理矢理唇を奪っていた。彼女は泣いた。
 へたり込んで赤子の様にわんわん泣く彼女を前に、あたしは無様なくらいに
うろたえながら、とにかく言わなきゃと思って捲くし立てた。
「あの、ごめんなさい。あたし、ティアの事、好きだよ。その、友達って意味
だけじゃなくて、1人の女の子として」
 彼女は顔を上げた。くちゃくちゃになっていたけど、涙は止まっていた。放
心したような顔だった。数瞬して、あたしの言った意味が理解できたのか、結
局また泣き始めた。いつの間にかあたしも泣いていた。2人して一杯泣いて、
その日は一緒のベッドで寝た。
 あたしにはそっちの趣味はなかったし、というか今もないし、告白にしても
唐突な感じがした。だが、姉に言わせれば、もともとそういった兆候はあった
ようである、どちらにしろ。「彼女が排他的に見えるのは、むしろ他者に対す
る依存心が強いからよ。あの子は向上心が高いし、無意識的にそういったとこ
ろを忌避していたんじゃないかな。人を頼るっていうのは、時に弱さみたいに
見えるものだから――」とかなんとか。姉の物言いの大半はよくわからなかっ
たが、自分が思っていた以上に彼女には頼られていたという事なのだろう。
 その後、あたし達が恋人同士になるに当たって、紆余曲折あった。父に相談
すると最初は冗談だと思われ、本気だとわかると今度はものすごい勢いで反対
された。姉に相談すると、こちらは意外にも反対されなかった。前述の通り、
こっちが引くくらい真剣に相談に乗ってくれた。その理由はすぐにわかった。
後に実家で父と姉がまぐわっているところを発見したからだ。同病相哀れむ、
というやつだろう。父もその翌日以降はあたしに対する対応が不自然なくらい
に丸くなり、彼女との関係も反対しなくなった。彼女には親族がいないので、
幸か不幸かそういった事はなかった様だ。とにかく、あたし達は晴れて親公認
の恋人同士になった訳である。ただ、職場の仲間達に打ち明けると、皆総じて
微妙な顔をした。

 さて、恋人同士になったからには当然やる事はやっている訳である。
――ではあるのだが、どうにもうまくいかない。というか、イケない。昨日も
夜な夜な2人して頑張ってみたものの、最終的に何だか気まずい感じになって
寝てしまった。
 周りの人間に相談しようにも、所属部隊の女性陣には耳年増が多そうな印象
だ。果たして役に立つアドバイスをもらえるものかどうか。かと言って男性に
聞くのは、空気が読めない事で定評のあるあたしでも度胸がいる。実家を頼る、
というのも何だかアレだ。もしも「姉が義母になっていました」などという楽
しい事態になっていたらと思うと、どうにも近寄りがたい。どうしたものか。
 あたしはいったん彼女から視線を離し、自分の手を見る。手を握る。開く。
握る。開く。もう一回握る。そして、意識を手に集中する。体内の血流が拳に
向かう様な、あるいはエネルギーが爆発寸前まで蓄積される様な感覚を頭の中
で思い浮かべ、それを体に重ねる様にイメージする。すると、ぶうん、という
音と共に拳が金色に発光し、その輪郭が僅かにぶれる。あたしのIS「振動破
砕」を部分的に発動したもの、名づけて「振動拳」である。
 安直極まりないネーミングはともかく、あたしのISは何か凄いものらしい。
技術部の人に説明を求めたところ、少年の様に目を輝かせながら詳しく説明し
てくれた。
「共振って知ってる? 物理的な系がある特定の周期で働きかけを受けた場合
に、その系がある特徴的な振る舞いを見せる現象を共鳴って言ってね。その中
でも共振現象は固有振動数に近い振動が外部から振動系に伝わってくることに
よって起こるものを言うんだけど、これが起こると固有振動数に近いほど系に
蓄積されたエネルギーが外に出て行きにくくなるの。振動系から外部に振動が
出て行かないとすると外部から伝わってくる振動のエネルギーがその振動系に
蓄積することになるわ。当然、振動系の振幅は蓄積していくエネルギーが増え
るごとに増大することになる。外部から流入する単位時間当たりの振動のエネ
ルギーが一定だとすると、振動系に蓄積されるエネルギーは時間に比例する訳
だから、外部からの流入が無限に長い時間続くとすると振幅は無限大に近づい
ていくことになるのよ。これを――」
 とにかく、何かやばそうだった。完成させた時は新必殺技が出来たと喜んだ
ものだが、もしかしたら使い道はあまりないのかもしれない。
 質量兵器に代わって魔法が使われるようになった背景には、環境破壊を防ぐ
という倫理的な面と、相手を殺害せずに拘束できるという実用的な面がある。
振動破砕はどうもどちらもアウトくさい。それを拳だけに発動したところで使
えない事には違いない。実際、件のJS事件におけるISの使用はキレて使っ
た一回のみで終わっている。あたしの希望の配属先ではなおの事だろう。
 その上、振動拳が使えるようになったといえど、実戦で使用するとなるとま
だ難しい。使用できるのは敵からの攻撃や反撃を受けず、平静を保っていられ
る状態である事が前提だ。実戦で使用するには、接近戦の攻防の最中に振動拳
の使用が適切かを判断し、必要ならば意識せずとも瞬時に発動するというレベ
ルまで訓練しなければならない。攻撃のコンビネーションも新たに考えなけれ
ばならないだろう。だが、まさか練習相手にこれを使う訳には行くまい。故に、
訓練で使いづらいというのが一番のネックになる。振動拳の使用を前提とした
戦い方を訓練する事が難しいのだ。
 話はそれてしまったが、だが、と思う。前にマッサージ器で云々みたいな話
を聞いた事がある。もしかして、応用できるのではないか? なんというか、
性的な意味で。

