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『若さゆえ〜』/ラミリア


「高須君は私のどこが好きかなぁ?」
竜児の組んだ膝のうえにちょこんと座りながら、実乃梨はそんなことを呟いた。


『若さゆえ〜』


「私はね、まずこの手」
右手をにぎにぎと弄びながら、にっこりと笑う。
「あと、私にはないこのおーっきい手。頭撫でてくれたりとかすっごい好きだよ」
すりっと頬擦りされる感触に、ドキンとする。
「あとは広い肩幅」
右手を握り締めたまま、クルリと反転して抱きつく実乃梨。
押し付けられた胸の感触に、内心ドギマギしてる。
「厚い胸板」
頬を擦り寄せて、心音を聞く。
限りなくアップビートな心音を。
「・・・はやぁい」
甘えた声に、当たり前だ!と内心突っ込みながら、なんとかそのまま我慢する。二・三度すりすりした後、実乃梨は首に抱きつき直して耳打ちした。
「私の音と高須君の音、すごい勢いでコンチェルトしてるぅ・・・どっちがはやいかなぁ・・?」
耳朶を擽る吐息に、思わず溜息をついてごまかす。
そのタイミングを逃さず、実乃梨が小さく囁いた。
「でもホントは、高須君の全部が・・・好き」
だあぁぁぁぁっ!!!
「俺も好きだぜ櫛枝ー!!」
「はい、しゅーりょー」
ガバッと抱きつく両腕を器用に残して、実乃梨はするりと体を離した。
はっ!?と我に返ったときには、時過ぎ去りし後だった。
「はい!たーかすくんの、まけーっ!」
「ぐぅ・・」
ニンマリと勝ち誇られて、まんまと嵌まった自分を憎んだ。ちくしょう。
「いくら唸ってもだーめ。今回「も」私の勝ちだね」
んふふー、と笑う顔が小憎たらしい・・うそ。メチャクチャ可愛い。
「・・あーもぉ、賭けなんかするもんじゃねぇ・・・」
ぽりぽりと頭を掻きながら、悔し紛れにぼやいてみせた。
そう、これは賭け。一種のゲーム。

事の発端は、実乃梨が訴えてきた「『アレ』が毎日じゃ、体が持ちません」ということに遡る。
「でも俺、毎日やりたいし櫛枝と!愛してる証だ!」
「あのね、いくら愛してる証でも、こー頻繁じゃ体が保たないのだよ!!」
「若いんだから仕方がないだろ!?」
「限度を知れーっ!!」
その後すったもんだあった挙げ句、互いの(主に実乃梨の)主張をとり、賭けの勝者の『要求』を採ることで合意した。
ルールは簡単。
実乃梨が俺に声を出させたら勝ち。我慢できたら俺の勝ち。
制限時間は10分。
くすぐったり・殴ったり・話し掛けたり等の明確な行為は禁止、以上。至ってシンプル。
「しかしこりゃ、分が悪るいな、実際」
泣き言を言う俺に、実乃梨は容赦なく指をたてる。
「合意の上でしょ?」
ちくしょう。押し倒してやるか。いや無理。嫌われちゃ元も子もない。
「確かに合意の上だけどよ・・・」
「だったらぶつくさ言・わ・な・い」
そのまま指を唇に押し当てて口にチャックさせる。
スゲー可愛い。ぜってー煽って楽しんでやがる。
「あーくそ、わかったわかった。んで?今回の要求も『いつもの』でいいのか?」
万歳しながら、半ば自棄気味に声を上げた。
だって実乃梨の要求は分かり切ってる。
『いつもの』
それは『次の賭けまでHは禁止』とゆー、過酷すぎる地獄の申し出。
すでに一週間、コトはない。
「禁欲生活記録更新進行中、っかぁ・・・」
ガックリとうなだれてると、膝の上に再度ちょこんと実乃梨が腰掛けた。

「・・・なんだよ?この上まだイジメるつもりか?」
「違うよ」
肩越しに振り返り、実乃梨はニッコリと笑った。
「今回の『要求』は、ね・・・『高須君の好きにして』・・・だよ」
そういってキュウッと抱きつかれた。
一瞬何を言われてるかわかんなくてぽかんと呆ける。その間にくちづけされた。
「・・・へっ!?」
遅れ馳せて気付いた顔前で、はにかんだように実乃梨が微笑む。
「一週間よく我慢したね。ありがとう」
照れたようにお礼を言われて、なんかくすぐったい気持ちになった。
「あ、や・・そりゃ賭けに負けたから・・」
「でも、無理矢理やろうとすればできるじゃん?」
「き、嫌われたくないからできなかっただけだ。あ、あんまり買い被んなよ」
照れ紛れにぶっきらぼうな口調になる。ああくそ、俺って奴は。
「ふふ」
ふ、とそこでまた、ちょんと触れるだけのキスをされた。
目を白黒させるその前で、実乃梨は目一杯の笑顔で囁いた。
「約束守ってくれてありがとう。我儘聞いてくれてありがとう。・・・大切にしてくれてありがとう。すごく嬉しかった・・・」
「櫛枝・・・」
「高須君、大好き」
『アレ』のときも、大事に扱ってね?
悪戯っぽく笑う実乃梨。
そこで俺の理性は、罪人蹴落とすカンダタよろしく、ぷっつりと切れた蜘蛛の糸。
「うわわわっ、ちょちょっと待って!そ、そんな勢い込まないでっ!こわいから、こわいからーっ!高須君!高須君ーっ!?」
「櫛枝ーっ!愛してるぜーーーーっ!!!」
「やーっ・・・俺っちやらかしたあぁぁっ!!」
絶叫響く宵の内。
しんしんと夜は更けていくのだった。
後日
「大河・・・櫛枝がもう一週間も口も聞いてくれねーんだ(泣)」
「まぁ・・・当然じゃない。さすがに一晩で17回はあまりにあんまりでしょ?」
「うぅ・・・やっぱりあれじゃ少な「なんでじゃーっ!!!」

ドゴン!

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