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47 :おにたけ:2011/08/10(水) 09:47:10.97 ID:t2zqNUp0

『俺の幼なじみが(ry』

■異変
最近、俺の幼なじみでクラスメイトでもある田村麻奈実の様子がおかしい。
この三日間ずっと学校を休んでいる。
健康と真面目さだけが取り柄の麻奈実には珍しい…いや人生初の出来事ではないだろうか。
心配になって麻奈実に送ったメールの返事も、なんだかそっけない。
というか昨日からは、メールの返事すら返ってこない。
い、ボケ役の居ない突っ込みほど空しいものはない。早く復帰してもらわんと俺としても困る。
「幼なじみの高坂京介としては、ことの真相を確かめねばならんか…」

こういう時は、まずは情報収集からだ。
俺は麻奈実と最近親交のある少女――新垣あやせに事情を聞いてみることにした。
あやせは俺の妹の桐乃の親友でもあり、女子中学生にして売れっ子読者モデルでもある。
待ち合わせの場所に現れた黒髪の美少女、新垣あやせの表情を見ると、どことなく俺を睨んでいるような気がする。
俺に対して、なにかと突っかかってくるのは、この娘の性格と女子中学生ゆえの純粋さだろうが
なにかと気苦労が絶えない娘ではある。

学校を休み、メールも来ないことを俺はあやせに告げると、あやせがみるみる怒りを募らせていく様子がわかる。
「麻奈実さんがですか?私も先日メールしたんですけど、まだ返事がないんです」
「そうか、俺だけ避けられてるわけじゃないのか……」
「おにいさん!!麻奈実さんになにかしたんじゃないでしょうね?!なにかあったら私が許しま…」
「ちょ、待て待て。俺だってなにがなんだか」
あやせが俺を疑うのも無理はないが、俺としても真相を知りたいところだ。
「とにかく、麻奈実さんが心配です。今から会いに行きましょう」
「あぁそうだな。俺もそう考えてたところだ。プリントとか届けものもあるしな」
結果的にあやせと同じ考えに行き着いた俺たちは、麻奈実の家――和菓子の田村屋に向かった。

こうやってゲリラ的に訪問することになった田村屋では、俺たち二人を麻奈実のお祖母さんが出迎えてくれた。
「そうなのよ……あの子、なんだかすごく塞ぎこんじゃって……京ちゃん、あなたもあの子の様子をみてくれるかねぇ?」
幼なじみで家族同然の付き合いをしてきた田村のお祖母さんから、俺たちは麻奈実のことを神妙に頼み込まれてしまった。
やはりただ事ではない。麻奈実の部屋に案内された俺とあやせは、麻奈実と相対することになった。
「麻奈実〜俺だ。あやせも一緒に居る。入っていいか?」
「いぃよ……」
小さな返事を待って、俺たちは麻奈実の部屋に入った。

昼間っからカーテンを閉めきった部屋。
お盆に載せられたままの手付かずの食事。
そして、真っ赤に泣きはらした麻奈実の目、布団をかぶったまま動こうとしない態度。
今までの麻奈実からは考えられない状態だ。
「麻奈実……どうした。大丈夫なのか?お前らしくないぞ。学校を休むなんて……」
場を和ませようと、半分軽口、半分真面目に声を掛けた俺を遮ってあやせが話しかける。
「おにいさんが麻奈実さんに何かしたんじゃないですか?私で出来ることなら相談にのります」
気色ばんで麻奈実に話しかけるあやせに対しても、麻奈実は沈んだ表情のままだ。
「京ちゃん、あやせちゃん。心配掛けてごめんね。私は大丈夫」
無理に作った笑顔が俺の心に刺さる。
「大丈夫じゃねーよ!!」
「だいじょうぶじゃありません!!」
奇しくもハモった俺とあやせは顔を見合わせる。

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