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「ん!?いっ!ひっ…ひぃっ!!んんんっ!!」
その感覚が私を襲ったのは突然だった。
思わず声を出して、慌てて口を手で押さえて我慢したけど、はしたない声を京ちゃんに聞かれてしまった。
アソコがジンジンと疼く感じ……ううん。はっきりと中に何かが入っている感覚。
「ど、どうした?また陣痛か?!」
慌てる京ちゃんに私は小さな声で答える。
「う、ううん……ちょ、ちょっとトイレ」
「そ、そうか。ごめん。俺ちょっと外にでてる」
気を利かせて待機室を出て行く京ちゃんの姿を見て、なんだか私は不安に駆られる。
他の誰かが部屋の中に居るような感じ。
以前にも感じたことのある気配。
とにかく、今は急に疼いたアソコの様子を確認しないと……。
私は臨月で大きくなったお腹を抱えてベッドから降り、待機室の中に備え付けのトイレ個室に入った。
白いワンピースの入院着をめくってマタニティショーツを下ろした時、私はすぐに異変に気づいた。
私のアソコに何かが入っているみたいに感じる。
手を差し伸べ、触ってみると、ゴムのような感触がある。
恐る恐る引っ張り出すと、使用済みのコンドームが出てきた。
「え?な…なにこれ?」
根元を縛ってあるそれの中には、得体のしれない粘っこい液体が入っている。
病院の中でずっとベッドの上に居た私に、こんなことが出来るのは……

嫌な思い出と、不吉な予感にとらわれた私に、再び下半身の痛みが襲う。
「んっ!!」
気がつくと、太腿にびっしょりと透明な液体が流れてる。
「もしかして、破水?そんな…急に。ぎぃっ!!」
これまで以上の陣痛に思わず悲鳴をあげる。
「おい、大丈夫なのか?先生呼ぶか?」
遠くから心配そうな京ちゃんの声がする。
「きょ、京ちゃん。破水したみたい……先生を」
「わ、わかった」

私の声を聞いた京ちゃんが先生を呼んで、すぐに私は分娩室に入ることになった。
「京ちゃん。お願いだから私と一緒にいて。あの人が…あのおじさんが近くに居るみたいなの」
「な、アイツが?わかった。今度は、今度こそ絶対に俺が守る」
「はぁはぁ…京ちゃん。わたし、すごくこわいの……おねがい。いっしょに居て。はぁはぁ…」
私の目を見つめて、京ちゃんは強く頷いてる。
出産立ち会いは未成年者は駄目だと言われてたけど、京ちゃんは粘り強く先生に掛けあって、出産中の私に立ちあってくれるみたい。
「大丈夫。麻奈実は産むことだけかんがえてろ」
私の右手を握りしめ、分娩台の横に立って励ましてくれる。
先生と助産師さんが分娩室でなにかの準備をしてるとき、私は見たくないものを見た。

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