918 名前:名無しさん@魔法少女 [sage] 投稿日:2010/09/25(土) 22:14:43 ID:eYnouGNs [2/5]
919 名前:戦いの果てに [sage] 投稿日:2010/09/25(土) 22:15:41 ID:eYnouGNs [3/5]
920 名前:戦いの果てに [sage] 投稿日:2010/09/25(土) 22:16:38 ID:eYnouGNs [4/5]

「目を覚まして。このままでは墜落します」
フォルティスはステラに向かって言った。もちろんステラはそれに対して否定応答を返したわけだが。
だが、応答を返した直後、また深い眠りにおちてしまった。

フッケバインの中にいる人たちの中でまともに立っていたのは術者トーマ、ただ1人であった。
トーマの声を聞いたスバルが起きた。彼女はリリィとアイシスを背負いながらさらにフェイトとエリオを前に抱えた。
そして念話が通じないのでトランシーバで地上と通信をした。

「こちらライオット02、どうぞ」
「こちら地上02、何でしょう、どうぞ」
「脱出準備OKです。どうぞ」
「了解です。通信を切断します」

すでに地上02ことキャロは詠唱を終えてただ発動をするだけであった。
「竜騎召喚、ヴォルテール!」
ヴォルテールは即座に火炎をフッケバインに向けてはなった。
当然魔導殺しで無効化されるものと思われたのだが…

「火炎、直撃!」
エクリプスウェポンの持ち主が倒れていたので全然発動しなかった。そして溶けていくフッケバイン、そこから出る一筋の青い光。
そこにいたのは2人を後ろに、3人を前に抱えたスバル・ナカジマであった。青い光は船に到達し…

「ライオット部隊、ただ今帰還しました!」

そう宣言した。そして中には7個のバインドが放たれた。そこに向かうのは橙色の光。
そう、ティアナ・ランスター(コールサイン 地上01)がスターライトブレイカーを放ったのだ。
当然、それ相応に魔力が拡散されていることが前提だったのだが、事前に地上部隊で簡易模擬戦をして収束に十分な量をためておいたのだ。
直撃の結果、船とその中身に直撃、フッケイバンは粉々になった。

そして落ちた人たちを次々と回収していくティアナ。だが1人、回収に失敗してしまった。回収に失敗したのはアルナージ。
どうやらバインドを回避したようだ。そして6人を回収したのだが3人はすでに死んでいた。
死んでいたのはステラ・フォルティス・サイファーの3人。死因は焼死であることが後に判明した。
残りの3人、カレン・ドゥビル・ヴェイロンは捕縛後昏倒しているところを収容した。

キャロは頭を抱えた。予定では全員生存させるつもりだったのだが、威力調整に失敗して3人を殺害してしまったのだから。
「どうしよう…」

その頃、ヴォルフラムではちょっとした騒ぎが起きていた。アイシスがいなくなっていたのだ。地上に飛び降りたようだった。
追跡部隊を地上で確保はしたのだが、すぐに見失ってしまった。そして…

「どもー!アイシスです」
「ああ、さっきのぺったんこか」
「で、どうする?」
「どうするもこうするも、1人じゃ何もできないんだから、仲間を探すしかないでしょ」
「だけど、1人で探してたら自己対滅が起きても何もわからないでしょ」
「あ、そっか。で、どうすんの」
「治療する方法を見つける。そう決めたんだ」
「なんで」
「困ってる人を、ほうっておけないんだ」

そしてそれから2週間が経過した。地上にいた2人は逮捕され簡易裁判にかけられた。無罪を保証するための裁判だ。
なんで形式だけで終わり、即座に無罪判決が下りた。

同じころ、無限書庫では司書長ユーノが奮闘していた。保護したという一報を受けて即座に検索を始めたのだが資料が少ない。
引っ掛かったのはざっと7500件ほど。ゆりかごの時は20万件ほどヒットしたのと比べたら段違いだ。
とはいえすぐに優秀な資料が見つかった。その治療法は速やかにシャマルに報告された。そして…