 なんだかんだ考えているうち、あたしの隣で寝ていた彼女が声を漏らす。ど
うやら目が覚めたようだ。あたしは笑みを浮かべながら挨拶する。
「おはよう、ティア」
「お、おはよ、スバル」
 ちょっとどもり気味に返した彼女は、あたしと目があった途端に顔を赤らめ
る。付き合い始めて数ヶ月。まだ一緒に目覚める朝に慣れてはいないようだ。
あたしはくすり、と笑う。彼女もはにかんだ様に笑う。
 あたしは彼女に抱きついて耳元に囁く。
「ね、今から、しよ」
「え、でも、朝からなんて……」
 実際は既に昼前だが、その事はとりあえずおいておく。
「ダメ、かな?」
 あたしがそう聞くと、僅かな逡巡の後、
「あ、あんたがしたいっていうなら……」
 と声を搾り出す様に言った。
 あたしは彼女の唇に触れるだけのキスをする。そして、唇で首筋へ、さらに
下へと彼女があたしのものだという証をつけていく。少しづつ視線を下へと移
動していきながら、あたしの指が彼女の肌に触れる。腰へ、臀部へ、太腿へ、
指先が別の生き物の様に彼女の肌の上で滑る。
「ん…、ふ……ぅ」
 触れ合うたびに、彼女はくぐもった声を漏らす。真っ白なきれいな肌が、僅
かに紅く高揚する。
「綺麗だよ、ティア」
 もう一度、あたしは彼女にキスをする。今度は触れるだけじゃない、下を絡
めて唾液を交換していく。くちゅ、じゅる、と音を立てて彼女の唾液を啜る。
口の中が甘くて蕩けそうになる。
 いったん口を離す。彼女はふやけた顔でこちらを見ている。
「もっと、してぇ……」
 あたしはくすりと笑い、唇を重ねる。
 そうしながら、指をあそこへと滑らせていく。
「くちゃ、ちゅ…、そこ、らめぇ……」
 あたしのキスで口を塞がれながら、彼女が足を閉じて進入を拒む。それをあ
たしの指はするりと抜けて、目的地へとたどり着く。
 彼女の秘部はあまり潤ってはいなかった。ここ数ヶ月で知った事だが、彼女
はあまり感じやすい体質ではない様だ。
 あたしは傷つけないように慎重にそこに触れる。
「ひぅ…」
 縦の筋に沿うように指を動かして擦る。優しく、壊れ物を扱うように優しく。
「あ……はぁ」
 そのたび、彼女の声が漏れた。が、あそこは一向に濡れてこない。
 ここまで、それっぽくやっては見たものの、やはりいまいち良くないようだ。
「ねえ、ティア、気持ちよくない?」
 キスをやめ、あたしはティアの目を見る。
「そ、そんな事ない……。スバルにしてもらうの、凄く嬉しい、から」
 最後のほうは消え入るような声だった。彼女は顔を真っ赤に染め、俯いてし
まう。
 やはり、ここは秘密兵器の出番の様だ。
「ティア、あたし、いろいろ考えたんだけど――」
 何を思ってか、彼女はびくり、と肩を震わせた。
「――これ、使ってみようと思うんだ」
 あたしは、金色に光る拳を彼女に見せた。
「――え?」
 よほど意外だったのか、彼女はやたらぽかんとした顔をしている。
「ほら、なんかマッサージ器とかでオナニーすると気持ちいいとか聞いた事あ
るし、これで代用できるんじゃないかなって」
「あ、あんたね……」
 彼女は拍子抜けしたのか、呆れたのか、よくわからない声で呟いた。
「うまくやるから。お願い、ティア」
「わかった。いいわよ。……でも、ほんとに痛くしないでよ」
 あたしはこくりと頷き、再び視線を下へと移す。
 拳には振動拳を出力を押さえて発動している。準備は万端だ。彼女も覚悟を
決めたのか、あるいは先ほどまで以上に緊張しているのか、幾分強張った顔で
こちらを見ている。
「行くよ、ティア」
 彼女はこくりと頷き返す。
 振動拳を発動した手を彼女のあそこへと近づけていく。そして、彼女の秘部
に触れた瞬間――
「ああああああーあああああああああぁぁぁぁーぁぁぁあ"あ"あ"ーあ"ーーー!!」
 彼女がまるで獣の様な、悲鳴ともうめき声ともつかないものすごい声を上げ
た。驚いたあたしは体を離す。
 ヤバいんじゃないかというくらい体を痙攣させ、秘部からは透明の液をびゅー
びゅー噴き出す。やがて、彼女は白目をむいて動かなくなった。その一瞬後、
白いシーツに黄色いシミが広がっていく。
 失神、そして、失禁。なんという、破壊力……! 正直ドン引きである。あ
たしは金色の手を見て、ごくり、と唾を飲み込む。
 ――そんなに、凄いのだろうか?
 困惑するあたしの脳裏に好奇心が鎌首をもたげていた。ドキドキしながらも、
自らの手を秘部へとゆっくり移動させる。そして――
「ああああああああああああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁぁぁぁぁぁぁがああーーーーー!!」
 翌日の勤務にはあたし達は遅刻した。
 訓練のときは彼女の射撃の的にされる破目になった。
 シーツの洗濯を頼んだ寮母の人には嫌な顔をされた。
 振動拳は二度と使わないと心に決めた。



著者:52スレ253

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