最終更新: rika_furude 2010年07月07日(水) 00:35:05履歴
「沙都子ったら そんなに荷物を増やしちゃだめなのです」
「だって今夜は大人の目をごまかすために…」
「山越えするのですから」
「沙都子…」
「こんなもの持ち歩いてたら もしも見つかった時」
「子供だけで夜中に山へ入ったことを叱られるどころから」
「警察にお持ち帰りされますよ……」
「手伝ってあげるのです」
「…何?羽入」
「変な顔してるわ」
「こういう顔してる時のあんたって なんか…」
「何が乙女よ」
「そうじゃなくて…」
「……」
『羽入……』
『ちがう……私が気になったのは…』
『羽入の顔が昔よく見た表情に似ていた気がしたから……』
『昔の……死の運命につかれ あきらめきっていた羽入に……』
「(でも こんな旅行に行くくらいで それは大げさなのかしら…)」
「(何でそう感じたのかよくわかんなくなってきたし…)」
「…… (ぞくぅぅ)」
「出ますですよ」
「ボクは古手神社の巫女ですから霊は見えます」
「さっきも横穴に入るとき」
「下からいっぱい手が出てて」
「ホラ…今 ここまでその手がのびてきて手招きをしているのですよ……」
「なによオヤシロ様が怖がらないでよ」
「走りにくいからくっつかないでっ」