「はーい、あなたたちにはこの治療を受けてもらいます。これを受ければ殺しの衝動を受けることはもうないですよー」
そう笑顔でフッケバインの捕縛された3人に語りかけた。もしこれで収まるんだったらそれに越したことはないと考える3人。
「「「お願いします」」」
そういうと、すぐに治療が始まった。治療そのものは8時間程度で終わり、治療が成功か失敗かを少し見守ることにした。
数日の間、エクリプスの症状が出ることがなかったので、治療は成功したと判断された。
実際、治療は成功していたわけだ。

問題はトーマだった。トーマも同じ方法で治療できることは確定していた。しかし、彼を治療するということはリリィを失うということ。
これはトーマにとっては受け入れがたいものであった。であるから、治療は7日、延期された。
その間に両方が生き残れるという治療法が見つかることを願いながら…。

そして運命の日、ユーノから報告があった。
「残念ながら、両方が生き残る方法を見つけることはできませんでした」
「そうですか。仕方ないですね」
そのような治療法は無限書庫には存在しなかった。その旨をトーマに報告に行ったところ…

「よ!」
「あ、逃げたアイシスちゃんがここにいる!!フッケバインの逃げた人も!」
そこにいたのはアイシスとアルナージであった。
「何をいまさら戻ってきたの?」
「治療法、見つかったのさ」
「私は一応治ったと思う」
「どれどれ?…本当に治ってる!治療法、ちょっと聞かせて?」
「いいけど、本当に必ず治る保証はないよ?」
「もちろんそれは覚悟してる。ちょうど治療法がほしかったところなの」
というわけで治療法を聞いた。そして彼女はそれを即座に理論で解析した。すると…
「ありがとう、アイシスちゃん、これならいけるかもしれない」
「どもー。とりあえずアルはどうする?」
「本当なら管理局引き渡しで裁判にかけたいんだけど…無理よね?」
「できれば引き渡したくはないんだけど…」
「なら無理にとは言わないわ。十分司法取引が成立してると思うから」
「恩にきるよ」
そういうと、アイシスとアルナージはその場から去って行った。

2個の治療法が出そろったわけなのだが、それぞれの治療法の成功確率はこんな感じであった。
最初の治療法は、成功率は100%なのだが、リリィは確実に消滅してしまう。
アイシスの持ってきた治療法は成功率60%と低いが、成功すればリリィは5%の確率で生き残る。ただし失敗すればどちらも消える。
どうするかの判断は、トーマにゆだねられた。

彼は悩んだ。自分が生き残るためだけならば、最初の治療法を使えばいいだろう。しかし、救えない苦しみを味わうのはごめんだ。
かといって自分が消滅するのも避けたい。どうしたものだろうか。本能に従い救えないのを我慢するか、理性にしたがい万一のリスクを受け入れるか。

「というわけ。どっちにする?」
シャマルはトーマに尋ねた。
「少しでも可能性があるのならば、両方が生き残るものにかけてみたいです。もし失敗して消えてもそれは運命だったと受け入れます」
そう答えると、彼は治療台に立った。彼は理性にしたがった。

治療が始まった。彼女はいろいろ工夫して少しでも成功確率が上がるように術式を少し変更した。
その結果、成功確率75%、成功時リリィ生存確率11%という治療法が完成した。それでも両方が生き残る確率はわずか8.25%、これでも2.7倍以上だ。
そして、治療が終了した。その結果は…

「大成功です。両方生存です!」
奇跡は起きた。両方生き残ったのだ。

「ふう、よかった。さて、あとは4人の裁判の日程やな」
「とりあえず、来週でいいと思うんだけど」
「うん、そうする」

4人は裁判にかけられた。トーマについては保護観察処分、フッケバインの3人も能力封印-2ランクの上での保護観察処分となった。
これは殺害が生存のためにどうしても必要であったということを鑑みての措置であった。これには世論の批判も集中したがやむなしという結果に至った。
そして…

「ここがステラたちの墓か」
「俺ら、治ったよ。そして俺らの考えは間違えてた。神様は、いつも見捨てはしない」

Fin


著者:107スレ917

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