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典子の日記(9話)

9・15・水 曇り

 誰も人の心に土足で踏み入ることなんて許されないはずなのに
どうしたらそう無神経になれるのか、怒りや呆れを通り越して
不思議に思う。別に私が人と比べて、細やかな神経を持って
るとは思わないけど。
 そういう人たちの中にいると、やっぱり居心地は悪くて、
クソクラエだなんて思うけど、感じる疎外感にたまらなく寂
しくなっちゃうことも事実。
 寂しいのが一番キライ。でも寂しいって感情を一番仲良しな
気もする。
 地元の友達と電話で話した。最近は子供生んだ同士で
子連れで遊んでるらしい。ふーん。いいなあ。なんて
おもってしまった。やばい。彼女からしてみれば、まだまだ働
く私が羨ましいっていうけど。
 働く女と早く結婚して主婦してる女。お互いがお互いを
羨むの巻。確かにあたしの知らない苦労はいっぱいして
るんだろうけど、「今のうちに遊んでおいた方がいいよ」
なーんて偉そうに。遊ぶ暇なんてないくらい忙しいっていう
の!
環境の変化って悲しい。そんなことで友人に対してむかついた
あたし、サイテー。


9・16・木 晴れ

 久しぶりに晴れたらって、別にいいことがあるわけでもない。
 仕事行って、ご飯食べて、仕事して、帰ってきて寝るだけ。
その繰り返しだもん。別にそんなに悪くないけど、たまにものすごーく
寂しくなる。そんな時にいつもあの頃のことを思い出す。あの時
はそれでいいと思ってた。それが幸せだった。だってあの人は
優しかったから。でもそんなの一瞬だった。「愛してるのは君だけだよ」
なんて言いながら・・・。
 子どものことだって、喜んでくれるかもなんて、ほんの少しでも思って
た私が死ぬほど恥ずかしい。
 せっかく授かった子どもをおろしたのも今思えば別に一人で
育てていけないことはなかった。子どもはもともときらいじゃないし、経
済的にそこまで困ってるわけじゃなかった。でも、子どもが原因で忙しく
なったり生活苦しくなるなんてその頃のあたしには、考えられなかった。
同じような暮らしができるわけないと思ってしまった。子どもには
何の罪もないのに。私はひどい人間だ。いつもそう。
 結局大事なのは自分だけ。
2006年03月11日(土) 11:32:12 Modified by whitenights




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